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『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』(2023)/殺すべき敵を、観てる時間と共に本当に応援したくなる愛すべきキャラクターに仕立てていくのが本当に上手くて感動した👦🏼👩🏻


監督&脚本:阪元裕吾 撮影:伊集守忠 編集:遊佐和寿 製作:角田陸、後藤剛 製作総指揮:鈴木祐介 音楽:SUPA LOVE 主題歌:新しい学校のリーダーズ『じゃないんだよ』(2023) 上映時間:101分 製作国:日本 シリーズ:『ベイビーわるきゅーれ』シリーズ第2作目 英題:Baby Assassins 2 Babies

 

 

若い映画ファンに人気が出てロングランされてた『ベイビーわるきゅーれ』(2021)の続編。配信になかなか来なさそうだからレンタルで観た。
そういえば主人公の一人まひろ役の伊澤彩織さんは『ジョン・ウィック:コンセクエンス』(2023)でスタントで参加してて凄いね。一時はアキラ(真田広之の娘)役のカメラテストまで行ってたらしいが、アキラ役になってほしかったね。

ネタバレあり

 

 

前作のStory
高校を卒業した少女殺し屋コンビ、杉本ちさと深川まひろは、二人の雇い先である殺し屋協会から「社会性を身につけるため同居して普通のアルバイトもしなさい」と言われて同居するが、社会不適合者の二人は「普通の暮らし」が上手く行かず喧嘩もする。だが殺しとなれば力を合わせて固い絆を見せるのだった

台東区に同居している杉本ちさと(演:髙石あかり)と深川まひろ(演:伊澤彩織)。若い女子である二人は殺し屋協会に所属する殺し屋コンビだった。
社会不適合者である二人は複数の支払いを放置していたため金欠になってしまう。
そして偶然出くわした銀行強盗をうっかり倒してしまった(殺し屋協会を通さずに殺しや死闘を行う事は協会の規則で禁じられている)。
謹慎処分になった二人は仕方なく普通のアルバイトをしたり喧嘩したりする。

一方、殺し屋協会に正規ではなくアルバイトとして殺し屋をしている兄弟、神村ゆうり(演:丞威)と神村まこと(演:濱田龍臣)。そして兄弟の仲介役をしている赤木(演:橋野純平)。
非正規の三人は協会から冷遇され、ろくな仕事を与えられていなかった。
ある日「正規の殺し屋を殺せば、非正規がその座に入れるかもしれない」という噂話を赤木から聞かされた兄弟は近所に有名な殺し屋コンビ〈ちさととまひろ〉が住んでいる事を知り、彼女たちの命を狙う――

そんな話。
前回同様、社会不適合者の主人公二人……ちさととまひろは殺しで得た金で暮らしている。給料が幾らかはわからないが好きなもの食ったり買い続けても全く困らないくらいみたいだからサラリーマンの二倍くらい?遺産を相続した子供が暮らしてる感じの部屋で、あまり高くなさそうな可愛いものが部屋にあふれているのが二人のキャラクターを表現してる?
急に金欠になった二人は、渡辺哲演じるおっちゃんの……何のお店かよく見てなかったけど商店街の子供が集まる店でバイトする。
おっちゃんは若い子と話を合わせたいのか付箋がいっぱい貼ってある辞書を片手に『花束みたいな恋をした』の話をしている。前作はコワすぎ!の工藤役の大迫さんが出てたが本作は渡辺哲で、レジェンドおっさんがちょいちょい出てくるシリーズだね。
で、主人公二人や協会の仲間や又は街で出会った人達が妙にサブカルっぽい話題や庶民的なトークを突然始まるのもこのシリーズの特徴なんだろうね。
話してる内容は興味無いけど、ちさととまひろの19歳のフリーターっぽいガーリーでダラダラした仕草や話し方が本当に前作同様いい感じ。特にちさと(髙石あかり演じてる黒髪の方)は本編の9割くらいずっと友達とふざけてるような甘えてるような独特の喋り方してるのが凄く癖になってずっと見てられる。他の作品の高石氏を検索したら普通に喋ってるのでこのシリーズのちさとでしか味わえないようだ。彼女は顔芸もすごく良い。ぬいぐるみを着て喧嘩する二人はアイアンマン方式でぬいぐるみの中の顔が見えるがちさとの顔がフシギダネそっくりで凶悪な顔すればするほど可愛い。

中盤、ちさとまひろは殺し屋フリーター兄弟と初対面するが格が違ったようで、まひろによって瞬殺される。
「兄弟が本作のメインヴィランなのに、こんなに力の差があって、この後どうやって対決させるんだろう?」という種類の心配が湧き上がってきて意外な面白さが湧いてきた。
その後、お馴染みの掃除屋たちとのおしゃべりやアクション等も、どうなるんだろう?という興味を持続させててよかったです。

 

 

殺し屋フリーターの神村兄弟は、格上のちさとまひろに瞬殺されたり馴染みの仲介屋を殺されて悲しんだり、弟が定食屋の女の子に告白したくて赤面してたりして観てたら愛着が湧いてくる。
ここで、単純に主人公が自分たちより強大な敵にぶつかってたおすだけだった前作にはなかった面白さが色々湧いてきてどんどん面白くなった。
神村兄弟は一応、主人公が殺すしかない敵なのだが、主人公ちさとまひろは金を稼げてるし協会がバックに居る体制側(殺し屋協会の正規殺し屋)で神村兄弟は二人しかいない反乱軍(貧乏な非正規殺し屋)。ちさとまひろは強いと有名な殺し屋だが神村兄弟は格下……双方の構図だけ見ると、ちさとまひろは「お馴染みのかわいい女の子たち」という以外はまるで敵みたいなキャラ設定。そして本編の敵である神村兄弟は普通の映画だったら完全に主人公側のキャラなわけで、この対立構造が変わってて面白かった。
といっても、このシリーズは別にヒーローものではないので、ちさとまひろも神村兄弟も、それぞれの仲間が大事なだけで依頼さえあれば誰も無感情に殺すキャラなので、神村兄弟が一見ヒーローっぽい下剋上のポジションに居るが、それは只そう見えてるだけで別にヒーローなわけじゃない、というのが面白いです。
……と書いても何が面白いのかわかんない書き方してしまった。平凡なシリーズだったらヤクザの組た対決した前作同様にちさとまひろは今回も大きい敵……殺し屋協会そのものとか競合他社の殺し屋団体とか、そういう主人公を応援したくなる巨大で悪い敵を用意しがちだけど本作の場合、神村兄弟はヒーローじゃないにしてもまるで主人公みたいな設定なんですよね。そしてラストに近づけば近づくほど応援したくなる。
ラストバトルの神村兄弟は2、3回ちさとまひろと殺り合ったせいか実力が数倍に跳ね上がってるからね。あらゆるところが主人公っぽいのに急成長までするんかい、それによってちさとまひろのライバルたりえる敵になる話だったんだと感心しました。
初対面では「雑魚すぎるでしょ」とか言ってたがもう「あいつら協会に入ってたら良い殺し屋になってたかもね」と言い、兄弟も「あいつらと仲間だったら楽しかったかも……」「いやこうしてる(殺し合ってる)方が楽しいぜ」とか言っててエモーショナルな空気が立ち上がってきた。
そんで銃撃戦で、ちさとと神村弟が被弾し、まひろと神村兄が近接戦で雌雄を決する。
……だけど優勢だと思ってた神村兄がいつの間にか気絶してた場面、あれどこで気絶したのかわかんなかったな。
最終的にはまひろ勝利。ちさとまひろが兄弟を殺すだけだが、試合後のノーサイドのような爽やかな雰囲気になる。
完全に勝ったせいかまひろが兄弟に敬語で話し始めるところなど、もう完全に仕事(殺し)が終わってプライベートになったみたいな雰囲気になって上手かった。ちゅ~るで乾杯したり「その服かわいいデスね」とか言ったりして。
本当にノーサイドにする気か?と一瞬だけ思ったが次の瞬間いや絶対それはないでしょと思う。数秒後、実際その通りに終わる。
監督が狙った演出が、観てるこちらの脳内の動きと完全にスイングしてて凄く気持ちよかったです。
映画始まった瞬間は、前作で知ったちさとまひろをまた観たくて観てるわけで新キャラ……しかもちさとまひろを殺したがってる男の二人組なんて応援したくないわけだが、観ていくうちに愛着が湧いてきて最終的にはちさとまひろと同じくらい負けて欲しくなくなる……観てる人をそんな気持ちにしていく手付きが凄く上手いなと思いました。

 

 

 

 

そんな感じでした

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『戦慄怪奇ワールド コワすぎ!』(2023)/シリーズの集大成で既視感ある描写やキャラの数々。そして男の有害性に対峙する工藤に不思議な感動があり、このシリーズはもうこれで終わりでいいかも🏏


監督&脚本&撮影&音響効果&出演:白石晃士 プロデューサー:三上真弘、田坂公章 製作:吉原豊 編集:宮崎歩 配給:アルバトロス・フィルム 制作:日本 上映時間:78分 公開日:2023年9月8日 シリーズ:コワすぎ!シリーズ第10作目

 

 

白石晃士監督の人気シリーズ8年ぶりの新作(そして恐らくこれで終わりっぽい?)。
観たいな~と思いつつ観に行かなかったのだがレンタル始まってたので観た。
破天荒な主人公・工藤ディレクターと仲間たちが金属バットや特急呪物で物理的に怪異に立ち向かう愉快な人気シリーズ。途中からエヴァンゲリオンとか深夜アニメっぽい描写が増えてきて第7作目で一旦、完結し、そして別の並行世界の工藤達を主人公に2作だけ作られてストップし、そして8年ぶりに突然作られたのが本作。これまた別の並行世界の話っぽい。
一時期、毎年夏にニコニコ生放送などで配信されて極一部に今でも熱狂的な人気があったのだが配信で観られても白石監督自身は全く儲からず、とにかく監督が人気以外まったく得をしないシリーズだったみたいでどんなに人気が出ても白石監督はあまり喜んでいないように見えた印象が強かったシリーズ。

ネタバレあり

 

 

 

 

心霊スポットを撮影してTiktokYOUTUBEに投稿する若者三人(演:福永朱梨、小倉綾乃、梁瀬泰希)。
彼女らは廃工場っぽい廃墟(『カメラを止めるな!』(2018)でもお馴染みの廃墟)で、不気味な祭壇を発見し三人はそれを破壊。すると刃物を持って全身返り血を浴びたかのような赤い女(演:南條琴美)が追いかけてきた。
かつて怪奇系ドキュメンタリーを作っていた工藤仁(演:大迫茂生)は、赤い女の投稿ビデオを観て「ここで撮影すれば大儲けできる映像が撮れる!」と思い、かつて工藤の元でADをしていて今ではディレクターになっている市川実穂(演:久保山智夏)、田代正嗣カメラマン(演:白石晃士)ら、かつての仲間を集める。
工藤たちと若者三人は、更に霊能者鬼村伊三(演:木村圭作)も連れて廃墟に向かった。

という今まで通りの導入部。
工藤は昔のように市川にセクハラ&パワハラかますが、市川は昔のように嫌な顔してるだけではなくセクハラには「それセクハラなんでやめてください」と叱る。工藤は昔のように市川の頭を叩こうとしたら躱されてボディーブローを喰らって悶絶。……というシーンが前半に二回あり「いつまでも昔のノリを引きずって現代の女性(市川)に仕返しされる、アップデートできず時代に取り残された中年男性・工藤」といった面に大きくクローズアップしていたのが過去のコワすぎ!からの時の流れを感じさせる。
また、今までの白石監督作に出てくる和装の霊能力者は怪異に成すすべなくやられてしまうのが定番だったが本作の鬼村は、若者のはしゃぎを注意したり「ヤバいから引き返そう」と言ったり、時空が歪んで廃墟から帰れなくなると霊能力の師匠に電話したり、「帰れないみたいだから、こちらから敵の懐に飛び込んでカウンターパンチを打ちましょう」と覚悟を決めたりと、別に無敵とかではないが自らの実力を客観的に理解しており、その自分の実力内で出来ることを頑張ろうとする有能なキャラで、新しかった。
工藤達が廃墟に行ったのは昼間だったのだが突然夜になったり昼になったり、何度逃げようとしても廃墟の前に戻ってきてしまう。
廃墟に入って例の破壊してしまった祭壇の場所に行こうとしても、階段をいくら降りても元の階に戻ってしまい、廊下を延々と走り続けても端に付かない。
その辺の、何てことない日本の風景が突然時空が狂って抜け出せなく様子は僕が一番好きな第4作目『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!FILE-04【真相!トイレの花子さん】』(2013)を思わせて非常に良い。今まで何度もこんなシーンを撮ってきただけあってめちゃくちゃ慣れた手付きで、しかも恐らく恐ろしく安上がりに「時空の乱れ」を表現していて「さすが白石監督。というか潤沢な制作費出して白石監督にこういう大作撮らせろよ」と、昔から皆が思ってることをまた思わされた。『きさらぎ駅』(2022)などの2ちゃんレジェンドシリーズは長江監督がハマってて良いのだが、こういう感じのSFホラー大作を白石監督に撮らせればいいのに。なんで白石監督には微妙な大作ばかりで、白石監督が得意そうな大作SFホラーが回ってこないんだろ?

廃墟に着いてからの時空移動などもそうだが既視感あるシーンやキャラが多くて、『コワすぎ!』シリーズや白石監督のSFホラーの集大成って感じの雰囲気が強い。

やがて「どうやら自分たちはさっきから過去に戻ったり、平行世界にいどうしているらしい」とわかってくる。
そこへ若者三人組のうちの一人の女性、その娘が女性と一緒に廃墟に入ってくる。工藤達は「過去の彼女たち2人」がこの廃墟を訪れた時にタイムスリップしていたらしい。
すると黒いボールのような物が落ちてきて忌まわしい「黒い男」がやってくる。

……といった辺りから、この場所にまつわる真相や解決に迫っていく。
ここ以降、「黒い男」が工藤達に近づいてくる時に、必ず黒いボールのようなものが転がってくるので、ボールが転がってきたら「やべえ!アイツだ!逃げろ」とボール1つで「黒い男接近」を表現できててここもまた白石監督らしい上手さを感じた。
ピンチの工藤たちの前に、鬼村が廃墟突入前に電話してた霊能力の師匠・珠緒(演:桑名里瑛)が来てくれる。
「珠緒」というのは『貞子vs伽椰子』(2016)に出てきた霊能力少女と同じ名前なので、白石監督が霊能力を持った女性に付けたい名前なのかも。
珠緒はヤンキー女みたいなアニメのキャラみたいな感じで、それでいてマルチバース間の移動やタイムスリップ、固有結界、呪いパワー無効化など、万能なスーパー霊能力者だった。『カルト』(2013)のホスト風スーパー霊能力者・NEOとか『オカルトの森にようこそ THE MOVIE』(2022)のホスト風スーパー霊能力者・ナナシとか『貞子vs伽椰子』(2016)の経蔵&珠緒などと同系統の「白石監督のホラーに出てくるアニメキャラみたいに強い霊能力者」キャラの一人だと言える(しかし良い歳したギャルなら居そうだけど良い歳したヤンキーって何だかヤバい気がする。霊能力一本でやれるから10代の頃からこのまんま来てしまったんだろう感がある)。
そんな万能な珠緒だが途中で工藤たちと分断されてしまう。珠緒が全部解決したら話終わっちゃうからね。珠緒は全て助けて説明してくれる便利なキャラであるが、肝心の敵を倒すのはあくまでも工藤のようだ。
珠緒はキャッチーなキャラなので公開時にファンアートとか描かれるくらい人気あったのはわかるし僕も珠緒は良いキャラなので好きだけど、あまりに万能すぎる上に本編での不思議な事を全て説明してくれるので、終盤では疑問や心配が全て解消されてしまい本編の面白さが減ったなと思った。珠緒が来る前に皆が慌てて廃墟内で夜になったり昼になってて、その理由もわかってなかった時の方が楽しかった。『オカルトの森にようこそ THE MOVIE』(2022)のスーパー霊能力者ナナシも劇中で無双する時間があまりに長すぎて面白さが減ってて、その時も感じた不満と似ている。
珠緒は良いキャラだが、珠緒は来なくて工藤たちと鬼村だけで必死こいて何とか解決する感じで良かったんじゃないかなという気はする(もしくは鬼村程度の能力の珠緒だけがいるとか)。『貞子vs伽椰子』(2016)の時も、貞子に執着してるだけの教授と共に行動してる時の方が経蔵&珠緒が出てからよりも楽しかった。
だが問題なのは、彼ら白石スーパー霊能力者はキャラが良いという事だ。いつも公開されるたびにファンアートが描かれる(地味な実録心霊ものの体で展開してる時にスーパーパワーを持ったアニメキャラみたいな奴が出てきたら、それはオタクは飛びついてしまう)。それほどキャッチーで人気あるとわかっている存在を今更出さないというのは難しい。
『カルト』(2013)のNEOの場合は「アニメみたいなスーパー霊能者が、登場に似つかわしくないモキュメンタリー風心霊映画に出てきて全部解決しちゃう」というネタを最初にやったというのと登場する時がかなり後半だったのが良かった。
今後は白石スーパー霊能力者は出さないか、出してもほんの数分だけにしてほしい。
とはいえ珠緒がプリキュア映画を公開してる映画館みたいな煽りをするのも不思議な感動があったけど。

「黒い男」の正体が明かされ、彼を倒す役目は金属バットを持った工藤達に振られる。
前半で工藤のパワハラ&セクハラが市川に反撃されてたのも含めて、工藤(というか全ての男性)が己が内包する「男の有害性」の存在を認め、それと戦う話だったようだ。
工藤は「お前の存在は知ってる。俺はお前を殺す。蘇ってきても何度でもブッ殺してやるよ!」と黒い男を打ち据える。『呪術廻戦』でも似た場面あったな。何か工藤がそんな事言うとは思ってなかったのでグッと来るものがあった。
そして面白かったことや感動した気持ちと同時に、本作が既視感あるシーンやキャラばかりだったこと、それ以上に工藤が自分を顧みて成長したことなどを観て「面白いし感動もあったけど『コワすぎ!』で今後やる事もうなさそうだな」と感じた。
白石監督は「『コワすぎ!』はこれで終わりだけど、本作があまりにヒットしたら続編もありうるかも」と言っていて、仮にまた続編が作られたら喜んで観るけど、『コワすぎ!』シリーズはもうこれで無理に続けずに完結で良い気がした。
……という感じで、観るのも遅いしテンション低い感想になったが、日本映画の中でトップレベルで面白いのは間違いない。シリーズ観てなくて、いきなり初めて本作を観た人が居たらめちゃくちゃ新鮮で面白いだろうし。だから全作観てきた人と初めて観た人とでは感想のテンションが少し変わる気がする。

 

 

 

そんな感じでした

『鬼談百景』(2015-2016) 全10話/『赤い女』が一番よかった👤 - gock221B
『貞子vs伽椰子』(2016)/フレディvsジェイソンのプロットそのままに貞子と伽椰子がプロレス👩🏻👩🏻 - gock221B
『オカルトの森にようこそ THE MOVIE』(2022)/ファンサービスに徹した白石ホラーBESTプレイリストみたいな内容で楽しかったが、あまりに全てが分かり易すぎると少し物足りなくなるのが映画ファンという人種🌳 - gock221B

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『幽☆遊☆白書』(2023) 全5話/意外と良かった。特にヒロインの螢子が裸締めで敵を絞め落とすシーンが一番面白かった。あと冨樫のクサみを脱臭しないでほしかった👻


原作:冨樫義博 の漫画『幽☆遊☆白書』 (1990-1994) 監督:月川翔 脚本:三嶋龍朗 エグゼクティブ・ プロデューサー:坂本和隆(Netflix) プロデュース:森井輝 製作&企画の動画サービス:Netflix 製作国:日本 配信時間:各話約55分、全5話 英題:Yu Yu Hakusyo

 

 

HUNTER×HUNTER』『レベルE』など少年ジャンプの人気作を多数持つ腰痛の漫画家・冨樫義博がブレイクした漫画『幽☆遊☆白書』(1990-1994) 全19巻が、Netflixで実写ドラマ化されたもの。
連載時の僕は高校一年生~20歳という直撃世代だったので思い入れあります。『HUNTER×HUNTER』『レベルE』の方が人気や完成度高いと思うが僕は高校~20歳前後の頃に連載されてたのもあるが『幽☆遊☆白書』の方が好き ですね。あとハンターとレベルEに好きなキャラ居ないが幽白は桑原とか海藤とか好きなキャラが多い。
以前ふと思い立って全巻読んで感想書いたら普段の500倍くらいアクセスがあって「これじゃ映画の感想ブログやるモチベなくなる!」と危機感を覚えて漫画の感想は書かないことにした。

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『幽☆遊☆白書』は同時期に『ドラゴンボール』『SLAM DUNK』『ジョジョの奇妙な冒険』などが連載されているジャンプ黄金期に大人気だった。
「ヤンキーとオタクの融合」という冨樫特有のバランス感覚で描かれてて(ジョジョ四部もそんなとこあるね)、また「厨二病の元祖」みたいなところもあり、その内容は、あの頃のジャンプのインフレバトル漫画……インフレバトル漫画というのは主人公が修行して今まで苦戦してた敵Aより強くなりAを瞬殺するが次に出てきたBに瞬殺されて……と、味方と敵が宇宙の膨張の様にどんどん強くなっていく漫画……そんなインフレバトル漫画を代表するのが『ドラゴンボール』そして『幽☆遊☆白書』。どちらが優れてるかと言うと良いところ悪いところなど全く違う2作なので甲乙つけがたいが「インフレの見事さ」「ジャンプ漫画への自己言及」というところに着目したら『幽☆遊☆白書』の方が勝ってたかもしれない。
ドラゴンボール』っぽい正攻法でインフレしていく「暗黒武術会編(戸愚呂兄弟編)」から、次の「仙水編」では単純なパワーだけでは勝てない……まるでジョジョ四部のような能力相性バトルになり章ボスの仙水&樹は「お前らいつまでもやってろ」と、まるで少年ジャンプのインフレバトル漫画や作者や編集部や読者に吐き捨てるかのように言い残して去って問題提起をして、連載に疲れ果てた冨樫は最後の「魔界編」ではインフレ変動をわざと激しくさせて魔界トーナメントをぽっと出のモブみたいな見た目の太ったおじさんが優勝する……という形でインフレバトルを集結させ、登場人物たちは爽やかに現実に帰って行き終わった。
原作漫画の話しようとしたら長くなるのでやめよう。大体そんな内容。
自分も高校~20歳前後という多感な時期にそんなのを読んだので特別な想いがある。

企画した坂本和隆氏という人はNetflix『浅草キッド』(2021)を始めとしてNetflixの話題作を多く作ってきた人みたい。
監督の月川氏は、監督作まったく観てなくて知らないけど、東京芸大北野武黒沢清の授業を受けた人らしい。
まぁ前置きはそのくらいにして、アンバランスなKissをかわして愛に近づいていこうと思いますわ。

ネタバレあり。

 

 

 

 

Story
ある日、不良の浦飯幽助(演:北村匠海)は交通事故から幼児を助けて命を落としてしまう。
幽助は霊界から〈霊界探偵〉という役目を与えられて蘇り、人間界で妖怪が関わる事件の解決に挑むことになる――

世界の仕組みと第1話と幽助と桑原と蛍子とぼたん
まず、この世界だが、まず〈人間界〉、〈霊界〉、〈魔界〉の3つがある。
人間界〉は現世、我々が住むこの世界。
そして〈霊界〉。死んだ人間が行き天国に行ったり地獄に行ったりする中継地点のような場所。そこを仕切ってるのが閻魔大王の息子コエンマ(演:町田啓太)。その部下である霊界案内人ぼたん(演:古川琴音)、彼女は死んだ人間に今後のことを教えてくれる存在。彼女が交通事故で死んだ幽助に会いに来て物語が始まる。このコエンマとぼたんの二人はレギュラーキャラだがどっちかというと「喋る舞台装置」といった感じでコエンマとぼたんのドラマは特にない。
そして〈魔界〉。ここは本作の敵や味方となる〈妖怪〉が住んでいる世界。〈魔界〉そのものは劇中には出てこない。
霊界の予定になかった死を遂げてしまった不良の幽助は、霊界探偵として妖怪が起こす事件を解決する〈霊界探偵〉に任命される。
このドラマ全5話は、第1話が死んだ幽助が前述の流れで蘇り、ぼたんと共に霊界探偵の初事件を解決する話。第2話+第3話が原作で言うと「霊界探偵編」(原作の第51話まで)、第4話+第5話(最終話)が「暗黒武術会編」……残念ながら暗黒武術会は行われなかったから「戸愚呂兄弟編」と言った方がいいか(原作の第52話から第112話まで)。

第1話に話が戻るが、年末に配信された本作を特に観てなかったんだけどラジオで「幽助が最初にトラックに轢かれて死ぬシーンが凄い!」という話題で興味が出て一気に観た。
交通事故のシーン。妖怪に取り憑かれたトラックが町を暴走する。咄嗟に子供を助けた幽助がガーンとトラックに激突!そのままトラックに引きずられながらボロ雑巾のように転がりながらトラックが幽助の上を通過していくと即死した幽助の遺体が……というもので本当に確かにすごいw「えっこんな楽しそうなドラマでこれほどまでに本格的な轢死が……」という感じだ。変幻自在の交通事故が得意な監督といえば黒沢清、本作の監督は黒沢清の授業を受けてたので、これは黒沢清の影響と見ていいのではないだろうか。
まず主人公の浦飯幽助、シングルマザーに育てられた情に厚く正義感が強いが、ぶっきらぼうな態度で誤解されがちな不器用系ヤンキー。観る前は期待してなかったが本作の幽助は……良い!演じてる北村匠海氏がいい。顔も髪型もスタイルも演技も良い。というか原作の幽助印象薄かったからむしろ本作の幽助のほうが良いかも。文句なし。

幽助の喧嘩相手、桑原和真(演:上杉柊平)も第1話から登場する。僕が全冨樫キャラの中で一番好きなキャラ。情に厚い幽助を更に情に厚くさせて喧嘩を少し弱くした感じ。原作での初登場は物凄い不細工で徐々にまともになっていった(だから最初はモブキャラだったのかもしれない)。漫画ではえげつないワラジみたいなリーゼントだが現代が舞台のせいかツーブロックになっている。「東京卍リベンジャーズ」感あって桑原が少しおしゃれになったし殴られて髪が乱れてもカッコいいし文句なし。予告編で観た時に「桑原ええやん!」と一目で思ってた。とか言ってる時に桑原が後ろ向いたら、うなじの辺りに原作のワラジみたいなリーゼントが出来ていて「どういう事?時代が巡ってリーゼント後ろ前逆になったんか」と衝撃的だった。

幼馴染の雪村螢子(演:白石聖)、彼女の実家のラーメン屋が近所で幽助がしょっちゅう食いに行っている。螢子は幽助に絡んで小言ばかり言う〈カーチャンみたいな女房ヅラ系幼馴染〉。1stガンダムフラウ・ボウみたいな昭和の少年漫画ヒロインだな。原作では読者にも作者にもあまり好かれてなかった。螢子が女房ヅラして小言を言い、幽助は「へい、へいw」と生返事したり「うっせーな☆この説教ブス!」と罵って螢子が「ブスとは何よ!」みたいなイチャイチャした言い合いが頻繁に起こる。本作の舞台は普通に現代なんだろうけど登場人物のセリフや展開は原作を踏襲してるので幽助の吉田聡が描く不良みたいなおちゃらけヤンキー感と蛍子の女房ヅラ説教ブス感のぶつかり合いというイチャイチャを観てたら「このドラマ……現代だよな?90年代……いや89年代か?昭和か?」とたびたび思ってしまい頭がクラクラした。でも、こんな機会、現代では滅多にないので得難い楽しい時間を過ごせた。

今邦画界で引っ張りだこになりつつある古川琴音が霊界案内人〈ぼたん〉を演じている。さっきも言ったが彼女は霊界探偵になった幽助に色々助言するキャラ……プリキュアに付いてる小動物とかセーラームーンの猫みたいなポジションのキャラ。物語を円滑に進めるためだけに居るキャラ。しかも霊界案内人だから原作でも序盤しか目立たない。演じてる古川琴音は日本人形の女児みたいなオリエンタルな顔してるので〈ぼたん〉の水色髪+ピンク着物というアニメっぽすぎるコスチュームがあまり似合ってない。スティル写真などが出た頃に心無い人らに容姿を貶されてたが実際に観ると(コスは似合ってないけど)すごく魅力的だった。というか演技力とかオーラがすごい古川琴音なので動いて喋り始めた瞬間から一気に魅力が出る。古川琴音といえば岸井ゆきのと顔と雰囲気が似てる事で有名だがそろそろ顔と名前の区別がつくようになってきた。日本人形の女児っぽい顔が古川琴音、ちょっと口が尖ってて河童っぽいのが岸井ゆきの
このキャラは水色髪+ピンク着物というコスプレっぽい格好の上に、アニメ版で時代劇の江戸の町娘みたいな喋り方になった。古川琴音はアニメ版の喋り方に寄せてるっぽいので衣装も含めて異様な雰囲気がある。いま検索したら不評なようだが僕はクセ強くて好き。僕は『シン・ゴジラ』(2016)のカヨコ・パターソンを始めとして庵野秀明実写作品の珍妙な喋り方するキャラ大好きなので僕の特殊なツボにはまって凄く良いと思いました。あと検索して悪口言われてるの見てムカッとしたから今後も応援していくことにした。
コエンマ(演:町田啓太)は普通になんちゅう格好しとんねん!度が高かったね。ドラクエのパーティの一員みたいな格好して……こんなアニメまんまの格好しなくてもいいよぉ……。

あと細かいが、いじめられっ子がカツアゲされた金を取り返した幽助を、カツアゲしたと叱る男性教師、これは原作では明石家さんまそっくりの「明石」という教師だった気がする。これは当時ダウンタウンがデビューして急上昇の時期で冨樫がダウンタウンのファンだったので明石家さんまを「目の上のたんこぶ」的なダウンタウンの仮想敵として当時嫌ってたんだろうね。「ドラマではほいけんたとかが明石役なのかな」と思ったが勿論そんな事はなく眼鏡のモブっぽい教師になっていた。
あと垂金権造(演:春海四方)役の人の演技もシンプルに良かった。垂金は「悪い人間代表」で最初から最後まで出てて陰のMVP感あった。

 

第2話、蔵馬
第2話は本格的な霊界探偵家業。子供の魂を奪っていた妖怪・剛鬼(演:勝矢)から三種の神器の一つを取り戻す話。幽助と剛鬼の殴り合いよかった。というか評判通りアクションシーン全体的に良いですね。何が良いかというとどこから誰が誰に何をしてるか、等が逐一把握できるように撮ってるしカットもゴチャゴチャ変えないので確かに映画ファン好みのアクション。CGも良いです。

後半は人間の姿で人間界に溶け込んでいる妖狐・蔵馬(演:志尊淳)が登場。三種の神器の鏡を使って人間体の母親の病気をなんとかしようとしている。
自分の命を使って母親を治そうとしてるので幽助が「俺の命も半分奪ってくれーい」とか言って全員生存した。「幽助、なんて良い奴なんだ……」と、純粋なタイプの感動した。ほんで命を半分吸われても別に寿命が半分になるわけじゃないだろうし(多分)誰か病気になったら複数人で鏡にお願いしたらめちゃくちゃ病気治せるんじゃないか?とも思った。
蔵馬役の人は、小顔でスタイル抜群なのだが、さすがに赤ロン毛+赤ガクランは幾ら何でもアニメっぽすぎる。ぼたんとか他のアニメっぽいキャラ全員にも言えるのだが、これほどまでに漫画やアニメに寄せなくて良いと思うんだけど……『ONE PIECE』〈シーズン1〉(2023)の時にも思ったな。
別に赤ロン毛+赤ガクランそのままじゃなくても不自然にならん程度の長めの髪と普通のガクランで良いと思うんだけど……。

 

第3話、修行、飛影
第3話、三種の神器最後の一つを持つ邪眼の妖怪・飛影(演:本郷奏多)と遭遇した幽助。しかし飛影は強く全く刃が立たない。
ぼたんの紹介で霊光波動拳の達人・幻海(演:梶芽衣子)に弟子入する幽助と桑原。
桑原は根性出して霊剣を取得。幽助は一点に気を集める特訓をして遂に霊丸が撃てるようになり玄海から霊光玉を継承する。この話もまた「桑原と幽助がんばれ」と子供のように無邪気に応援して楽しかった。梶芽衣子については後述。
蛍子が戸愚呂兄(演:滝藤賢一)に攫われ、幽助、桑原、蔵馬、飛影の四人は、魔界との直通トンネルを開けようと企む左京(演:稲垣吾郎)が所有する孤島に向かう。

飛影が仲間になり四人が揃った。飛影は「厨二病」とか「邪気眼」の代名詞と言われるキャラクターのクラシック。「ツンデレ」を発症した古いキャラでもあるかもしれない。本郷奏多が演じる飛影だが正直……あんまり良くないかな?というか確かに原作通り髪立ててバンダナみたいなのしてるが身体がデカすぎる!そしてモミアゲも目立つし、本郷奏多が髪上げると意外とイカつい顔だったので暴走族の特攻隊長とか90年代のビートパンクの人に見える。「やっぱ飛影は子供みたいな体型じゃないとハマらないかも?」と思った。実写化が難しいキャラだね。飛影と蔵馬は厳しいね。このツートップが確か人気キャラなのに……。原作やアニメのまんまデザインじゃなくて実写でもハマるように雰囲気だけ似せたデザインを新しく作った方がよかったかも。

 

 

第4話、蔵馬 vs.鴉、飛影 vs.武威
第4話と第5話は左京の島でのラストバトル。
で、この第4話は「蔵馬 vs.鴉」「飛影 vs.武威」が主に描かれる。

(演:清水尋也)は「トリートメントをしているか?」を言ってくれて良かった。あんまり耽美な感じじゃなくロックな感じだったけどまぁ鴉に似てるし。
蔵馬の魔界植物と鴉の妖気爆弾の対決。
一番良かったのは鴉が「俺の妖気は爆弾と化して……」みたいな説明を一切しないところが良かった。最近の邦画とかアニメとかすぐ説明するから……。
前述したが赤ロン毛+赤ガクラン+薔薇の鞭+投げ薔薇……とか蔵馬の全てがアニメっぽすぎる。更に妖狐状態に変身したら髪も全身も真っ白い衣装そのうえキツネの耳が付いていてどん兵衛キツネみたいになる。これもまた原作通りだが、やはりちょっとコスプレ過ぎるかな……。別に蔵馬役の人もスタイルいいしアニメっぽい設定の中かなり頑張って成立させようとしていた。だから変じゃない時間もあるのだが、やはり全体的に……何か2.5次元舞台っぽいんだよね戸愚呂チーム戦。原作ではめちゃくちゃ人気ある戦いだったので期待してたが……。あと原作の妖狐って蔵馬と全然違う顔なのが面白かったんだが、蔵馬役の人が引き続き妖狐蔵馬やってるのね。まぁいいか。
こどドラマは、カッコいい爆破能力を持つ美形の鴉を描写し人気の「トリートメント」台詞なども義務で描写しているのですが、このドラマ全体に言えることですが冨樫義博作品特有の「元祖・厨二病」「そのキモさ」を十二分に描写できていません。
たとえば鴉でいうと「マスクに付いている、何の使い道もない小っちゃい眼鏡」をわざわざ削除してます。


……まぁ、意味ないしキモいので削除した理由は充分わかる……というかそれが普通だとは思うが、これこそわざわざ映像化すべき重要なポイントです。コエンマのおしゃぶりや、ぼたんの江戸っ子みたいなキモい喋り同様にこの鴉の小さすぎて意味なくてキモい眼鏡が大事だったのです。やっぱこの監督は洗練されすぎてて優れた監督なのですが、洗練されているがゆえに名言とか戸愚呂のマッチョなど、削除したら怒られそうなところは残してるけど、この鴉の小さい眼鏡みたいな誰も気づかないところは「なんだこれ?いらんやろ」と取り除いてしまいました。もし仙水編作るのなら冨樫作品特有のキモいポイントは残して欲しい。それこそが人の心や歴史に残るポイントなんだから。それを取り除いてしまったら、ただの「実写化するにあたって検討した洗練された」作品に過ぎない。それならもっと優れた作品はいっぱいあるわけですからね。MCUに対抗するには、誰も持っていない冨樫しか持ち得ないキモいポイントをそのまま映像化すべきです。

飛影が相手する武威(演:荒井敦史)は、巨大な斧と鎧の武人タイプの妖怪。
最初は押してるが飛影が手の包帯を「もう後戻りできん、巻き方を忘れたからな」の名言と共に腕の包帯を外す……初代邪気眼のお兄さんだ。
そしていよいよ、めちゃくちゃカッコいい名前だから連載当時、そっとノートに書いてみた「邪王炎殺黒龍」の出番だ。
確かに黒い龍のCGが出る、そして「黒龍波を食う」とか無しにそのまま黒龍波を武威にかまして普通に倒す。
ん……いや倒すのはまぁ良いけど「邪王炎殺黒龍波!」って言わなアカンやん!技の魅力の半分は「邪王炎殺黒龍波」って名前なんだからさぁ!なんだったら画面に「邪王炎殺黒龍波」ってテロップ出してほしいくらいだわ、字面も魅力だからね(同様に『呪術廻戦』のアニメも領域展開とか術式使う時画面にテロップ出せよ。漫画読んでなくて「がいかんてっちせん」とか「かんごうあんえいてい」とか口で言われてわかる奴一人も居ないぞ)。
飛影もスッ……と放つなよ。この監督のアクションは、観る切っ掛けになった幽助がトラックに引きずり回されるシーンや、第1&2話の霊界探偵編の比較的現実的なアクションは上手かったけど、少年ジャンプ的なケレン味あるアクションはてんでダメだな。正反対だからか?リアルアクション派なのかな(そう考えると仙水編は上手く撮れるかもね)。あと黒龍波は原作漫画では只のスミベタなんだけどそれが逆に迫力あったよね(大人気ジャンプ漫画で絵が荒くなると逆に迫力出る現象)。「CG黒龍波も真っ黒にしろ」とは言わんけど……なんか本作の黒龍波イマイチだったな。一番好きな技なんだが……。普通の黒龍波も残念だったし少年漫画の中でもかなり良いギミック「黒龍波を食う」も無かったし不満かな。
あと同じこと何度も言うようだが武威のコスプレっぽさも気になったな。特にデッカい斧!あの斧、どう見ても柔らかくて軽い素材で作ってるようにしか見えなかったな。本作のCGとか特撮あんまり気にならなかったけど武威の斧は気になった。
原作でも屈指の人気試合「蔵馬 vs.鴉」と「飛影 vs.武威」の二戦は僕も好きだし「邪王炎殺黒龍波」も好きなんだが、2試合とも何か残念だったなぁ。やっぱこの二戦のキャラ四人があまりにジャンプ漫画っぽ過ぎたのかもね。
まさかこの人気の二戦よりも第1話のいじめられっ子戦や第2話の剛鬼戦の方が良いと思うとは想像してなかったなぁ。あまりに漫画っぽいアクションは難しいのかもね。『ONE PIECE』〈シーズン1〉(2023)も、楽しかったけど「ゴムゴムのガトリング」とか使うシーンちょっとキツかったしね。それとも俺が中年のせいか?どっちだろう泣きたくなる場所は。

 

第5話、桑原 vs.戸愚呂兄、幽助 vs.戸愚呂弟
第5話(最終話)は戸愚呂兄弟との戦いで締め。
その前に蛍子が囚われの飛影の妹の雪女・雪菜(見上愛)とともに脱出する。蛍子が「幽助に習ったプロレス技」裸締めで左京の手下を絞め落とす。蛍子強っ!w 相手プロの殺し屋だぞ?w
「完全に決まった裸締めは決して外すことが出来ない」とはよく言ったもので本当に大した威力だ。そしてこれは現実的なアクションなので「蔵馬 vs.鴉」「飛影 vs.武威」より見応えがあるのが複雑な気持ちになった。
「味方キャラ全員男だし、女性キャラの活躍シーン作っとくか」と入れたのかもしれないが、確かに雪菜を励まして友情が生まれたり蛍子の裸絞め、蛍子と雪菜の脱獄とか「ポリコレがどうのこうの」じゃなくて普通に面白い。こういった活躍で蛍子もまた原作よりずっと良いね。
桑原も合流、即効で雪菜に惚れる。だが霊剣はまだ自由自在に出せないみたいで魔界犬に追いかけ回される三人。楽しい流れだわ。やはり現実的なアクションは良いんだな。
戸愚呂兄(演:滝藤賢一)はハマってる配役の一人。滝藤賢一の演技が本当に良い。戸愚呂兄はサイコ笑顔で口癖「ヒャッハァーーッ!」を連呼するのだが、ヒャッハー連呼しても全然恥ずかしくならない。安心して観てられる。
一同は、闘技場で対峙している「幽助 vs.戸愚呂弟」の広間に集結。戸愚呂兄は玄海肉芝居をやってくれる。

戸愚呂弟(演:綾野剛)も最初にキャスティング聞いた時はどうかと思ったが’(綾野剛って細い俳優代表だったし)観てみると良かった。何か綾野剛が低い声出して戸愚呂弟の口調(というか松田優作の口調)言ってるのが様になってる。
戸愚呂80%とか100%も一枚絵で見ると何かヤバいものがあるが、CGかなり頑張ってるのと綾野剛の演技のおかげか僕はまぁまぁ良いんじゃない?と思った。
で、最終局面で色々あって覚醒して、霊光全開にした幽助 vs.戸愚呂100%……これもちょっと、悪くはないけど長いなぁと思い始めちゃったね。第三話まではそんな事思ってなかったのに。やっぱジャンプ漫画っぽいアクションは難しいのかも……と思った。
最後、地獄に向かう戸愚呂弟と玄海が会話して、最後の一言で玄海が若い頃の顔になる。このシーンのために梶芽衣子玄海にしたんだろうと予想した通りだった。映画好きなら若い頃の梶芽衣子の顔知ってるわけだから「玄海が若返ったら、CGで若い梶芽衣子にするんだろうな」と想像付くよね。でもディズニー委託ほどのレベルはないのか若い梶芽衣子CG、0.5秒位の出番にも関わらずちょっと怪しかったな。
0.5秒でも厳しいんだから原作の「暗黒武術会編で死々若丸とかと戦う若い玄海」とか無理だったろうね。暗黒武術会が本編にあったとしても現在の梶芽衣子の顔のまま戦う感じだっただろう。もちろん夜の加速度に背中押されてね。

 

 

そういう感じで個人的に配役も大体文句ないしアクションもCGも良いし全体的に楽しめたんですが、何度も言うようだけど『ONE PIECE』〈シーズン1〉(2023)もそうだが、あまりに漫画やアニメっぽすぎるデザインとかは実写に合うように変えたほうがいいよね。
それと本編、面白く視聴できるように原作が持つ厨二病っぽさやちょい恥ずかしい「冨樫のクサみ」みたいなものを全部脱臭してたんですよね。若者に観てほしいからそれでいいんだろうけどさ。
稲垣吾郎が「大~~~きな穴がいい……」とか「侵入者が勝つ方に66兆2000億円」とか言うの楽しみにしてたのに。普通の言い回しになってるの。変えるな!
冨樫の恥ずかしいノリをさんざんとりあげてるから「この人、冨樫バカにしてるのかな?」と思われそうだが(というかそれもあるけど)僕は冨樫の恥ずかしいノリとか厨二病みたいなところが好きなんだよね。大人が厨二病とか恥ずかしいセリフ書いてるっていうのは、一種のきらめきなんだよ。全体的にほどよく洗練されてるよりずっと尊いものなんだよ(僕普段から、そういうきらめきを求めてガチ中学生とか夢女子とか腐女子の書き込み探したりしてるからね)。
冨樫のクセを脱臭して洗練させる……という動機はわかるんだけど(というかそっちの方が正しいけどw)冨樫のクサみは消さないでほしかった。
だけどねぇ、思うんですけどそれもまたメチャメチャきびしい人達がふいに見せた優しさのせいだったりするんだろうね?
良かったとことイマイチなとこをキャラと本編の要素まとめて一目瞭然にしていくTier

〈かなり良かった〉
幽助 桑原 〈幽助が車に轢かれるシーン〉〈蛍子が裸締めで左京部下を倒す〉

〈良かった〉
戸愚呂弟 戸愚呂兄 〈現実的なアクション〉 〈幽助と蛍子の昭和っぽい言い合い〉 蛍子 ぼたん 左京 垂金 いじめられっ子 剛鬼 〈全体的にCGがMCUドラマより良かった〉

〈普通〉
雪菜 鴉 玄海 幽助カーチャン 意地悪な教師 雪菜を助けようとして殺された垂金の部下 〈第一話で「微笑みの爆弾」が流れる ※ちょっと恥ずい〉

〈嫌いではないですがちょっと不満が……〉
蔵馬 武威 飛影 蔵馬(妖狐) コエンマ 〈ジャンプ漫画っぽいアクション〉 〈冨樫のクサみを殆ど脱臭してしまった事〉

さよならbyebye 元気でいてね 私から切り出したけじめだからキャッチしてよ

 

 

 

そんな感じでした

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『終わらない週末』(2023)/楽しい週末(終末)を過ごしているが月曜日(破滅)は確実に迫っている…というNetflixが何故か毎年末に配信してる陰謀論映画。オバマ夫婦が制作総指揮。最後に全部説明する事だけ欠点🦌


原題:Leave the World Behind 監督&脚本&制作:サム・エスメイル 製作総指揮&原作:ルマーン・アラム『終わらない週末』(2020) 主演&制作総指揮:ジュリア・ロバーツ 製作総指揮:バラク・オバマ&ミシェル・オバマ 制作&配信:Netflix 製作国:アメリカ 配信時間:141分 配信開始日:2023年12月8日

 

 

のんびり週末を過ごそうとした裕福な一家の豪華な別荘に謎の父娘が訪ねてきて、飛行機が墜落したり動物が荒ぶったりするゾ?

昨年末、X(元Twitter)の映画クラスタで一瞬話題になってたNetflix映画。
作家ルマーン・アラムの小説が原作。
「何かじわじわと不穏な前兆が起き始め、タンカーが浜に突っ込んできたり動物が奇妙な動きしていたり……」という陰謀論っぽいあらすじを聞いて興味が湧いてリストに入れてた。それを思い出して観た。
なんか2021年末の『ドント・ルック・アップ』(2021)とか2022年末の『ホワイト・ノイズ』(2022)とか……Netflixは毎年大晦日付近に陰謀論映画を配信して警鐘を鳴らしがちなのかもしれない。
今「陰謀論大好き!」と言うとQアノンとか反ワクとかヤマト缶とか地球平面説とかマッドフラットとか人工地震とかゴム人間とかレプティリアンとか「有吉弘行はディープステート」とか……そんな感じのヤバい人だと思われるので言わないようにしてるが陰謀論は大好きです(というか前述のそれらも全部ウォッチしてて好きだけど)。Qアノンも日本上陸する前は「おもろい話だな」と純粋に楽しんでたし。だけど世界的にガチな人が大勢現れて無邪気に楽しめなくなった(オウムの頃の流れの繰り返しか)。
これ、結構好き嫌いがぱっかり別れる映画で、ボンヤリと陰謀論的にジワジワと社会そのものが締め付けてくる陰謀論サスペンスとでも言うような作品で、近年の作品でいうと『アンダー・ザ・シルバーレイク』(2018)とか『ホワイト・ノイズ』(2022)とか好きなら面白いかも。「今こうなってるって事は◯◯な事が起きてるのかな?」とか推測しながら観れる人なら楽しめるが、そうでなければ「何かが起きそうで起きないつまらない時間が2時間以上も続いてるんだけど!?」とか怒り出す人もたまに居た。
……なんか今言ったことで感想全部書いてしまった気もするが一応話を続けよう。

ネタバレあり

 

 

 

 

のんびり週末を過ごそうと豪華な別荘を借りた裕福な一家。
主人公家族は、教授をやっているらしき父親(演:イーサン・ホーク)、広告業界で働いている神経質で他人を信じられない妻(演:ジュリア・ロバーツ)、異性に興味ある年頃の長男(演:チャーリー・エヴァンズ)と(演:ファラ・マッケンジー)、彼女はドラマ『フレンズ』(1994-2004)ザ・ホワイトハウス』(1999-2006)など90年代から2000年前半辺りにかけての、彼女にとっては古いドラマに夢中。

ちなみにこのリゾート地は海岸からNYらしき街が見えてるから、ニューヨーク近郊の小島の一つみたい(詳しくしらんけどロングなんとかアイランドとか色々あるやん)。
だが一家が到着してすぐサイバーテロが起きてスマホやインターネットが使えなくなる。別荘の周りには妙に野生の鹿や鳥が多く見られる。
一家がビーチで海水浴してると遠くにタンカーが見える。ママがウトウトして目を覚ますとタンカーが真っ直ぐビーチに突っ込もうとしている!逃げる観光客達。
これら冒頭の不思議な不気味さは「ボンヤリした巨大な何かが迫ってきて、そのままストレートに迫ってきて気づくのが遅いとそのままズン……!と圧死してしまう」という感じで、そのまま本作を表現していて良い。
その夜遅く、玄関口に見知らぬ黒人の父娘2人が姿を現す。玄関には高級車が停まっている。
父親GH(演:マハーシャラ・アリ)と、その(演:マイハラ・ヘロルド)は、洗練された身なりで強盗には見えない。
この別荘は、このGHが貸し出してる持ち家らしく「目的地に行きたいが膝が痛いので、地下室で良いから泊めて欲しい。別荘代はこの場で半額お返しします」と言う。
本当にこのGHの持ち家だったらしく金庫を開けて札束を渡す、金庫の中には銃も見える。
ただでさえネット遮断で目や耳が塞がれ不穏な前兆がボンヤリ起きてる時に、見知らぬ男女と一つ屋根の下……父イーサン・ホークは承諾しようとするが神経質で他人を信用できない母ジュリア・ロバーツはGH父娘を泊めるのを凄く嫌がる。
ジュリア・ロバーツはGHに「身分証明書を見せて」と言うが、GHは「すまない、身分証明書を忘れてきた」と言う。ジュリア・ロバーツは、ますますGHを怪しむ。
GHはずっと紳士的な低姿勢、ジュリア・ロバーツは犯罪者を見るような目でGH父娘を見ている。そんな目で見られてるせいかGH娘もまた敵意ある視線でジュリア・ロバーツを見ている。イーサン・ホークは早く寝たさそう。
イーサン・ホークは置いといて険悪なムードだ。
ジュリア・ロバーツは若干「神経質すぎる少し嫌なママ」として描かれているが、もし自分が彼女と同じ立場だったとしても夜更けにやってきた知らん人を泊めるのは嫌かも……。というか映画でこのパターンはたいてい殺人鬼だもんね。GHが犯罪者じゃない証明が何もないので落ち着かない夜を過ごすことになる。それなら「車で来たんだから、それ乗ってホテルとかに泊まればいいやん」と言いたくなるいもちもわかる。
ネタバレしてしまうとGH父娘は別に犯罪者でも何でもない善良な市民だ。「彼らは危険な存在なのか?」という疑念は翌朝くらいにはすぐ消えるし、この映画は別に訪問者が突然牙を剥いて襲いかかってくるサスペンス・ホラーじゃないので早めにネタバレした。


翌日も主人公一家とGH父娘は、野生動物が横断したり、窓にヒビが入るほどの耳をつんざくマイクロ波兵器に何度も襲われたり聞こえたり、自動運転で無人のテスラ車が何百台も道を渋滞させていたり(この現象の不気味さも素晴らしい)、 飛行機が何機も墜落したりと、次々と「この世の終わり」のような不穏な出来事に襲われる。
のんきなイーサン・ホークも無視できなくなり「どうやらアメリカが攻撃されているらしい?」という話になってくる。
GH父娘は善良な市民だが何かを知っているようだ。

 

その後も、主人公一家とGH父娘が直接に死傷する事はあまりないのだが、避暑地の外のアメリカ現実社会で不穏な出来事が起きているらしき不穏な兆候が次々と無視できなくなる。
あとジュリア・ロバーツとGHが飲んで打ち解けた後に踊ってハグした時に互いにめちゃくちゃSEXしたくなって何とか我慢したりとかあった。……知らない異性と打ち解けてハグした……、というだけならよくある事だが、ハグしたらこちらからだけでなく向こうもこちを結構いいと思ってたら、それが全て互いに伝わってしまうので、互いの引力にめちゃくちゃ引っ張られて「やばいやばい!」となり、だけど分別ある自分らがハグ解除したら二度と互いにハグしようとしないのでハグ解除したくない、だからハグしたまま「やばいやばい」「お互い配偶者がおる!やめようやばいやばい!」といった、こういう状態になるのはよくわかる。
ソファに座ったGHは「私の妻は……もう恐らく生きてはいないだろう」と泣き始める。
主人公夫婦の懐古ドラマ好きの末娘は熱狂的に楽しんでいたドラマ『フレンズ』を全部観てあとは最終回だけなのだがサイバーテロで観れないストレスが限界に近づいていた。長男は突然歯が抜ける(めちゃ怖い)。
焦った父イーサン・ホークとGHは謎の発病に罹った長男を車に乗せる。
一行は近所の常に不測の事態に備えている友人(演:ケビン・ベーコン)という妙に説明的に形容されているGHの友人の家に行く。しかしその男を銃を持って出てきた……。
ずっと険悪だったジュリア・ロバーツとGHの娘は溜まった怒りを互いに吐き出して打ち解ける。
ドラマ好きの娘は『フレンズ』最終回が観れないストレスや緊張感が限界に来て、近所にある豪邸に入っていき……

と、何かざっくりしたあらすじ大体書いちゃったけどそういう感じの話。
「道一本隔てた向こう側では世界が破滅し始めている、このままでは自分たちも滅んでしまうがどうすればいいのか……」「今は楽しい週末(終末)を過ごしているが月曜日(破滅)は確実に来てしまう……」といった感じの婉曲的な展開で2時間20分も持たせて楽しめました。演技上手いスターばっかだしドラマ好きの末娘も不安を煽る不思議な顔つきしてて(最初、『ヘレディタリー / 継承』(2018)の末娘役の子が成長したのかと思ったら違う女優だった)凄く良いムードを出していた。
最初に書いた通り、もっと具体的な面白さが次々と来ないと楽しめない人が観ても全く面白くないだろう。
欠点……というか個人的にちょっとなと思ったところは、GHとイーサン・ホークが罹患した長男を連れてケビン・ベーコン演じる常に不測の事態に備えている友人のところに行った後、GHが今何がアメリカに起こってるか、それがどういう効果を発揮してどんな結果になったかを、ジュリア・ロバーツとGH娘が見てるNYの街と交互に見せて全て語ってしまう(GHの個人的な推測だがこんなラストで語るということはこれがほぼ真実)。
こんなに台詞で一から十まで何が起きてるか種明かししてしまうと、2時間以上もこの不穏な陰謀論めいた、それでいて「本当に起きるかも?」とギリ思える絶妙な展開を楽しんでた気持ちが「あーなるほどそういうことね、それじゃ……」といった感じで完全に自分の中から本作の記憶が消えてしまう。やっぱ映画は「多分こういう事が起きてつってコト……?」とギリ推測できる宙ぶらりん状態で開放して欲しい(じゃないとつまんないから)。それと、こんなに全部なにもかも説明するなら2時間20分もかけず1時間半くらいの短めの映画でいいじゃんという気がする。こんなに長くなるならもっと曖昧でわかりにくくして欲しい。最後まで観て、最後の説明聞かなきゃわかんないような奴はこの映画2時間20分も観れず脱落するだろうから説明せんでいい。
カッチリした説明がなければ色々楽しめるのだが、これでは「シェルター買って備えよ、そんな金なければ配信サービスでドラマでも観て幸福な死でも待て」と言われてる気分になるよね。
オバマ夫妻がノリノリで製作総指揮してこれをお茶の間にお届けした」という事実もまた、陰謀論大好き気分を盛り上げて本作を1.2倍面白く感じさせてくれてたのだが、最後の説明を聞くとガチで、こういう感じで「あらゆる兆候に目を凝らして気をつけなはれや!」と親切心で言いたかったんだろうなと思った。
GHが中盤でジュリア・ロバーツと飲んでる時に「大物政治家と陰謀論ジョークを話していたが……」というくだりとか最高だった。あと本作で何度も微弱なマイクロ波兵器出てきたけど、ハバナ症候群で有名になった指向性兵器だよね?長男はそれで歯が抜けたのかな。絶対喰らいたくない攻撃だよね。銃で撃たれる方がいい。
そういう感じで大部分は面白かった。

 

 

 

 

そんな感じでした

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www.netflix.comLeave the World Behind | Rotten Tomatoes
Leave the World Behind (2023) - IMDb
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『死霊館のシスター 呪いの秘密』(2023)/14年で14本も殆ど同じ内容の映画を作ってるので僕も5年前に飽きてて本家の死霊館やインシディアスやアナベルは完全に味しなくなったけど、これはまだ若干いけるかも✚


原題:The Nun II 製作&キャラクター創造:ジェームズ・ワン 監督:マイケル・チャベス 製作:ピーター・サフラン キャラクター創造:ゲイリー・ドーベルマン 原案:アケラ・クーパー 脚本:イアン・ゴールドバーグリチャード・ナインアケラ・クーパー アメリカ  Color  110分 公開日:2023年9月8日(日本は2023年10月13日) シリーズ&フランチャイズ:『死霊館のシスター』第2作目、死霊館ユニバース第9作目

 

 

ジェームズ・ワン制作の死霊館のシスターとしては2作目。
『死霊館 エンフィールド事件』(2016)に登場した〈尼僧の姿をした悪魔〉、こいつの前日譚スピンオフが前作。

最近作られてないけど『アナベル』シリーズ(2014-2019)『死霊館』(2013)の冒頭に出た怖い顔の人形のスピンオフ。「こんな風にすれば幾らでも同じ世界のホラー映画作れる」と思いついたのがジェームズ・ワンの発明。

本作は『死霊館』(2013)から派生して地味に10周年を越えたシネマティック・ユニバース死霊館ユニバース〉第9作目
DCEUも今月のアクアマン続編で終了したことを考えればMCUの次に成功してるシネマティック・ユニバースだと思うとかなり凄い。モンスターバースもカツカツ何とか続いてるけど、この死霊館ユニバースは制作費が少なくて済むホラーなので確か全作大ヒットしてる、そう思うと凄い。MCUは去年から赤字が続いてるので「最も負けてないシネマティック・ユニバース」を考えると死霊館ユニバースが今一番安定してるのかもしれん。 
ジェームズ・ワンは他にも『インシディアス』シリーズも全5作、制作している。ジェームズ・ワン本人が監督したのは死霊館の最初の2作とインシディアス最初の2作だけで、後はスタッフとか作品の構造はそのままで違う人に監督させて、この10年で合わせて14本か。話の展開は割と全部一緒なので新作に新しい驚かせ方が2~3個あるだけで、乱暴な言い方したらほぼ同じ内容だと言える(前半、幽霊屋敷で起こる怪現象を見せて後半、専門家が解決して終わる)。
だから僕も本気で面白い!と思ってた最後は『インシディアス 最後の鍵』(2018)あたりで(この「最後の鍵」はストーリーの構成も他と違っててかなり面白かった)、その次が本作の一作目だがそこから段々飽き始めてきて5年前くらいには完全に飽きたといっても過言ではない。ジェームズ・ワンもかなり早い時点で飽きたって言ってたね。久々に撮ったホラー『マリグナント 狂暴な悪夢』(2021)死霊館インシディアスなどの「幽霊屋敷もの」とは全く違うジャーロ風びっくりホラー映画だったしね。

ジェームズ・ワンと言えば長編映画デビューが『ソウ』(2004)というのも凄いね、これもまた基本形だけ自分が撮って後は違うやつに監督させて……エグいほど儲けただろう、そんなシリーズを三本も作ったのはヤバい。
とは言え前述した通り、死霊館ユニバースもインシディアスも完全に飽きた。全部ブログに感想書いてるから今更やめたら勿体ない気分になるから義務的に観て感想書いてるだけなので正直どちらも作るの辞めて欲しい。だが公開すればするほど黒字なので辞める理由もない……という状態なのでもう少し続くのかもしれない。

ネタバレあり

 

 

 

『死霊館 エンフィールド事件』(2016)のStory〉
1977年。ウォーレン夫妻、〈エンフィールド事件〉にて悪魔ヴァラクを祓う 『死霊館 エンフィールド事件』(2016)

〈前作『死霊館のシスター』(2018)のStory〉
遡ること1952年ルーマニア修道院で猛威を振るう悪魔ヴァラクの調査のため、ヴァチカンからバーク神父と見習いの修道女アイリーン・パーマーが派遣される
壮絶な戦いの末、村の青年フレンチーの助けもありアイリーンは聖遺物”キリストの血”を用いてヴァラクを倒した
しかしヴァラクは再封印される直前に、フレンチーこと本名モーリスに取り憑いた

19年後の1971年。モーリスに憑りついた悪魔をウォーレン夫妻が悪魔祓いする映像を観たキャロリン・ペロンは夫妻に悪魔祓いを依頼する→『死霊館』(2013)に続く

〈本作のStory〉
前作から4年後の1956年フランスを中心にヨーロッパ全土の修道院で神父や修道女の怪死事件が多発
4年前、ルーマニアの事件を解決した神秘的な力を持つ修道女アイリーン・パーマー(タイッサ・ファーミガ)は、ヴァチカンの要請を受けて事件の調査を開始
アイリーンはやがて、4年前にアイリーンと共闘した青年モーリス・テリオー(演:ジョナ・ブロケ)が現在働いている寄宿学校に行き着く。そしてモーリスの中には悪魔ヴァラク(ボニー・アーロンズ)が潜んでいた――

 

前作で起きた出来事をよく覚えてないので自分のブログを見返したらちょっと思い出した。アイリーンと共に派遣された神父の方は全く覚えてないな……。
アイリーンと新キャラの黒人修道女デブラ(演:ストーム・リード)が調査し始めて、前作で”フレンチー”と呼ばれていた青年モーリスは寄宿舎の使用人として働いている。このアイリーンとモーリスを同時に描いてやがて合流して共にヴァラクと再戦する
前作の後、アイリーンと共に派遣されたバーク神父は本作では大司教になってるとかで出てこない。アイリーンは以前と同じ修道女のまま。なんでヴァラクを倒したアイリーンが平のアイリーンのままなんだ!という感じもあるが、前作でアイリーンは見習いだったのが普通の修道女になってるからこれでも昇格したって事なのかもしれない。
モーリスは寄宿舎で働きつつ、いじめられがちの生徒の少女、そしてその教師の母と仲良くなっていた。なんかもうこの教師の女性と今にも結婚して少女のパパになりそうな感じ。
なんかこのモーリス役の俳優が、イケメンなんだがそれだけじゃなく凄く高潔な雰囲気を異常に発しててもうスティーブ・ロジャースキャプテン・アメリカ)役しても誰も文句言わなさそうなくらいヒーローっぽいオーラだった。

 

で、前振りの部分で触れたようにジェームズ・ワンの幽霊屋敷系ホラーは、前半で色んなオカルト的な霊障が起きたり犠牲者が出たりして後半で霊能力を持つ専門家がやって来て悪魔とタイマンして勝利……という流れ。
この『死霊館のシスター』シリーズ独自のものは……、相手が有名な悪魔ヴァラクだしヴァラクは数十年後も元気に活躍してるから完全に倒すことは不可能ってことと、主人公の修道女アイリーンが聖遺物でヴァラクに対抗するというところくらいか。
前作では”キリストの血”だったが今回は”聖ルチアの眼”を探して対抗する。
近年の各最新作……『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』 (2021)『インシディアス 赤い扉』(2023)、代表的なタイトル2作だが正直めちゃくちゃ退屈だった。
といっても、どちらも凄くダメな映画ってわけじゃなくて、ジェームズ・ワンの幽霊屋敷系ホラー映画ってジェームズ・ワンが最初に作った方程式を同じスタッフで14年間で14本も擦り続けてるわけで「なかなか悪くない内容」だったとしても、ほぼ同じ内容なのでそれを14年間も観てるとさすがに飽きるって話です。「なんかやってるな」と数本観て楽しむ……そんな楽しみ方がベストな気がするが、なまじブログに全部感想書いてきたから今更やめるわけにも行かなくなってるというMCUと同じ状況になってます。
ジェームズ・ワン制作ホラー作品をまだ1、2本しか観てないとどれも楽しめるし、全部観てたら割と全部つまらない気がする。とはいえ、やはりどのシリーズも最初の数本が緊張感あった気がする。
基本的には全部同じ構成で新しいビックリシーンが2個くらいあるだけですからね。
でも本作は『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』 (2021)『インシディアス 赤い扉』(2023)、より良かった気がする(と言っても観終わるまで3回くらい中断したけど……)。
雑誌がめくれてヴァラクの姿をアイリーンに見せる場面(この記事のトップ絵のやつ)を始めとして新しい面白びっくりシーンは、数えてないけど最近の他のジェームズ・ワン制作ホラーより多かった気がする。
そういえばモーリスが護る少女がヴァラクから逃げて何かの戸を開けたら、『死霊館 エンフィールド事件』(2016)でウォーレン夫妻の家でヴァラクが仁王立ちしていた廊下に繋がる。

単純にここは『死霊館 エンフィールド事件』(2016)の中でも単純に怖い画だったし、悪魔の力で時空が乱れて21年後に繋がるというのが結構新しいシーンだと感心した。
我々は「あ、ファンサービスで『死霊館 エンフィールド事件』(2016)の場面を入れたのか」と思うだけだが劇中の少女からしたら少し近未来の他人の家をいきなり見せられてしかも悪魔が立っているのだから謎だろうし、俯瞰から見ると意味不明すぎて怖い。
あとジェームズ・ワン制作ホラーの前半って、Jホラーっぽい怖がらせが多かったけど何だか本作には怖いところ皆無だった。
オカルトホラー映画というよりも、修道女アイリーンと憑依されやすい青年モーリスが聖遺物で悪魔と戦う退魔アクション映画みたいな感じ。それがかえって良かったのかも。
終盤、悪魔ヴァラク&憑依されたモーリスと戦う陣営は、アイリーンとサイドキックのデブラ、モーリスが懇意にしている母娘、いじめっ子少女たち……といった感じで見事にモーリス以外女性ばかり。しかもモーリスは操られて敵になっちゃうしかなり”戦う女性”を推してきてる。デブラは家に火をつけられた不良修道女って役だし全体的に今ウケそうな要素を入れてきてる。
最後にモーリスと別れるアイリーンが浮かない顔してたのは数十年後にモーリスがウォーレン夫妻に悪魔祓いされる事が決まってるから「なんか終わってなくね?」感を出した感じですかね。でもそんなシーンの後すぐバーン!とぶつ切りみたいに終わるのが良かったです。そういえばジェームズ・ワンのホラーはタイトル出るところと終わる時が妙にカッコいいですよね。
あとジェームズ・ワン制作ホラーは全部そうだが映像がカッコいい。本作はフランスの寄宿学校や礼拝堂がメインの舞台、主人公も敵も修道女の格好してるし全体的に神々しくてカッコいい。
ポストクレジットは、たぶんウォーレン夫妻が『死霊館 エンフィールド事件』(2016)での悪魔ヴァラクとの戦いに行くところ。
何か、本作でアイリーン達が必死にヴァラクと戦ったけどポストクレジットで「21年後にヴァラクは違う人たちと戦うよ」と見せられたら白ける気がしなくもない。

本作は本国アメリカで3週連続1位となかなかヒットしてたみたい。ということは又続編が作られるのかな?もう倒せない事がわかってるヴァラクを封印し続けてもしょうもないし原題”NUN”はアイリーンにもかかってるから、アイリーンとモーリスがヴァラクとは別の悪魔を倒していくシリーズにすればいいんじゃないか?という気がする。何ならモーリスも、任意に悪魔を自分に憑依させて狼男的に戦ったり別の悪いエクソシストと戦ったりと、呪術廻戦的な話にするとか……。
ここまで乗りかかった船なので続編が作られたら観るけど、作られなかったら観なくて済むのでそれはそれでOKです。

死霊館ユニバースは今のところ完結編が予定されてるから、それで終わりかな?(というか終わって欲しい)
The Conjuring: Last Rites - IMDb

 

※追記:あまりに内容も熱量も足りない感想になったので死霊館ユニバースインシディアスシリーズ合わせたオススメを書いておこう

ジェームズ・ワンが監督してお話も構成も全ての基本になってるから最低でもこれだけ観よう〉
『死霊館』(2013) 『死霊館 エンフィールド事件』(2016)
『インシディアス』(2010)+『インシディアス 第2章』(2013)
 ※2作続けて観るのがオススメ


〈面白いし凝ってるので個人的にオススメ〉
『インシディアス 最後の鍵』(2018) 『インシディアス 序章』(2015)


〈普通の面白さ。まだ観たければ観れば?〉
本作死霊館のシスター 呪いの秘密』(2023) 『死霊館のシスター』(2018) 『アナベル 死霊館の人形』(2014)  『ラ・ヨローナ ~泣く女~』(2019)


〈つまらない〉
『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』 (2021) 『アナベル 死霊人形の誕生』(2017) 『アナベル 死霊博物館』(2019)
『インシディアス 赤い扉』(2023)

 

 

 

 

そんな感じでした

gock221b.hatenablog.com

 

〈その他の『死霊館』ユニバース映画作品〉
『死霊館』(2013)/Jホラーっぽい前半とアメリカ映画っぽい後半の組み合わせが良すぎる👿 - gock221B
『アナベル 死霊館の人形』(2014)/舐めてたが凄い良かった。悪魔を倒せない理由。隣の部屋と駆け寄る幼女の怖さ👧🏻 - gock221B
『死霊館 エンフィールド事件』(2016)/横綱相撲みたいな洗練されきった貫禄ホラー!👻 - gock221B
『アナベル 死霊人形の誕生』(2017)/ジェームズ・ワン制作ホラーの中では割と凡作👧🏻 - gock221B
『ラ・ヨローナ ~泣く女~』(2019)/良作だが、もう何十回も繰り返さし観せられたテンプレに飽きてきた。霊より中年の男女のキャラが良かった👰 - gock221B
『アナベル 死霊博物館』(2019)/呪物アベンジャーズ状態を期待してたけど予告編でいいとこ全部観せ終わってた印象でした👧🏻 - gock221B
『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』 (2021)/3(8)作目にして安定テンプレ捨てて挑戦したのは偉いが、それでもさすがに飽きた感ある👿 - gock221B

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The Nun II (2023) - IMDb
The Nun II | Rotten Tomatoes

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