gock221B

映画やドラマの感想ブログ 😺🐱 殆どのページはネタバレ含んだ感想になってますので注意 😺 短い感想はFilmarksに https://filmarks.com/users/gock221b おしずかに‥〈Since.2015〉

「ライフ (2017)」強力なエイリアン、それと自分達の気高さや除菌ルールによってどんどんピンチになっていく

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原題:Life 監督:ダニエル・エスピノーサ 脚本:レット・リース&ポール・ワーニック
製作国:アメリカ 上映時間:104分

ベン・スティラーの「LIFE! / ライフ (2013)」とは関係ない。
この監督の映画一本も観てないし全然知らないわ‥。
それよりも脚本が「デッドプール」「ゾンビランド」でお馴染みの楽しいコンビなので期待できる。
主演の三人も好きだが日本人としては真田広之を応援したい。
真田広之は世界進出して長いが、西洋映画の日本人キャラは極端に少なくメジャー作品に出れてもチョイ役が多く、本命のアクションする役で出れてもアクションがキレすぎて主役を食ってしまうので活躍をかなり減らされたりして真田100%はまだ観れてない印象。本作ではメインキャラが密室に六人しかいないので真田氏の期待できるかもしれん

 

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473日間滞在しているISS国際宇宙ステーション)で活動している6人の宇宙飛行士。
・デビッド(ジェイク・ギレンホール:長くISSに滞在しているエゴとキャラが極端に薄い主人公
ミランダ(レベッカ・ファーガソン):除菌や医療担当。本作のキーマンと言える
・ローリー(ライアン・レイノルズ):肉体労働担当?テキサスっぽい保守的な男
・ショウ(真田広之):任務中に子供が生まれたので何とか地球に帰りたいメカが得意な日本人
・ヒュー・デリー(アリヨン・バカレ):脚が不自由なので地球より無重力の方が嬉しい黒人男性
・キャット(オルガ・ディホヴィチナヤ):ローリー同様、肉体労働担当?ロシア人女性

たいてい自分勝手なキャラがいたりするが本作の場合は全員、利他的な目的のために躊躇なく自己犠牲な行動を取れる立派な宇宙飛行士たち。
火星から帰還した無人探査機が火星の土壌から採取した火星の微生物を発見。
その地球外生命体は、地球で見守る人たちからカルビンという名を与えられる。
カルビンは予想を遥かに超えるスピードで成長し高い知性も見せはじめる。
世紀の大発見に興奮するクルーたちだったが‥
‥みたいな話

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要は、宇宙船がエイリアンを拾って大ピンチという今まで大量に作られたSFホラー。
本作は過去のエイリアンものと何が違うか?というと、この映画は「エイリアン」や「スターウォーズ」のように宇宙船というより船みたいに床に重力があって音が鳴るようなマンガっぽい昭和の宇宙ではなく、「2001年、宇宙の旅」とか「ゼロ・グラビティ」や「インターステラー」みたいなリアルな宇宙船、そんなリアル宇宙船で攻撃的な地球外生命体と遭遇したら?というコンセプトだったのではないだろうか。
この地球外生命体カルビンは、クラゲやヒトデのようなルックスをしている。
邪悪なクリオネって感じ。
全身が筋肉であり脳であるらしい。手のひらサイズであっても人間の手の骨を砕くパワーがある。そして、そこそこ賢い(犬や猿くらいか?)。
また、他の生命体のエネルギーを吸ってどんどん大きくなる。
火にも強い。弱点は、大気を完全に失うと活動を一時的に停止するということだけ。
一見弱そうだが何億年も火星の王者だった奴だ。
最初に実験室で黒人男性ヒューが小さい小さいカルヴィンに襲われた時、残りの全員は部屋のすぐ外にいたが助けることができない。
扉を開けると未知の細菌に感染するかもしれない、そうしたら保菌したまま地球に帰って地球がヤバい事になるかもしれない‥という理由のためか除菌担当のミランダがヒューを助ける事を許可しない。
その静止をふりきって助けに飛び込んだローリーは気絶したヒューと入れ替わった。今度はローリーが出してもらえなくなりカルビンとタイマン状態となる。
その後も、ロシア人女性キャットが機械の故障を直しに行った船外でカルビンに遭遇する。
メンバーがカルビンと闘ったり襲われていても、他の皆は見てることしか出来ない。
「未知の細菌に感染したらいけないので隔離しないといけない」というルールによって助けることができなかったり、逆にうまくいっていたのに大ピンチになったりして、最終的にはとんでもない事になる。
メンバー全員、利他的な行動を取れる立派な人物。
落ち着いて合理的に行動してるのにも関わらず、どんどん状況が悪化していくのが新鮮だった。

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宇宙船の設備やルールに詳しくないせいか、ゲームのルールが後付で次々と出てくる感じもしたが昔のB級映画っぽい感じが良かった。
それをスターでやった事、そして前述の「的確な行動してるのにピンチになっていく」という事が本作の一番優れたところだろう。
それと、これは個人的な好みの話‥というか多分歳のせいかもしれないが、現実的な無重力よりも、やっぱり宇宙船の床に何故か重力があって音も鳴るアホっぽい宇宙の方が好きかもしれん。
ラストは凄く懐かしいタイプのどんでん返しで面白かった。
中国人を原住民扱いしすぎな事も可笑しい。
それにしても、最初は脅威に見えなかった小さなものが、各々の気高さや除菌に神経質になるあまり、何も悪い事してないのに危険が わらしべ長者みたいに雪だるま式に増えていき、その都度ちゃんと解決策を見つけて冷静に実行してるにも関わらず全部ことごとく上手くいかず状況が悪化し続けるので、あ~っ!って感じで、もどかしい思い続く映画でした。トム・クルーズがいてくれたら‥
今までのこういう映画なら大抵、アホとか勝手な奴の独走で状況が悪化しがちだが、全員ベストを尽くしてるのにどんどん悪化していくのが新鮮でした。
いや、むしろ本作は勝手に独走する奴がいたら多分、前半で解決していただろう
※追記:これを書いた時は「まあまあいいじゃん」って感じだったが「エイリアン:コヴェナント」を観た後は「ライフってめちゃくちゃ面白かったのでは‥?」と相対的に評価が上がった


そんな感じでした

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『ジョン・ウィック:チャプター2』 (2017)/鈴木清順っぽい殺人トーナメント状態に🧔🏻🐶


原題:John Wick: Chapter 2 監督:チャド・スタエルスキ 脚本&キャラクター創造:デレク・コルスタッド 製作総指揮:デヴィッド・リーチほか 製作国:アメリカ 上映時間:122分 シリーズ:「ジョン・ウィック」シリーズ第2作目

 


キアヌ演じる元殺し屋ジョン・ウィックが、チンピラに愛車を奪われた上に妻の形見であるワンちゃんを殺されて怒り狂って殺し屋に戻り、チンピラをそのマフィアのボスである父親とその組織ごと皆殺しにしたのが前作。
狭くて人が密集している場所でばかり戦闘が行われたので、キアヌは相手に飛びつきながら超至近距離で凄い数の人数をどんどん殺していくのがこのシリーズの特色らしい。
ジョン・ウィックが使う体術「ガン・フー」は「C.A.R(center axis relock stance)」という実在の射撃技術にロシアのシステマを中心とした軍隊格闘を融合させて創ったもの。現実にはないけど現実にある射撃術と格闘技を融合させているので、本当に使う奴がいてもおかしくないという夢のあるもの。
映画としての面白いところは他にもあって、この世界の殺し屋は同じ殺し屋ネットワークに所属している。
たとえば「コンチネンタル」と呼ばれる殺し屋ネットワークの中間地点であるホテルでは殺しを行ってはいけない。というような独自のルールがある。
前作は、前半は普通のアクションっぽく始まったが中盤以降はこの幻想的な殺し屋ネットワークの展開が増え、劇画チックな世界が展開されて楽しかった。
監督スタエルスキ氏は「マトリックス」などを始めとするスタントコーディネーターだったらしい(という事は、キアヌが高いギャラで高級バイクをプレゼントしたというスタッフの一人なのかな)
あと、やはりスタントマン出身のデヴィッド・リーチノンクレジットの共同監督だったが本作では制作に回っている。
スタエルスキは本作に引き続き「ジョン・ウィック:チャプター3」を撮るらしい。
デヴィッド・リーチの方は、シャーリーズ・セロンジョン・ウィックって雰囲気の「アトミック・ブロンド(2017)」を撮るらしい。あと「デッドプール2(2018)」

 

 

Story
ロシアン・マフィア相手に復讐を遂げて復帰した伝説の殺し屋ジョン・ウィックキアヌ・リーブス)。
再び平穏な生活に戻ろうとしていた彼のもとに、今度はイタリアン・マフィアのサンティーノから殺しの依頼が舞い込む。
一度は断るも、過去にサンティーノと交わした血の契約を反故にできず渋々これを引き受けるが、彼の復讐を恐れたサンティーノによってジョンの首に700万ドルの賞金(約7億円)が。
こうして全世界の殺し屋に命を狙われてしまうジョンだったが――

前作の5日後からスタートする。
前作のボスの兄弟が愛車を保管していたので組織を半壊させながら奪還するのが冒頭。
復讐を遂げて「復帰した」と思われたジョン・ウィックの元に、イタリアン・マフィアのサンティーノが覇権争いのため実の姉殺しの依頼をしに来る。
平穏な暮らしをしたいし、そもそも殺しなんかしたくないジョンは、その依頼を断るとサンティーノに亡き妻の思い出のつまった家を爆破されてしまう。
新しい犬は無事でよかった。。
殺し屋ネットワークのもう一つの決まりでは、血の誓約を結んだ者の命には従わなければいけない(ジョンは殺し屋から足を洗う際にサンティーノの力を借りて抜けたために血の誓約を結んでしまっていた)
仕方なくローマに飛んで、前作のめちゃくちゃカッコいい巨大クラブに続いて、本作では死ぬほどカッコいいコロッセオでのパーティ会場で標的の女を殺した。彼女はサンティーノの姉だった。ミッション完了。
苦い結末となったが、ジョンはこれで自由の身になった。
しかしサンティーノは何と、今度は「姉の仇を討たなきゃ世間から白い目で見られる」という事で私兵をジョンに差し向け殺そうとする。悪い奴だ。
かくしてサンティーノ配下、サンティーノの姉の配下‥両方から同時に命を狙われる事になったジョンは何とかローマから脱出。
完全にキレたジョンは、サンティーノへの報復を開始する。

ビビったサンティーノはジョンの首に7億円の賞金をかけ、ジョンは世界中の殺し屋から同時に命を狙われる事になる。
もはやサンティーノを殺しても自身へかかった賞金首は取り消されないのだが、とりあえずムカつくからサンティーノをブッ殺そうとするジョンだった‥
‥と、何だか中盤くらいまでの展開まで書いてしまったが、一言で言うとジョンが復讐をしまくる展開のためのガソリンが延々と注がれる事になる。
前半ではコロッセオでのパーティ会場。中盤では電車や地下道など普通の世界。後半は鏡を使った現代美術展での燃えよドラゴン的バトルが展開される。
コロッセオでライバルのカシアン(コモン)と撃ち合った時は、お互い防弾スーツを着てるために銃撃がただの打撃程度の威力しか無いというのが面白かった。
地下道では大勢の一般人がいる中、お互いサイレンサーでパス‥パス‥と撃ちあったり地下鉄内で超接近戦が行われて飽きさせない。
後半の鏡のバトルは、画面は超カッコいいのだが位置関係がわかりにくいので早く外に出て欲しかった。
ジョン・ウィックが賞金首になった瞬間から、街中の色んな一般人‥に思われた人たちが実は全員暗殺者で次々と襲ってくる。
バイオリニスト暗殺者、スモウレスラー大柄暗殺者、ハマ・オカモトそっくり暗殺者‥などなど。。
街で色々な一般人っぽい奇妙な殺し屋たちが次々と襲いかかってくる展開は凄く鈴木清順の殺し屋映画っぽかった。
最終的には全世界の人口の三分の一は殺し屋なんじゃないかと思えてくる。
前作はキッチリ終わってたので正直、本作を観るのはあんまり食指が動かなかったのだが本作ラストはめっちゃヒキがある終わり方だったのですぐに次回作を観たくなった。

 


モーフィアスやコモン以外にも色んな個性的な人たちが出ている。
ホームレス暗殺者に頼って彼らのボスに助けてもらうが、それはローレンス・フィッシュバーンだった。凄く大袈裟な演技で芝居がかったポエティックな台詞や仕草なので観ていてイラッとした(だけど中学生とかはカッコいいと思いそう)
あんなマンガっぽいキレ演技ひさびさに見たわ。
どうもこのシリーズはマトリックスと縁があるね。三作目はトリニティの人が出て来るに違いない。

この殺し屋ネットワークの元締めを演じるイアン・マクシェーンと、本店ローマの元締めを演じるフランク・ネロの顔面は凄くカッコよかった。
あとサンティーノの右腕的な手話で会話する女殺し屋が超カッコよかった
演じているルビー・ローズとかいう人はスーパーモデルなので演技下手だから喋らないキャラにされたのか、どうかはよくわからないがとにかくカッコよすぎる。パンツルック&刈り上げめいたヘアースタイルがカッコいい。
このキャラは三作目でも出てきそう。
それにしてもジョンは、ライバルキャラを二人共、同じ動けなくなる倒し方するのだが、それが後から思い出すと可笑しい。
サンティーノはもっと苦しめるかビビらせてほしかったですね。
何だかとりとめもない感じになってしまったが、まあキアヌの色んな工夫を凝らしたアクションや映像的快楽やマンガっぽい設定を楽しむ映画なので、まあそんな感じで楽しかった。
三作目、ジョンは一体どうするんだろ?とりあえず仲間は必要だろう。
それにしてもこのシリーズのキャラクターは皆もっと考えてから行動したら‥と思うことが多い‥が、しかし独特の世界観だから多分これでいいんだろう

 


そんな感じでした

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🧔🏻🐶🔫🏠🔥🧔🏻🐶🔫🏠🔥🧔🏻🐶🔫🏠🔥🧔🏻🐶🔫🏠🔥🧔🏻🐶🔫🏠🔥🧔🏻🐶

John Wick: Chapter 2 (2017)

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「ツイン・ピークス The Return (2017)」第1章/ガラス箱の部屋

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原題:Twin Peaks: A Limited Event Series (Part 1) 通算第31話
監督:デヴィッド・リンチ 
脚本:マーク・フロスト、デヴィッド・リンチ 制作国:アメリ
配信局:Showtime 放映時間:59分 シリーズ:「ツイン・ピークス」シリーズ

 

 

 

25年ぶりに帰ってきたツインピークス新シリーズ。
第1話がWOWOWの公式サイトで無料先行配信されたので観たが面白かった。
しかも「懐かし要素が懐かしい」とかじゃなくて新しい要素の方が面白いというのが素晴らしかった。
正直「きっと大したことないんだろうけど旧キャラや珈琲やドーナツやブラックロッジがちょこちょこ出れば、それで満足するとしよう」という気の乗らない同窓会状態で舐めていた(というか仮にしょうもないものでも見るつもりだったが‥)

前シリーズ全部見返そうかとも思ったが昔あまりにも何度も観すぎたから観なかった。それにこの新シリーズは丁度我々の世界とリアルタイムとシンクロしていて25年経ってるから、当時観た記憶のまま、あえて観ずに登場人物と同じタイムログを感じながら新シリーズ観るのもまた一興かもしれないと思い、そうした。
ちなみに微妙な邦題「The Return」は通称であって正式タイトルではない。
本作は明確にシーズン3なのだから「The Return」は要らんと思う

 


前シリーズ:
 「ツイン・ピークス (1990-1991)」全30

 「ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間 (1992)」
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カナダのすぐ南に位置するワシントン州にあるとされる山林に囲まれた架空の町ツイン・ピークスを舞台に、殺人事件、超常現象、ドロドロした色恋沙汰、もしくはコーヒーやドーナツを楽しむドラマ。
キャラとしての主人公はFBIのクーパー捜査官だが、ツインピークスという町自体が主人公という印象だった。
そして「ツイン・ピークス」の内容を一言で言うと「表面的には美しく見える町や人達の裏側には、ドロドロしたものが隠されている。あと宇宙や異次元もあって人間じゃないものが出入りしてるよ」という感じ。
思いつくことを全部書いてたら何記事でも書けるし、キリないから以降は好きな部分の感想だけざっくり書いとく。
ツインピークス放映当時は中高校生だったが既にリンチは知ってたしツインピークスにもハマって20代半ばまで何度も何度も観返してました。アンジェロ・バダラメンティによるサントラも寝る時に10年間くらい流し続けてたので、恐らく最も再生したサントラはツインピークス

最初におっ!と思ったのは、数話目でクーパーがFBIなのに科学的にではなく石を瓶に投げて犯人捜しをする場面で、ツイン・ピークス警察の面々も黙ってそれに従ってるのを見て「これは面白そうだ‥」と思いハマりました。更に数話後で撃たれたクーパーがホテルで昏倒していたら老ホテルマンがコーヒーを持って来るが、クーパーが撃たれている事に気付かず笑顔で「コーヒーが冷めてしまいますよ‥」「(コーヒーを)あがらんと‥」と五分くらい言い続け、撃たれたクーパーも仕方なくサムアップするシーンを見て完全にハマりました。
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そしてツインピークスの放送があった後日は、高校のツインピークス仲間と「あのじいさん見た!?」などと語りあった。

不思議なキャラ達‥人間ではないキャラや、リンチが考えた無茶苦茶なFBIが特に好きでした。
クーパー捜査官が好きだったのは誰が見ても魅力が全面に出てるから端折るとして、アルバート・ローゼンフィールド捜査官が大好きだった。
アルバートが、ツインピークスの善良な人たちを毎回めちゃくちゃバカにしつつ(ツイン・ピークスの素朴な善人たちがキッと睨む表情も最高)特にエドの悲しい思い出を聞きながら必死で笑いを堪える様は最高。ついにハリーにキレられて掴みかかられると「私はガンジーと共に生きる!」とか「私は毒舌は吐くけど暴力は振るわない」的な事を、めちゃくちゃ高潔に演説するシーンを観て「今まで只の意地悪キャラだと思ってたら何て面白くてカッコいいキャラなんだ‥」とか「しかし高潔なのは意地悪を言いまくってたことの良いわけにはなってなくね?」って感じの矛盾した魅力にしびれた。
一般人キャラでは、ローラの父親が大好きでした。
最初は普通のオジサンだった彼がある日、朝目覚めると髪が総白髪になっておりハイテンションキャラ(というか狂人)になり、ある日ハッピーな歌を歌い踊ってるうちにテンポを高速にしすぎてブッ倒れる等の奇行がツボでした。
ローラの親父は、最終回のブラックロッジでクーパーに対して「ウェへへ‥」という、演技ではなく本当の狂人みたいな近寄り方をするのですが、この近寄り方は最高でしたね。
女性キャラは最初、オードリーが好きだったがクーパーに振られて不思議ちゃん卒業して真面目になったら魅力が減ったのでシェリや人妻ノーマになどRRダイナー勢に乗り換えました。ローラ、ドナ、マディーンはあまり好きじゃなかったし、アニーは「ぽっと出感が強くて入っていけなかった。
あとブラックロッジを始めとするオカルト描写が死ぬほど好きでした(今思えばリンチはJホラーより早くJホラー的映像表現を自然と披露していた)
トレモンド婦人と「マジックの練習をしている孫」も大好きでした。
彼らは人間でありつつブラックロッジにも存在するのが好きでした。

クーパーが最後にブラックロッジに入っていく時に、ジミー・スコットが現れ「シカモアの木の下で」を歌うシーンは、カッコよすぎて何度も繰り返し観た。
www.youtube.comリンチの好きなところと言えば、老人や田舎者や障碍者などを完全に「面白い生き物」として描いているところ。たぶん「インランド・エンパイア」や本作の裕木奈江の事もフリークスとして描いていると思う。そしてそれはバカにしてるだけじゃなくてアルバート捜査官が言う様に「根底に流れるのは‥愛だ。」という事なのかもしれない。
一言で言うと「リンチのユーモアセンスとオカルト描写、あとアメリカの田舎とかダイナーやコーヒーやパイをフェティッシュに描いたところが好き」という感じか。
他に、放映当時は行き当たりばったりのソープオペラ部分(誰々と誰々と数話だけ付き合って別れたとかそんなの)も楽しかったが、そういうのは芸能人のゴシップみたいなもので時が経つとマジでどうでもよくなる。
映画版は、ローラがどうやて死んだかの前日譚には全く興味なかったが、前半のFBI vs.ブラックロッジの闘いの描写は楽しかった。

 

 

第1

前回までの「ツイン・ピークス」は?
主人公、FBIのデイル・クーパー特別捜査官は、プロムクイーンになった人気者の女子高生ローラ・パーマーが殺害された事件を調査しにツインピークスに訪れた。
そこで彼は、ローラ・パーマー殺人事件。自身にかけられた麻薬所持冤罪事件。悪堕ちした師ウインダム・アールとの対決などを解決した。しかし、その魂はアニーという女性を救うために異次元空間ブラック・ロッジに囚われてしまった。
そして25年の年月が過ぎた

 

※ネタバレ全開です

 

1991年のブラックロッジ
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まず最初に、25年前の前シリーズ最終回のシーンが流される。
ブラックロッジで、死後のローラ・パーマーが、生きたままここに来たデイル・クーパー特別捜査官カイル・マクラクラン)に対し「25年後にまたお目にかかる」「それまでは。」と言ったシーンが流れる
ブラックロッジとは平たく言えば、この世とは別の次元の悪しき世界。
「赤いカーテンの部屋」と呼ばれたりもする。
ブラックロッジとは相反する、善なる世界ホワイトロッジもあるが、そっちは殆ど画面に出てこない。
現世に合わせてブラックロッジ住人も老けていっているので、ブラックロッジは現世と同じように時間が流れているようだ(俳優が演じてるのでどうしてもそうなるが)完全に時間が止まっているイメージの天国とかとは少し違う。
新しいOPが流れる



モノクロの異次元空間f:id:gock221B:20170831143246j:plain
予告通り25年後に再開された本編。
モノクロの映像。ブラックロッジとは違う異次元空間のようだ。
巨人のような男とデイル・クーパー特別捜査官(カイル・マクラクラン)。
※追記:巨人役と同じ俳優でルックスも巨人なのだが、クレジットには「??????」と書かれているので名前がわかるまで「巨人のような男」と書くことにする
「巨人のような男」は「この音を聴け」と言い、スピーカーからギチッ‥ギチッという虫の羽音のような音が流れる
クーパーはいつも通りの聖なるキョトン顔。何の音なんだよ‥
あまりにもツインピークスっぽすぎるシーンで笑えてくる。
久しぶりにリンチの劇映画を観たというのもあり、まるで誰かが「如何にもデヴィッド・リンチっぽい映像」とか作ってYOUTUBEにUPした映像のように思えた。
今それは我々の家に」「今は全てを声に出してはならない
430」「リチャードリンダ」「二羽の鳥一石
いつものように何か起きた後じゃないと気づかないようなヒントを言う巨人のような男
クーパーはキョトン顔で「ああ、わかった」と言う。絶対にわかっていない。
「もう少し具体的に」とか訊けばいいのに。
巨人のような男「お前は遠く離れている
ソファに座ったクーパーはスッと消える。現世に向かったのか?
ちなみに新シリーズの吹き替え声優は(亡くなった声優を除き)旧シリーズと同じ声優陣。昔の「ツインピークス」当時高校生の僕は昔のクソ高かったWOWOWに入る金なんてないので地上波に来るのを待って観てたので吹き替えで観てた。

 

 

ワシントン州ツイン・ピークス🗻🗻
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森🌳
森の小屋に住んでいる元精神科医ローレンス・ジャコビー
一番最初に本編に登場した現世のキャラはジャコビーだった。
シャベルを何本か購入したようだ。
まだ何の情報もないので「シャベルで死体を埋めているのか?」と思いがち。
それに前シリーズ冒頭はピートがローラの死体を見つけるところからドラマが始まった。
故にジャコビーもツインピークス内で死体を見つけて、掘り起こすためにシャベルを購入したのかもしれない。だが全然関係ないくだらない事な気もする。
「グレート・ノーザン・ホテル」🏨
前シリーズでクーパーが宿泊していたホテル。
こことRRダイナーが2大人気スポット。この2つを観てると癒される。
相変わらずホテルを経営しているベンジャミン・ホーン。もう老人だ。
秘書らしきセクシーな人妻女性ビヴァリーアシュレイ・ジャッド)に夢中な様子だが、プラトニックな関係のようだ。
だがゲスの本性を抑えつけて偽善ぶっているのかもしれない。
弟のジェリー・ホーンはヒッピー風の風貌になっており、ホテルを辞めて大麻栽培で大儲けしている。こいつはずっとお調子者だ。
ジェリーの被ってる帽子を見て「ママの物か?」と盛り上がるベン。
この兄弟は幼少期の思い出を語って盛り上がる癖がある。

 
ニューヨーク
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★ガラス箱の部屋
なんとNYが舞台として出てきた。
いかにもリンチキャラっぽい彫刻のように端正で清潔な身なりだが空虚そうな青年がガラスの箱を眺めている。
ガラス箱は複雑な構造のミステリアスなマシーンと繋がっている。
この現代美術めいた機械が何をするものなのか見ていてもサッパリわからない。
ヴォ―ーッ‥というリンチ的な、にぶい機械音がかすかに聞こえる。
青年‥大学生サムはソファに座って無言でそれを眺め続ける。
そしてそれを四方八方からカメラで撮影している。
ここが、めちゃくちゃ長い。
一通りそれを見せて‥更にもうワンセット同じ同じ工程を見せてくるので噴き出してしまった。レベルが高い。
青年の恋人トレーシーがコーヒーを差し入れに来た。
青年の部屋に入りたがるが警備員が見張っていて許可されない
このくだりが長すぎて最高。
何が最高かというと、このシーン、科学の実験なのか現代アートなのか現代音楽なのかオカルトなのか全く分からないところ。
本当にわからない。後で少しだけわかるのだが。
まあツインピークスリテラシーに沿って考えれば異次元空間に関連したものだろ。
この後、ツインピークスに場面が飛ぶが、もうこの「ガラスの箱の機械」の事が気になって仕方なかった。
僕が思うに本シリーズで、視聴者がリンチワールドに入っていく最初のポイントはここだろう。
このガラス箱の機械が何がなんだかわからないシーンは本シリーズそのものを象徴している気がする。第一話だけ観た印象ではね。。


ワシントン州ツイン・ピークス🗻🗻
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ツイン・ピークス保安官事務所👮
受付嬢ルーシー登場。ほぼ風貌変わらず。
保険外交員の男が「トルーマンはいるか?」と訪ねてくるが
ルーシーは「トルーマンは二人います。一人は病気で一人は釣りに行ってる」と言う。
トルーマンと言えばハリー・S・トルーマンだが、ハリー役の人は今回出ないらしいので「病気のトルーマン」とはハリーの事で、釣りに行ってるトルーマンは兄弟か親族なんだろう。

 


サウスダコタ州バックホー
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★ハイウェイ🚙
妖しいインダストリアル・ミュージックと共に、ロン毛に革ジャンのデイル・クーパーカイル・マクラクラン)が車に乗って登場。
こいつは、最終回のブラックロッジでクーパーと入れ替わって現世に来たクーパーの悪のドッペルゲンガーだろう。ラストシーンで鏡に頭突きしてた奴。
真面目そうなイメージのカイル・マクラクランに、この悪そうなスタイルが全く似合っていない。
というかボブそっくりのスタイルなのでボブに乗っ取られたか、ローラの父みたいにボブも共存しているのだろう。
ショットガンを持った見張りの青年をワンパンKO。怪しい家に入っていく。
くしゃおばさんのような顔の女ブエラが責任者らしい。
悪いクーパーは、青年レイとホットパンツの女ダリヤを連れてどこかに行く。
家に他にいたのはクーパーの事を「ミスターC」と呼ぶオーティスという老人。

さっき悪いクーパーにボコられたトラック運転手はミスターCに再び絡むが座ったままのミスターCにまたもやワンパンKOされる。
ミスターCが強いのか青年が弱いのか‥多分その両方だろう。
あとガリガリに痩せた男と車椅子に座ったフリークスがいる。
この2人は完全に飾りとしてのフリークスだろう。バックダンサーみたいなもんだ。
よくわからんが全員犯罪者の雰囲気。
クーパーはどうやら完全にボブ化して犯罪者になっているようだ。
25年間このままだったのか?本物のクーパーの犯罪歴が心配だ。
それにしてもカイル・マクラクラン自体は最も風貌が変わっていない。こういう彫刻系イケメンはあまり顔が変わらないんだろう。
クーパーというキャラも演じているカイル・マクラクランもだが、あまりにも純粋かつ真面目で清廉潔白なイメージなので、こんなバッドアスな格好は似合ってない。まるで真面目な人が無理にハメ外してるみたいで痛々しい。
どうなるのかわからないが出来れば早めに元に戻ってほしいものだ。
★故ルース・ダヴェンポートが住んでいたマンション🏢
いかにもリンチ作品っぽい太りすぎの女性。
彼女はルース・ダヴェンポートという隣人の部屋から異臭がするので警察を呼ぶ
デイブ警部や地元の警察官たちが来る。
スキンヘッドのハンクという男と、
チップとハーヴェイという人名も出てくる。
彼らは皆ここだけのシーンじゃなくて、今後も出続けるのか只のモブなのかよくわからない。

警官たちが部屋に入ると、顔面に大穴が開いている女が死んでいる。
デイブ警部と女性鑑識官コンスタンスがシーツをめくるとルース被害者は顔に大穴が空いているだけではなく首だけだった。そして首から下は太った中年男性の全裸死体
現代アートのような醜悪かつ美しい良い死体。
WOWOWは何故かこの死体の映像をモノクロにしていた
バックホーン警察👮
何かを調べているコンスタンス鑑識官。
女性の生首はルース・ダヴェンポートのもので間違いなかった。
しかし首から下の太った男の死体は謎。
だが部屋のあちこちから出た指紋は、コンスタンスの子供が通う学校の校長ビル・ヘイスティングのものだった。デイブ警部の顔馴染みでもあるようだ。
デイブは、ヘイスティング校長の家に行き彼の身柄を拘束。
ビルは只のアホで、ビルの妻が何か犯罪をしてる感じがする。
州警察からドン・ハリソンという男が助っ人でやって来た。
デイブは容疑者のヘイスティング校長とは子供時代からの知り合いだという。
尋問してアリバイを訊いている。
何故捕まったかわからないビルはルースの死を聞きショックを受ける。
デイブ警部たちはビルの家に行き彼の車を捜索。
警部の懐中電灯が故障してチカチカする‥という旧ツインピークスネタ。
ビルの車の後部座席から、人間の肉片らしきものが見つかる。。
殺人事件が起きて警察官達は出てくるが(彼らもいい感じ)未だに僕たちのヒーロー、リンチFBIが出てこない。18話しかないのに引っ張るね。

 


ニューヨーク
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ガラス箱の部屋
相変わらずガラスの箱の機械を見ている大学生サム。
気になって仕方がない。
気になりすぎて旧キャラよりもガラスの箱が見たくて仕方ない。
前シリーズでボビーの親父が外宇宙からの信号をキャッチした時のときめきを感じる。
青年の恋人トレイシーがまたコーヒー持ってやって来た。
警備員はどこかに行って留守だったのでトレイシーは、ガラス箱の部屋に入れてもらう。
サムは語る。
ガラスの箱の中に何かが出現しないか見張るのが仕事。学費の足しになるし
仕事だったか~
「前任者はガラス箱の中に現れた何かを目撃したらしい」「誰だかわからない金持ちの依頼でこの仕事をしている」「この仕事の事は誰にも言ってはいけない
総合するとよくわからない。しかしツインピークスなので、異次元と繋がったオカルト要素なんだろうなということだけはわかる。
サムとトレイシーはソファに座るが、盛り上がって職場SEXし始める。
それを見ている?カメラ。。
やがてガラスの箱の中が黒くなる。煙や霧が噴出して黒くなったわけではなく、ガラス箱の中の空間そのものが均等に黒くなっている。
真っ黒になった箱の中に現代美術だけが持つ醜悪さを備えた全身が真っ白い両性具有の怪物が出現
※追記クレジットに「experiment」とあるので今後はエクスペリメントと呼びます
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この現代美術だけが持つ醜悪さを備えた全身が真っ白い両性具有の怪物エクスペリメント。絶えずブルブルと振動し続けている。
コマ送りにして見てみたが、口なのか何なのか顔にデカい穴が空いてて乳房があるっぽくて男性器がない。
ジョン・カーペンターの「世界の終わり」に出てきた天使を思わせる。
まあ、どうせ忌々しい出会いたくなかったと思わされるような、ろくでもないものにきまっている。
このシーンを見ながら「とんでもないことになったな‥」と思う俺。
なんとその白い何かはガラスを突き破り、飛翔してサムとトレーシーを強襲!
2人は顔面から大量の流血。たぶん即死した。
2人ともいい感じのルックスだったので離脱が早くて残念だ。
このシーンを見て、どうやら新シリーズは面白いらしい、、と確信したので、ちょっとどうかと思う展開が出てきたとしても前向きに汲み取って最後まで観ることにした。
この「ガラス箱の機械の部屋」のシーンだけ切り取って引き伸ばして一本の映画にしてもいいくらい気に入った。

 


ワシントン州ツイン・ピークス🗻🗻
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丸太おばさんの家🏠、ツイン・ピークス保安官事務所👮
ツイン・ピークスのアイドル、丸太おばさんマーガレットが登場する。
めちゃくちゃ薄毛になっている。
※追記:丸太おばさん役の女優さんは癌で亡くなったそうです。闘病中に撮影したから薄毛だったんですね
彼女は丸太からのメッセージホーク保安官補長に告げる。
丸太おばさんは平たく言うと現世と異次元の中間に位置する巫女のような人物。
町の人からは狂人だと思われているが、実は誰よりも真理を知っているからそう見えるだけ‥という「オカルト」の地獄だぞおじさんのようなキャラクター。
前シリーズでも霊的捜査に通じているクーパーは彼女を頼りにしていた。
ツイン・ピークス保安官事務所👮
その丸太おばさんの話を聞いているホーク保安官補長。
総白髪になったホークが登場。
今回ハリーは出ないのでツイン・ピークス警察のリーダー役は彼なのかな。
彼は腕っぷしも強いし、祖先(ネイティブアメリカン)からの知恵によって異次元の存在への対処法にも通じている。このツインピークスという村の中では、物理的にも霊的にも強いという、かなりの強キャラ。
ホークは勿論、丸太おばさんを信頼している。
丸太おばさん「誰かが行方不明。それをホークが見つけなければいけない
それはクーパー元捜査官と関係してる。見つけ出す方法はホークのルーツと関係がある」とむちゃくちゃ曖昧なメッセージを告げる。
ホークのルーツとは当然ネイティブアメリカンの事だ。
相変わらず曖昧なメッセージだが巨人よりは具体的だ。
それにホークにはこれで充分なんだろう。
ツイン・ピークス保安官事務所:会議室👮
ホークは赤いテープを張った証拠品BOXを出す。
丸太おばさんのヒントに関係する物だろう。
アンディ・ブレナン保安官補登場。
髪が薄くなって腹が少し出た以外には風貌変わらず。
受付嬢ルーシーとの間に24歳の息子ウォーリーがいるらしい。
ホークは、丸太おばさんからのメッセージを2人に告げる。
ルーシーが言うにはクーパーはやはり前作ラスト以降、行方不明になっている。

 

 

異次元空間
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1人で座ってる「巨人のような男」が、相変わらずスピーカーから流れてる虫の羽音のような雑音を、キョトン顔で聴いているシーンで第1回目終了。
つづく

 

  

▲▲
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まだ第一話なので一体、何者が何をしてるのかわからないシーンが多かった。
わからないと言ってもファンなら方向性はわかる。
リンチなので映像自体がカッコよくてフェティッシュなので、謎なシーンや何も起きない時間も間が持つなと思った。
逆に言えばリンチのフェティッシュな映像とか音楽やシーン自体に魅力を感じない人や、論理的な展開しか認められない人には面白くないだろう。というか僕もリンチ作品が物凄い好きなわけではなく全体的に飛躍するシーンが多すぎる「インランド・エンパイア」とかは疲れるから好きじゃなかったです。
とりあえずNYのガラスの箱のことが気になって仕方ない一回目だった。


そんな感じでした

★「ツイン・ピークス The Return (2017)」全18話
#2 #3 #4 #5 #6 #7 #8 #9 #10 #11 #12 #13 #14 #15 #16 #17 #18(終)

gock221b.hatenablog.com

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www.wowow.co.jp

www.imdb.com

Ost: Twin Peaks

Ost: Twin Peaks

 
Ost: Twin Peaks

Ost: Twin Peaks

 

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『プリズナーズ』(2013)/この監督作でこれが一番おもしろい🧑🏻👨🏻

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原題: Prisoners  監督: ドゥニ・ヴィルヌーヴ
製作国: アメリカ 上映時間: 153分

 

 

 

今年になるまでこの監督知らなかったが「ブレードランナー 2049」の監督なので2049公開までに監督作観とこうとボチボチ観始めた。これで四作目。あと2作くらい観てないのある
とりあえず現監督の中で一、二を争うくらい画がカッコよすぎる事と、反則ギリギリの終盤展開を繰り広げて観終わった後に考えさせられる終わり方が多いのが作家性かな?とわかってきた
特に「ボーダーライン」は今思えば、終盤で「主人公は、実は脇役でした」「脇役だったあいつは実は主人公でした」‥って展開はかなりズルイい。
すごく面白いので文句言う気は起らないが、もし上映時間がもっとタイトで重厚な画面じゃなかったらシャマランみたいにアホ扱いされてた可能性もある(まあシャマランも画面かっこいいけど)。
この監督と「バードマン」でお馴染みのイニャリトゥ監督は重厚な画面と、上映時間を二時間以上にする事によって如何にも重要な大作っぽく見せる技術に長けていると思う(ここ近年、凄いと思わせたい時に重厚な画と長い上映時間は必須で、賞が欲しい映画と凄いと思われたい演劇は描くことがもうない時も「何でもいいからもっと時間伸ばせ!最低でも二時間半にしろ!」と言われるらしい)

アメリカのペンシルヴェニア州の田舎町。
合理的な考えと行動の、無神論者で独り者の有能な刑事ロキ(ジェイク・ギレンホール
鹿狩りが趣味でキリスト教原理主義者&アメリカ万歳系の保守的な父親ケラー(ヒュー・ジャックマン)。
この2人が主人公。この2人の対比で見せていく

ケラーヒュー・ジャックマンは、妻グレイス(マリア・ベロ)と兄と妹の子供達と幸せに過ごしていた。
感謝祭の日、6歳になる末娘が隣人フランクリン(テレンス・ハワード)の家の娘と一緒に行方不明になる。
現場近くで目撃された怪しいRV車に乗っていた青年アレックス(ポール・ダノ)が逮捕される。
冒頭でヒュー・ジャックマン父子が狩った鹿と、犯人だと見なされているポール・ダノのRV車内からの視線で見る誘拐された少女達‥双方の水滴の付いたガラスごしの画が被る。
どちらも狩られるものだと言いたいのだろう。
こういうのがイチイチうまいですよね
逮捕されたアレックスだが10歳程度の知能しかなく、まともな証言が一切得られないまま釈放される。
証拠もないし、ロキは「アレックスはシロ」だと思う。
ケラーは、娘が行方不明になって数日経ってるのに一切進展を見せない警察の捜査やロキ刑事に不信感を抱き、娘の居場所を聞き出すべく自らアレックスを誘拐、監禁、拷問を始める‥
というのが物語の発端。

ロキ刑事の捜査は実は順調に進んでいるのだが、ケラーは警察を信じていないので勝手に捜査を始める。
まるで童話の様に、ロキとケラーは対照的な人物に描かれてて、刑事らしく客観的な考え方かつ合理主義者のロキ刑事は好感が持てる。
ケラーは悪人ではないし家族を大事に思ってる真面目な父親なのだが、あまりに主観的で、平時ならともかくこういった異常事態には自分と家族さえ良ければいいというモードになってしまうマイルドヤンキー。日が経つにつれて鬱になった妻や息子をほったらかして止めていた酒も飲み始める。好きになれんわ‥
昔だったらロバート・デ・ニーロがよくやってたアメリカ田舎の右翼系親父キャラ。
基本的には善人なんだが、自分が思い込んだら恫喝や暴力で意見を通そうとする。
「自分は良い事をしている!」と思い込んでるので静止不能ジャガーノート
非常に良い人のヒュー・ジャックマンだが、この役をしてる時の顔がマジで怖い。
激怒してるウルヴァリンの時より怖い。身体もデカいし。
その怖さは多分、あまりに自分の考えを妄信してる超主観主義者だからだろう。
ケラーはアレックスを監禁して、自分と同じく娘を誘拐されたテレンス・ハワード演じる隣人と共に単純な拷問を繰り返す(単純に恫喝しながらブン殴り続けたり、身動きできないほど狭い部屋に閉じ込めて熱湯や冷水を浴びせる)
娘がいなくなって3日とか経った親が「もし娘が生きてたとしても、誰も世話してなくて水さえ飲めなかったら死ぬ!」と心配して焦るのはわかるが、証拠も何もないのに思いこみだけでこの行動は完全にアウトですよね。
隣人夫婦も自分達も娘が帰ってきてほしいから通報こそしないが完全に引いている。

監禁された哀れなアレックスはケラーに殴られすぎて真っ赤に腫れあがったトマトみたいな顔になって超可哀想。
この顔の見せ方も、頭に被せてある袋を取る→洗面台に隠れている→バーン!という音と共に無残な顔を見せる。と、凄くうまい
これを観てる俺の頭の中のアメリカ人が「オーマイガ‥」的なリアクションをする
それと全く同時に、これを見せられた隣人の妻が「オーマイガ‥」と言う。
完全に映画と自分がシンクロ。
可哀想だしケラーの行為は良くないのだが、映画の展開的にアレックスが真犯人の可能性もある。
実際に主人公が独自に捜査して無能の警察は何もやってない映画もよくある。
その場合「主人公が捜査して良かった。警察は何やってんだ!」と思わされる
ケラーの独走のおかげで娘が見つかったりしたらフィクション的に「お、おう‥。法的には正しくないがケラーの独走は結果的に良かった。だから俺はもう何も言う事はないよ‥」と思わせられるオチも充分に考えられる。
だから、ケラーの行為を全面的に悪く思えないという宙ぶらりんな状態で鑑賞。
その状態で最後まで鑑賞させられる体感が面白い。
一方、好感の持てる冷静なロキ刑事。
アレックスはシロだと判断した彼は別口の調査を進めている。
とある神父の家に行くと神父が倒れているので慌てて家に入る。
神父は寝てるだけだとわかったので家の中を観察していると冷蔵庫を動かした跡がある。汚れに沿ってズラしてみると扉がある。
扉を開くと真っ暗い床下。
床下に降りると椅子に縛られたまま結構前に死んでるミイラ状態の死体を発見!
‥というくだりが面白すぎる。
誰この死体!?というか、この倒れてた神父も誰なのよ?
神父が大変→家に侵入→隠し扉から地下に降りると謎の古い死体‥というこの流れ
今までに出てる情報とは全く関係ない(ようにしか見えない)流れ。
しかも一体この死体が何の関係があるのかは終盤になるまで全く分からない。
地下に降りる流れはイコール真相に近づいているんだけど、観てるこっちの謎は深まるばかり。
この「真相に近づいてるのに謎が深まってる(だけど本当は近づいている)」というなかなか得れない感覚が最高
「先が読めない」っていうのは映画を観てて最も楽しい瞬間のひとつですからね

かっこよかったり印象深かった画面
冒頭で、ヒュー・ジャックマンが狩った鹿を切ってた。
年明けに北海道のアイヌガールから狩った鹿肉を送っていただいて食ってたので「あっ!鹿の脚の肉だ!ぶにょぶにょして真っ赤だから押さえる左手の感触が怖いやつ!」と反応しました

 

 

 

本作は、水滴の付いたガラスごしにキャラを見せる場面が妙に多かった。
その意図ははっきりとはわからないが、対照的な主人公二人を通して何かを語る本作だし、キャラクターに感情移入して観るというダサい観方じゃなくて、客観的に観察するように観てねという意志のあらわれだろうか?と推測した。
・場面と場面の間に建物とか風景を見せる‥漫画で言う捨てコマが異常にカッコいい
この上の↑建物と樹にグーっ!と寄るショットが超カッコよかった。
しかし静止画で貼っても全く伝らないね。
というか後からスクショ見ても観た時の良さが脳内再現されねーわ。
スクリーンやデカい画面で流れで見てこそ伝わるものがあるんだろうね。
この監督のカッコいいショットは、フェティッシュな感じで好きなので、好きじゃない人には全然伝わらないだろう。しかし趣味とはそんなもんだ
・そんな感じだから、夜にロキ刑事が捜査してるシーンとか超カッコいい
アメリカの田舎なのにブレードランナーに見えてくる。
・バックミラー越しに見せるのも、さっき言ったガラス越しに見せるのと同じアリの観察効果なのかもしれない


‥と書いたが、ここまでは前半までの事でしかないんだけど、観ながら先の展開を知っていくのが面白かったので、まだ観てない人がこのブログでうっかり展開を知っちゃうのを避けたかったのでこの映画について書くのはここでやめよう。
やはり、カッコいい画で描かれる凄い事は間違いないんだが反則気味の飲み込みづらいストーリーや描写というのは本作も同じだった。
まるで「2001年、宇宙の旅」みたいに、わざと色んな謎や情報を提示しない事によって、考えさせて凄さを見せようとしてる感があった(この監督はそういうやり口が多い)。
僕は全部見せる系の監督が好きなので(イーストウッドタランティーノジョン・カーペンターウディ・アレン等)最高!とは思えなかった。
だけど凄く面白かったし言いたい事にも賛同できる映画だった事は間違いない。
この監督の映画の中では一番ストーリーや言いたい事の描写が明確で、一番多くの人が楽しる映画にも思えた。
そしてジェイク・ギレンホール演じるロングコートの刑事が捜査する映画だった事もあって、これを観てブレードランナーがめちゃくちゃ楽しみになった。
傑作かどうかは観るまでわからないが、ある一定の凄さとカッコイイ画面はあるだろう

 

 

そんな感じでした

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作〉
『複製された男』(2013)/凄いのか凄くないのか判別が困難な映画👨👨 - gock221B
『ボーダーライン』(2015)/巨大な暴力を目の前にした時の無力感と不思議な快感、同時に我にあり💀 - gock221B
『メッセージ』(2016)/異星人との触れ合いは楽しかったがそれよりもラストにあるSF要素にもっと時間取った方が良かったのでは?👽 - gock221B
『ブレードランナー 2049』(2017)/デッカードを出さず前作との繋がりがない方が良かったような……🤖 - gock221B
🧑🏻👨🏻🧑🏻👨🏻🧑🏻👨🏻🧑🏻👨🏻🧑🏻👨🏻🧑🏻👨🏻🧑🏻👨🏻🧑🏻👨🏻🧑🏻👨🏻🧑🏻👨🏻🧑🏻👨🏻🧑🏻👨🏻🧑🏻👨🏻

Prisoners  (2013) - IMDb

www.youtube.com

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『LOGAN / ローガン』(2017)/レイティングがあがってやっとまともに殺せるウルヴァリンとローラ役の子の魅力❌

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原題:LOGAN 監督:ジェームズ・マンゴールド
製作国:アメリカ 上映時間:137分
シリーズ:「ウルヴァリン」シリーズ。「X-MEN」のスピンオフ

 

 

 

❌「X-MEN」シリーズ9作目(「デッドプール」も加えるなら10作目)にあたる。
ヒュー・ジャックマンウルヴァリン役、パトリック・スチュワートのプロフェッサーXを演じるのはこれが最後。
演じている俳優2人は好きなのだが、X-MENシリーズはあまり好きでないものが多い。
極たまに「X-MEN: ファースト・ジェネレーション」とか「X-MEN: フューチャー&パスト」みたいな名作もあるが、それらの素晴らしさも次回作のクソ展開で台無しにされるという事が多く、全体的には「まぁどうでもいいか‥」という印象になり「ブライアン・シンガー早く辞めろよ‥いつまでX-MENにしがんでんねん‥」などと思ってはや10数年。
この監督は「17歳のカルテ」「アイデンティティー」「コップランド」とか、本作のエンディング曲を歌うジョニー・キャッシュについての映画「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」とかの監督。X-MEN的には前作「ウルヴァリン:SAMURAI」の監督。「ウルヴァリン:SAMURAI」は後半かなりしょうもなかったが東映ヤクザ映画みたいな前半は面白くて好きだった。特に新幹線の上でウルヴァリンと闘った(どう考えても真田広之やミュータントより強い)〈名も無き最強ヤクザ〉の異常な強さには誰もが笑顔になれる。
❌今までのFOXによるヒュー・ジャクマン版ウルヴァリン
本来のウルヴァリンは「猫背で毛むくじゃらの獣のような小男」ってイメージだったが、ヒュー・ジャックマンによって映画版では「顔や雰囲気は似てるが、凄い長身なイケメンのウルヴィ―」にいうのが最後まで慣れなかった。
そんな感じでヒュージャク氏には長身以外には文句なかったが、レイティングを下げるためにウルヴァリンが全然敵を刺したり斬ったりしないのが不満だった。
本作は「デッドプール」大ヒットの影響で、R指定になりウルヴァリンが思う存分刺したり斬ったりする(カットが変わったりせずちゃんと刺したり斬る瞬間が見られる)
つまり「デッドプール」のおかげで17年かかってやっとまともなウルヴァリンが最後に観れたと言える。
❌ストーリーの原案になったのはマーク・ミラーの「オールドマン・ローガン」やX-23のオリジンなど幾つかのコミックも原案になっているらしい。

 

 

Story
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近未来、2029年。新しいミュータントは25年間生まれておらず絶滅の危機に貧していた。
X-MENも全滅しており、かつて〈X-MENウルヴァリン〉として恐れられた初老の男ローガンヒュー・ジャックマン)はテキサスで運転手をして生計を立てていた。
ローガンのミュータント能力ヒーリングファクター(超治癒能力)は弱体化しており老化が始まっている。
全身に移植された超硬度金属アダマンチウムも彼の身体を蝕んでいる。
彼は、かつてのX-MENの指導者プロフェッサーX/チャールズ・エグゼビアパトリック・スチュワート)を匿っていた。現在のチャールズは高齢のためアルツハイマーを患っている。

ある日ローガンは、看護師ガブリエラからローラ(ダフネ・キーン)という11歳の少女をノースダコタ州にあるという約束の地〈エデン〉へ送り届けてくれと依頼される。
彼女こそはウルヴァリンの遺伝子から作られたクローンのミュータントX-23だった。
ローラを追うドナルド・ピアーズ率いるリーヴァーズに追われ、ローガン、ローラ、チャールズの三人は約束の地エデンを目指して旅立つ――

 

 

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X-MEN、こいつらいっつも壊滅してるな。ダークエイジ
ローガンやローラは、ガンガン敵の首や手足を斬り落としたりブッ刺す。
要はヴァイオレンスアクションで送るディストピアロードムービーウルヴァリンの最期が描かれる。
この映画の世界は他のX-MEN作品とは繋がりの薄い外伝的な‥「バットマンダークナイト・リターンズ」みたいな一種のifものだと思われる(そもそも映画X-MENシリーズは繋がりが甘く、辻褄が合わない事が多いので観る側もファジーな気持ちで観なければいけない)
おじさんと少女という組み合わせも良い‥というかゲーム「ラスト・オブ・アス」感が凄い!
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スティル画像が完全に一致。
この世界ではX-MENは全滅していて、
ローガンとチャールズは完全に人生に絶望して生きている。
疑似親子の様なローガン一向は劇中、リッチなホテルに泊まって映画を観たり親切家族の家でディナーを食べたりとささやかで楽しそうな瞬間が幾つかあって良かった。
関係ないけど後半リクターっぽい奴もチョイ役で出てくる

 


ローガン/ウルヴァリン
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X-MEN。本名ジェームズ・ハウレット
本作ではヒーリングファクター(超治癒能力)が衰えたため老化した。
怪我が治るスピードも落ちた(拳から飛び出た爪の跡が治るのも遅いし膿が出ている)
それに伴い、全身の骨に鋳込まれているアダマンチウムが彼の身体を蝕み始めた。
運転手をしながらメキシコ国境付近の廃工場でチャールズと暮らしている。
働いて稼いだ金は、ヨットを買って海に出る資金と、自分とチャールズの病を緩和させる特別な薬をキャリバンに作らせるために使っている。
X-MENは全滅しておりローガンは完全に人生やこの世界に失望して仕方なく生きている。人助けの精神も失せてしまい助けを求めてきても基本的には無視しようとする。
映画冒頭、ただのチンピラに撃たれて昏倒したローガンの身体に「LOGAN」というタイトルが出る様が「この映画のウルヴァリンは今までと違ってこういう感じですよ」という事を雄弁に語ってて良い。

その後、殴られたり撃たれても大して怒ってなかったが大事な車を撃たれたらスイッチが入り、ヒーローっぽい崇高な怒り‥ではなく只の苛立ちでもってチンピラをズタズタに斬り裂いて殺す様が良かった。
こういうノリが見たかったのだが17年経って最後にやっと観れた。
全編ジジイ+アダマンチウム病でヨレヨレなので戦闘ではずっと苦戦していた(チンピラやドナルド・ピアーズごときに苦戦してるところからしてローガンの弱体化がよくわかる)
殺気100%なのはいいのだが、折角なら体調万全の状態で敵をズタズタにしまくるところが観たかったのだが、まぁ仕方ない。

 


ローラ/X-23
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ミュータントを人工的に生み出し兵器に育てる機関で生まれた、ローガンの細胞から作られたクローン。ローガンと彼女は父娘のような関係になる。
原作でも似た感じの能力を持つ無表情&不愛想キャラだけど、原作では幼女ではなくハイティーンくらい。現在絶賛死亡中のウルヴァリンの代わりに二代目ウルヴァリンをやっている。
登場して人気が伸びなければどんどん殺されるX-MEN若手キャラの中で(だからX-MEN若手は10年以上、安定して活躍してないと突然無残に殺されたりするので好きにならないようにしている)ここ10年くらいでは一番の出世頭と言える。
最近のMARVEL女性キャラの中ではカマラ・カーンに次いで好き。
演じているダフネ・キーンさんは身体は子供すぎるが顔が(特に横顔が)大人び過ぎていてビビる。芸術一家の子らしい。24歳くらいの精神年齢のように見える顔。
彼女はウルヴァリン同様、ヒーリングファクターを持っている(まだ若いので胴体を貫かれてもまるで平気)。そしてウルヴァリンの様に両手からそれぞれ2本づつ、足のつま先から一本づつアダマンチウムの爪が飛び出る。
チャールズによれば足からも爪が出るのは女性特有のもので防御用らしい。
ここは時間取って意味ありげに言っていたので、ここがローガン=攻撃的な男とは違う、ローラ=大事なものを守る女性の本質だと言いたいのかもしれん。
凄く幼い体格のローラがバンバン敵を残虐に殺したり、またヒーリングファクターがあるのでローラ自身も胸を貫かれたりしてるのでR指定要素を彼女が70%くらい占めている(残りの20%はローガンの残酷アクションと残り10%はパリピJDがオッパイ出す場面)
こう言うと原案コミック原作者の別のアメコミ映画「キックアス」が思い浮かんで「ヒットガールの二番煎じか」と思われそうだが、この映画の敵は「子供達を人間扱いせず兵器にする国家権力」というかなり鬼畜な敵なので、彼女がそんなカス共の首を刎ねて遊び終わったサッカーボールのように地面に転がす描写に説得力あるので、衝撃的な映画的快楽のみ打ち出していたヒットガールよりも必然性があるとも言える。
銃器で武装した特殊部隊と闘っても圧勝してしまうのでめちゃくちゃ強い。
両手両足に何でも斬れる刃物が付いた敏捷な不死身の猛獣‥と考えると相当強い。
一言も喋らないし、その獰猛な面構えから誰にも懐かない系キャラかと思っていたら、旅を始めたらすぐニコニコするしカワイイ。
子供なのでやたらと洋服やお菓子を欲しがったり微笑ましい描写は、原作の同じく荒廃した未来世界で年老いたケーブルと幼女ホープが放浪してる時に、ホープが欲しがっていたヘアブラシをケーブルがプレゼントしたりするほっこり加減を彷彿させた。
今後どうなるかはわからないがダフネ・キーンちゃんのX-23は引き続き観たいなぁ。

 


チャールズ・エグゼビア/プロフェッサーX

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かつてのプロフェッサーXだったチャールズ・エグゼビア。
要介護老人になって寝たきり生活。一定時間おきにキャリバンが精製した注射を打たないとミュータントパワーが暴走し近隣の人間を麻痺させてしまう。
アルツハイマーになった世界最強のテレパスは不発弾みたいなものなんだな。
詳しくは語られないが、この世界のX-MENが絶滅した原因は、エグゼビアが原因らしい(どうやらパワーが暴走して教え子であり仲間であるX-MENを皆殺しにしてしまったっぽい)
そのため人生や世界に絶望しており介護されながら死ぬのを待つだけの日々。

この映画X-MENシリーズの、エグゼビアの麻痺させる能力は地味に好きだ。
「ファースト・ジェネレーション」でもこの脳ジャックで身動きできなくなった笑顔のケビン・ベーコンをじわじわブッ殺すという時間停止系AVみたいな描写が好きだった。
本作でもやはりローガンがプルプルしながら必死で前進しながらマネキンチャレンジみたいに動けなくなったがローガンが見えているリーヴァーズの頭を一人づつサクッ‥、サクッ‥と刺していくシーンがかなり良かった。悪者は自分がどうやって死ぬかをじっくり見ながら死ななければいけないので悪者を倒す時にはかなり爽快感ある能力だ。

そんな失意のチャールズだが、新種のミュータントたちの存在たちを知覚する。
ローラとすぐ仲良くなって大事な事を教える様はさすがプロフェッサー。
チャールズがローラに見せる西部劇「シェーン」が、彼女に大きな影響を与える。
またローガンに対して「ローラを導く事」を導いたりする。
彼に起きる顛末の描写は凄くあっさりしていて、それはこの監督のけれんみの無さが良い風に働いた気がした(その方が本当に起きている事みたいに見える)
この世界のチャールズは苦しんでるようだが親切な農家の家で過ごせてよかった

 


キャリバン。ドナルド・ピアーズ&リーヴァ―ス
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・キャリバン
他のミュータントの居場所を見つけることができるミュータント能力を持つ。
日光に弱く日の光の下では肌が焼き爛れるので屋外に出ることができない。
IQが高くローガンやチャールズの症状を緩和する薬を精製してローガンに売っている。
原作では、90年代に出た邦訳でケーブル率いるX-フォースに居たので地味に知ってる。
映画でこのキャラは違う俳優によって「X-MEN アポカリプス」にも出ていた。
本編中、三人しか出てこない純正ミュータント。
そしてローガンに協力するだけではなく2人のために身体を張る見せ場もある。
こんな重要な役を何でキャリバンなんて微妙なキャラに振ったんだろう?
薬を作ったり2人を助けたり‥、これは本来ビーストがやるべきのポジションではないだろうか?何でキャリバンにしたのかよくわからないがまぁ別にいい。

・ドナルド・ピアーズ&リーヴァーズ
原作だとこいつはヘルファイア・クラブ出身の体の一部を機械化したサイボーグという事しか知らん。リーヴァーズは彼の私兵、只の雑魚だ。
冒頭でローガンが殺した「エルム街の悪夢のフレディに殺されたかのような」チンピラの死体からローガンの居場所を見つける。
こいつはかなり弱くて劇中4回くらい負けてる(最初にさっさと殺せばよかったのに)
永遠に負け続けてるのに出てくるたびにキメ顔したりジョークを言ったりする様が、SNSなどで完全に論破されてるのに必死で効いてないアピールする人みたいだ
「何でこんな小物がウルヴァリン最後の敵なんだろう」と最初は思ったが、こいつは人工ミュータント兵士製造組織の奴だった事がわかる。
そんなウェポンXの息子みたいな存在の組織全体が本作のヴィランと言える。
ウルヴァリン最大の敵は、やっぱりウェポンX的な組織なんだろう
それよりドナルド・ピアーズ&リーヴァ―ズがローガンと少女を追う、という展開は
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やはり90年代に読んだ、ピアーズ&リーヴァ―ズが弱ったウルヴァリンと幼女ケイティ(パワーパック)を雪の中で追ってくる話を思い起こさせる。
ピアーズの死に方はよかった。

 


エデン
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この映画の中の世界でも、今は亡きX-MENの活躍が80~90年代にコミックになっており、ローラは大事に持ってて何度も読み返しているようだ。
ローラの保護者ガブリエラに頼まれた「ローラをここに連れて行って」と言われた目的地「エデン」は、この劇中コミックのラストでX-MENが辿り着く約束の地だった。
それを読んだローガンは「エデンってガブリエラの妄想だったのか‥」と落胆するが‥という展開。
この劇中コミックという要素は楽屋オチみたいな小ネタかと思ってたが、コミックを描いたり売ったり読んだりファンになるという行為が、そのまま現実世界の希望へダイレクトに繋がるというアメコミ映画という要素を凄くポジティブに描いたもので感動した。
この要素によって本作が「ロードムービーをアメコミ映画をに当てはめただけ」なんじゃなくて「アメコミ映画じゃないといけなかった」という必然に変わっていて、だからここは本作の中でもかなりジーンとした要素だった。

 


十→X
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公開された直後なので前半までの感想だけ書いたが、好きな映画だった。
X-MENシリーズの中では最もいい感じ。
三人の旅がもっと観たかったので個人的にはあと一時間長くてもよかった。
気にいらなかったところは殆どないが、本作のローガンは相当ひねくれていて誰の言う事も聞かなすぎる(最初にガブリエラやチャールズの話を聞いてれば何の犠牲もなかった?)
それ以外にも一行がピンチに陥る原因は、ローガンが留守にするたびに起きたり敵を見逃したり、敵が特攻して来てるのに必然性なく余所見して致命傷を負ったり‥彼がうっかりしてなければ回避できたものばかりで少しモヤモヤした。
ダメージを負うなら「ローガンは必死で頑張ったけど、あれは不可避だわ」って感じの説得力が欲しいんだけど、これだと本作のローガンはただウッカリしてる人に見える。
だが、本作のローガンは絶望していて本気で生き残ろうとしてない、だから、うっかりミスが多かったのだ‥と脳内補完した。
観終わった直後は「せっかくウルヴァリンが充分に暴れられるR18なのに本作では弱体化してるしアクション少ないしカタルシス少ないな」とも思ったが、帰り道で反芻するにつれ、それはアメコミ映画脳やアクション映画脳で考えたからそう思っただけで、
この映画は苦虫を噛み潰した表情のローガンが、すぐに動かなくなるクルマ(自分の身体)に蹴りを入れたり、何ひとつ思い通りにならない世界(自分の人生)に対して悪態を吐きながらも子供(未来)を守る様こそが本作の見どころだったんだと思うようになり、家に着く頃にはかなり好きになっていた。
そういう場面を思い返してみると本作と本作のローガンは我々現代人の苛立ちと同種の苛立ちを抱えていて親近感感じた。
そして子供たちが未来に旅立っていくのが素晴らしい。
しかし未来=アメリカの外というのが現在のアメリカの絶望を感じるね。
エンディングではジョニー・キャッシュが殉教者を歌った「The Man Comes Around」が流れる。

The Man Comes Around

The Man Comes Around

  • provided courtesy of iTunes

ラストでローラがやるちょっとした演出は「その手があったか」という粋でささやかな、こういう話じゃないとできない演出で凄く良かった。
原作のウルヴァリンの最期より好きだな

 

 


そんな感じでした

 

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「ファンタスティック・フォー (2015)」駄作と言う以前に、もはや未完成の映画を公開した感じ4️⃣ - gock221B

「デッドプール (2016)」一切リアクションしない中学生男子みたいなヴィラン以外は好き❌ - gock221B

「デッドプール2 (2018)」面白かったし、メタなギャグはギャグのためのギャグではなく本編を円滑に進めるための整地なのが良かった❌ - gock221B

『ニュー・ミュータント』(2020)/良いところもあるけど全体的に凄く平凡。FOXのMARVEL作品が終わったのはめでたい❌ - gock221B

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シェーン [DVD]

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