gock221B

映画やドラマの感想ブログ 😺🐱 殆どのページはネタバレ含んだ感想になってますので注意 😺 短い感想はFilmarksに https://filmarks.com/users/gock221b おしずかに‥〈Since.2015〉

『サンドマン』(2022) 全10話+1話/人が生きていく上で無ければ死ぬ…わけではないが無ければ絶望して死ぬ人も多い「夢」…ひいては「物語」についての物語⏳


原題:The Sandman 原作&脚本&企画&製作総指揮:ニール・ゲイマン『Sandman』(1989-1996) 脚本&製作総指揮:アラン・ハインバーグ、デヴィッド・S・ゴイヤー 配信サービス:Netflix 製作国:アメリカ/イギリス 配信時間:各話約40~50分、全10話+1話

 

 

★イギリスの小説家、アメコミの原作者、映画やドラマの脚本家や製作者……ニール・ゲイマンがライター(アメコミ原作者)を努めたDCコミック『Sandman』(1989-1996)Netflixでドラマ化したもの。ゲイマンも本作の制作や脚本にがっつり関わっており、ほぼ監督みたいなものだと思われる。

バットマン、ジョーカー、スーパーマン……などでお馴染みのDCユニバースを舞台としたコミックだが『サンドマン』は他のDCコミックのようなスーパーヒーローものではない。主人公のドリームは「夢」という抽象概念を擬人化した神のような慈悲の心が希薄な存在で人間たちの夢の領域を維持する事にしか興味がない。ドリームは別に悪を倒したりするわけでもなんでもない(ムカついたりと自分のために殺したりはする)。ドリームの視点で夢の領域ドリーミングの住人、神や悪魔、人間たちをつぶさに見つめる幻想的なダーク・ファンタジーって感じ。

★本作の主人公のドリームは、”エンドレス”という抽象概念の領域を支配する6兄弟/姉妹、ほぼ神みたいなもん。ドリームもそのエンドレス、その名の通り「」という概念の擬人化。他のエンドレスも長兄「デスティニー(運命)」、長女「デス(死)」、次男「ドリーム(夢)」、三男「ディストラクション(破壊)」、四男/次女「ディザイア(欲望)」、三女「ディスペア(絶望)」、四女「デリリウム(錯乱)」と皆、抽象概念の擬人化。人間や人間以外など全ての存在の感情や状態を司っている。まぁエンドレスが関わってるのは数が多い人間が一番多いだろうしメタ的な事言うと神とか悪魔や動物などのキャラも人間の比喩みたいなもんだから「人間の感情を司る」と一言で言ってもいいだろ。

★タイトルになってる「サンドマン(砂男)」はドイツなどに伝わる「袋に入った砂を目にかけて眠りをもたらす」と言い伝えられている妖精の事らしい。「あぁアカン、目ぇ開けてられへん」という眠気を「妖精のおっさんが魔法の砂かけてきたから」とか、何かおしゃれだね。DCコミックで昔ガスマスクを被って催眠ガスで悪人を眠らせてブタ箱にブチ込む”サンドマン”というヒーローがいたらしい、それをゲイマンが自分流に仕上げたのが本作のサンドマンって事か(DCコミックで有名ライターがよくやる、マイナー旧キャラを俺流で作り変えてしまうやつ)。DCには”サンドマン”が6人いるらしいが他のは人気なくて本作が人気ありすぎたので「DCのサンドマン」というとこのゲイマンのサンドマンって感じになったらしい。本作の主人公は、作中でサンドマンとは呼ばれず「ドリーム(またはモルフェウス)」と呼ばれる。モルフェウス三種の神器のヘルム(兜)がガスマスクそっくりなのはDCコミックの初代サンドマンの意匠を踏襲したものなんでしょう。

★原作となったニール・ゲイマンの『サンドマン』(1989-1996)は、『スーパーマン』『バットマン』等でお馴染みのDCコミックのコミック、……正確にはDCコミック内の”Vertigoヴァーティゴ)”という大人向けレーベルから出てたコミック(『ウォッチメン』のアラン・ムーアグラント・モリソンなどイギリス系の奇才ライター作品が妙に多かった)。90年代に日本でも邦訳されて刊行されてたが渋すぎたせいか死ぬほど売れなくて、5巻+スピンオフ2冊だけで刊行が終わってしまった(というか当時の僕にも渋すぎて5巻とデスしか持ってないけど今となっては再び発刊して欲しい気持ち)。主人公ドリームの姉デスの人気が高かったのでデスのスピンオフ『デス:ハイコスト・オブ・リビング』(1993)も邦訳された。このデスのスピンオフは90年代から現在までMAEVELコミックで活躍してるペンシラー(アメコミ絵師のこと)をクリス・バチャロが描いてて、デビューしたてのバチャロの画風は死ぬほどカッコよかった、そしてデスは弟ドリーム同様に白い顔に黒尽くめというゴスなルックスなのにめちゃくちゃ晴れやかな性格してて、僕はデスの見た目と性格のギャップに完全にやられた。Amazonや古本屋などでサンドマン5冊とスピンオフ2冊が高騰してるがこれらの製本はめっちゃ悪くて読もうとしたらバリバリと糊が剥がれてバラバラになりそうになるのであまりオススメしない。それよりAmazonが最近始めた朗読サービスAudibleで『サンドマン』オーディオドラマがまさかの日本語化!してるの今知った。本国ではゲイマンが監修とナレーションしてハリウッド俳優が吹き替えてたやつ、当然日本声優が吹き替えてる。ちょうど邦訳されてた全5巻分が日本語化されてる。高くて崩壊する古本より無料期間を利用してコレ聴く方がオススメ。この全18話がシーズン1で、アメリカ日本共にシーズン3で完結するみたい。月額1500と高めだが30日間無料体験があるので実質タダだ。
The Sandman (Japanese Edition) | ポッドキャスト on Audible | Audible.co.jp

というか今『サンドマン』とゲイマンのWikipedia見たらサンドマン大百科状態になっててビビった。たまにこういうプロの仕業っぽいWikipedia記事あるよね……。僕の僅かな知識よりこれ読んで貰った方が早い。
サンドマン (ヴァーティゴ) - Wikipedia  ニール・ゲイマン - Wikipedia

★『サンドマン』の映画化は90年代後半から前進と停滞を繰り返していたがNetflixでついに20数年ぶりの時を経て映像化された。しかもニール・ゲイマンが中心になって。Netflixは、あまりにおもんない作品が多くてU-NEXTに乗り換えてしまったが、これはサンドマンのためだけに再契約するしかなかった(そして数日でサンドマン観たので解約した)。
でも「サンドマン懐かしいな一応チェックしとくか」と軽い気持ちで観たが思いのほか面白かった。アメコミ映像化作品の中でもトップレベルに良かった。

ネタバレあり

 

 

 

 

全10話のうち、大きく分けて二つの話が描かれてる。
第1話~第6話は、第1巻『プレリュード&ノクターン』を元にした話。
第7話~第10話(最終話)は、第2巻『ドールズハウス』を元にした話。
2個に分かれてるから感想も二つに分けて書く。

Story(第1話「安眠」~第6話「翼の音」)

どんな人間も生涯の三分の一を過ごす夢の領域”ドリーミング”の統治者にしてエンドレス(終わりなき者)7兄弟姉妹の一体、”モルフェウス”など様々な呼び名を持つ””の具現化”ドリーム”(演:トム・スターリッジ)。
ドリーミングから脱走した凶暴な悪夢コリント人(びと)(演:ボイド・ホルブルック)に罰を与えようとしていたところ何かに吸い寄せられる。

1916年、死んだ息子を蘇らせたい魔術師ロデリック・バージェス(演:チャールズ・ダンス)は、ドリームの姉である””のエンドレス”デス(演:カービー・ハウエル=バプティスト)”と間違えてドリームを召喚してしまう。ドリームは、パワーが宿る三つの道具を取り上げられて無力化され魔法陣に105年間、幽閉される。

2021年、近くでうたた寝した看守の夢を利用して魔法陣から脱出したドリーム。
ドリーミングに帰国するが主を失った王国は荒れ果てており王の帰還を待っていたのは司書ルシエンヌ(演:ヴィヴィアン・アチャンポン)だけだった。
ドリームはドリーミング再建のため、奪われて人間界に散逸してしまった3つの道具(小袋に入った砂、ヘルム、ルビー)を取り戻してパワーを復活させるべく、新たな烏の従者マシュー(CV:パットン・オズワルト)と人間界や地獄を巡る――

第1話「安眠」第2話「不完全な者たち」
ドリームを召喚する魔術師ロデリック役は『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011-2019)のタイウィン・ラニスター役でお馴染みのあの人、いま世界で一番怖そうで威厳もあるおじさんなのでピッタリ。自分の家も繁栄させたいし不老不死にもなりたいとドリームに願うが、それはオマケで第一の願いは「第一次世界大戦で死んだ長男を生き返らせるため」と原作より同情を誘うキャラになっている。似た感じで、原作ではただ悪いだけの単純悪だった悪人キャラが、本作では同情の余地があったり善の部分が増やされている。良い改変。
だが真のヴィランはロデリックではなく気の弱い次男アレックスだった。この次男は強権的な父ロデリックに押さえつけられてて子供の頃はドリームに「父の影響力が弱まったら、ここから逃してあげます」と同情的だし同性と愛し合う等「いい人」っぽい描写が多いのだが、父に命じられるままドリーム眼の前で彼の従者の烏ジェサミーを銃撃してしまうし、はずみで父を殺してしまうし「父が無力になればここから出す」と約束したのにドリームを一行に釈放しない。いかにも悪者っぽい父と違い受動的な、流される悪といった感じ。いじめっ子じゃなくイジメを見て見ぬふりする第三者的な的な悪か。
105年間の監禁を自力で脱走したドリームはアレックスに誰よりも重い罰を与える。
この第一話は105年に渡る壮大ながら内容は実にシンプルな話だったが、バージェス父子を只の単純悪でなく生きてる人間として描いたので、より良い感じになったと思い、一気に惹きつけられた。凄く良い第一話。
無力化されたドリームが囚われてる間、夢の王国ドリーミングの廃墟化だけでなく、世界じゅうの”夢”自体に悪影響を与え、眠り続けて起床できなくなる人、逆に不眠症になる人などが続出した。
ドリームは、ドリーミングひいては全ての存在の見る夢を修復するため、ロデリックに奪われた3つの道具を取り返してパワーを復活させたい。
3つの道具は、ロデリックの元愛人エセルがロデリックの屋敷から持ち逃げして巨万の富を得た。そこから砂とヘルムは売っぱらってしまったらしい。つまり三方に分散している。

 

第3話「わたしを夢見て」
ドリームの三つの道具のうち、小袋に入った砂は、ロンドンの悪魔祓い師ジョハンナ・コンスタンティン(演:ジェナ・コールマン)の元へ。
砂は、ジョハンナと別れた元恋人レイチェルが持ち逃げしていたが、普通の人間では砂の魔力に耐えられずレイチェルは死亡寸前だった。レイチェルに無関心なドリームは、その無慈悲さをジョハンナに罵倒されレイチェルに「ジョハンナとの幸せな夢」を見せて安らかに眠らせた。
このジョハンナ・コンスタンティンはDCのスーパーヒーローの一人で、キアヌ・リーブス主演『コンスタンティン』(2005)で映画化もされたジョン・コンスタンティン……の女性バージョン。どうやら「ジョン・コンスタンティン」の版権はJ・J・エイブラムスが抑えていて使えないらしい。JJは、コンスタンティンがリーダーを務めるオカルト版ジャスティス・リーグジャスティス・リーグ・ダーク』の映画化権を手にしている(方針が変わったDCで本当に作られるかどうかは謎。多分ポシャったと思う)、DCの映像化って同じキャラが違う配役で同時に複数の媒体の作品に出てたりするがコンスタンティンは恐らくJJが「他で実写化すなよ」という契約だったのかもしれない。とにかく大人の事情で「ジョン・コンスタンティン」のままで出せないので本作では女性になった。演じてる女性の俳優さんはめちゃくちゃ可愛いし女体化に文句はないのだが「ジョン・コンスタンティンの女性版を演じてる女優」に見えてしまった。ひとことで言うとあまりスーパーナチュラルなパワーを持ってるベテラン退魔師に見えなかった。あまりに若くて可愛いすぎるせいかも。タバコも吸わないし。この女性の俳優さん自体はめちゃくちゃ素敵なんだが、ヘビースモーカーの中年の女性にして欲しかったかも。
他のDC作品や『デス』にも出てくる長寿ホームレス、マッド・ヘティも出た。

 

第4話「地獄にある希望」
ドリームの三つの道具のうち、ヘルム(ガスマスクの様な形の兜)は地獄の悪魔コロンゾンが持っていた。
ドリームは決闘でヘルムを取り戻そうとするが、コロンゾンは地獄の統治者ルシファー・モーニングスター(演:グェンドリン・クリスティー)を代理戦士に立てた。
ドリームとルシファーは細菌から宇宙まで、あらゆる強いものに变化して相手にダメージを与える。ルシファーは最終的に「アンチライフ(反生命)」というネガティブな概念でドリームに大ダメージを与える(ダークサイドも反生命方程式を求めてるし、反生命はDC世界で最も強い悪の概念なのかも)。大ピンチのドリームだったが自分自身である「夢」を「希望」と言い換え究極のポジティブな概念でルシファーに勝利。砂に続いてヘルムを取り戻す。
地獄の配下の前でメンツを潰されたルシファーはドリームへの復讐を誓う。
ルシファー役は『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011-2019)の素晴らしいキャラ、長身女性騎士ブライエニー役でお馴染みのグェンドリン・クリスティー。彼女は『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)では、見た目はカッコいいがクソみたいな役回りの謎のキャラ、キャプテン・ファズマ役で酷い目に遭ったが(未だに数日置きに「キャプテン・ファズマって何だったん?」とたまに思い出す)、本作で新たなカッコいい役が出来て本当に良かった。
原作のルシファーは故デヴィッド・ボウイと全く同じ顔だったので若い時のボウイをイメージして書いたのだろうが、当然ながらボウイは既に亡くなってるので演じるのは不可能。老いても美形のままだったので恐らく生きてたらルシファー役してくれてたかも?TVドラマ『LUCIFER/ルシファー』(2016-2021)の主人公も本作同様DCコミックスのルシファー、このドラマのルシファー役の俳優を本作のルシファーにする事も検討されたらしいが「長身で威厳あるグェンドリン・クリスティー」は普通の人間じゃないインパクトあるので、これで良かっただろう。ルシファーとの決着はシーズン2とか3で観れるんでしょうね。


第5話「24/7
ドリームの三つの道具のうちルビー。ロデリックから奪ったエセルが、精神病院に収容されている狂気に囚われた息子ジョン・ディー(演:デヴィッド・シューリス)に与えた。
精神病院から脱走したディーは24時間営業ダイナーに立ち寄る。
「嘘」が嫌いで「真実」を求めるディーは、ダイナーに居合わせた人々の心をルビーの力で自分勝手に試す。
ディーは最初「嘘のない世界にしよう」と良さげな事を言ってパワーを振るうのだが、「相手を傷つけない遠回りな言い方」「落ち込んだ人への優しい嘘」「本心を隠して前向きに発言する」事などは全てディーにとって「醜い嘘」にすぎなかった。
つまりディーにとって「普通の人達」は全て「生きる価値のない嘘つき」に過ぎない。
ディーのルビーによってダイナーの人達は匿名SNSみたいな状態になり欲望や凶暴性を増幅させられた結果、皆は命を落とす。
ディーが精神病院に居た理由がよくわかる。認知が歪んだ者が万能の力を得ても破局にしか向かわない事がよくわかる。それでいて母エセルに放置されていたっぽかったり、この話が始まるまでは自分を送ってくれた親切な婦人に守護の御守りをあげるなどして第一話のアレックス同様に単純悪にしていないところが面白い。
そこに現れたドリーム。
彼は「お前が断罪した者たちが想っていた事は『嘘』ではない『夢』だ。人間たちは夢によって辛い現実を乗り越え、未来に希望を託す事が出来るのだ。それをお前は奪った」と言う。
2人は対決する。ドリームはディーに「悪夢」を見せるがディーはドリームのパワーが封じられているルビーを破壊して、ドリームとドリーミングを破壊……したと思ったが、それはドリームの策だった。パワーを封じていたルビーが破壊された事によってドリームは万能に近い力を取り戻しディーを狂気の世界に閉じ込める。この対決は凄く神話の闘いっぽくて良かった。
それと、ダイナーで争いが始まる前の不穏な空気が素晴らしかった。原作でも人気のエピソード『24 Hours』の映像化だけあって力が入ってた。これがシーズンの丁度真ん中にある事によって凄く締まった感あった。

 

第6話「翼の音」前半
第5話まででドリームが3つの道具を取り戻してドリーミングを再興する話が終わり、そのエピローグに当たる『The Sound of Her Wings』それともう少し先の『Men of Good Fortune』という人気のエピソードが二つ合体した回になってる。
当初の目的を果たして燃え尽き症候群になったのか、いつにもまして捻くれた陰キャ大学生みたいな性格のドリームに苛立った姉のデスは叱咤激励する。””のエンドレスであるデス(演:カービー・ハウエル=バプティスト)は「死の立会人」という誰にも喜ばれない自分の仕事を見せる。長寿を全うする演奏家、ママがミルクを取りに行った短い時間で急死する赤ちゃん、新婚旅行中に溺れて自分が死んだ事にも気づいていない夫、事故死した若者……全ての者が最後に出会う、それがデス。
高い人格が完成しきっておりポジティブで晴れやかな笑顔をいつも浮かべているデスだが、死神の仕事を辞めたい時もあった。しかし素晴らしい瞬間も観てきた。したくない仕事をしてるより恵まれていると悟った事を弟に話すデス。
デスは正直、デスの魅力はドリーム同様に黒尽くめに真っ白い顔という思いっきりゴスなルックスなのに朝の日差しのような晴れやかな性格……というギャップが最高だと何十年も思ってたので黒人女性俳優に決まった時は少しガッカリした。エンドレスは抽象概念の擬人化なので人種は問わず「白人キャラを黒人に変えたから嫌」とか、そんなレイシストっぽい理由じゃないのだが黒人女性だと「ゴスっぽさ」と内面とのギャップが消えて、最初から明るい姉さんになってしまうのが嫌だった。その気持ちは今でも少しあるがデス役の女性の演技も非常に良かったので観たら「これはこれで良いか」と思った。そもそもデスをゴス少女のルックスにしたのはニール・ゲイマンではなく作画担当のコリーン・ドランなので、このドラマを作ってるゲイマンからしたら「デス=ゴスっぽい見た目」というのは考慮してなかったのかもしれない。デザインが変わった戸惑いはあったもののデス役の女優さんが良かったのでデスっぽさは充分に発揮されていた。
姉と話したドリームの顔に笑みが……(彼は回を増すごとに笑みが増えてる)。
デスは弟に「古い知り合いにも会ったら?」と助言する。

第6話「翼の音」後半
デスの話は第6話の前半で終わり後半はドリームと古い知り合いの回想になる。
1389年、イギリスの大衆酒場で不老不死を願う男ホブ・ガドリング(演:フェルディナンド・キングズリー)に興味を持ったドリームはホブの願い通り彼を不老不死にする(デスも居たのでやったのは死を司るデスか?)にして「100年毎に、この酒場で再会しよう」と約束するドリーム。2人は100年ごとに酒場で会う。
人気エピソード『24 Hours』を映像化した前回に続き、今回も人気キャラのデスと不死者ホブの話の二本立てで最高(だが折角だからデスで一回、ホブで一回たっぷりやってもよかった気もするが)。
何百年も生きた不死者ホブ、財を成して天国のような暮らしをしたりホームレスに落ちぶれて80年間地獄を味わったり奴隷商人になってドリームに軽蔑されたり反省して人助けをしたり、そして200年前ホブはドリームの孤独を指摘してプライドの高いドリームは激昂してしまう(観てると「図星だからって怒るなよ」という気持ちになる)、次の百年後、ドリームはロデリックに監禁されてたので会えず仕舞い(ホブは「百年前に怒らせちゃったからなぁ」と思う)、そして最新の2021年は?という2人の会合が結末で描かれる。
シーズン1全体的に良かったが中でも、このホブの話が一番良かった。デスのくだりも勿論いいので第6話が最高回でした。
ここまでが原作で言う第一章の話。普通のドラマならここまでを1シーズンにしてるだろう。それを半分でここまで描いてテンポ良いなと思った。この第六話も、二話を合体させてるし。

 

 

⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⌛⌛

 

 

Story 第7話「ドールハウス~第10話「失われた心」(最終話)

ローズ・ウォーカー(演:キョウ・ラー)は、喪った夫を毎晩夢に見ている友人リタ・ホール(演:ラザーヌ・ジャマル)、眠り病に罹って百年眠り続けた女性ユニティ・キンケイド(演:サンドラ・ジェームズ・ヤング)、ギルバート(演:スティーヴン・フライ)を始めとする愉快な下宿の仲間達と共に、行方がわからない弟ジェドを探す。
ドリーミングを再建したドリームはルシエンから、夢の領域全体に影響を与える特異点夢の渦”が人間のローズだという報告を受ける。
ドリームが封印された時にドリーミングから逃亡した凶暴な悪夢コリント人(びと)(演:ボイド・ホルブルック)、変身する悪夢”ゴールト”(演:アン・オグボモ)、人格を持った夢の風景”水夫の楽園”(演:?)など三つの夢は、”夢の渦”ローズに引き寄せられる――

無意味に長くなったので、こっからは第二章と全体通して感想書いて終わる。
この第二章は、どっちかというとドリームではなく少女ローズが主人公になる。
ローズと仲間たちは、幼い頃に生き別れた弟ジェドを探し、ドリーミングから脱走した悪夢たちは現世に発生した”夢の渦”たる少女ローズに吸い寄せられる。
そして夢の渦となったローズは夢の領域全てを破壊しかねない危険性を孕んでいる。
原作ではここから出てくるコリント人(びと)をドラマでは第一話から登場させてシーズン通してのヴィランのように描き、また第一話で「105年前にユニティが眠り始めて最近目覚めた」とする事で、2つの別の話を描いたシーズン1が一貫性を持ったシーズンになってるのがゲイマン自ら脚本書いただけあって上手いなと思った。
第7話は新キャラや新設定が突然どっさり出てくるので若干、戸惑うがシーズン1の後半戦となる僅か全4話で一気に解決まで描くので、第六話までは一日一話づつ観てたが第七話~最終話のドールハウス編はイッキ見した。
夢の中で亡き夫と毎晩逢瀬を続けるリタ。ローズ&リタがジェド探しの為に住み始めた下宿先の住人たち……俳優の夢破れた親切なゲイの管理人。仕込み剣の遣い手の大柄ギルバート、明るいカップルのバービーとケン。ゴスっぽい謎の女性2人ゼルダとシャンタル……等、あまりに彼女ら彼らキャラが良すぎるので「いや、もうちょっと観たいが……?」と思った。
途中までは「第6話だけでシーズン1本分いけるのに、第二章分を1シーズンに入れて凄いな」と思ってたが、最後まで観ると「やっぱ第6話までをシーズン1全10話に伸ばして、第7話以降のドリームハウス編はシーズン2で良かったんじゃないか?」とちょっと思った。つまらないんじゃなく面白いんだが勿体なさから?そう思った。

ローズの弟ジェダはDV父の友人であるDV白人夫婦に育てられていた(養育というより、毎月国から支払われるカネ目当てにジェドを監禁してるといった方が正しい)。
ドリーミングから脱走した悪夢の一体ゴールトが、あまりに可哀想なジェドにスーパーヒーロー「サンドマン」になって悪を倒すという愉快な夢を見せて慰めていた(僕が好きなDCヴィラン、キャプテン・コールドの絵が一瞬出てくるのが嬉しかった)。
そしてローズの友人リタは夢の中で亡き夫の子を身ごもり目覚めるとお腹が膨れていた。これも夢の渦ローズの影響だ。このままでは宇宙全体の”夢”の領域自体を破壊しかねないローズを、ドリームは殺さなければならないのか?この黒幕は誰だ?という事が焦点になってくる。
各地で目玉くり抜き連続殺人を行って悪夢を撒き散らしてきた悪夢の擬人化コリント人(びと)。彼はローズに接近しながら、コリント人(びと)を信奉する連続殺人鬼(シリアル・キラー)たちのイベント「シリアル・コンベンション」に招かれる。
この辺りで、ローズと仲間たち、コリント人と殺人鬼達、ドリーム、脱走した夢たちなどが一同に介してクライマックスに突入する。
このドリームハウス編で良かったところは、ローズの愉快な仲間達とクライマックスのシリアル・コンベンションのブラックな楽しさだろう。
「一体なにがドリームハウスなんだろう」と思ってたが単純に家や建物での展開が多く出てくるからかな。まずユニティが眠り病に罹った日にプレゼントされたというドールハウス、ローズが住み始めた下宿、ドリームやルシエンヌやカボチャのマーヴが居るドリーミングの城、リタが夢の中で亡き夫と住む素敵すぎる家、コリント人や殺人鬼達がシリアルコンベンションを行うホテル、そしてユニティがローズとジェドに相続したお屋敷。

 

 

⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⌛⌛

 

 

まとめ
そんな感じの話だが凄く面白かった。先の展開が読めない感じ。膨大な知識量の作家しか描けない感じの真の幻想的な物語。残酷さと優しさの丁度いい塩梅など……アメコミ原作ドラマの中でも『デアデビル』〈シーズン3〉(2018)の次くらいに、トップクラスの面白さ。
10数年前までDCの方がMARVELより好きだったんだけど逆転して長い期間が経ってた、それで「そういえばDC好きだったな」と、これ観ただけでDC全体の映像作品も観返したくなった、それくらい良かった。
3DCGや美術なども素晴らしかったし。
さっきも言ったが、話の進みが早いのは良いがちょっと性急だったかも。前半の第6話まではともかく、後半のドリームハウス編は突飛な設定や展開が多く、こういう物語に不慣れな人は乗り切れないかもしれない、実際に今imdb見たら第7話以降のスコアが第6話までより低い。
ドリームが扱う”夢”は、単純に寝て見る夢に留まらず「将来の夢」「かすかな希望」「過去」ひいては「人生」……など、つまりは人が生きていく上で、水や空気のように無ければ即死するわけではないが無ければ絶望して死ぬ人も多いであろう、あらゆる「ストーリーがあるもの」のメタファーなんだろうと思った。食べ物やカネも必要だが、物語がなければ人は生きていけない……この「物語」は映画や小説に留まらず、近しい者とする会話、逸話、空想……あらゆる事に言い換えてもいい。想いや言葉はその個人個人を作り、形作る。本作を観てると、そういった事を描いてるのかな?と思えて、全編うっすらと不思議な感動があった。
続きも是非観たい。

 

 

⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛
⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳

 

※追記(2022.11/06) 第11話「1000匹の猫の夢/カリオペー」

「1000匹の猫の夢」
新しい世界を夢見て猫たちに演説して廻るシャム猫(声優:サンドラ・オー)。

「カリオペー」
小説のアイデアを切望する作家が芸術の女神(ミューズ)カリオペー(演:メリッサンティ・マハウト)を監禁し、彼女から奪ったもので本を描く。

シーズン1が配信された数日後にボーナス・トラックみたいな感じで、第6話みたいに2つの話が連なった話がポンと配信された。観たけど記事に感想追加するの忘れてたからもっかい観直して追加した。
どちらも第3巻「ドリームカントリー」からの話(日本語版では5巻)。
猫の話は、猫を通して「大勢の者が夢を願えば実現する」という話。メスの飼い猫がイケメン野良猫との間で妊娠出産したら飼い主に子猫が殺されてしまう(この回だけアニメなんだが実写だと辛すぎるから?)。それで猫は猫の夢の王に会い世界を変える方法を聞き、猫たちに伝える……。僕は長い間ずっと猫を飼ってるし思うところあって刺さる話。
2つ目は、小説家が芸術の女神を何十年も監禁し虐待してアイデアを吐き出させて我が物にする、そこで第一話で人間に囚われていたドリームが脱出し、元妻だったカリオペーを救出する話。「男性芸術家にミューズありって美徳だったけど、それって良くない話じゃないの?」という問い掛け。
猫もミューズも、身勝手な人間が我欲で従属させるという共通点がある。
別に猫やミューズを囚えているつもりはないが男性の本能にグサッと刺さりました。
2話とも昔よく読んでた話なので懐かしかった。エレメンタルウーマンの話も観たいが、DCヒーローを出したらややこしいから出さなさそうだよね。

ワーナーによるDCコミックの映像化は、資金節約のため新社長により色んな企画がキャンセルになってた時、本作『サンドマン』はNetflixで連日一位の人気だったので当然シーズン2すぐ作るアナウンスがあるだろうと思ってたら、現在のワーナーに金がなさすぎて「もっと一位が続かないとシーズン2が作れない」とゲイマンが言っていた。
そんな時にシーズン1から切り離された一話だけが配信されたもんだから「追加エピソードは嬉しいが、あぁ金なさすぎて『サンドマン』シーズン2はないんだ……」と落胆した。だが、ほどなくしてMARVELスタジオで『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)シリーズを成功させ、DCに移籍して『ピースメイカー』〈シーズン1〉(2022)を成功させたジェームズ・ガンとピーター・サフランがDCフィルムズの共同CEOに就任した(この事だけでクソ長い記事が書けるが割愛)。その影響があったのかどうかはわからんが、数日後に『サンドマン』シーズン2の制作が発表された。

やったぜ。

 

 

 

 

そんな感じでした

「パーティで女の子に話しかけるには (2017)」可愛いSF恋愛映画だったがコレ観る直前に〈Born Sexy Yesterday〉について考えてる最中だったので一切内容が入ってこなかった💏 - gock221B

⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛
⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳
⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛⏳⌛

サンドマン | Netflix (ネットフリックス) 
The Sandman (TV Series 2022– ) - IMDb

www.youtube.com

www.youtube.com

www.audible.co.jp

www.youtube.com

サンドマン 序曲

サンドマン 序曲

  • インターブックス
Amazon

『アイ・アム・グルート』〈シーズン1-2〉(2022-2023) 全10話/面白いとかつまらないとか以前の話で完全に幼児向けで無味無臭。それより異常に神経質なまでに「誰も死んでませんよ!」と全話で示してくる勢いが凄い!🌳


原題:I am Groot 監督&脚本:カーステン・ルポール 製作総指揮:ジェームズ・ガンケヴィン・ファイギほか キャラクター創造:ジャック・カービー、ラリー・リーバー、スタン・リー 制作スタジオ:マーベル・スタジオ 配信局:Disney+ 製作国:アメリカ 配信時間:各話約5分、全5話 シリーズ:『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズの外伝。マーベル・シネマティック・ユニバース (Disney+アニメ)

 

 

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014) 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)、 『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)『ホワット・イフ…?』〈シーズン1〉全9話 (2021)『ソー:ラブ&サンダー』 (2022)などに登場する樹木系ヒューマノイドグルートを主人公とした3DCGアニメ。
しかも『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014) で仲間のガーディアンズを護って死亡した大人のグルートではなく、ラストで誕生した二代目の幼児期……通称ベビーグルートの方。
このアニメが、正史(アース616、又はアース19999)なのかどうかは不明。マルチバース『ホワット・イフ…?』〈シーズン1〉全9話 (2021)同様に実写のフェイズ4には入らない、正史に限りなく似たマルチバースの話かもしれないが、正史っぽう作られてるし、そう観た方が見どころ多いので正史だと思って感想書くことにした。スタッフのインタビューなど読んでもマルチバースだと思ってる人や正史だと思ってる人などバラバラで曖昧。だが正直、正史だろうが正史じゃなかろうが全く影響しない内容なのでどっちでもいいと言える。正史だとしたら、多分1ラストから2冒頭までの短期間の時系列かな。
2年前にMCUが現在、劇場公開やDisney+で配信中のMCU作品群の発表した時に一番……唯一興味なかったのがこれだった、他のは全部興味あった。
そもそも元々ベビー・グルート自体に全く興味ない。もちろん嫌う理由はないので嫌いじゃない、ただ本当にただの可愛い幼児なので「グルート可愛いね」「ガーディアンズ皆の子供だね」と思う以外、何のドラマもないキャラなので好きでも嫌いでもない、どうでもいいというのが正しい。喩えるなら他人の子供が描いた絵みたいなもの。如何にもディズニーが好きな商品にしやすそうなタイプの可愛さでもある。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)が終わった後のポストクレジットでは速攻で生意気な思春期に成長したのは本当にホッとした。
現在、Netflixで配信が始まったDCコミックのドラマ化『サンドマン』(2022)に、10年に一度くらいの勢いで激ハマり中なんだが、『サンドマン』は大人っぽく幻想的で暴力もある……という本作の真逆の作品なので、本作のキッズアニメっぷりが余計に際立った。
本編を観ても、本当に幼児のグルートが愉快で可愛い事してるだけで何の感想も沸かないので、これまでMCU全作の感想を当ブログに書いてきたのだが「これは感想、Filmarksで一言、二言で済ませとこう……」と思ったが最後まで観たら一点だけ興味深い事があったので感想書くことにした。
アニメは30分くらいのが10数話、続くのかと思ってたら、一話が4~5分くらいの超ショート短編が5話しかなかった。朝食食べながら一瞬で観れる。これには「やった!すぐ終わる!」と心が躍った。義務を超える義務となっていた。
ネタバレあり。

 

 

 

 

第一話『グルート、初めての1歩』
ガーディアンズの宇宙船ミラノ号内で、鉢植えからすくすくと育ってきたまだ幼児のベビー・グルート(CV:ヴィン・ディーゼル)。お世話ロボが盆栽みたいな宇宙植物を贔屓するので怒って暴れて盆栽ごと落下して鉢植えが割れる。自分に脚があり歩行できる事を初めて知るグルート。人間の赤ちゃんで言うと歩行器無しで歩けるようになったってところ。このアニメが正史(アース616、又はアース19999)だとしたら、ガーディアンズ一作目のミッドクレジットでダンシングフラワーみたいに生えてきたグルートが鉢植えを卒業するまでの話か。
特に「アニメが綺麗」という以外、何の感想も沸かないが一緒に落ちた盆栽もラストでグルートと仲良くなっており「盆栽、落ちたけどちゃんと生きてますよ!安心してください」というサジェストが強烈に差し込まれてきた。なんか、この描写、妙に監督の意思を感じる……笑。嫌な意味での興味が湧いた。

 

第二話『リトルガイ』
とある惑星でベビー・グルートは木でタワーを作るが大きいモンスターに取られてしまう。足元の石をどけるとちっちゃい生き物がたくさんいた。リトルガイ達の視点になり、ちびっ子だったはずのベビー・グルートが大怪獣のように描かれる。
「外界のものや自分の体が大きくなったり小さくなったり感じてイメージの変容を感じる」という”不思議の国のアリス症候群”みたいな短編でよかった。自分は小学生の頃、風邪で熱出した時だけ、不思議の国のアリス症候群になってたな~。それくらい。
ベビー・グルートがリトルガイたちに親切にしようとしたら、うっかり踏み潰してしまう……というジェームズ・ガンっぽい展開がオチなのだが(どっちかというとタイカ・ワイティティっぽいか)、しかしラストのカットで踏み潰されたと思ったリトルガイ達はポコン!ポコン!と元気よく可愛く出てきて「死んでませんよ?リトルガイたちは。」とサジェストしてきた。
確かに死んでなくて良かったが、またか……。第一話同様に監督の意思を感じる。どうやら本作の監督は映画とか観てて「○○は死んだの?生きてるの?どっち?」と気になるタイプなのかもしれない。

第三話「グルート、捜査する」
ラヴェジャーズから切り離した宇宙船が舞台。
荒くれのラヴェジャーズ達が使ってたものなので汚い。リアルに汚い便座が出てきて嫌な気分になる。
船内に居た液体生物がベビーグルートの形になり、2人のベビーグルートはダンスバトルする。「ガーディアンズといえば懐メロとダンスだろ」というサムシングを感じる。
グルートはダンスバトルに夢中な液体生物を宇宙船外に追放して終わる。
この話だけは明確に「グルートが他者を抹殺」して終わる。
って事はあのまま放っといたら入れ替わられちゃう危険な生物だったのかもね。
小動物を抹殺するのはこの話だけなので異色だ。そのために真ん中に位置させてピリッとさせたかったのかも。

第四話「グルート、お風呂に入る」
グルートは、とある惑星の熱い沼に温泉のノリで浸かる。するとグルートの身体に葉っぱがいっぱい生えてくる。
ファッションを楽しむグルートだが、葉はすぐに枯れて散ってしまう。再び熱い沼に浸かるグルート、葉が生える、外に出ると葉が散る……何度もこれを繰り返す。
一部始終を見ていた意地悪な宇宙鳥が笑う。意地悪といっても別に悪いことするわけではない。グルートが焦ったら意地悪そうな顔で笑うというだけだ。
鳥の毛皮を奪ってマフラーの様に首に巻いてオシャレするグルートがオチ。
優しい鳥の毛皮を奪ったらグルートが悪者になるので、意地悪な笑い方させて、鳥を悪者にしてたんだね。
ここまでの話同様に正直「アニメが綺麗だし、ベビーグルートは人気者」以外に何の感慨も湧いてこない。

ラストカットで「毛皮を奪われて寒そうな宇宙鳥」が映る。あっまたか!
グルートは鳥を殺して皮を剥いだわけじゃないんだよ?鳥は寒そうだけど羽はまた生えてくるから心配しないでね」と示してきた。
第三話で「リトルガイを踏み潰した」がオチで良かった『リトルガイ』同様に「マフラー巻いて歩き去るグルート」で完全にオチてたのに、わざわざ「寒そうな鳥(生きてた鳥)」を見せてくるこのセンス……、やはり「無害な小動物は無事だった」とどうあっても報せたいと見える。他に特に気になるところがないせいか凄く気になる。

 

第五話「大傑作」(最終話)
ガーディアンズの宇宙船内でスタロのジェットブーツ、ドラックスの石鹸、ロケットの尻尾の毛、宇宙船の基盤……等を使って自分も含めたガーディアンズが仲良くしてる絵を描くグルート。この話だけロケット(CV:ブラッドリー・クーパー)が出てきて台詞もある(他の話は台詞もない)。
とはいえ、この話もまた他愛もない可愛らしい話すぎて脳細胞が1mmも動かない……と思ったがグルートが描いた絵をよく見ると、小さいはずのグルートが誰よりもデカくてガーディアンズを頭上から護ってる。絵を見たロケットも「この絵、随分お前がデカいな?」と不思議そうにしてたが絵には仲間入りしたマンティスが居ないし絵の中のスタロが号泣してる……!?
あっ!一作目でガーディアンズを庇って死んだ初代グルートの記憶だ!」と思った。
一作目観た時、ラストでベビーグルートは「グルートの欠片が再生した存在」だと大勢は思って観てたがガン監督はインタビューで「違いますグルートは死にました。ベビーグルートは別の個体です」と強く明言してた。だから「ベビーグルートは、死んだグルートの息子」みたいな感じでずっと思ってたのだが、死んだ大人グルートの記憶も持ってた事が意外だったし、それが何だか凄く良いことに感じられて少しじん……とした。「死しても願いは繋がっていく」的なことを感じさせられたせいかも。「おっさんグルートの記憶も共有してるの?」という意外性が亀裂を入れた俺の脳に、一作目で大人グルートが皆を護って死ぬ感動的なシーンが流入してきて思いのほか心が動いた。
このアニメで初めて心が動いた瞬間だった。
「感想なにも書くことないしFilmarks送りだな」と思ってた本作をブログに書いたのは、そのせい。
それでも「ラストの絵のくだり以外、書くこと何もないな」と思いつつ一応書いてたら本作の監督が「小動物が死んでない事をオチで執拗なまでに知らしめてくる」という変なところも見つける事ができた。
その要素は、この最終話にも勿論ある。グルートのお絵描きで穴が空いた穴からロケットが「うわっ!」と船外に飛び出てしまう……と思ったら0.5秒後にベビーグルートが枝の触手で助ける!またか!普通だったらロケットが穴から外に吹き飛ばされて「ほよ?」みたいな表情のグルート、もしくは仲間のガーディアンズに助けを求めて走り去りガーディアンズがエンドクレジットが流れる中「なんだなんだ」とワチャワチャとロケットを救出しようと慌てふためく様などが描かれ、宇宙空間で息を止めて苦しがってるロケットの顔が丸で囲まれて愉快に終わるのがよくあるキッズムービーだろう。
監督「さぁみんな!これでこのグルートの愉快なアニメはおしま……ロロロケット死んでないよっ!にこっ!にこっ(こわばった笑顔)」みたいな物凄い勢い。こんなギャグっぽく船外に吹き飛ばされたところでロケットが死ぬと思う子なんていないよ~?そう言いたくなった。
しかも全5話中、4話……五分の四の確率で「誰も死んでないよッ!」と最後に絶叫してるのが何かヤバい……凄い勢いを感じました。残りの1話も「こいつは悪ものだから宇宙空間に放逐するッ!」という「死んでないよ」の逆をやったという意味では全話「そう」と言っても間違いではない。なんなんだろ。
でも自分が幼稚園くらいの時『トムとジェリー』でトムさんが天国へのエレベーターに乗っちゃって天に召されるオチの話があって「えっトムさん死んじゃったの!?この回が『トムとジェリー』時系列ラスト!?」と「死」を感じて恐ろしくなった事があった。だからディズニーの幼児への配慮なのかもしれん。よくわからないね。

それくらいっすかね、気になるところは。観る前と同様に凄く良いところも悪いところも好きなところも嫌いなところも、何もない凪のようなアニメでした。
というのも、本作は恐らく幼児を楽しませてMARVELに親しませるための作品だろうから、多分これでいいんだろう。中年なのに観てああだこうだ言ってる俺の方が悪いんだぜ。
ブログを書きすぎてラストしか興味なかったのに幾らでも感想書けるもんですね。
ブログを初めて7年経つが今回は初めて自我自賛したい気持ちになりました。何しろ観てる間ほぼ無の状態でしたから……。

 

 

 

 

次のMCUは来週から『シー・ハルク:ザ・アトーニー』(2022)が始まる。
MCUドラマ、ほぼ即日観て全部感想書いてるわけだが、本当に最初から最後まで良かったドラマは一本もないので正直MCUはドラマ作るの辞めて欲しいと思い始めた今日この頃。駄作揃いなら観なきゃ済む話だけど、どのドラマも良い部分とかはあるんですよね、だからこそ観なきゃいけないし観たら観たで消化不良になる感じですね。観終わった後「最初は良かったが後半がイマイチだったから微妙か……」と思った『ワンダビジョン』(2021)が今にして思えば一番良かったというね……今にして思えばワンダビジョンは名作の部類に入るかも?シーハルクも予告は面白そうだが今まで同様に第4話までは面白いが最終回観たらどうでもよくなるのだろうか?だがMARVELでミズ・マーベル同様に最推しのデアデビルが出てくるし楽しみにしておくか。デアデビルのドラマ作られるし。しかも今までのMCUドラマの3倍以上の全18話あるらしいし楽しみと不安両方ある。Netflix版のドラマ『デアデビル』(2015-2018)めちゃくちゃ好きだったからね。特にシーズン3MCU全作より好きかも。
長いな後戯が。気持ちの悪い。もう終わる。
このブログ記事では誰も死んでいません。

 

 

※追記:シーズン2
2023夏にシーズン2がひっそり追加された。特に興味はないがMCU全部観てるので義務的に観た。
シーズン2もまた幼児のグルートが一人で遊んでるところを見守る感じの内容。
第五話はウォッチャーがハラハラしながらグルートを見守る。
S1と同じくキッズ向けアニメ……というか、むしろ赤ちゃん向けアニメという感じで特に面白くない。数分で終わってくれるのが幸いだ。これって本来、赤ちゃんが観るためのアニメなんだろうから、それを中年男性が観てるのだから面白いわけがない。
といっても『トムとジェリー』とかディズニーとかピクサー作品は大人が観ても楽しいのでやはり本作はキッズ向けだとしても面白くないと思う。
とにかくMCUのディズニー+作品の殆どが面白くない今こんなものまで楽しむ余裕はない。
せめて親代わりのロケットぐらい出して、ロケットがグルートに手を焼く『ロケット&グルート』として作れば良かったかもしれない。赤ちゃんが虫とか追いかけて泥まみれになったり……とかって一番面白くないかもしれない。画面は綺麗なのでベビー・グルートが好きな人なら楽しめるかもしれない。もう続き作るなよ。

 

 

そんな感じでした

gock221b.hatenablog.com
gock221b.hatenablog.com

gock221b.hatenablog.com

gock221b.hatenablog.com

🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳

www.disneyplus.comI Am Groot (TV Series 2022– ) - IMDb

www.youtube.com

Amazon: ロケット・ラクーン&グルート (MARVEL)

『プレデター:ザ・プレイ』(2022)/一作目を踏襲した展開に、ガラスの天井に立ち向かう女性要素や三すくみのハンターという要素を盛り込んだ佳作👩🏽


原題:Prey 監督:ダン・トラクテンバーグ 脚本:パトリック・アイソン キャラクター創造:ジェームズ・E・トーマス、ジョン・C・トーマス 配信サービス::Disney+  製作国:アメリカ 上映時間:99分 シリーズ:『プレデター』シリーズ第5作目

 


このシリーズ、一作目『プレデター』(1987)は勿論、最高だったが以降は「別につまらないわけではないが特に凄く良かったという「ほどほど」程度の面白さシリーズ。
一作目は「ジャングルでのガンアクション映画……と思いきや途中から急に異星人との死闘になる!」という新鮮な構成や、「独自のルールやハイテク装備を持つハンター異星人”プレデター”」というオリジナリティ溢れるキャラクター、そして「当時全盛期だった筋肉アクションスター、アーノルド・シュワルツェネッガー vs.ハイテク装備の異星人」と、売りが色々あった。後続作品は舞台を変えたりエイリアンとのクロスオーバー映画を作ったりと色々工夫してたが今ひとつ盛り上がらなかった印象。同じく他の人気SFアクション映画の『エイリアン』や『ターミネーター』も似た印象で、これらのシリーズは最初のインパクトがデカすぎてシリーズに向いてないのかも。シンボリックなキャラが登場する各ホラー映画も似た事が言えるよね。まぁどれも新作が作られたら観ちゃうけど。
本作の監督も『プレデター』作品って事を隠したまま公開したかったらしいが当然ながら予告編が公開されたら一目瞭然だしネット記事も当然「『プレデター』シリーズ新作!」とか書くので早々にバレた(まぁ一作目もプレデターが出てくると知って皆、観てたけど)。
普通、有名シリーズは、シリーズであるというだけである程度の人気は獲得できるので言いたいもんなのに本作の監督は『プレデター』シリーズだと隠したかった理由は、多分「ジャングルでのアクション映画と思いきや異星人との死闘に!」というサプライズ構造を再現したかったのかもしれない。それと本作の監督は一作目の予告を観て「このインディアンのキャラクターもプレデターと戦うのか?」とワクワクしてたら本編では一撃であっさりやられて拍子抜けした、みたいな事をインタビューで言ってたから「一作目の、勘が鋭いネイティブ・アメリカンプレデターと戦ったら?」という本作の展開を思いついて企画を練ったのかもね。
監督は、一番な有名作は『ザ・ボーイズ』(2019~)の中心的な監督。確かにボーイズも逆境に立ち向かう女性をよく描いてる物語だね。

ネタバレあり。週末かなり酔って観たので細部を覚えてない。

 

 

 

 

1719年北米大陸中西部の大平原グレート・プレーンズ
ちょっと待って、何時代かよくわからん。検索したら……ロンドンで世界初の日刊新聞が出来た頃。日本は享保4年、江戸開府して100年、赤穂浪士討ち入り、江戸大火、富士山噴火などがあった頃か。中国は清の時代。

狩りをして暮らしているネイティブアメリカンコマンチ。部族の他の女性のように飯炊きするのではなく男たちのように狩りがしたい少女ナル(アンバー・ミッドサンダー)が主人公。サイドキックは愛犬サリーナルの兄タエベ(ダコタ・ビーバーズ)は部族の中での信頼も厚い戦士。
ナルはコマンチ族の狩りをしてる兄タエベを始めとした男連中から「女は能力的に劣るし狩りに着いて来ず飯炊きでもしてろ」という扱いを受けている。だからナルはそんなガラスの天井(女性やマイノリティが十分な素質を持つにもかかわらず昇進が制限される見えない障壁の意)を打ち破る」という女性の社会進出的なテーマが全編に込められているのは一目瞭然。
ここで良いのは、兄タエベや男たちは如何にもな悪役としてナルを虐めたり馬鹿にする訳ではなく……いや、兄以外の男たちは若干バカにした感じあるか……とにかく昔の映画のようにナルをあからさまに虐めたりはしないという意味。虐げているというより「女が狩りに来ても危ないからさ……いいから帰れよな……」という空気が薄っすら充満してる感じ。ステレオタイプな悪役なら「腹立つ!嫌な男たちをぶっとばせ!」と思っておしまいだが、このリアルな感じの「女は狩り(現場)に出てくるな」的な同調圧力は身近に感じられて凄く良い。
もし自分が男たちの一人だとしても仲間の少女が猛獣に食い殺されたら嫌だし、兄や男たちの気持ちもわかるし。この塩梅が丁度いい。
そんなライオン狩りの最中、ナルは空飛ぶ光る物体(宇宙船)、巨大な足跡、皮を剥かれた毒蛇……など、人間とも動物とも違う痕跡を目撃する。
ナルは兄や仲間に「ジャングルに得体の知れないバケモノがいる!」と訴えるが「正当な戦士にもなれてない女が何か言うとるわ笑」と相手にしてもらえない。何の業績も上げていない新人OLが「倉庫でオバケが出た」と言ってるような感じか?
そんでナルはライオンに果敢に挑むが惜しいところで失神、最終的に兄タエべがライオンを倒し、部族の新たな族長となる。
悔しいナルは皆を見返すため、愛犬サリーと共に一人でライオン狩りに出かける。
ナルは途中、皮を剥かれたバッファローの無惨な死体を見つけ「前日のバケモノの仕業だ」と思いバッファローの冥福を祈る。そして、泥のぬかるみにハマって溺れそうになったり、熊に襲われそうになるが、透明のバケモノが現れ熊を屠る。
勿論”プレデター”だ。
屈強な熊を手のクローと格闘だけで倒した透明のバケモノに驚くナル。

 

 

プレデター
ナルが驚くのと同時に観てる俺も「えっ、プレデターってそんなに強かったっけ?」と少し驚いた。
過去4作品で「自分だけハイテク兵器で全員フル装備で人間達を不意打ちする俺様ルールを振りかざすハンター異星人だが最後に必ず人間にブッ殺される、負けそうになったら人間もろとも自爆して盤をひっくり返そうとするみっともない異星人……それがプレデター」という認識だったので「ハイテク装備で全身フル装備して、ようやく人間より優位なくらいだから素手ではめっちゃ弱いんだろう」と、作品ごとにプレデターの戦闘能力の印象がどんどん下がってきていたのだ。だから熊を倒して頭上に持ち上げて歩くのを見て「えっ!そんな怪力だっけ?」と思った。
そういえば本作の序盤、ハイテク武器で只の野良犬を虐殺したりしてて「相変わらずプレデターって本当にムカつくな」と思った。そんな感じで僕はプレデターというキャラクターの事はあまり好きではない。エイリアンやターミネーターの脳内は「殺す!」という純粋さだけが占められていて美しく感じるがプレデターというエイリアンは狩りという文化を持っているのが唯一無二にして最大の特徴。そして彼らは「戦力を持ったものだけ襲う」「プレデターを倒した人間は、称えて追撃しない」等の独自ルールを持つ。そこが面白いところなのだが、そんなプレデターを指して「カッコいい……サムライだ」など言われてカルト的な人気があるのだが、僕としては自分勝手なルールを押し付けて狩りをするプレデターは昔からただムカつく存在だ。
……だが「ムカつく」というのは優れたヴィランの証でもあるのでヴィラン、モンスターのキャラとしては認めている事になる。
それと昔と違って「でも、それがプレデターが持つ”文化”なんだからプレデター達は、それでそれで純粋なのか。あまりに人間側からの視点で見すぎてたな」と少し反省した。一方からの視点だけでものを見すぎると良くないことになる、だから久々にプレデターへのムカつきが消えた。

 


”3つのプレデター
話を本編に戻そう。
ナルのもとに仲間たちがやってくる。「大勢でも脱落したのに一人でライオン狩りなんて無茶だ」と、新しい族長となった兄タエベが差し向けたのだ。
なんとしてでも狩りを続行したいし透明のバケモノも気になるナルは帰宅を拒否、だが腕力では男に勝てず取り押さえられる。
そこへプレデター来襲!仲間たちは果敢に立ち向かうもプレデターに皆殺しにされる。
遅れて到着した兄タエベとナルは、ひとまず逃走。
ここまでのライオン狩りや、ナル一人での冒険などプレデター以外の展開を凄く丁寧に描き、同時に少し離れた場所で動物を無邪気に狩りながらコマンチ族にじわじわ近づいて来ているプレデターを描いておいての突然のプレデター来襲!これは一作目の展開を踏襲してるなと思った。やはりこれがプレデター映画のベスト展開なのかも?
だが、プレデターを振り切ったところでナルとタエべと犬のサリーは何者かに囚えられる。銃を持った白人達だった。白人たちのボスはバッファローの毛皮を着ている。前半、皮を剥かれて死んでいたバッファロープレデターではなく白人という別のプレデター(捕食者)だったのだ。
スペイン人はネイティブアメリカンを奴隷にして売ってたらしいからスペイン人かな?台詞で言ってたかもしれんが酔って観てたので細かいとこは覚えてない。
白人達のボスはナイフでタエベの胸を切ったりナルを棒で突っついたりと混じりっけなしの嫌な奴。いま思ったがナルを「棒で突いた」のはレイプの暗喩かもな。とにかく私利私欲で行動してサディスティックだしで一考の余地もなく嫌な奴。
とにかくナルを少し下に見ていた部族の男たちは同調圧力や半分心配する気持ちでそうしていただけだが、この白人達は単純に悪くて嫌な感じの敵だ。
さっき「プレデターちょっとムカつく」とか言ってたが、こんなモロに嫌な奴が出てくるとプレデターが純粋な奴に見えてくるので自分の中でプレデターも殺菌された。
白人達の中で、ナルを同じ人間として見て同情気味の男が一人いるのも良い。彼が一人いるだけで嫌な白人達モンスターとしてではなく幅のある人間として認識できる。
どうやら狩りをしていた白人達もプレデターに襲われたので「野蛮なコマンチ族」を釣り餌にしてプレデターを狩る目的のようだ。
「ナル vs.プレデター」ってだけの構図ならシンプルすぎるかな?と思い始めた瞬間に投入されたので良いアクセントになっている。
杭に縛り付けられたナルとタエベ。しかしプレデターは銃で武装した白人達を襲う!嫌な奴揃いの白人達がプレデターに虐殺されるので、さっきまでとは打って変わってプレデターを応援する俺。二転三転する良い展開。
無防備な自分たちではなく武装化した白人達を襲う透明のバケモノを見たナルは「無力化された者は襲わないんだ……」とプレデターの習性を一つ一つ知っていく。ナルは「単純な腕力では男たちに劣るが観察力・洞察力に優れている」という頭脳派である事が最初から一貫して描かれていた。兄タエべも「お前の行動がヒントになってライオンを倒せた」とか言ってたし。

そんなこんなで一作目『プレデター』(1987)同様に、少女ナルとプレデターの一騎打ちになる。ナルは仲間の男たちに喧嘩で負けてしまう少女なのでシュワ氏のように「そりゃコイツなら勝てるやろ」というキャラじゃないので色々と工夫して戦う。だからナルがハイテク狩猟異星人のプレデターを殺っても不自然ではないよう良い塩梅だったと思う。
一作目の流れを踏襲した展開をベースに、「ガラスの天井を打ち破る女性」というテーマ、「コマンチ族<邪悪な白人<プレデター」という食物連鎖の一番下が一番上を狩る展開……など、一作目以降の続編の中では一番よかった。
ただ別に悪く言うわけではないが、かなりこじんまりした印象はある。原始的な武器しか持たないコマンチ族の少女がプレデターと戦うわけだからね。劇場公開作品として作られ始めたのに配信スルーになったのはそれが理由か?いい意味で「良い感じの佳作」という印象。でも配信映画って面白いものが少ないので本作はかなりトップレベルにおもろい配信映画と言える。
配信されてまだ数日だが本作は大好評。後続作品が作られるかどうかは知らんがダン監督は続編のアイデアがあるという。もしまた作るなら次はあっと驚くド派手な要素が観たい。

 

 

 

そんな感じでした

『プレデターズ』(2010)/プレデターの一方的な誇り高さやルールって結構イラッとするな👽 - gock221B
『ザ・プレデター』(2018)/人体破壊描写と容赦のない人死にがよかったです👽 - gock221B

🌳👩🏽🐕🌳👽🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳🌳

www.disneyplus.com
Prey (2022) - IMDb
www.youtube.com

『モービウス』(2022)/何十回も擦ったアメコミ映画テンプレまんまの内容で2003年の映画みたいだったが本編もキャラも意外と良かった🦇


原題:Morbius 監督:ダニエル・エスピノーサ 原作:ルイ・トーマス&ギル・ケイン 『モービウス・ザ・リヴィング・ヴァンパイア』 配給:ソニー・ピクチャーズ リリーシング 上映時間:108分 製作国:アメリカ シリーズ:ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)第3作目

 

 

🦇SPUMC?SSU?
モービウスの映画としては一作目だが、ソニーのMARVELユニバース「ソニー・ピクチャーズ・ユニバース・オブ・マーベルキャラクター(SPUMC)」第3作目。
ちょっとこのユニバースの現状とか本作の背景について今から書く文量が長くなると思うが、映画本編より映画の背景の方が遥かに面白いので仕方ない。
アイアンマンとかアベンジャーズのシネマティック・ユニバースがMARVELシネマティック・ユニバース(MCU)ね?で、こっちの略称はSPUMC。
スパイダーマン」の版権はソニーピクチャーズが持っている。MCUの『スパイダーマン:ホーム』トリロジーアベンジャーズに客演するスパイダーマンは「MARVELスタジオがソニーからスパイダーマンを借りて作品に出させてもらって儲けの多くをソニーに渡す」という感じ。
このSPUMCが何なのかを一言で言うと「スパイダーマンのサブキャラがいっぱい出てくるがスパイダーマンは全く出てこないユニバース」それが現状。
SPUMC作品の第1作目『ヴェノム』(2018)が公開された後、ソニーはこのシネマティック・ユニバース名を「ソニーズ・マーベル・ユニバース(SMU)」と発表したが同社内の社員達からは「ソニーズ・ユニバース・オブ・マーベルキャラクター(SUMC)」と呼ばれてた(この時点で意思の統一がされてない感じする)。その後、一部改名されて「ソニー・ピクチャーズ・ユニバース・オブ・マーベルキャラクター(SPUMC)」になったが、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021)『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)が発表されたされたのを機に、ソニーは「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)」へ改名。これは「ソニースパイダーマンのユニバース」という今までで一番強気な名称だ。裏舞台の状況は秘密で推測するしかないのだが『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)で、ソニースパイダーマン映画の過去作からスパイダーマン(トビー・マグワイヤ)、グリーンゴブリン、ドクターオクトパス、サンドマンスパイダーマンアンドリュー・ガーフィールド)、リザード、エレクトロなどのキャラクターが大量に出演した(ソニーが作りたがってる実写版スパイダーマンを先にやられたと言える)。そして『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021)のポストクレジットではヴェノムがMCUの世界に行ってしまう。だからソニーとしては「そろそろ現在のスパイダーマントム・ホランド)を自分らソニー作品に出せるよね?」と思っての強気の改名だったんだろう。
そして本作が公開された2022年、ソニーはユニバース名を一年足らずで「ソニー・ピクチャーズ・ユニバース・オブ・マーベルキャラクター(SPUMC)」に戻した。
推測だがソニーの迷走ぶりを見てスパイダーマンのIPが落ちるのを恐れたMARVELスタジオが「スパイダーマン貸そうと思ってたけど、やっぱソニー制作映画にはピーター出せんわ!」と怒られてユニバース名からもスパイダーマン外したんだと思う。
あと余談だが本作『モービウス』の監督は、どう呼んでいいかわからず「ヴェノム・ユニバース(VU)」という呼び名を自作して呼んでいたらしい。
ご覧のように関係者の間でも呼び名の統一が全く徹底されておらず状況に合わせてコロコロ変えている事がわかる。こういった名前や名称といったものはとても大切で、それが何故重要なのかを短文で具体的に説明するのは難しいので避けるが、名称を変えるのは絶対に良くない、それを4年で4回以上している。これでは誰の心にも根付かない。そういえばワーナーのDC映画ユニバースも名称が未だにあやふやのままだったな(”DCEU”は正式名称ではなくファンが勝手に呼んでる名称)。
※追記:……と色々書いてたがどうやら「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(Sony's Spider-Man Universe」が正式名称らしい。
コロコロ変えるな!

🦇スパイダーマンが全く出ないSPUMC SSUという謎のユニバース
とにかく何があったかは知らんが「ソニーのユニバースにはスパイダーマン出せないんだろうな」という事だけは伝わってきた。
そして今後の制作予定SPUMC作品は『ヴェノム3』、スパイダーマンの強敵の一人の映画『クレイヴン・ザ・ハンター』、スパイダーマンをサポートしてくれるサブキャラのオリジン『マダム・ウェブ』、スパイダーマンの原作コミックで60年間に2回しか登場した事のないプロレスラーの映画『エル・ムエルト』。
この微妙なラインナップを観ればわかるようにソニー・ピクチャーズは自作の実写作品に「スパイダーマン」を出せないという事がわかる。出せるのであればピーター・パーカーを出すはずだし、もしくはマイルズ・モラレス、もしくはゴーストスパイダー(スパイダーグウェン)等、ピーターの次に大人気のスパイダーマン達の映画を作るはずなのに一本も作らず、マダムウェブやエル・ムエントなどの「そんなの映画の脇役で出してちょちょっと語ればよくね?」レベルのキャラの映画ばかり量産している。
特に「スパイダーマンの原作コミックで60年間に2回しか登場した事のないプロレスラーの映画『エル・ムエルト』」の実写映画化は衝撃でしたね。どんなMARVEL作品でも基本的にはほぼ称賛しがちなアメコミ考察勢やYOUTUBERがエル・ムエントを「ヤバい!エル・ムエントの映画化だぁ!」などとハイテンション歓喜……してたら怖すぎるので楽しみに待ってたが、さすがのアメコミ系YOUTUBERや考察勢は全員エル・ムエントをスルーしたので少しガッカリした。そりゃそうか、マダム・ウェブは重要なサブキャラだし今後のマルチバース展開を可能にするソニーにとっても重要なキャラなのでSPUMC好きなら、ある程度期待する人が居てもおかしくはない。だが「エル・ムエントに期待する奴」なんているか?もしそんな奴がいたらアメコミ好きとはとても思えないしソニーに良い顔したい要素しか出てこない。だからこそアメコミ考察勢はエル・ムエントを無視せざるを得ない。
それにしても「スパイダーマンの原作コミックで60年間に2回しか登場した事のないプロレスラー、エル・ムエルト」に比べたら「ピーターが住むアパートの大家の実写映画化」「デイリービューグル社員の実写映画化」などの方が何千倍もスパイダーマン映画と言える。このエル・ムエントみたいな「スパイダーマン映画」が可能なら、ソニーが作りたいSFなりホラーなりの強いキャラを作って、膨大な原作からそれに当てはまる適当なマイナーキャラを持ってきて「次の映画もスパイダーマン関係あるよ!」と公開すれば普通に映画公開するよりもヒットする。そしてポストクレジットでヴェノム2とか本作みたいに「スパイダーマンが出るかも……」という要素を匂わせればアメコミ考察勢の人達が勝手にヤバがって、おもんない映画を盛り上げてくれる、安定の集金システム。

🦇スパイダーマンを匂わせる事だけで、かっぱいでいくSPUMC
その「スパイダーマン匂わせ」は本作でも顕著で、まず予告編で既に『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)の敵バルチャーを早々に……一年前から見せていた。他にはモービウスが街を歩くシーンでサム・ライミスパイダーマンのポスターが貼ってあったのでアメコミ考察勢は「どういう事だ!?『モービウス』はサム・ライミの世界なのか?いや、サム・ライミ版の映画ポスターだからサム・ライミスパイダーマンをフィクションのキャラとして認識してる世界か!?」等と何時ものように盛り上がっていたが、いざ本作が公開されたら「サム・ライミスパイダーマンのポスターが貼ってあるシーン」などはカットされてた。他にもあった気がするし『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021)でも、そういうのあった気がするが忘れた。殆ど詐欺に近いものがありますよね……。まぁこのSPUMCはそんな感じです。
なお先月、MCU総合責任者ケヴィン・ファイギが迷走を続けるソニーに「先走りすぎないようにして……」と注意した。
🦇ネットミームとなったモービウス
本作は公開されたのが、MCUの過去のスパイダーマンが勢揃い!という20年間のスパイダーマン映画を総決算したかのような実写版スパイダーバースとも言えなくない『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)の後に公開されたのもあって、20年前のアメコミ映画のテンプレまんまの内容や後の事を何も考えてなさそうな、いい加減なマルチバース展開のせいかアメリカ本国ではいじりの対象となった。「『モービウス』のチケットを車に置いてたら窓を叩き割られて『モービウス』のチケットが増えてた!」「『モービウス』劇中でモービウスが”It’s Morbin’ Time!”と叫ぶシーンが最高!」などの書き込みが大バズリした。そして「『モービウス』が凄まじい高評価!」などの褒め殺しコラが作られ、大手企業のSNSアカウント(Twitter、KFC)も『モービウス』をいじりだし完全にネットミーム化した。
ネットでの異常人気を受けた一部劇場が週末の2日間、『モービウス』を再上映した。
まぁ確かに2日だけならモービウスいじりしてる奴らが面白がってネタで観に行くと考えても不思議ではない。でも普通に誰も観に行かなかった。
そしてモービウス勢は「週末は皆、風呂に入ったり忙しかっただけです」と再々上映を訴えた。モービウス勢はモービウスが好きなわけではなく、ただモービウスが死ぬまで『モービウス』をいじりたかっただけだったのだ。

ネタバレあり

 

 

 

 

🦇脚が不自由なマイケル・モービウスジャレッド・レト)は、幼い頃に医療施設で兄弟同然に育ったマイロ(マット・スミス)や自身の難病を直すため医療の道に進み、成長したモービウスは天才医師となり資産家であるマイロからの支援を受け研究に励んでいた。
モービウスはコスタリカの蝙蝠から採取した吸血器官を人間の細胞と組み合わせて血清を生成。余命いくばくかもないモービウスは自らに血清を打つ。すると人の生き血を求める吸血鬼のような蝙蝠の能力(怪力、超音波、滑空)を持つ超人となってしまった。だが同時に一定時間ごとに人の血液を飲まなければ死ぬ身体になってしまった――

そんな話。最初に生い立ちを見せて、MARVEL……特にスパイダーマン系でありがちな科学者が実験の失敗で超人化というオリジン。そしてそれをうらやんだマイロも血清を打って邪悪な吸血鬼になってしまいバトル……という今までアメコミ映画で何十回くらいくらい繰り返された「悪いバージョンの自分と戦う」というラスト。
本作を観て「2003年の映画みたいだな」「どこかで観たことあるな」と思うのは、このアメコミ・ヒーロー映画のテンプレがマジで何十回も繰り返されたせいだ。あまりに繰り返しすぎて飽きられたのでMCUとかは最近このテンプレ使わなくなってるしね。
ソニーは割と保守的なのかテンプレ通り作る傾向がある。好評だった『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018)も、グラフィックがめちゃくちゃ綺麗でマルチバースと師匠のピーターBという装飾されてたもののメインストーリーは『スパイダーマン』(2002)の焼き直しだったからね(蜘蛛に刺されて叔父さんが死んで覚悟が決まるオリジン)。
そんな感じのアメコミ映画のテンプレ通りだったから20年前のアメコミ映画みたいではあったが、良い評判まったく聞かなくてハードルが下がりきってたのもあるかもしれないが本作は割と面白かった。難病のマイケルとマイロの出会い、マイケルとマイロのBLっぽい関係性(モービウスが彼女とキスしてるのを遠くのビルの屋上からマイロがねっとりした目で見てるシーンとか最高)、割とメインキャラがどんどん死んでいく思い切りの良さ、幻想的なエフェクトのアクションなど。万年中二病ジャレッド・レトもモービウスのキャラがハマってて「結構いいじゃん!」と思った。ヴェノムより好きかもしれん。正直「どうせつまんないだろう」と思って観たけどモービウスの意外な面白さ、モービウスのカッコよさに気付かされたので、観ないとわかんないもんですね。
モービウスは最初に吸血鬼になった時に、我を忘れてたという事もあるのだが襲ってきた傭兵たちを皆殺しにしてしまう罪を負ってしまう。だがその後は「こんな血清はアカン!」と処分しようとするが血清を欲したマイロが暴走して騒ぎになってしまう。モービウスは自分ごとマイロを殺して血清をこの世から無くそうとしてるし一応ヒーロー。
最初にモービウスが皆殺しにする傭兵たちも、モービウスの恋人である女性医師をめちゃくちゃ罵倒して「こんな奴らは殺されても当然」と観客に思わせる嫌な奴感を出してた。そしてその後、モービウスを逮捕しようと追う刑事が「傭兵たちを殺したのは別にいい、どうせ犯罪者同然のクズ達だしな」等と「モービウスが殺したクズっぽい傭兵は、本当に悪い奴らだったんですよ。だからモービウスが殺したのは気にするな」と凄く丁寧に説明してた。もし今後モービウスをヒーローにしていった時に「罪もない者を殺した」とか叩かれないように丁寧にやってますね。
でもモービウスは何で自殺しなくても平気になったのかよくわかんなかった。彼女の血を飲んだからOKなのか?いやまた喉が乾くはず。あと難病の少女はどうなったん?
別にもう一回観ようとかは思わないが、最後まで楽しめるほどには面白かった。
だからアメリカ本国であんなにいじられてたのは少し可哀想だと思った。モービウスがというよりソニーのいい加減な展開に対してのリアクションだったのかもね。

 

🦇ポストレジットは予告編で観た通りバルチャーが出る。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)で、ドクター・ストレンジマルチバースを開いた時(または閉じた時?)の作用で「スパイダーマン=ピーターを知っている」バルチャーがこのSPUMC世界に来てしまう。ストレンジはその後「スパイダーマンの正体を知っている者の記憶を消す」魔法も行ってたがバルチャーが忘れたのかどうかはよくわからん。
そしてバルチャーは、バルチャー飛行装備を装着して、モービウスを打倒スパイダーマンに誘う。
バルチャーはスパイダーマンの正体を忘れてしまったのか、バルチャーがどうやってアベンジャーズがチタウリを倒していないこの世界で地球外の技術で作った装備を入手できたのか、バルチャーが言うスパイダーマンは誰なのか、改心したはずのバルチャーや善人のモービウスが何故スパイダーマンを狙うのか、全てよくわからない。
色々、推測することは出来るが多分ソニーは「スパイダーマン vs.シニスター・シックス」をやりたくて、その準備はしたものの辻褄合わせは深く考えていないと思うので考察しても一切無駄なので考えるのをやめた。MCUで一番好きだったバルチャーが元の小悪人に戻ってSPUMCに生贄に出されて残念な気持ちになった。

 

 

 

 

そんな感じでした

〈SPUMC作品〉
『ヴェノム』(2018)/2000年代の古いアメコミ映画みたいだったがトム・ハーディと元カノカップルの魅力が高かった⚫ - gock221B
『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021)/前作とほぼ同じ話だったが主人公の元カノの婚約者ダンの魅力がすごい⚫🔴 - gock221B

 

MCUの関連作〉
『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)/すごく良かったがピーターが私生活で約束を破り続けるのでヒヤヒヤする 🕷 - gock221B
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)/てんこ盛りで最高に面白いが、中盤の余計な曇らせで後半のお祭りの味しませんでした🕷️ - gock221B
🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇

Morbius (2022) - IMDb
www.youtube.com

モービウス

モービウス

  • ビタ・アヤラ, マルセロ・フェレイラ, ロベルト・ポッジ & 中沢俊介
  • 青年
  • ¥2,200

『グレイマン』(2022)/素敵過ぎるゴズリングとアナ・デ・アルマスが「シンプソンズ」の邪悪なフランダースみたいなクリエヴァを何度もシバく痛快作👤


原題:The Gray Man 監督&制作:アンソニー・ルッソジョー・ルッソ 脚本:ジョー・ルッソ、クリストファー・マルクス、スティーヴン・マクフィーリー 原作:マーク・グリーニー『グレイマン』シリーズ 製作会社:AGBOほか 配給:Netflix 製作国:アメリカ 上映時間:122分

 

 

MCU『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)で鮮烈にデビューして、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)など着実に大ヒットさせ、11年に渡るサーガのクライマックス『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)を世界で最も超絶ヒットした映画にしたルッソ兄弟Netflix映画。
Netflix作品はもうすっかり「期待して再生させる力はあるが作品の後半になると殆ど保守的でつまらない作品ばかりそれが普通」って印象になってしまったが本作は『ストレンジャー・シングス 未知の世界』『アイリッシュマン』(2019)など同様に特別待遇作品なので当然面白い。配信の数日前に劇場でも上映してるし。観ながら「面白い……Netflix作品じゃないみたい」と思ってしまった。

マーク・グルーニーのポリティカル・アクション小説『グレイマン』シリーズの映画化。公開数日で既にシリーズ化やスピンオフ制作が決定した。

ネタバレあり

 

 

 

 

CIAエージェント、コードネーム"シエラ・シックス"ことコート・ジェントリー (ライアン・ゴズリング) 。連邦刑務所で服役していたところを当時のCIA本部長ドナルド・フィッツロイ (ビリー・ボブ・ソーントン) にスカウトされ、18年経った今では強力な戦闘力を持ったレイマン(誰でもない男)へと成長したエージェント。
フィッツロイは身寄りのない犯罪者をエージェントに育てる”シエラ”という部隊を作っていた。
ある日、シックスは新CIA本部長デニー・カーマイケル(レゲ=ジャン・ペイジ)の指令で暗殺任務をこなすも標的は自らを”シエラ・フォー”と名乗りカーマイケルの企みが記録されたマイクロチップをシックスに手渡して死亡。
チップを持ったシックスも、カーマイケルに不信を抱いた女性エージェント、ダニ・ミラン (アナ・デ・アルマス)もCIAから逃走、追われる身となる。
シックスを殺してチップを奪うため、カーマイケルは凶暴すぎてシエラを以前クビになったフリーのエージェント、ロイド・ハンセン (クリス・エヴァンス)に、直属の部下スザンヌ・ブリューワージェシカ・ヘンウィック)を見張りに付けジェントリーに差し向ける――

そんな話。
「男性エージェントと女性エージェントが毒された自分たちの上層部に反感を抱いて逃亡し、敵の暗殺者と街中で派手に闘いながら上層部の悪事を暴く……」という、ルッソ兄弟出世作『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)と殆ど同じ映画と言っても過言ではない。ルッソのMCU作品はどれも好きだが『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)は一番好きなので嬉しいぞ。武術の達人が出てくるところなども似た要素だね。
どちらもポリティカル要素とド派手な戦闘シーンがウリだが、ポリティカル要素は『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)の方が高く、ド派手な戦闘シーンは僅かに本作の方が高いかも?名作『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)はスーパーヒーローコミックの映画化だし「戦闘機を素手で墜落させるキャップ」「敵は冷凍睡眠の超人兵士」「インサイト計画」「組織が悪の組織に乗っ取られていた」「磁気テープになって生きながらえた敵の科学者」……など、一つ一つは荒唐無稽でコミック的なのだが作品全体を観ると妙にリアリティがある作品だった。本作の場合、主人公だけにシックスが強すぎるもののシックスは人間らしい怪我を負って治療したり現実世界を舞台にしているのだが不思議と『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)よりも荒唐無稽な印象が強かった。『ジェームズ・ボンド』シリーズや『ミッション:インポッシブル』シリーズ『ジョン・ウィック』シリーズなどもそうか。なまじスーパーヒーローじゃない人間が主人公なのに、スーパーヒーローみたいな活躍された方がスーパーヒーロー映画よりも荒唐無稽に思えるのかも?
まぁ、いい、それと荒唐無稽というのは別に貶してるわけじゃない。
本作の場合、世界で最も素敵な男ライアン・ゴズリングがシックスを演じていて劇中で色んな素敵な活躍を見せる。
相棒を演じるアナ・デ・アルマスも世界で最も美しいし、敵のロイドを演じてるのはキャップ役だったクリエヴァだ。ロイドの見張りを演じるジェシカ・ヘンウィックも非常に美しい(好きなので大作が多くて嬉しい)。年配の協力者も非常に自己犠牲的な協力を見せる(2人も同じ死に方を……この役一人でよくない?)。シックスの恩人とその難病の美少女の姪も人質になっている。シックスは少女を救う。ちなみに敵のカーマイケル本部長は性格も悪い悪人だしロイドも幼稚なサイコパス……と「ただ悪いだけの悪」といってもいいくらいシンプルな悪。あ、あとインド人の高潔な精神の最強のエージェントも出た。
そんなこんなで作品全体の要素が非常に良くも悪くも荒唐無稽なんですよね、「一昔前の大学生向けの骨太アニメっぽい」と言ってもいい。それで主人公シックスが甘い魅力ありすぎるゴズリングで、素敵な活躍をしてはウインクしたり少女を命懸けで救ったりするから、めちゃくちゃ面白い良い映画だったけど、終わり頃ちょっとだけ恥ずかしくなった。「ちょっと綺麗な要素いれすぎやろ」って。難病美少女との『カリオストロの城』みたいな触れ合いとか……この美少女の存在は無かった方がよかったかも。

 

 

そんなこんなでゴズリングが素敵なのは観る前から想像した通りだしダニ(アナ・デ・アルマス)のコンビも『ブレードランナー 2049』(2017)のあの2人が『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)のキャップ&ナターシャを思わせるコンビっぷりで、想像通りの良さだったが、前述した通り本作は面白いのだが綺麗な要素が多すぎたせいか意外と本作のクリエヴァ演じる小悪党ロイドが良かった。クリエヴァ『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』(2019)の時と同じく卑劣なキャラ。キャップを思い出すので良い奴の役は今後もなかなかやれんだろう。クリエヴァの場合、真面目なキャップ役が例外で、元々こういうチンピラみたいな役のイメージが強かったので違和感もない。
このロイドは拷問大好きでCIAのお墨付きでもう無茶苦茶やる。用が済んだら殺すつもりで難病の少女を人質にするし、シックスを狙う作戦中に市民が居ても街中で銃乱射したり警官隊ごと皆殺しにして街が壊滅状態になる……というちょっと映画でもさすがに観れないレベルの無茶苦茶さだ。
中盤の街中でのシックス&ダニとのチェイスが本作で一番面白いところだったが、本当に有り得ない荒唐無稽さ、でもこれは前述の荒唐無稽さとは違って良い意味での荒唐無稽だ。

 


それでいて敵ロイドは凄く幼稚で癇癪持ち。いじめっ子の幼児がそのままデカくなった感じ。それらが相まってロイドの悪事が妙に痛快なんですよね。ゴジラが街を破壊する時の快感か?
で、そう書くとロイドが強そうなのだがロイドは全てにおいてシックスより弱い。というかダニにもやられるし。そもそもCIA半年でクビになった奴だからね。手段を選ばん無茶苦茶な奴だから今回起用されただけという。あと政治の影響か、黒幕の権力者が幼稚で感情的で杜撰であればあるほど「リアルな映画だ…」と思う逆転現象が起きてるな。
ロイドが後先考えない無茶な作戦して、お目付け役のジェシカ・ヘンウィックが美しい顔で生徒会長的に小言を言う。そしてロイドの作戦を素敵で強すぎるシックスが難なく制圧する……くやしがるロイド、といった事の繰り返しもまた良い意味での荒唐無稽さだった。でも癇癪を起こしたロイドがガミガミ叱るジェシカ・ヘンウィックのキャラを発作的に殺してしまうのをビクビクしてた。
悪役なので観てる間は「早く死ね!それに引き換えシックスは素敵……」と思ってたのだが観終えてしばらく経つとロイドの魅力ばかり思い浮かぶ。他の高潔なキャラ達と比べて人間味があるせいだろうね。白いピチピチパンツにポロシャツにチョビ髭という休日のお父さんみたいなスタイル……それでいてムキムキなので独特のダサさが良い。

 

 

なんだか全く褒めてないかのような感想になったが最初から最後まで飽きずに面白いままだったよ。カッコいいアクションもいっぱいだし(ちょっと夜間のアクションが見えにくすぎるが)。ただ観終わって「あぁ面白かった~欠点ないんちゃう?」と思うが、何十分か時間が経つと、ちょっと綺麗過ぎる感じが若干照れくさくなった。ゴズリングも素敵だ好き~と思って観てたがラストまで来ると「あまりに素敵すぎて逆にダサい」という見たことない領域に突入してしまった感がある。そうなるとクリエヴァのチンケなろくでもない敵の方がよく思えてくる。
今後も楽しみだ。スピンオフはアナ・デ・アルマスなのかインド人俳優ダヌーシュ演じる高潔なキャラか?わからんが楽しみだ。順当に考えるとアナ・デ・アルマスか。

 

あっ思い出した。シックスとロイドの素手のラストバトルで、遠くからスナイパーライフルで狙ったダニが「話を引き伸ばして、撃ち抜く」と言ったまま、2人が殴り合い始めても、途中で2人が離れても一向に撃たずそのままバトルが終わってエピローグになるまで二度と出てこなかったのは何だったの?ライフル構えたまま寝たのか?
あとアナが、シックスを襲うロイドのケツ撃って気絶させた時なんでロイドを殺さなかったのかも全く意味がわからない。別にロイドを尋問するわけでもないし。ロイドを殺さなかったせいで一体どれだけの人が死んだのか。

 

 

 

 

そんな感じでした

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)/この世に白と黒はなく灰色だけが在る事を描いたヒーローの内戦👱 - gock221B
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)/予想を裏切り期待に応えるMCUの到達点🎨 - gock221B
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)/なんで真田広之すぐ死んでしまうん?🎨 - gock221B
『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)/MCUで一番何回も観返してるのはこれ👱 - gock221B

👤👤👤👤👤👤👤👤👤👤👤👤👤👤👤👤👤👤👤👤👤👤👤👤👤👤👤👤

グレイマン | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
The Gray Man (2022) - IMDb

www.youtube.com

www.youtube.com

Amazon: 暗殺者の正義 (ハヤカワ文庫 NV)
Amazon: 暗殺者の鎮魂 (早川書房)
Amazon: 暗殺者の復讐 (ハヤカワ文庫NV)
Amazon: 暗殺者の反撃 上 (ハヤカワ文庫NV)
Amazon: 暗殺者の反撃 下 (ハヤカワ文庫NV)
Amazon: 暗殺者の飛躍 上 (ハヤカワ文庫 NV)
Amazon: 暗殺者の飛躍 下 (ハヤカワ文庫NV)
Amazon: 暗殺者の潜入 上 (ハヤカワ文庫NV)
Amazon: 暗殺者の潜入 下 (ハヤカワ文庫NV)
Amazon: 暗殺者の追跡 上 (ハヤカワ文庫NV)
Amazon: 暗殺者の追跡 下 (ハヤカワ文庫NV)
Amazon: 暗殺者の悔恨 上 (ハヤカワ文庫NV)
Amazon: 暗殺者の悔恨 下 (ハヤカワ文庫NV)
Amazon: 暗殺者の献身 上 グレイマン (ハヤカワ文庫NV)
Amazon: 暗殺者の献身 下 グレイマン (ハヤカワ文庫NV)

#sidebar { font-size: 14px; }