gock221B

映画やドラマの感想ブログ 😺🐱 殆どのページはネタバレ含んだ感想になってますので注意 😺 短い感想はFilmarksに https://filmarks.com/users/gock221b おしずかに‥〈Since.2015〉

2018年の日本公開映画&ドラマのBEST5を一年経ってやっと決めることができた🎬📺


もう2019年も終わりを迎えて2019年ベストや2010年代ベストを決めるべき時期なんだが、その前に「観たかった2018年の日本公開映画&ドラマ」をやっと全部観たので去年のベスト10を今頃決めました。あと「スリー・ビルボード」一本だけ残してて決められなかったのだが先日観たら凄い傑作だったので三位に差し込んだ。もっと早く観ればよかった。ドラマはあんまり本数観ないし観ても途中で止めちゃうことが多いので一緒くたにした。あと映画館で観たものも動画レンタルや映画配信サイトで観たものも巨大モニターで観たものもスマホの小さい画面で観たものも全部一緒くたにして考えた。客観的評価よりも好き度を優先したもの。気が変わったら後で更新して変更したりするかもしれん(チラ裏個人ブログなんで‥)。
太字になった各作品タイトルは感想記事にリンクしています。上から大体好きな順番なので上のものほど好き、下に行くほど好きじゃない。

 

 

 

2018BEST10
01:映画ヘレディタリー 継承 (2018)」 👑👑 ※映画ドラマ合わせた一位
01:ドラマデアデビル〈シーズン3〉(2018)全13話」 👑 ※同列一位
03:映画スリー・ビルボード (2017)」 👑
04:ドラマGLOW: ゴージャス・レディ・オブ・レスリング〈シーズン2〉(2018)全10話 Netflix
05:映画アベンジャーズ: インフィニティ・ウォー (2018)


5位から漏れた好きな映画
映画ブラック・パンサー (2018)」、映画ラッキー (2017)」、映画呪われた死霊館 (2018)」、映画レディ・バード (2017)」、映画ミッション:インポッシブル/フォールアウト (2018)」、映画インシディアス 最後の鍵 (2018)」、映画MEG ザ・モンスター (2018)」、映画アンダー・ザ・シルバーレイク (2018)」、映画アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル (2018)」、映画ボヘミアン・ラプソディ (2018)」、映画オーシャンズ8 (2018)」、「イコライザー2 (2018)」、映画おとなの恋は、まわり道 (2018)」、映画デッドプール2 (2018)」、映画ドラゴンボール超 ブロリー (2018)」、映画カメラを止めるな!(2018)」、映画ブッシュウィック -武装都市-(2017)」、映画死霊館のシスター (2018)」、映画アントマン&ワスプ (2018)」、映画デス・ウィッシュ (2018)」、映画キングスマン:ゴールデン・サークル (2018)

 

 

普通(好きなところと嫌いなところが半々だったもの)
映画15時17分、パリ行き (2018)」、映画ディザスター・アーティスト (2017)」、映画ボーダーライン ソルジャーズ・デイ (2018)」、映画ウインド・リバー (2017)」、映画アリー スター誕生 (2018)」、映画search/サーチ (2018)」、映画クワイエット・プレイス (2018)」、映画ヴァレリアン 千の惑星の救世主 (2017)」、映画ザ・プレデター (2018)」「ジェラルドのゲーム (2018)」、映画ダウンサイズ (2017)」、映画ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー (2018)」、映画リメンバー・ミー (2018)」、映画ヴェノム (2018)」、映画インクレディブル・ファミリー (2018)」、映画アナイアレイション -全滅領域- (2018)」、映画クローバーフィールド・パラドックス (2018)」、映画ジム&アンディ (2018)」、映画バード・ボックス (2018)」、映画RAW~少女のめざめ~ (2016)」、映画機動戦士ガンダムNT (2018)

 

 

イマイチ(嫌いな部分の方が多い作品)
映画シュガー・ラッシュ オンライン (2018)」、映画トゥームレイダー ファーストミッション (2018)」、映画ニンジャバットマン (2018)」、映画シェイプ・オブ・ウォーター (2018)」、映画ダーク・タワー (2017)

 

 

 

そういう感じです。観たけど感想書いてないものも多い気がするので思い出せるものだけ順位に入れたりしたがそれでも思い出せないものは、どうせ大して好きじゃないのでもうこれでいい。
一番つまんなかった映画は「ダーク・タワー (2017)」なのでこれをワースト1にしようと思ったが知名度ないものをワーストにしてもつまんない、こういう時はヒットしたり評価されたものをワーストにした方が面白いので、優れたところもあったが嫌いなところがめちゃくちゃ多かったアカデミー最優秀作品賞受賞作品「シェイプ・オブ・ウォーター (2018)」がワースト1って事にしよう。これは面白くなかったり駄目な映画ってわけじゃないけど僕はめっちゃ嫌い(でもデルトロ本人や、こういうジャンル映画が賞を獲ったこと自体は良いと思う)。

 

 

 
Best
1位「ヘレディタリー 継承 (2018)」は2018年っていうか2010年代の10年間の映画の中でも一番好きだし、下手したら全部の映画の中でベスト3に入るくらいに好きなのでこれで決まりです。「デアデビル〈シーズン3〉(2018)」と3位「スリー・ビルボード (2017)」と「GLOW〈シーズン2〉(2018)」などもへレディタリーさえ無ければ一位にしたいくらい好きだった。
ラッキー (2017)」はハリー・ディーン・スタントンの遺作となった主演作で内容もモロに死を意識した独居老人の暮らしぶりの映画。たまに死の事が頭によぎって怖がるシーンはあるものの基本的にカラッと乾いてて好きです(アメリカの良い面)。年寄りが主人公の映画は少ないだけに「自分が孤独死する時の参考にしよう」と前向きに捉えた。
MEG ザ・モンスター (2018)」は中国ヨイショが強すぎるし内容も10年前の映画みたいに古いし、こんな上位に来る映画じゃないんだけど主演ジェイソン・ステイサムの凄い強さや活躍ぶりが丁度いい感じで楽しめたのでステイサムの中国出張アイドル映画として好評価。「エクスペンダブルズ」や「ワイルドスピード」の方が映画も良いしそれらに出てるステイサムも良いんだけど、それらはステイサムがメインではない。その点「MEG」だとステイサム出ずっぱりなのでステイサムポイントがポイントを稼いだ。「世界的風潮やリテラシーや流行から離れた、何も考えてないアホみたいなものが観たい」というならこれだ。

 

 


ホラー映画
Netflix映画は「悪くないけど凄く良いわけでもないな‥」と思うものが多いけど9位に選んだ「呪われた死霊館 (2018)」は「死霊館」をパクったふざけたタイトルにさせられてるのが気の毒なくらい凄く良かった。ジェームズ・ワン制作の幽霊屋敷系ホラー映画として始まっていき徐々に「悪魔のいけにえ」的な田舎狂人ホラーの要素も合わさってくる感じで良かったです。主演のフローレンス・ピューはこれで初めて観て好きになったけどピューさんはWWEペイジの半自伝映画「ファイティング・ファミリー (2019)」が現在公開中。そして来年公開される「ブラック・ウィドウ (2020)」「ミッドサマー (2019)」「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 (2019)」これらは全部ヒットして好評価が約束されてるので確実にスターになる子なので今のうちにチェックして欲しい。ちなみに若草物語は8位「レディ・バード (2017)」の監督主演コンビによる映画なので絶対面白いだろう!と、若草物語を全く知らん僕も期待してる感じです。この「呪われた死霊館」は全然人気ない気がする。ネットで検索しても評価高くない(というかホラー映画は観方がよくわかってない人が「こわくない」などの意味のわからん妄言とともに低評価しがちなのでホラー好きな人以外の評価は殆ど全て参考にならない)。今のトレンドはジェームズ・ワン制作ホラー、スティーブン・キング原作ホラー、五感封印ホラー(目が見えないとか喋っちゃ駄目とか)この3つだが、本作はこの3つが流行る以前の‥狂人ホラーもの?って事になるんだと思うが普通に面白い。
インシディアス 最後の鍵 (2018)」と「死霊館のシスター (2018)」は、「死霊館」ユニバースを構築して「アクアマン」「ワイスピSky Mission」など何撮っても大ヒットするジェームズ・ワン制作のお馴染みのシリーズ。シリーズ4作目の「インシディアス 最後の鍵」はインシディアスおばあちゃんの少女時代と現在が交錯するというジェームズ・ワン制作のホラー映画の中でも一、二を争う面白い作品だった。「何十年感も幽霊だと思ってたら実は‥」という新しい大ネタも最高。インシディアスおばあちゃんは一作目で死んでるのに4作目まで作られてるのが凄いよね。「誰も怒らんと思うから何とか理由つけて生き返らせたら?」と思う。正直、死霊館ユニバースは飽きてきたので、この「インシディアス」シリーズの方が好きだ。「死霊館のシスター」は「死霊館」シリーズに出てきたシスターの姿をした悪魔ヴァラクが出てくるスピンオフ(「アナベル」シリーズみたいなもん)。場所も限定されてて登場人物も少なく、かなり地味。だから評価は決して高くないようだが僕は結構好き(でも「エクソシスト3」の有名すぎるシーンをパクったのはどうかと思う)。
〈声を出したら終わり〉「クワイエット・プレイス (2018)」、〈見たら終わり〉な「バード・ボックス (2018)」など昨今流行ってる〈五感封じホラー〉も多かった。だが、これらは悪魔的な前述のホラーほどハマらないケースが多い。これら五感封じホラーはどれも「怪異そのものじゃなくてホラー表現をダシにして家族愛を描く」ものが多い。人間ドラマもいいけど俺は、それよりも怪異の方にクローズアップして欲しいからイマイチはまらないのかも。そういう意味では「ヘレディタリー 継承」は、やはり全ての要素が満点でキングだ。

 

 

 

アメコミ映画&ドラマ
年々増えていくアメコミ映画。「デアデビル〈シーズン3〉(2018)」「アベンジャーズ: インフィニティ・ウォー (2018)」「デッドプール2 (2018)」「ブラック・パンサー (2018)」「アントマン&ワスプ (2018)」「キングスマン:ゴールデン・サークル (2018)」「ヴェノム (2018)」「ニンジャバットマン (2018)」‥と凄く多い。アメコミ原作ではないが「アメコミ映画っぽい映画」として「インクレディブル・ファミリー (2018)」もあった。
デアデビル〈シーズン3〉(2018)」。アメコミのドラマはどれもシーズン1だけ観て「もういいや」と脱落することが多いがデアデビルはマジで良い。シーズン1と3のどっちが良いかは人によるけど僕は断然3だね。デアデビル/マット・マードックというキャラ自体がMARVELキャラの中でもかなり好きな方なんだが、本作のマットはシーズン1の時はまだしも2以降はちょっと人間的魅力が少ない。その代わり相棒の大柄弁護士フォギーと女性記者カレン・ペイジの魅力が凄い。マットはどうでもよくこの2人が主人公と言ってもいい。シーズン3の元になったコミックでカレンはブルズアイに教会で殺害される。突然挟まるカレンの田舎での「ツイン・ピークス」っぽいホワイト・トラッシュ感あふれる回想。回想が終わると教会、目の前にはブルズアイ!本当に面白い。また原作「ボーン・アゲイン」でキングピンに脅されるベン・ユーリックを思わせる哀れな捜査官の描写も最高。NetflixのMARVELドラマは全部キャンセルになったので続きは作られなさそう。だけど綺麗に終わったからこれで終わりでも良い気がする。カレンは充分ピックアップしたからMCUデアデビルを作る時は、完璧な精神と知能を持ったマット・マードックを作って欲しい。
アベンジャーズ: インフィニティ・ウォー (2018)」はご多分に漏れず僕も熱狂したんですけど、BESTを決める時にアメコミ映画は多いので自分の脳内で票割れしてあんまりガッと上位に来ないところがある。またMCU作品はどれも「サーガの途中」という雰囲気が強いためか一作限りの映画の方が自分の中で評価が高くなりがち。
デッドプール2 (2018)」は1の数倍面白かったし今までの全X-MEN映画の中で最もX-MENっぽかった。正しいジャガーノートも観れたし、余ったから出すことのできたX-MENコロッサスも決して他人を差別しないナイスガイっぷりや本来とても一人では勝てない敵ジャガーノートを倒す大金星も挙げたし、X-MEN本編に出るよりこっちのシリーズに出れてラッキーでしたよね。
ブラック・パンサー (2018)」はもっと上位にすべき素晴らしい映画だったのだが原っぱでワカンダ運動会が始まってしまうラストバトルのせいで大幅に下がってしまっている。ラストバトルのしょぼささえなければ最高。この原っぱでのMCU運動会問題はインフィニティウォーとかエンドゲームにも続くがこの話はインフィニティサーガの記事で続きを書こう。
アントマン&ワスプ (2018)」はキャラも好きだし全編楽しい映画だったんだけど、ここ5年くらいのMCU作品の中で最も新しい要素が何もないMCU作品だった。というか、てっきり本作で量子世界を探検すると思いきやそれは三作目に温存したっぽい。こんなトロい展開はMCUっぽくない。めちゃくちゃ気になる量子世界を放ったらかしにしてゴーストと追いかけっことかしても興味わかないよね。ただ楽しいだけの映画、本来それで充分なんだけどMCUへの期待が高まりすぎてるので、新しい価値観の提示や映画表現がなく楽しいだけだと低評価になりがち。

 

 

🎬そんな感じ。孤立した主人公が平気で生きていく個人主義的なものや、何か新しい価値観を社会に打ち出す作品が好みになってきた。好きなジャンルは昔から「ホラー映画(特に悪魔とか霊)」「アメコミ原作映画」なのでそれらが上位になりがち、‥だけど好きって事は自分の中に好きの基準があるって事なので好きなのは上位になるが外れてるものはめっちゃ下になりがち。たとえば「ニンジャバットマン」は、アニメーションやキャラデザは美しかったのだがバットマンなのに捜査しないしジョーカーなのにバットマンと互角くらい物理的に強いし、アメコミなのに知恵比べせず日本のアニメみたいに根性パワーアップして敵を倒したりして「バットマンの良い部分が全て消してる最低のバットマンだな」といった具合でした。
2019年のベストと2010年代のベストはこんなに遅れず早めに決めたい。全部観に行ける金があれば年末に決められるのだが‥。

 

 

 

そんな感じでした

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『スリー・ビルボード』(2017)/憎しみの連鎖の円環から抜けた者だけが新しい状況を作り出せる🅰🅱🆎


原題:Three Billboards Outside Ebbing, Missouri 上映時間:116分
監督&脚本&制作:マーティン・マクドナー 製作国:イギリス/アメリ

 

 

「これは要チェックや」と思いつつも「娘がレイプして殺されたオバサンが南部のレイシスト警官とかの嫌がらせに遭う」というあらすじ読んだだけで重そうなので後回しにしてた。
だが実際に観てみると懸念してたような胸糞作品ではなく、どちらかというと全編愉快で何よりも傑作だったので早く観れば良かった。どちらかというとマジなだけではなくトラジ・コメディ(悲劇的要素で描写されてるが、その実、喜劇的要素が入り混じって可笑しくなるフィクション)的な映画だった。イーストウッド映画にコメディ要素を増量した感じの‥「へレディタリー/継承」がなければ2018年公開映画ナンバーワンだろう。シリアスで重い映画みたいにSNSで言ってた奴なんなんだよ‥SNSは何でもマジにしか取れない人がいるので自分で観たり読んだり信用できない。というか俺が勝手にそう思っただけか。何でもマジに取る架空の人ごめんね。‥自分で仮定の他人になった自分と会話すること自体が狂いかけてるみたいでやばいのに先に進もう、俺がこれ以上頭がおかしくなって話を続けられなくなるその前に‥。
ソフト出てかなり経つし、今回は久々にあらすじ観たままそのまま書くスタイルでいくので全部ネタバレだから、2つ目のBと書かれた赤い看板🅱まで読んで本作を観たくなった人は続き読むのを止めてレンタル等で視聴することをオススメする。絶対にあらすじ知らずに観た方が面白い。

 

 

🅰

 


未だレイシストの住民がいるアメリカ南部、ミズーリ州の田舎町。道路脇に立つ3枚の立て看板(スリー・ビルボード)に、地元警察署長を罵倒する辛辣かつ簡潔で赤い抗議メッセージが出現する。
娘をレイプされて焼き殺された中年女性ミルドレッド・ヘイズ(フランシス・マクドーマンド)が、7ヵ月たっても一向に進展しない警察の捜査に業を煮やして掲げたものだった。
この真っ赤な看板に大文字の黒ゴシック体で簡潔に三言だけ書かれたスリー・ビルボードが凄く良い。俺だったら「あれもこれも‥写真も‥」等と付け加えてるうちに、ごちゃごちゃ情報が増えて狂人の家みたいになってしまい「狂人の電波看板や‥こわ‥」と見て見ぬ振りされてしまうだろうが、こんなにモダンで簡潔に書かれると「正気で冷静な人が強い意思でしっかり考えてデザインして掲げた」と要素がモロに出ている、これでは優れたキャッチコピーのように無視できない。
名指しされた署長のウィロビー警察署長(ウディ・ハレルソン)は困惑しながらも冷静に対処しようとする一方、実家住まい独身でアホの部下ディクソン巡査(サム・ロックウェル)や町民は、スリー・ビルボードを建てたミルドレッドへの怒りを露わにする。ウィロビーは部下や町の人たちに慕われていたし、何と癌で余命半年なのだ。
「娘が殺されたのは気の毒だが‥長年いつも頑張ってる署長を指してアンタ‥」というわけだ。田舎っぽい人情論ではあるが、諸々把握しないと判断はできない先に進もう。
そんな冒頭数分を観て面白すぎる!と思った。
映画観るまではウディ・ハレルソン演じる署長も部下のサム・ロックウェル演じるディクソン巡査も胸糞だろうな~と気が重かったが、署長は普通に捜査している真面目な署長だった。ディクソンは予想通りのカスなのだがそれは前半の一面的な姿に過ぎず、最初は「カスの一枚の紙」に過ぎなかったディクソンも色んな面を見せて立方体のような人間になっていき俺を飽きさせない。ウディ・ハレルソンサム・ロックウェルも過去の映画で死ぬほど嫌なキャラを得意としていたので本作もきっとそうだろうそんなの観るの嫌だなと勝手に敬遠していた。僕はダメな人間ですね。
署長が嫌な奴ではなく、しかも余命幾ばくもない、というのが本当に上手い。これで「ただの勧善懲悪ではないな」とわかって開始数分で信頼できた。しいて言うなら、署長もミルドレッドの別れた元DV夫も、新しい妻が20前後の若すぎる美女というのが田舎の権力者っぽいカスさを感じたが、少なくとも同意の上なのでまぁ彼らの自由。いま断罪すべきはミルドレッドの娘を犯して殺した悪と差別主義者ばかりで流されやすい町民だ(この町の人というのは言うまでもなく我々のこと)。
ウィロビー署長は困惑するだけだが、署長を尊敬する部下のディクソンや町の人が、ミルドレッドに嫌がらせする(Twitterで言うと有名人の信者がファンネルとなって飛んでくる様を物理的に描写したようなものだ)。しかしミルドレッドおばさんも負けていない。署長の友人である歯医者が、歯の治療に訪れたミルドレッドに麻酔もせずドリルで歯の治療しようとする。「オバサンが危ない!」と思ってたらミルドレッドは素早く歯用ドリルを奪い取って歯医者の親指を貫通!やったぜ!どこからどう見てもミルドレッドによる過剰防衛にしか見えないのだが、野蛮な歯医者が医療パワハラというヤバい案件だし証拠がないので歯医者の手が滑ったことになった。
このシーンもそうなのだが本作は「次の展開はきっとこうなるんだろう」と、こちらが思った展開から常に2、3歩先を行く。「推測の2、3歩先を行く状態がずっと続く」のは一番面白い映画の要素だと思うので正に面白すぎる映画だった(だが映画が苦手な人は意外な展開で衝撃を受けたくないのでこれを嫌がったり先にネタバレ読んだりするらしい。この世を面白くなく過ごすことのできる才能を持った人たちだ)。
‥とか思ってたら署長は休日、女子大生にしか見えない若妻と可愛い娘たちとピクニックして草原で愛を確かめあい、その幸福な一日の最後に署長は厩戸で自分で自分の頭を撃ち抜いた。「今後半年間の辛い闘病生活を、愛する妻子への最後の思い出にしたくない。卑怯な俺を許してくれ」というのが妻への遺書だが、〈スリー・ビルボード〉によるプレッシャーや罪悪感もまた彼の背中を押したのかもしれない。少なくとも、町民にそう思わせようとしている。署長はミルドレッド宛に「ちゃんと捜査していたが犯人を見つけられずすまなかった」と謝罪しつつ「この自殺は君へのちょっとした悪戯心だ。殺されないように頑張れ」と書かれた手紙を寄越す。心からの謝罪と他者を煽る復讐、どちらも署長の本心だ。
尊敬する署長が死んで怒りの持っていきどころがないアホのディクソンは、〈スリー・ビルボード〉を設置した広告屋をボコって窓から墜落させて大怪我させ、それを避難した美しい秘書にも顔面パンチ。ホーリーシッ!だ(関係ないし文句あるわけでもないけど本作のチョイ役の若い女性は全員不自然なくらい美人揃い)。
書くの忘れてたが、出番少ないながらこの広告屋も良いキャラだ。
冒頭、彼が読んでいた本は(俺は読んでないし全く知らないが)文学部の学生の友人に聞いたところ女性の作家フラナリー・オコナー「善人はなかなかいない」だそうだ。 
フラナリー先生は本作同様にトラジ・コメディ的悲喜劇を得意とした作家らしく、本作には、ここで一瞬本が出てきただけではなく彼女の作品からインスパイアされた要素やキャラクターが他にもたくさんあるらしい。友人にそう聞いて興味を覚えたが俺自身は全く読んでないのでこの話はこれで終わりだ。それを書いたサイトとかあるだろうからそっちを読んでくれ。フラナリーさんの本は後日読んでみようと思った。フラナリー・オコナー全短篇〈上〉 (ちくま文庫)
話をもとに戻す。ディクソンによる広告屋への暴行を見た、ウィロビーの代わりに新しくやってきた黒人の立派な署長はディクソンを問いただすが、黒人への差別的感情を隠そうともしないアホのディクソンをその場でクビにする。やはりレイシストだが息子を愛している母と二人暮らしの家に帰宅したディクソンはどこかに出かける‥。その夜、何者かが〈スリー・ビルボード〉に火を放った。その夜ディクソンは署長から自分宛ての遺書を読みに夜の警察署で、それを読んでいた。手紙は「お前はアホで粗野だが、本心では良い警官になろうと思ってるの。署長、知ってるよ?」という優しい手紙だった。同時刻「アホのディクソンがスリー・ビルボードに放火した」と確信したミルグレッドは警察署に電話をかける。ディクソンはヘッドホンで音楽を聞きながら手紙に夢中なので電話に気づかない。無人だと思ったミルグレッドは安心して警察署に火炎瓶を数個投げて火を放つ。‥それにしても火炎瓶たった数個で警察署があそこまで炎上するとは‥火炎瓶の威力を思い知った(そしてオマワリに特別恨みがあるわけではないのだが警察署が燃えるのを見て何故か笑みを浮かべる自分をもう一人の自分が不思議そうに見ていた)。まぁとにかくディクソンは火だるまになって屋外に飛び出す。警察署は無人だと思っていたミルグレッドは驚く。まもなく消防車とパトカーが急行し新署長は当然、現場に居たミルグレッドを疑うが、ミルグレッドを応援していた小人症の男ジェームズ(ピーター・ディンクレイジ)が彼女を庇って罪には問われなかった。
全身火傷で入院したディクソンの隣には、彼が先日窓から落として重体に追いやった広告屋が寝ていた。ディクソンは泣いて謝るが広告屋は怒りでプルプル震えている。ディクソンは「やばい‥寝てる間に復讐されるかも‥」と怯えて半泣きになり弱者の気持ちを思い知る。
ここまでの‥いや全編を通して流れる衝撃的な展開の数々‥当人たちにとっては悲劇だがはっきり言ってかなり可笑しい。展開も間の取り方も全部コント。日本は知らんがアメリカの劇場ではきっと笑いに溢れてただろう。
 

 

🅱

 

 

「復讐の連鎖によるデススパイラルが止まらない‥!」と、思ってたら広告屋は怒りを抑えて手が動かせないディクソンのためにオレンジジュースを注いでくれる。てっきり復習されると思ったディクソンは半泣きで驚く。
流れが変わった。憎しみの連鎖を〈スリー・ビルボード〉を作成した広告屋が止めた。
ミルグレッドは〈スリー・ビルボード〉の黒人デザイナーが持ってきてくれた予備の広告を貼って炎上した〈スリー・ビルボード〉を修繕する。看板の費用は自殺した署長が出してくれていた、親切心だけではなく町民がミルグレッドを恨むようにという複雑な心境からだろう。ディクソンによるミルグレッドへの嫌がらせで逮捕されたミルグレッドの親友兼同僚も釈放されて駆けつける。先日、ミルグレッドの放火の罪を庇ってくれた小人症の男ジェームズも看板の修繕を手伝う。数は少ないがミルグレッドを応援する人たちが〈スリー・ビルボード〉の元に集まった‥。
そしてミルグレッドは助けてくれたジェームズと約束通りデートする。
店には別れた元DV夫と若すぎる新恋人がいた。元夫はミルグレッドと小人症のジェームズを侮辱し「スリー・ビルボードを燃やしたのは自分だ。ムカついたからな」と言い放つ。もともと仏頂面だったミルグレッドは爆発寸前。そしてジェームズもまた「君はずっと仏頂面だし、そもそも最初から最後まで小人の俺をずっと見下している!気のそんな態度には我慢ならん!」と涙ながらに訴え彼女の元から立ち去る。ミルグレッドは最初から無理解な町民に反抗する被害者だったからわからなかったが彼女も大正義というわけではなく、このレイシストばかりの南部の田舎町の住人の一人だったと判明する。ミルグレッドと他の町民との違いは娘が侵されて殺されたこと、そしてそれに対して泣き寝入りせず立ち上がったこと、その差は大きいが逆に言えばそれだけだ。元夫によって命の次に大切な〈スリー・ビルボード〉を感情的に燃やされ、自分を慕っていたジェームズにも立ち去られたミルグレッドは酒瓶を持ってフラフラと元夫とアホの若い恋人の元に行く。どちらかの頭をかち割るのかと思ったら彼女もまたディクソンを赦した広告屋同様、どうしようもなく自分をDVしてた元夫に酒を手渡して許す。別に元夫がこれで改心するとも思えない、だがそうしない事には改心する切っ掛けすらない、だからオバサンがしたのだろう。
またしても憎しみの連鎖が断ち切られ、これでもう完全に映画の流れが変わる。
退院して無職の子供部屋おじさんとなったディクソンは、バーにて「若い女性をレイプして燃やした」と言ってる「ミルグレッドの娘を殺した」と思われる、ろくでもない白人をバーで見かける。ミルフレッドの店にも嫌がらせで来た正体不明のカス白人だ。ディクソンは彼に絡んでボコボコにされるという自己犠牲によって、男のDNAと彼のアイダホの住所を入手してミルグリッドと自分をクビにした新署長に教える。
果たして、このクズ白人は本当にミルグリッドの娘を犯して殺した犯人なのか?
‥面白すぎて久々に「観た展開そのまんま書く」というアホみたいな感想を書いてるうちに終盤まで書いてしまった。
ここまで観て俺は「このクズ白人が犯人じゃなきゃいいな~」と思った。
もちろんこの白人が犯人でミルグリッドとディクソンがブッ殺して復讐したらスッキリする。だがスッキリしてどうする?本作はここまでの展開で、そんな勧善懲悪を遥かに超えたドラマを展開してきた。ここまで来て如何にもご都合主義的な解決方をしてしまったら、それこそスッキリして観終わって後日にはすぐ忘れてしまう勧善懲悪に堕してしまう。
‥とか思って観てると実にベストなラストで終わった。文句つけようのない傑作。
特に良かったところ。
まずさっきも言ったように先が読めないところ。
次に勧善懲悪ではなく、ミルグレッドですら問題あったりクズのディクソンが改心したり善悪両方の面を持つ署長など、一面的ではないドラマ。
一番大きいのは、ミルグレッドとディクソンと広告屋が勇気を出して〈憎しみの連鎖〉を断ち切って流れが変わったこと。
彼らはそうしたくしてそうしたし自分もそれが良いと思った。
だけど実際に被害を受けてどう思うのかは、その立場にならないとわからない。
家族を轢き殺したのに保身を図て警察もメディアにも忖度されてお咎めなし上級国民に家族を殺された者や、もしくは上級の息子だから数回レイプしてレイプした女の子は退学して鬱になったのに本人はお咎めなしで大企業に就職してやがては政治家になるだろう大学生に娘をレイプされた親などがどう思うのか、どうしたいのかは本人でないとわからないし、本人以外にはどうすべきか発言できない。
「自分の人生はどうでもいいから、とにかくあのカスをブッ殺したい!」と思うのかもしれない。多分そうだろう。それは違法だし大っぴらに賛成は出来ないが実際に裁かれるべきなのに裁かれない悪人に私刑を果たすする者がいたら、きっと黙認して応援するだろうなとは思う。だから劇中で憎しみの連鎖を断ち切ったキャラクターを僕は称賛したが、赦したとしても復讐したとしても、それはその人個人個人の事だから賛成も非難もしようと思わん。
そしてミルグレッドとディクソンは憎しみを断ち切って世界に光を見せて立派だったが、その上で彼らは新たな憎しみの連鎖を始めようとするところで終わる。
このラストが非常に良い!これがベスツ!
この後どんな結果になろうと観せない方が良い。続きは各々の胸の内にある。
ちなみに僕は「2人はあのろくでもない白人と仲間をブッ殺すが、黒人の新署長の捜査通り、やはりミルグレッドの娘の死とは関係なかった‥というか他人をレイプすらしてなかった、ただのイキり白人だった。ミルグレッドとディクソンは只の無実の男を殺しただけだった」という結果を期待する。その場合、あの男は無実の罪で殺されることになる。しいて言うなら世界に呪詛をばら撒いたことの数十倍返しで意図せずに殺されたことになる。正直そんな結果がいい(そして、このカス白人の息子とかがミルグレッドとディクソンを恨んで育つ。ループすな)。
映画の主人公になることが少ない中年のオバハン大暴れ映画としても良かった。
そんな感じで、観たかった2018年の日本公開映画これで全部やっと観た。一年遅れだが明日やっと2018年のベストが決められる。

 

 🆎

 

そんな感じでした

『イニシェリン島の精霊』(2022)/突然おじさんに絶交されたおじさんの困惑……という「探偵ナイトスクープ」の依頼みたいな話。最後まで面白かったものの観終わると「自分に知識がなくてわかってない部分があるのかも?」と不安になる映画👨🏻👱🏻‍♂️ - gock221B

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Three Billboards Outside Ebbing, Missouri (2017) - IMDb

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フラナリー・オコナー全短篇〈上〉 (ちくま文庫)

フラナリー・オコナー全短篇〈上〉 (ちくま文庫)

 

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「アイリッシュマン (2019)」最高だったが本作の素晴らしいラスト観たら他のギャング映画のラストが全てゴミに思えてきた‥🍉

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原題:The Irishman 監督&制作:マーティン・スコセッシ 主演&制作:ロバート・デ・ニーロ
原作:チャールズ・ブラント「I Heard You Paint Houses (2004)」 脚本:スティーヴン・ザイリアン
制作会社:Netflix 製作国:アメリカ 上映時間:209分

 

 

 

実在の殺し屋フランク・シーランの自伝を元にして、フランクの半生やジミー・ホッファ失踪事件に焦点を当てて第二次大戦後のアメリカ裏社会の盛衰を描き出す。
デ・ニーロ、ジョー・ペシハーヴェイ・カイテルなどが主演してアル・パチーノがスコセッシ映画初主演もしたスーパースコセッシ大戦。最近こういう映画に出資してくれる会社が少なくて困ってたところNetflixが出資して作れたという「ROMA / ローマ」と似た経緯で制作された大作。
スコセッシと言えば本作公開の少し前に、コッポラと一緒にMCUを「観てないけど、映画じゃなくてテーマパークみたいなもんだ」と軽んじた発言が取りだたされて話題となった。僕はMCU始まった瞬間からファンだけど、スコセッシの言いたいことにもまぁ一理あるなと思った。シネマティックユニバース形式は本来の一作一作に懸けた映画製作とは違う‥みたいな事が言いたかったのかな。そもそもスコセッシやコッポラが「ファンタスティック・フォーの前フリはブラックパンサー2とアントマン3かな?」「単純にカマラちゃんのドラマが楽しみ」とか言い出しても困る。「MCUはコミックの連載やクロスオーバーを映画で行ったもの」だと思ってるし。だけどこれは誤解される要素しかない台詞だなぁと思ってたら案の定メディアが観覧数目当てでMCUキッズを煽るような、まとめサイトっぽい見出して対立構造を作って乗せられたMCUキッズが思慮の浅い声を上げて冷えさせるというしょっぱい空気がしばらく続いた。ましてやスコセッシとかコッポラなどのあの辺の人らは全員口下手だからフォローのつもりで付け加えた言葉で更に荒れたりしてどうしようもない(喋るの苦手だから映画で表現してるような人ら)。国内外の映画ライターなら彼らのキャラや発言の意図はわかるだろうし何度か観覧数を稼いだならさっさと収束させろや、とイライラさせられた。
話をスコセッシに戻すが、僕は中学生の時、深夜テレビで「タクシードライバー」「キング・オブ・コメディ」を観てビデオに撮って何度も観返した。それで他のスコセッシ映画とかデニーロ主演作をよく観るようになった。ただし観た時がコミュ障でかなり捻くれた思春期だったのでデニーロ演じる男をイカれたサイコパスではなく「普通にカッコいい男」と、ヒーローとして観ていた。僕はバットマンのジョーカーとか、ただのイカれたバットマンの相手役としか思っていないのだが若者がジョーカーに憧れる気持ちって俺が少年時代にサイコウォーリアーを演じてたデ・ニーロに憧れてたのと同じ気持ち?などと最近思う。映画は完全にデ・ニーロを狂人として描いてるので、これは完全に間違った観方なんだけどIQの低い中高生だったので仕方ない。スコセッシ映画以外でもデニーロは空気を読めないコミュ障の男を演じることが多い。そんな役をしてる時のデニーロは、そのコミュ障ぶりや仕草や顔などが日常会話を全くしない自分の父親に似ており、父との欠けたコミュニケーションを劇中のデニーロに求めていた感じがある(中でも「みんな元気」と「ジャッキー・ブラウン」のデニーロが特に似ている)。こういうと自分の父がおかしな人に思われるかもしれないが僕の父は至って真面目な良い人です。ただ他人と会話とかコミュニケーションをしようという気持ちがないというだけ(おはようとかいただきます以外の自分が思っていることを口にしようという意思が最初からタイプの男性)。

 

 


2000年代、老人ホームにて最晩年の主人公が自分の半生を振り返る形で描かれる。
1950年代、フランク・シーラン(ロバート・デ・ニーロ)は第2次大戦に出征していた頃、命令されるがまま投降した敵兵や捕虜を無情に殺しまくっていた男だった。退役してからはトラック運転手となり、偶然仲良くなったギャングの大物ラッセル・バファリーノ(ジョー・ペシ)の依頼で ”壁の塗装(暗殺)”に手を染めるようになる。
ラッセルの期待通り邪魔者を殺しに殺しまくっていたフランクは、全米トラック運転手組合のトップ、ジミー・ホッファ(アル・パチーノ)とも知り合う。大統領の次に人気があった男ジミーは、手段を選ばずギャングとも癒着して組合を大きくしていく男だった。
ジミー・ホッファ - Wikipedia
フランクはジミーの依頼も請け負うようになり、2人は仕事だけでなく家族ぐるみの付き合いをする兄弟のような親友となる。
本作はこの暗殺者フランク、大物ジミー、ギャングのラッセルの三人を中心に、アメリカ社会の移り変わりを数十年間に渡って描き、やがては全米を騒がせたジミー・ホッファ失踪事件の顛末を(フランクの告白を元にして)最後まで描く。
数十年に渡って描く中で、メイン三人はCGで本人たちより若くしたり逆にもっとジジイにしたりしている。だが三人とも最も若い歳に加工してもなお老け顔のオッサンでもあるせいか途中までCGの事は忘れて「あれ?そういえばこの回想シーンのデニーロ若いな」「あれ?このぺシよく観たら老けてない?CG?」「というかジジイの時と若い時どっちが加工してるんだっけ」と、観てる間によくわからなくなってくる。だからCG加工のことは途中から忘れて普通に観てた。それってある意味、贅沢なCG加工だね。その辺は同時に配信されたスコセッシ、デニーロ、パチーノ、ペシによる座談会でも語られてる(関係ないけどここでデニーロが後ろ髪を伸ばしてる髪型がカッコいい)。
他のキャラの話。フランクの話は後でするとしてフランクの次に出番が多いジミー・ホッファは「パットン将軍みたい」にまくしたてる姿が印象的(興奮すると両手を猫のニャー的な形にする)一番好きな食べ物がアイスで二番目は「ビールで蒸すのが決め手の『ラムズ』が作ったアメリカ一美味いホットドッグ」というガキ舌の男。色んな美味そうなものが出てくるが咥え煙草のオッサンが作るラムズのホットドッグは最も美味そうだ。フランクとはパジャマ着て一緒に寝たり、すねたフランクをジミーが必死になだめたりとイチャイチャが多い。フランクの最初の”親父”といえるラッセルを演じるジョー・ペシも半引退状態だったけど本作で復帰したんだっけ。今まで多かったキレる役ではなく常に静かなインテリヤクザ役だったが、ハッキリ言って怒ってないシーンでも目がめっちゃ怖い。これはペギーが懐かないのもわかる。そんな「フランクが家の外でしてる事を幼い時から常に悟っている」という、時空を超えて彼らを見る我々視聴者の分身かのような物語内で脇に追いやられている女性たちの集合体かのようなフランクの娘ペギー、このペギーの成長後の姿を演じていたアンナ・パキンもまた久々に観た。フランクが殺しをしてそのニュースを家で見てると、それを背後からペギーが見ている。同じく久しぶりに観たハーヴェイ・カイテルも、90年代に映画出まくってたので20代の時はまってた。彼の出番は少ないのでもう少し多めに出て欲しかった。彼は出番が少なく末路が描かれてないがゆえ最初から最後までクールなギャングだった。あとはアントマンの元妻の新しい夫役の人も序盤の肉屋系ギャングで出てたね。
俳優は知らないが「自分の耳がクソデカいと気にしすぎてるオッサン」ことビッグ・イヤーというキャラは何か凄く「ツイン・ピークス」に出てきそうなキャラだったので一瞬だけど印象に残った。
ジミーと犬猿の仲であるリトルガイとの争いは字幕だと「イタ公」ってところが吹き替えだと「お前らのようなもん」、吹き替えなら「クズ」って言ってるところが字幕だと‥何て言ってたか忘れたけどマイルドな表現になってて、どちらも一長一短あった。どちらもキツイ表現にしてくれよ。まぁ字幕、吹き替えどちらも楽しめる(だけど字幕では言ってる「イタ公」を吹き替えではカットしたのは、聞こえなければ子供が新たに覚えないだろう蔑称を音にしたくなかったのかなとも思いました。まぁ大人は柔らかい翻訳を読んだり聴いても「本当は多分蔑称で言ってるんだろうな」と想像つくから別に汚い言葉をわざわざ使わなくてもいいかと最近思う。そんな事言いだしたら英語リスニングするのと字幕&翻訳も違うし)。
あと酒を飲まないし部下にも飲ませないしスイカが嫌いなジミーの前で酒を飲むために酒をぶっ込んで染み込ませたスイカをジミーの前で爆喰いする組合のおっさんも良いキャラだった。「ジミーは酒を飲まねえ。そして最悪なのは側じゃ誰にも飲ませねえってこと!そしてもう一つ大事なこと‥ジミーは!スイカが!大嫌いなのさーッ!w(酒ズボー)」と非常に景気が良い。「ジミーにバレたら怖いし、会議が終わってからバーに行けば?」などとTwitterみたいなつまらない正論を吐いてる場合ではない。このようなキャラが居ないと映画も浮世も面白くない。何より景気が良いという事が一番大事だ。

 

 

フランクの、戦時中の殺人も、ラッセルやジミーの依頼によって”壁の塗装”を行う暗殺も、ライバル会社への破壊工作も、どれもまるで雑草でも抜くかのように無感情だ。
「殺しが好き」だとか「心を殺して無情に殺しを遂行」などというロマンも一切なく、本当にただ「朝起きたから歯磨きするか」といったフラットな感じで殺しや悪事を行う。戦時中も、敵兵に墓穴を掘らせて撃ち殺してその穴に落としていた。別にサディストだからでもなく単純に合理的だからそうしたのだろう(もし敵兵が拒否しても怒らずに撃ち殺して自分で穴掘って埋めるだけだろう)。
戦争で命令どおりに殺しまくってるうちにそうなった可能性もゼロではないが、本作を観てる限り多分もともとそんな男だったように見える。
最初に言ったように自分の父親は至って真面目な善人だが、何となく流れで合理的に何でもやる本作のデニーロにもまた父と似たものを感じた。よくわからないがフランクのそういった感じ‥特に深く考えず流れで合理的に何でもやる、という部分は、昭和‥戦後の人にそういったノリが多かったんじゃないかという気がした。若い時から死にものぐるいで働いてお見合いで結婚してお育てしてそのまま年取って死ぬ、特に世間に向けて主張したいことゼロみたいな(本当はあったのかもしれないが今のように手段がないし又は自己主張しようという発想がなかったので僕が聞いたことないだけかもね)。
とにかく、フランクはそんな感じだから全てを見通すフランクの娘ペギーはフランクに懐かなかった。ギャングのラッセルもまた表面上ペギーに無視されても怒らず常に優しく金や物品を与える、だがペギーは、ラッセルが弱者を踏みつけて稼いだ金を仲間の娘である自分にくれてるだけなのを本能で見抜いたのか一切懐かなかった。しかしペギーはジミーとは大の仲良しになった。ジミーの半分はカタギだったからなのかジミーは温かい部分があったのかそれとも子供のガードを打ち破るほどの人たらしだったのか、それはよくわからない(個人的にはジミーの人たらし能力によるものだと思った)。
ペギーにぶつかったという理由で‥本当は自分のメンツのために町のパン屋の頭を踏みつけるフランク、深夜”壁の塗装”に出かけるフランクなどを逐一くもりなきまなこで見ていた娘は仲良しのジミーが失踪したのに彼の妻に電話しようとしない父を見て、父の犯行を見抜いた。そしてそのまま一生口を利かなかったという。「良いところに就職して元気にやってるらしいが、ペギーはあの時に消えたよ。私の人生から」としんみり語るフランク。「自分を切った人間は、自分の人生から消えてしまう」というのは当たり前の事だが、改めて口に出して言われるとハッ!とするものがある。俺の人生から何人消えたか‥逆に何人の人生から俺が消えたか‥考えても仕方ないので俺は考えるのをやめた。さすがのフランクも、娘に見放されたら狼狽したが時既に遅し。妻も死んだし家族は誰もフランクの面倒を見ようとしなかった。いつもおとなしかった妻と娘たちだったが彼女達はただフランクに怯えていただけだったのだ。
さすがのフランクも娘たちに見放されたことは哀しんだようだが、次のカットではすぐさま自分の棺桶を買いに行って霊廟の段取りを決めるあたり、さすがフランク。「だって家族に見放されたんだから死ぬ前に自分で自分を葬らなきゃ仕方ないじゃないか。他にどうしろってんだ?笑」とでも言いそうだ。人間性の欠けた場面のはずだが彼のこういうところは嫌いになれない。自分にそういう部分があるせいなのか、それとも自分の死に対して感情を持ち込まず合理的に向き合う感じが僕の好きな猫や象の死に方に似てるせいなのか。。どちらにしてもあまり良い傾向とは言えない。
本作は三時間半近くあって長い。僕は近年のスコセッシの映画の妙な長さはあまり好きではないのだが(たとえばめちゃくちゃ面白い「ウルフ・オブ・ウォールストリート」も長くて後半すっかり飽きてしまった)それでも本作は凄く面白かった。スコセッシ映画が久しぶりなせいなのか、それともデニーロやペシが久々に帰ってきたせいなのか、あるいはその両方か。ダレそうになるとフランクの鮮やかな暗殺シーンが挟み込まれたりして飽きさせない。Netflixなので「長いな」と思えば分けて観ればいい。僕も長いから初見ではドラマみたいに三回に分けて観て、最後まで観た結果「やっぱこれ一気に観るもんだな」と悟って四日目は最初から最後まで一気に観た(とはいえやっぱ長いので途中で食事休憩を入れた)。「いや映画は当然全部劇場で観るべきだ!」という人は、東京なら吉祥寺アップリンクで上映中なので行けばいいし。それぞれ好きに観る時代だ。
本作の構成「成り上がって→不協和音が鳴り始め→花火が消える」という流れは「グッドフェローズ」と同じ段取りで(というか映画は大抵そういう流れだが)、そういう感じでギャング映画の終盤では「成り上がってる最初は景気良かったけど破滅する後半は辛気臭いな」と思いがちだが、本作の後半そしてラストはめっちゃ良かった。本作も辛気臭いがフランクの合理的なキャラが渇いてるのでメソメソした感じがしなくて良い。どちらかというとラッセルの方は娑婆に居た時は常に絶好調だったのに獄中で歳取るとヨボヨボになりジミーを殺害した事などを悔いたりとメソメソする役割だった。ジミーは別に良い人間でもなんでもないが自分のやった事やそれによって惨めになった境遇などを全て受け入れていた。ただ死後に何か救いを求めてる哀れさを最後に見せてるあたり最高のラストだった(フランクとは理由は違うが僕も昔からドア少し開けてから寝るし‥理由は猫が通れるようにだけど。むしろ少し開いてたらお化けが出そうで怖い。だが猫が通るから仕方がない)。本作のラストは恐らく哀れなラストとして撮られてるんだろうけど、アスペっぽいフランクの性格に自分や自分の父に通じるものを感じてか僕は少し痛快というか好感を持った。本作のラストがあまりに良かったせいか、今まで観た全てのギャング・ヤクザ・犯罪映画の、ロマンや情感を伴って終わるラストが全てゴミに思えてきた。これは一過性のものではなく今後もずっとそう思いそう。だがスコセッシは「若い時はブイブイいわせてたが皆、孤独な最期を迎えた」というつもりで撮ってる気がするが貧困の独身日本人男性の俺からしたら「家族に縁切られたけど、思い出があるし最後まで自分の面倒見れるだけ金持ってていいなぁ」と羨んでしまうという誤った感想を抱いてしまいどうしようもない。フィクションを正しく味わうには観る側も余裕がないとダメだなと思った。
これは何度も観れそうなので新しい友だちが出来たような気分にもなった。

 

 

そんな感じでした(ドアは少し開けておいてください)

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The Irishman (2019) - IMDb

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『ブライトバーン/恐怖の拡散者』(2019)/僕が苦手な悪い子供ホラーかつ露悪的スーパーマン映画だったが意外と面白かった👦

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原題:Brightburn 監督:デヴィッド・ヤロヴェスキー 製作:ジェームズ・ガン
脚本:ブライアン・ガン、マーク・ガン 製作国:アメリカ 上映時間:91分

 

 

 

前回の更新から最近観たそこそこ面白かった映画は「クリスマスに降る夜は」「いつかはマイ・ベイビー」「犬ヶ島」「スリーピー・ホロウ」「全員死刑」イマイチだったのは「イン・ザ・トール・グラス -狂気の迷路-」つまんなかったのは「貞子」。なんかどれもあまり感想書く気にならなかった。そういえば「ジョーカー」も観て面白かったけど既に大勢が感想書いてるし凄い好きというわけでもないので特に書かなくていいか‥という感じ。昨夜観た本作は公開されたばかりの新作だし感想書く事にした。
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズや「スーパー!」でお馴染みのジェームズ・ガン制作、そしてジェームズ・ガンの兄弟が脚本‥というガッツリとジェームズ・ガン企画なため「ジェームズ・ガン制作!」って事を全面に押し出して宣伝してるため、映画の監督が誰か一々調べないライト層からはジェームズ・ガンの新しい監督作だと大いに勘違いされてる本作(「ホステル」がタランティーノ作品だと勘違いする人が多いのと同じ)。
アメリカ本国ではコケた上に批評家からもオーディエンスからも低評価。しかも僕こういう「悪いスーパーマン」ものみたいな90年代アメコミで流行ったようなスーパーマンプライムみたいな露悪的なキャラは嫌いだし子供が悪いことするホラーも嫌いなので、観る予定なかったが、たまたま暇を潰さなくてはいけない時に居た街でやってたから観た。ちなみに本作には原作がないからアメコミ映画でもない。あくまで「地球に落ちたスーパーマンが悪い子だったら」というだけのオリジナルなホラー映画。
ネタバレあり

 

 


田舎に住む善良な夫婦と、夫婦に拾われた12歳の息子ブランドンの話。
夫婦の妻の方はジェームズ・ガンの長編デビュー作「スリザー (2006)」でも主人公だったエリザベス・バンクスジェームズ・ガンは身内を大勢起用するからね‥。ジェームズ・ガン映画にいつも出てくるヨンドゥ役でお馴染みのマイケル・ルーカーもカメオで出てくる。
設定は完全にスーパーマンと同じ。
なかなか子供が出来ない善良な夫婦の家の近所に、謎の宇宙ポッドが墜落。
中に居たのがブランドン。宇宙ポッドは夫婦によって家の地下に隠してある。
12歳の誕生日が近づくと宇宙ポッドからの謎の電波によりブランドンのスーパーパワーが覚醒。
怪力。飛行。ヒートビジョン。超聴覚に目覚める(あと多分、冷気も使えるっぽい)。思ってた以上に何から何までスーパーマンの設定そのまま。DCコミックがその気になって訴えればスーパーマンのネガティブなパクリとして裁判で余裕で負けれるくらい同じ。
パッと見た感じ、スーパーマンよりちょい弱くてアイアンマンくらいの強さ?
ブランドンは突然、自分に備わったスーパーパワーに戸惑うが、すぐに子供らしく「自分はスーパー(特別)な人間なんだ」と増長し周囲の人間を見下し始める。
今まで良い子だったのに徐々に反抗的になる。
これは「可愛かった子供が反抗期になったら全く理解できないモンスターにしか見えなくなる」っていう両親の感覚をホラー映画化したものなんだろう。
両親はブランドンのベッドの下からエロい写真(女性用下着の広告)を発見。「あいつも性欲が湧いてきたかぁ笑」とか言ってると内臓?などのグロい写真なども所持しており、更にブランドンは飼ってる家畜の鶏を皆殺しにしたっぽく、息子の性癖が不安になる両親。完全にシリアルキラーの少年時代状態のブランドン。
パパはブランドンを狩りに連れていき「女の子の身体に興味出るのは自然なことだ」と性教育する。それを曲解したブランドンは、さっそく親切にしてくれていた好きな女子の部屋に勝手に侵入。後日、当然その女子はキモがったのでカッと来たブランドンは女子の手を握りつぶす。その後、好きな女子のママを疎ましく感じて速攻で惨殺。個人的には、ブランドンと女子は子供同士なので「女子の部屋に不法侵入しただけ」って描写に留まってたけど本当は「レイプした」と描きたかったんだと思う。
その後、ブランドンはちょっと変なんじゃないかと懸念した両親は、知り合い夫婦にカウンセリングを頼むが、ブランドンにすぐさま惨殺される。
都合の悪いことが起きるとすぐ惨殺してしまうブランドン。そしてそれを疑う者がいたら子供なのでバレバレの嘘をつく。更に追求されたら速攻で惨殺。この繰り返し。
周囲の人物がやたら死ぬので両親もさすがに異星人の子であるブランドンを疑い出す。
だがブランドンへの愛情が強いママはその疑いを自分の中で打ち消し、そのせいで惨劇が更に広がっていく。
 

 

 

そんな感じでどんどん酷いことが起こる。
というか、これは完全にスラッシャー映画だね。スラッシャー映画というのは「ハロウィン」「悪魔のいけにえ」「エルム街の悪夢」「13日の金曜日」とか、ああいう感じの異常な殺人鬼が連続殺人していくホラー映画のジャンルね。この映画はそれらと同じ種類の映画。ただ子供が‥「スーパーマンの子供時代めっちゃ悪い子だったら?」という種類の殺人鬼だというのが本作の独自性。他の殺人鬼より数十倍強いね。スーパーヒーロー映画全盛の今だからこそウケると思ったんだろう。
最初に言ったように、こういうDCコミックにおけるスーパーマン・プライム(別の次元のアホで残虐なスーパーマン)とか、まだ観てないけどアマプラの「ザ・ボーイズ」みたいに「傲慢な殺人鬼スーパーマン」っていう露悪的スーパーマンキャラは、あんまり好きじゃないので観る前は「このガキにムカつきそうだなぁ。ムカつくと不快だから嫌だな」と思いながら観たけど、ブランドンは早い段階で想像以上のモンスターになっちゃうので、こうなると天災と変わらないし未成熟な子供という事もあって、ムカつきはするが懸念してたほどはムカつかなかった。むしろ、ブランドンが悪い事してると信じたくないあまり彼の行いから目を逸らして気付かないようにしてるママの方にムカついた。そして、この子役がまた可愛さと不気味さの丁度いい塩梅の顔しててハマり役だった(「セッション」主演でお馴染みのマイルズ・テラーに似ている)。
割と最初から最後まで、観る前の想像通りのスラッシャー展開が繰り広げられるだけだしブランドンも全く好きになれない殺人鬼なのだが、これが不思議と面白かったのが意外だった。なんでだろ?単純に演出が上手いのかな。別にもう一回観ようとか映像ソフト買おうとかは全く思わないが観てる間は最後まで充分面白かった。アメリカ本国でコケた上に低評価だったので、てっきりつまんないのかと思ってたが意外と面白かった。
むしろ何でヒットしなかった上に低評価だったのか、その方が知りたい。
「ザ・ボーイズ」は人気なわけだから、やはり子供が殺しをしたり逆にその子供を殺そうとする大人の場面があるから観客が嫌ったのかもしれない。僕はというと早い段階でスーパーヒーローものではなく只のスラッシャー映画だと思って観たので、そうすると本作はスラッシャーホラーの中では相当面白い部類に入るので僕の評価は高かった。
ネタバレするとこのガキが惨殺しまくってそのまま逃げおおせてしまう。そしてガキが更に大暴れしてる様子をビリー・アイリッシュの「Bad Guy」に乗せて見せていって終わり(ビリーアイリッシュ凄い好きでこの曲もほぼ毎日聴いてるんだが、好きになれないブランドンの犯罪に乗せて流れるので複雑な気持ちになった)。メタヒューマンによる犯罪だと気づいてるのはマイケル・ルーカー演じる作家だか学者っぽい人のみ。この子がスーパーパワーを持ってるらしきことは両親しか感づいてなかったし両親はそれを誰にも言ってない。自分ひとりでその片鱗を嗅ぎ取った有能な警官もブランドンに一瞬でグチャグチャにされて即死。銃撃も効かない。スーパーマンで言うところのクリプトナイトに相当する弱点を、ママだけは知ってた。だけどそのママも誰にも言えなくなってしまった。ブランドンはしばらく安泰だろう。
ムカつくツラのガキが殺しまくって一切罰を受けずに終わっちゃうのが低評価の原因だったのかな?この子が何で悪くなるのか原因があるのかと思ってたら(たとえばいじめられるとか大事にしていたガールフレンドやペットを殺されるとか)一切なしでいきなりピュア・イーヴィルになっただけだった。この子の母星がめっちゃ悪い奴らばかり版のクリプトン星で、邪悪な心を忘れてたブランドンを電波で邪悪さを目覚めさせたんだろう。説明ないので推測するしかないが多分そうだろ。
映画は面白かったがブランドンが殺人を謳歌して終わるので、ヘイトを溜めたままスッキリしない帰宅を強いられた。
そういった感じであまり好きになれないにも関わらず最初から最後まで凄く面白かった。主観的な「面白い・面白くない」と「好き・嫌い」そして客観的な「高評価・低評価」、この3つは分けて考えるべき。それを自分の中で測ると「面白いけど好きじゃない、でも高い評価の映画」という結論。
しかし、本家本元のスーパーマン映画が全く上手くいってないのに、こんな悪いスーパーマン映画を作られても‥という感じはした(勿論、DCワーナーと本作は何の関係もないのだが)スーパーマン映画がMCUみたいに大ヒットしてる中にカウンターとして本作が公開されたのならともかく、劇場に明るく正しいスーパーマンが不在でこんなクズ子供スーパーマン大暴れ!を見せられても不快だなぁ。しかも制作したのはDCのライバルでDCに大きく大勝してるMCU中心人物の一人ジェームズ・ガンなのも少しモヤモヤする。僕はジェームズ・ガンの大ファンだし完全にMCU派だけど「こんな悪いスーパーマン出したければオリジナルじゃなくてガーディアンズとかに出せばいいじゃん‥」と思った。オリジナル作品とはいえ完全に「スーパーマンを悪くしたキャラ」だというのは一目瞭然だからね。それをするのが悪いわけではないが少しモヤモヤする微妙なところ。
というか何度も言ってきたが「スーパーヒーローが悪かったら?」という高2病的テーマがそもそも苦手。こんなのは普通のヒーロー映画の敵として出してサラッと処理して、それで終わりでいいだろ(たとえばDC映画ならスーパーマンプライム出すとかMARVELならセントリー出すとか‥)。こういう、スーパーヒーロで不必要な暴力とかセックス描写、シンプルな正義の否定とか勧善懲悪アンチみたいな‥そういうグリム&グリッティ的なノリは苦手なんですよね。こんなテーマは大して面白くないから、さっさと済ませて普通にポジティブなヒーロー映画を作って、その中で表現して欲しいところ。こんな露悪的なメタヒューマンをメインディッシュに据えたら、ヒーローあんまり好きじゃない奴が観て「そうだそうだ!スーパーマンとか実際居たらヤバくね?!」とかアメコミが30年前くらいに通過した事を今更大声で言いだす、そんなアメコミ反抗期みたいな奴が増えたらウザいな‥と不安に思った。‥しかし、そんな事まだ誰も言ってない。誰も言ってないのにそんな奴の台詞を勝手に想像して怒るのはパラノイアっぽいし、あまり良くない状態だ(よく言うだろ?パラノイアパラノイアを知るって)。
今思ったが、そういうグリム&グリッティ的な展開が流行る時期を個人的にアメコミの思春期と呼んでるが、しかしアメコミは数十年前に通り過ぎたアメコミ思春期を「アメコミ映画」はまだやってなかった。だから今「ザ・ボーイズ」とか本作でやってるのかもしれんね。それならさっさと済ませて、そして次のフェイズに移行してほしい。

※追記
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「最後のおまけでちょっとしたサプライズがある」と聞いてたが実際に観て「あぁ、お友達のマイケル・ルーカーが出るってだけね?そして他にも悪のメタヒューマンがいっぱいいるっていう続編へのヒキね。だけどブランドンはムカつくし続編は特に要らないよ」と思ってたが、この上の画面の左下見ればわかるように六人の悪魔超人の画像の中にジェームズ・ガン監督作「スーパー!(2010)」の主人公クリムゾン・ボルトがいた!劇場で全然気づかなかった。しかも絵とかじゃなく写真だし明確に「スーパー!」世界と繋がってるって事だよね。僕「スーパー!」めちゃくちゃ好きなんですよ。好きな映画ベスト10に入るし下手したら「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」と同じかそれ以上に好きかもしれん。
マイケル・ルーカー演じるYoutuber?が言う悪魔超人は、まず本作のブランドン(スーパーマン)、腕をクロスして縄を持つ怖い女(ワンダーウーマン)、不気味な半魚人(アクアマン)、マント付けたグレイ型エイリアン(マーシャン・マンハンター?)。どうやらジャスティス・リーグのホラー版パロディっぽい。となるとパワーを持たない狂人クリムゾン・ボルトはバットマンのポジションでしょう!あと一人伏せられてるのは誰だろう。フラッシュ?グリーンランタン?いや、隠してあるって事はもっと驚く凄い奴なんだろう。
恐らくチームを作るが「なんやこいつら悪人やないか!」と気づいたクリムゾンボルトが全員レンチで惨殺する展開に違いない!無敵のブランドンも宇宙船の素材でレンチ作って殴れば殺せる。クリムゾンボルトがブランドンをグチャグチャに‥これは絶対に観たい!きっとマイケル・ルーカー演じる狂ったYoutuberとも共闘してくれるに違いない。「スーパー!」と繋がってると知ったら70点くらいだと思ってた本作の評価が、ただそれだけの事で80点くらいに急上昇した。
本作はコケたもののソフトの売上などを考慮すると収支トントンにはなるらしく続編を作ろうと思えば作れるみたい。そして最近ジェームズ・ガンは「僕は『ザ・スーサイド・スクワッド』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.3』監督するから続編の監督できんが制作なら出来る」と言ってる
この「ジェームズ・ガン・ユニバース」を逃せば、もう一度クリムゾン・ボルトの勇姿を観る機会なんて永久にないだろう。
さっきまでは「面白かったけどブランドンの顔ムカつくから別に続編やんなくていいよ」とか思ってたが今はもう続編が絶対に観たくなっている。新スースク、ガーディアンズ3もそうだがガンには期待しかない。

 

 

そんな感じでした
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)/この一ヶ月くらい何度も観てるうち物凄い好きになった🦝 - gock221B
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)/誰もが欲しがる強大なパワーを自ら棄て去るスターロードのカッコよさ🦝 - gock221B
『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』(2021)/前作とハーレイ単独作で上手くやれなかった部分を全部こなすガン監督。そして本作そのものより魅力的なピースメイカー⭐ - gock221B
『アイ・アム・グルート』(2022) 全5話/面白いとかつまらないとか以前の話で完全に幼児向けで無味無臭。それより異常に神経質なまでに「誰も死んでませんよ!」と全話で示してくる勢いが凄い!🌳 - gock221B
『ピースメイカー』〈シーズン1〉(2022) 全8話/「過ちを犯したクソ野郎にも更生の余地はあるのでは?」とジェームズ・ガンが問いかける傑作ドラマ🚽 - gock221B
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー/ホリデー・スペシャル』(2022)/暖かい楽しさ!その一方で少年期のトラウマに対峙する以外させてもらえないスターロードと現実のバッシングを反映してずっと暗いままのクリプラ。中年なのでヒーローがキツくなってきたがX-MENまでは頑張る話🦝🎅🎄 - gock221B

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Brightburn (2019) - IMDb

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『ゲーム・オブ・スローンズ』〈シーズン1-8〉(2011-2019) 全73話/長いスパンで変化する人間描写や女性の描き方、全体的な嫌戦ムードが良かった、が‥🐺

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原題:Game of Thrones〈Season.1 - 8〉 Episode.1 - 73
企画&製作総指揮:デヴィッド・ベニオフ、D・B・ワイスほか

共同製作総指揮&現作: ジョージ・R・R・マーティン「氷と炎の歌 (1996-)」※刊行継続中
制作局:HBO 
製作国:アメリカ/イギリス 上映時間:全73話、各話約60~90分

 

 

 

冬来たる(Winter Is Coming)
こないだ完結したばかりのこの(日本と北朝鮮以外の)全世界で大人気だったドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」(以下GOT)。
「全世界で大人気だが日本人だけイマイチ食いつかない」という作品は大抵、傑作なので、その魅力を知りたかったが自分はドラマという形式があまり好きでない(数時間以内に結末まで行きたいので)。しかも本作は登場人物めっちゃ多い上に一話一時間以上の話が全73話もある‥と想像するだけでしんどくなってスルーしてたが本作のクリエーター、デヴィッド・ベニオフ&D・B・ワイス通称D&Dが次のスター・ウォーズ三部作を作る事になったし(本作を全話観終えた翌日にD&DはSWから離脱して消えた)、本作がヒットしすぎて「まるでGOTの○○のような」などと世界の共通認識みたいになってるし本作は「映像フィクションの流れを変えた」などとよく言われてて「GOTを観ずして今後の映像フィクションは語れない」みたいなムードが充満してるし、もう無視できなくなったのでHuluに再加入して観ることにした。観たいというより履修って感じ。
以前、何度か観ようとしたことがあったが、その都度「何だか諸名家や、覚えにくい名前の登場人物が無限に出てくる‥」と何度も数話で脱落した失敗を踏まえ、今回は相関図やWikiを片手に鑑賞してシーズン1を観てるうちに相関図や世界観が大体わかってきてヒットの切っ掛けになったというシーズン1第9話「べイラー大聖堂」まで観たら一気に惹き込まれて連日一気に観れた。サプライズが凄いってだけじゃなくて(というか知ってたし)演出そのものが見事なので前のめりになれた感じですね(後のレッドウェディングとかもそう)。
だから過去にタイムリープして「GOT全然面白くないな‥どこまで観たら入っていけるんだ?」と不安に思って何度も脱落してた自分に会えたら「1-9まで観たら入っていけるよ」と教える事ができる。実際、周りで脱落した人も1-9までの間に観るの止めた人は多かった。
そこからは面白いのでシーズン5までの全50話は一晩数話づつ観て一気に進んだが、S5があまりに陰惨なので(いつもなら楽しい冒険をしていたキャラさえも陰鬱な展開になって気持ちの逃げ場がない)ここで一回ウンザリして一週間くらいストップしていた(放送当時もこの辺で批判が多くて以降は若干マイルドになったらしい)。一週間開けたら回復したので残り23話を一気に観れた。
そういった感じで短期間で全73話観終えたのでHuluも無事解約できた。
細かい感想書いてたらキリないので物凄くざっくりした感想だけ書くだけにする。
基本全部ネタバレ

 

 

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生活様式や文化は、限りなく我々が住むこの地球の、中世ヨーロッパを思わせる世界だけど地球というわけでもない、地球みたいな惑星の中世の話(SFではなくファンタジーなので原作者もその辺はSFみたいにキッチリ設定作ってるわけではなく「何となくこういう世界があるみたい」とボンヤリ感じてほしいみたい)。
物語の舞台の殆どは〈ウェスタロス〉という大陸にある〈七王国〉。七王国は〈鉄の玉座〉に就く王の中の王と9つの諸名家が収める。そして七王国が巨大な壁で閉ざした北の未踏地帯〈壁の北側〉、そして〈エッソス〉という隣の大陸が舞台になっている。ウェスタロスとエッソス以外にも西に大陸があるかもしれないっぽいが本作にはこの2つしか出てこない。ウェスタロスには四季が夏と冬しか来ないらしく、しかも一旦冬が来たらその冬が最大10年くらい続いたりする世界。
世界の殆どは人間が営む中世世界だが、ドラゴンや巨人や「森の子ら」と呼ばれる妖精っぽいヒューマノイドもいるし壁の北側にはホワイトウォーカーというゾンビを操る謎の人種もいる。またスーパーナチュラルな存在ではないが壁の北側には国に属さない〈野人〉という原始的な人種がおりウェスタロス本土にも国に属さない〈ブラザーフッド〉という集団もいる。人々は中世の人類みたいな普通の暮らしぶりだが、この世界にも魔法があり、魔術師や、生物の意識を乗っ取ることの出来る〈狼潜り(ウォーグ)〉という能力を持った者、死者を蘇らせる力を持った者、超自然的な力を持った〈三つ目の鴉〉などがいる。そういった幻獣や魔法などのファンタジー要素はあるが、この世界の中では「失われた伝説の言い伝え」みたいな要素で、ドラゴンは絶滅したと思われているし魔法を使える者なども全話通しても数人しか居ないので基本的には信じられていない。暗殺者ギルド〈顔のない男たち〉もスーパーナチュラルかな?と思ったけど彼らはニンジャみたいな超技術っぽい。
そういったファンタジー要素は忘れた頃に出てくる程度で、物語の殆どはあくまでも人間同士の駆け引きや残忍な処刑そして人間ドラマがメインになっている。ファンタジー要素は物語の中心ではなく物語を進めるための潤滑油のような感じ。もしくは「ドラゴン=核兵器」「スリープウィーカーと死の軍団=死そのものの比喩」「森の子=先住民」といった感じで色んなもののメタファーになっている。

物語の殆どは、幾つかの諸名家による「『鉄の玉座』に就いて七王国を統べるのは誰だ?」という愛と憎しみの権力争いがメイン。
決まった主人公は居ないが、中でも主人公格と言えるのが北部のお人好し過ぎてズタズタにされて復讐を誓う北部の諸名家「スターク家」、高圧的で奸計に長け残虐な「ラニスター家」。かつて鉄の玉座に座って七王国を支配していたが今は滅ぼされてエッソスに逃げていたが伝説の生き物ドラゴンや配下を着々と増やしてウェスタロスに帰って捲土重来を悲願とする「ターガリアン家(デナーリス一人だけだが)」。そして罪人や世捨て人が囚人のような立場となって北の壁を警護し続ける組織「ナイツウォッチ」。この三つの家&一つの組織がほぼ主人公っぽいポジション。
あとは他の諸名家「タイレル家」「ボルトン家」「グレイジョイ家」「マーテル家」「フレイ家」「タリー家」「アリン家」‥他にも色々ある幾つかの諸名家や諸侯も熾烈な殺し合いをする。諸名家以外にも〈ブラザーフッド〉や、壁の北にいる〈野人〉たちや人間ですらない〈ホワイトウォーカーと死の軍団〉なども絡んでくる。
ファンタジー要素も極たまに出てくる残虐なヨーロッパ三国志といった感じ。

物語開始時、鉄の玉座に就いていたのはロバート・バラシオン王。彼はシーズン1の途中で事故死する。そんなロバート王の弟分であった北部を束ねる善人の総督ネッド・スターク(ショーン・ビーン)。彼はシーズン1を観る限り主人公であるかのように描かれているが突然、故ロバート王の王妃であったサーセイの実家‥ラニスター家によって斬首される。この、視聴者が物語の登場人物や設定を飲み込んでき始めたシーズン1終盤で「主人公かと思って観ていたメインキャラがいきなり殺される」というサプライズと共に一気に先が観たくなる。まぁネッドが死ぬのは他人が言うのを聞いて知ってたしショーン・ビーンという時点で長生き出来なさそうだが、さっきも言ったように本作のサプライズの時はいつも演出が良い。
鉄の玉座が空席になり、死んだロバート王の王妃だったサーセイの息子ジェフリーが、自分が傀儡だとも気づいていないがラニスター家という強力なバックを盾に好き勝手しまくる虚ろな暗君となった。
このジェフリーが本当に憎たらしすぎる。彼も本作がブレイクした要因の一つだろう。
ジェフリーの存在感は本作ナンバーワンで、特に何も悪いことしてない微笑んでるだけの第一話の彼を見ても「こいつが死ぬところを見たい‥」というネイティブな憎しみが湧いてくる顔だ(若い時のショーン・ペンみたいなもん)。ジェフリーの憎たらしさは「一体どんな死に方するんだろう?」という期待を煽ってシリーズを引っ張り続ける。ジェフリーの後も、ラムジーとかユーロンなどの憎たらしい要素だけで出来た悪いキャラが出てきたが、ラムジーやユーロンは一面的で漫画っぽすぎて演技も単調だし、あまり憎くならなかった。それより様々な人間的な面を見せるジェフリーは「俺の周囲にも居そう」と感じて存在感が他の悪人の10倍くらいあった。
そうして新たな王が誕生したりして二転三転が続いて玉座争いが続く。
非業の死を遂げたネッド・スタークの子供達はバラバラになった、復讐を誓って北部を率いてラニスター家に弓を引くネッドの王妃キャトリンと長男ロブ・スターク。諸名家をたらい回しにされるうちにお花畑王女から聡明な指導者へと成長していくサンサ王女。復讐を誓って旅をするアリア王女。ラニスター家に下半身不随にされるが三つ目の鴉を探して旅をするブラン王子。ネッド・スタークの落し子ジョン・スノウはナイツウォッチに入隊。彼ら彼女らは、破れて殺されたり又は強く成長していく。

 

 

 

🐺なんか感想書く前の作品設定やあらすじ書いただけで長くなってしまった。既に観た人には不要だし未見の人が上記を読んでもピンと来ないだろうから全くもってここまでの文章は書く意味なかった気もするがFUCKする前には口づけしなきゃいけないようにどうしても感想の前に前置きを書いてしまう。順番ってものがある(世界の法則と言い換えてもいい)。
自分が好きな部分や気になったところを書いていこう。
本作の売り?となる部分は原作の映像化って事以外にも、お決まりの展開をズラすリアル志向というのがある。善人だろうが子供だろうが主人公っぽいメインキャラだろうが突然、惨殺されたりする。「現実では善人や子供やワンちゃんだろうが無残に死ぬ」って事の表現なんだろう。このサプライズは「おっ!」と惹き込まれるものがあったが、それがあまりに連発されるので確かに面白くはあるが一番陰惨だったシーズン5終盤では本当に嫌な気分になった。割と誠実な姿勢でそれをやってるので批判する気はないが単純に気分が悪い。アメリカ映画において犬は良心の象徴とも言える傷つけてほしくない存在だが本作のダイヤウルフは三回も惨殺されたり死体も冒涜されてるしウンザリした。週に一本観てたらまだマシだったかもしれんが一気観したので喰らってしまったのか。普段気の毒な映画とか陰惨な場面とか散々観てるはずなのに本作は良くも悪くも喰らってしまった。「勧善懲悪にしろ」とは全く思わないが、ちょっとそういった殺伐とした逆張り展開があまりに多く、また「このように実際には善人であっても無残に殺されますよおお!w」といった「視聴者にショックを与えてやろう」というドヤ感も若干感じた。これは気のせいかもしれんが、そういう露悪的な態度は苦手なんで、こういった部分は一長一短あるなと思った、というかもう少し普通でいい。悲惨な場面と楽しい場面が繰り返されると観てるこちらも「良い奴が幸せになる」「悪い奴に天罰が下る」というお決まりの展開を期待しなくなってくる。いやむしろそんな事を願う自分が甘いように感じて、考え方が矯正されていく。その感じが何だかDV受けてそれに慣れようとする人の感覚みたいで嫌だった。また残虐描写も、正義感あふれる善人も惨殺されるだけでなく遺体を弄ばれたり川に投げ捨てられたりモブ兵士がそれを嘲笑ってたり罪のない優しい幼女が生きたまま焼き殺されたりして、かなり気分が悪い。「戦争って嫌だな」と思わせるためだろうし、それは良い傾向だと思うが気分悪くなるのは確かだ。悲惨な出来事が起きるのもリアルで良いが、それがあまりに多すぎると鑑賞のノイズにもなると思った。レイプは殆どなかったのは良かったけど、これでレイプも多かったらもう観るの嫌になってただろう、レイプは殆ど無いのは助かったがその代わり女性キャラをレイプしようとする所作やセクハラや軽んじる発言とかは多いので嫌な気分になるのは変わりないけども。MCUや「ロード・オブ・ザ・リング」ほど優しい展開にする必要もないが本作は厳しすぎる。ちょうど中間に位置する「スター・ウォーズ」くらいの殺伐さ‥四肢欠損のあるSWくらいが一番丁度いい塩梅かもしれない。
残虐表現のある映画は平気なのに本作では何故こんなに嫌なのか考えたけど、キャラが後に改心したり非道なキャラもそうなる過去を伺わせたりするので非常に人間臭いのが嫌なんだろうなと思った。人生の一瞬だけ切り取った映画に出てくる悪人なら「こいつはナチュラルボーンキラーなピュアイーヴィルなんだな」とモンスターとして感じるので、それは天災みたいなもんなので受け流せるが本作の場合、長いスパンで「この悪人も人間です」と示されるので怪物として自分と切り離すことができないからだろうなと思った。怪物だと思えれば犬に噛まれたと思えるが自分に危害を加えた者が家族や飼い犬には優しかったりしたら許せなくなる。そういう感じだろう(わかる?言いたいこと)。
また、善人が平気で惨殺されたりする裏返しとして、悪人は割とあっさり死ぬ。
「このクソ野郎は苦しんで死んでほしい!」という感情は当然僕も持つので、悪人があっさり死んだりすると「それだけかい!」と思ったりはするものの結果的にはこれでいい。憎い悪人が、視聴者をスッキリさせるために長い時間苦しんで死ぬってなったら、それは勧善懲悪ポルノになってしまい、そうなるとドラマじゃなくてバラエティ番組みたいになっちゃうもんね。

🐙本作の一番良い部分は長いスパンでキャラクターが大きく変化していくところ。
一番変化が大きいのはやはりシオン・グレイジョイだろう。スターク家で家族同然に育った彼は好色で傲慢なクソ野郎でスタークを裏切って今まで世話になった人とかを惨殺する。その直後ボルトン家の落し子、サディストのラムジーに捕まって心身ともに拷問されたり去勢されて別人のように萎縮した奴隷になる、やがて勇気を振り絞って身内を救い(この時ラムジーの愛人を落下死させるシーンがめっちゃカッコいい映像)、遂にはかつて裏切ったスターク家のために命をかける、去勢されてるから金的蹴りされても一切効かずニヤリとする場面もカッコよかった。どうでもいいがTwitterで検索したら日本人女性はほぼシオンとラムジーの話しかしていないので観る前は主人公なのかと思ってた。次に”キングスレイヤー”ことジェイミー・ラニスター。彼は第一話で保身のため9歳のブラン・スタークを塔から突き落として下半身不随にするという最低の人間だったがスタークの捕虜となりクソまみれとなり自慢の利き手も失い、本作唯一の高潔な女性騎士ブライエニーに助けられたり助けたりするうちに人間らしい暖かい感情が芽生える。それはハウンドも同様。お転婆姫のアリア・スタークはハウンドと旅したり〈顔のない男たち〉の修行を受けて最強の暗殺者へと成長する。サンサ・スタークはかなり長い期間虐げられるだけの気の毒なお姫様キャラだったが、その経験を経て自由の身になった頃には立派な北部の指導者へと成長していた。
一人の人間が大きく変化する、それらの部分は一人の人間に多面的な表情を与える。
「月曜日に出会ってめっちゃ嫌な奴という印象になった、だけど君が会っていない火曜日に改心して残りの日曜日までめっちゃ良い奴だとしたら?君は月曜しか会ってないから彼が実は良い奴になったという事を知らんだろうが人とはそういう寒暖計の様な面がある」という長いスパンの神の視点で一人の人間の多様な面を見ることが出来る。これは短い時間を切り取った「映画」メディアでは難しい長所だと思った。
これによって悪人も単純に憎めなくなるし普段の生活でも、たった一言の失言や失敗で断罪したりするのは止めようと思ったし、その逆で良いルックスで甘言ばかり言う人も易易と信用しない方が良いなと思った。
それにしても自分をブッ殺そうとしてた者とか自分の家族を殺した者と、数日後には味方になって共に行動したりするのが多くて「人間って不思議だな」と思った。本作の登場人物は直情型なのにも関わらず家の事を考えると広い視野で自制せざるを得なくなってくる。国が一個人に強いるものが重すぎるよな。そして国はその借りを一個人にはついぞ返そうともしない。

👱🏻‍♀️そして女性の活躍を多く描くのも本作の良いところだ。だが「女性を活躍させましたよ!」って感じの、なんちゃってポリコレではなく女性の良い面も悪い面も描き、活躍するだけではなく力なき女性は無残に惨殺されたりする(野人の女オシャとかリトルフィンガーがスパイさせてた娼婦は好きだったので無残に殺されて悲しかった)。適当に活躍させるだけではなく女性が凄い酷い目に遭う‥サンサとか顕著ですね。そういう描写って形だけのフェミニズムではなく、もっと真摯なものを感じた。そういった本作の一番いいところの多くは中盤で数多く観ることが出来るので中盤あたり観てる時は「このドラマ、神では?」と思わされた。

🐦七王国の玉座争いやスターク家の子供達の運命やデナーリスの旅路と並行して、大きなストーリーラインは超自然的存在ホワイトウォーカーとの対決。
ナイツウォッチに入隊したジョン・スノウは、ナイツウォッチ内でプロップスを高めてのし上がり若き総帥となり敵対していた野人や巨人をも味方につけ、そしてシーズン1から引っ張ってきた恐ろしい怪物ホワイトウォーカーと、多くのスターク家の子たちと合流した最終章でぶつかる。‥と、こう書くと少年漫画の主人公としか思えないジョン・スノウ。何も知らないジョン・スノウ。実際に彼は主人公に近い英雄だし活躍を文章だけで読むと確かに凄い英雄に見えるのだが、彼が七王国から切り離された壁の北で童貞を捨てたり要領を得ないボンヤリした冒険してる様子は、ジョンなりには大変なんだろうが七王国での熾烈な玉座争いに比べると大学生が遊んでるようにしか見えず「随分のんびりしてるな」と、ナイツウォッチの描写は当分の間面白くなかった(シーズン1に至っては本当に山でのんびりしてるだけだし)。
そもそもナイツウォッチも、衣装はカッコいいし「ジェダイみたいなカッコいい組織なのか?」と最初は期待したが、家を追い出された者や只の犯罪者が送り込まれてるだけで殆ど全員無能なのも観てて辛いところだ。剣の腕も別に強くない(むしろ七王国の普通の騎士よりずっと弱い)そんな中、一番無能と思われた名家を追い出された大柄のサムが、物語が進むに連れてどんどん有能になっていく様はつまらないナイツウォッチ描写の中で珍しく面白い箇所だった。
童貞捨てたり総帥になったり野人をまとめたりする主人公っぽいジョンの活躍も、何だか製作者に贔屓されてるようにしか感じなかった(範馬刃牙みたいな感じ)。挙句の果てには完全に殺された後に紅の魔女の魔法で蘇るし。だが完全に死んだ者が蘇るって優しい大作エンタメですら滅多に無いので逆に珍しかった。
本当に微妙なので中盤過ぎた辺りで「ひょっとして、こいつは『フィクションの主人公補正に対するアンチテーゼ』のために作られたキャラなのかも?」と思わされたくらいだ。つまり凡人なのに主人公補正を背負わされてヒーヒー言いながら死んだり蘇ったりしながら闘わせられ続け「主人公補正は是か非か?」を問うキャラなのかなって。まぁ最後まで観たら単純にヒーローポジションみたいだったので勘違いか。本作のジョンの描き方はかなりぬるい気がする。後半では少し立派になってきたが、あまり自分でものを考えないところや自分の心に正直すぎて他人の気持ちに寄り添わない性格が何だかなと思った。結局最後の台詞も疑問形だったしラストまで何も知らないジョン・スノウだった。ジョンを演じた俳優はMCU「エターナルズ (2020)」で剣の達人アベンジャー、ブラックナイトを演じる。このジョン役を観てキャスティングしたんだろうな。ルックスは普通にカッコいいのでそっちは楽しみだ。
そういえばシーズン1から名前が出て最終章で遂にスターク家&ターガリエンその他の混合軍とぶつかるスリープウォーカーと死の軍団。彼らは物言わずゾンビを従えて人間世界に南下してくる。てっきり何か深淵な目的があると思ってみてたら何にも無い只襲ってくるだけのゾンビ軍団だったので拍子抜けした。まぁただ「不吉な雰囲気」の擬人化っていうか災害の擬人化っていうか‥ただそれだけの存在だった。

🦌こういった三国志ものでは、雄々しい決戦や天才軍師のカッコいい計略を見せたりするもんだが、戦争が嫌いな原作者による本作ではそんな軍師目線では描かない(そのせいか本当は天才戦術家らしいロブ・スタークも、彼の見事な連戦や戦術が全部カットされてるのでドラマ観ただけだと恋愛脳のアホにしか見えないのが気の毒だ)。というかそもそも合戦も1シーズンに一回くらいしか出てこない。たまに合戦があっても主人公ではないスタニスなんかの最後の合戦などは「行くぞ~!」と突撃してカットが変わるとスタニス軍が全滅してたりして、そんな即落ち2コマみたいな負け方は笑った。無駄な引き伸ばしがなくていいね。アメコミも戦闘シーンほぼない長くても数ページだけど本来こんなもんで良いと思う。ジャンプ漫画も戦闘シーンいらんだろって思う。主人公の合戦なども当然軍師目線ではなく(そもそも軍師は出てこない)兵士目線で描かれるので自分や周囲がグチャグチャに刺されて苦しんで死んだりして「絶対こんな風に戦争に出されてこんな風に死ぬのは嫌だ」と思わせてくれる。本作に出てくる最強トップ5に入るキャラでも6人くらいに囲まれたらピンチになったり死んだりするのでリアル路線。カタルシスは少ないがそういった描写は「戦争やろうぜ!」気分を損ねる良い描写だと思った。

🌹自分が好きだった場面。
スタニス海軍をワイルドファイアで壊滅させたティリオンと目が合ったパイロマンサーが狂った笑顔を見せるところ(この人大好きだがここしか出番なくて残念)、シーズン4のティリオンの裁判、アリアの冒険や成長、ブライエニーとジェイミーが旅して熊と闘うところ、アリアが図書室でゾンビから隠れてる場面、ハウンドとか完璧人間オベリンや玉ねぎの騎士や野人トアモンドも当然良かった、‥だけどそれらは恐らく観た人皆好きだろうから改めて言うことはない。
そういえば最低な決断ばかりするスタニスは人気なさそうだが多田野曜平氏(故・山田康雄そっくりの死ぬほどカッコいい声の声優さん)が吹き替えしてイーストウッドみたいな声で喋ったり殺される時潔かったりして結構嫌いになれないキャラだった。この作品のキャストは皆仲良くて本作を愛している俳優が多いがスタニスを演じた俳優は「残酷で陰鬱すぎて理解できない‥ギャラのためにやるけど嫌いだ‥」と言ってるのも何だかスタニス本人みたいで好感が持てた。
というかジョン・スノウやスタニス等どうしようもないキャラの中に俺自身のどうしようもない部分を見て共鳴したのかも。そういった意味で、好きなわけではないがジョンやスタニスは全編寄り添って観ていたキャラだった。
あと少女領主リアナ・モーモントも、めちゃくちゃ良いキャラで好きだったのだが、死の軍団との戦争で戦死して悲しかった。ゾンビ巨人の首級を挙げるという良い扱いだったけどね。「正義感の強い少女が戦争に出たらこうなるリアリティ!」とかも良いけど最終章だし普通にリアナ・モーモントも生還させろや、と思わずに居られなかった。自分の確固たる意思もあるけど周囲の意見も積極的に聞くという最も王に相応しいキャラだから単純に「この世界の損失が‥」と残念に思った。最後の七王国再編首脳会談の時に居て欲しかった。
あと、シーズン7でタイレル家のオレナ婆様が最期を迎える場面。彼女の孫のマージョリーも演じてるナタリー・ドーマー好きだし良かったね。マージョリーは劣勢になってる時間の方が多かったが彼女にしか出来ないあざとい女性っぽいやり方でかなり良いところまでラニスター家に侵食して善戦したね。そしてオレナ婆さんも元々いいキャラだったが最後の時が来て「好きだったけどこれで終わりかぁ」と思ったら最後の台詞‥ここが全73話観て一番カッコいい場面でカッコよすぎて感動して震えた。

🐲本作の最終章は不評で「最終章を作り直せ」という署名に150万もの票が集まってしまったらしい。確かに最終章は良いところもあるけど6話しかないせいかダイジェストみたいに性急で「何でこんなことになった?」という場面が多く、また死の軍団との戦争もテーマ無い癖に異常に長かったりとバランスが悪い(恐らく「ドラマ史上最大の闘い」と言いたかっただけだろう)。最終章は6話じゃなくて「死の軍団編」「デナーリス編」とシーズン2本分必要だった。何か製作者がさっさと辞めたがったのかな?原作はシーズン6くらいで追いついたから原作のない部分を描くのがプレッシャーだったのだろうか。
だけど描き方が変なだけで、全体的なストーリーの着地自体には違和感ない。
だから「最後のジェダイ」ほど悪いわけではなく「作り直せ」とまでは思わない。その代わり中盤では「神のドラマ‥」って感じだったのが全部観終えた今は「何かそこそこ面白かったね」という感触に落ちてしまってるし原作のない最終章の出来とかを見るとSWから離脱した事も大して残念でもないので、やっぱり失敗だったんだろう。
女だからと舐められ苦渋を舐めつつ仲間を増やして捲土重来を目指す、そんな誰もが応援したい英雄デナーリスも、僕はシーズン1の時から苦境の彼女を見て「辛い目にあってるからこそ『自分は何しても良い権利がある』と思う人間になりそう」と思ってたので予想は当たった。デナーリスはコロニー落としをするシャアみたいな人物だと思ってた。それにしてもvs.ラニスター戦で鐘の音を聞いてブチ切れるのは確かによくわからなかった。彼女が暗黒面に落ちる描写は数話じゃなくてもっと長い期間をかけないと足りてない。最初から彼女には危険なところがありそうと思ってた自分だが、それでも「デナーリスがサーセイを焼き殺すのはわかるけど一般市民に爆撃とかするか?」と凄く疑問を覚えた。やっぱりデナーリスの暗黒面の増大には1シーズン必要だったと思うわ。僕は一気観したしデナーリスを信用してなかったのでショックもないが、何年も観てたりデナーリスのファンとかは納得できないかもね。アメリカでは娘にカリーシ(デナーリスの呼び名)を付ける人が多かったそうだが一体どう思ったんやろ。
そんな感じで「ラストが良い映画は微妙に思えた全体までも良く見えてしまう」という現象の反対で、本作は中盤がめちゃくちゃ良かったにも関わらず最終章のせいで何か印象に残らない鑑賞後感になってしまった。一気観したせいもあるかもしれんがロスにも一切ならず「何か面白い時もあった、そんなGOTってドラマがあったな」という既に風化した思い出になりつつある。
とはいえドラマ苦手な僕が一ヶ月で全話観れたから相当面白いんだけどね。途中で何本か映画観たけど「GOTの一番つまんない回の方がずっと面白い」とか思ったしクオリティ高すぎドラマなのは間違いない。殆どのドラマは数話観ただけでやめちゃうしね。
関係ないけど王都の守り人akaシティウォッチの事を吹き替えで「金マント」と呼んでたのがガンダムの「木馬」とか「白いの」みたいでカッコよかった。やっぱり現場での略語っぽい呼び名はかっこいいな。

🦁そんな感じで僕が一番好きだった部分は、長いスパンでキャラの大きな変化を見せるろころや女性やティリオンの描き方とかですかね‥。
好きなキャラは‥まぁ大抵の人気キャラは自分も当然好きなので彼ら彼女らは除外するとして、それら以外に一番好きなキャラは‥と考えるとやはりオレナ婆さんとリアナ・モーモント。あとさっき言ったようにスタニスとジョンは好き‥じゃないけど好き嫌いを超えた特別な感情を抱いていた。この四人。ちょうど少女、青年、中年、老婆とバランスも良い。
全体的な感想を一言でいうと「中盤は傑作だったけど最後の急造で作った二つの章は、ストーリーには文句ないけど時間が短すぎてダイジェストみたい」という事になる。2シーズンで描くべき分量の内容を6話で描いたためにめちゃくちゃ性急で変。展開に納得行かないんじゃなくて「これをじっくりやればいいだけなのに‥」と勿体ない気持ちになった。フィクションというのは途中がどんなに良くても、ラストの印象で全体の印象が決まってしまう。途中がつまんなくてもラストが良ければ何だか良い映画観たような気持ちになってしまうものだ(まるで「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」みたいに)。その点、本作は最後が微妙なせいで、4章あたりでは大興奮してたものの観終わって何日か経った今としてはフンワリした薄い印象になってしまった。多分、来週には本作のことなど思い出さなくなってるだろう。だから勿体ないなと思った。
続編は「House of the Dragon」というターガリエン家を中心にした前日譚の制作が決まった。一方、ナオミ・ワッツが出る別の前日譚はパイロット版がイマイチで没になり制作中止になったらしい。ナオミ氏が勿体ないのでターガリエン家の方にナオミ氏も混ぜてほしい。というかターガリエンの双竜のくだりとか想像するに凄く陰惨そうだし実のところあんまり観たくない。

 

 

 

そんな感じでした
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 ゲーム・オブ・スローンズ 最終章』 スターチャンネル公式ページ 
Hulu「ゲーム・オブ・スローンズ」
Game of Thrones (TV Series 2011–2019) - IMDb

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