gock221B

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「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド (2019)」全体的に良かったが特に中盤のデカプリオが良かった。半年飛ぶのとラストバトルは無くてよかった気がした🍸

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原題:Once Upon a Time ...in Hollywood
監督&脚本&制作:クエンティン・タランティーノ 製作国:アメリカ 上映時間:161分

 

 

 

🍸タランティーノの映画といえばすぐさま駆けつけてた僕だが本作は今頃やっと観た。
もう公開からかなり経ってソフト化もされたのでネタバレありの感想を書くけど、まずその前にタランティーノについての前提を踏まえる必要がある
※「あんたの『僕とタランティーノ』話には興味ない。ワンハリの感想だけ読みたい」という人は、ここのブロックを飛ばすと良い)
現在40代の中年である僕にとってタランティーノはモロに直撃世代。スコセッシ、コッポラ、ルーカス、スピルバーグリドリー・スコットなど‥も当然好きだが小学生の時からバリバリ上映してたから自分のお兄さんお姉さん世代の監督という印象だったけどタランティーノは、18歳で初めての一人暮らしはじめた時にデビュー作「レザボア・ドッグス」が日本上陸して「面白い!よしこの人を応援しよう!」とか思って、初めての恋愛&初めての同棲とか初めての仕事とかし始めて自我が芽生えてきた時に「パルプ・フィクション」がバーン!と来て「もうこいつしかおらん!」という感じで一年くらいほぼ毎日パルプ・フィクションのビデオを繰り返し繰り返し観てハマってたが、彼が最も調子こいてた「キル・ビル」2作の時に「これも当然、面白いけど何年間もイキり続けてる感じがキツいし、こいつは只のオタク監督なのかも?」と少し醒めた。次の「デス・プルーフ」は最初「はいはい、いつものオタクのノリでしょ?」と舐めて観に行ったらチェイスする車体がジャンプして看板を突き破るのと同時に「タランティーノがオタクのままオタクの壁を突き破って新しい次元に飛び出た!」って感じでビックリさせられて数年前までは「一番好きな映画=デス・プルーフ」って感じで再び好きになり、それから今に至る「歴史を改変して正義を執行する映画」期とでも言うべき路線も最高に好きだったので「キル・ビル」前後のイキり期を除けば殆どずっと信者状態のファンだったが、彼が若い時から世話になってた兄貴分のワインスタインが数十年に渡って大勢の女優をレイプとかセクハラしまくってた事が明らかになった。この「MeToo」運動が生まれるほどのセクハラのバケモノをタラは何年も見て見ぬ振りしてたので「彼は、その見て見ぬ振りで自由な映画製作できて、自分はそれを長年楽しんでたんだな」と思うと自分も知らない間に加害者に加担してたような気分になってガッカリした。だけど昔は今とは時流が違うしタランティーノ本人も政治家みたいな言い訳せず真っ直ぐに謝ったしまぁいいか‥と、思ったが、次は「キル・ビル」の時に車の運転がろくに出来ないし運転を嫌がるユマ・サーマンに無理やりカースタントやらせたら事故って怪我したけど、その事実を録画した映像や情報を何年も揉み消してた事が明らかになり、かなりあちゃーって感じになった。 だがこの件もタラがユマ・サーマンにごめんなさいして正直に公表してユマ氏も「彼も自発的に認めてビデオを公表したし……許す!」とか言って仲直りして飲みに行ったりして解決済みみたいだから「まぁ当人同士が仲直りしたんなら良いか……」と一瞬思ったものの「待てよ?『キルビル』で女優にそんな自動車事故起こさせて揉み消してた後に、俺が一番好きな映画『デス・プルーフ』の劇中で車を使って女性をグチャグチャに惨殺したり、逆に男が女達にグチャグチャにされてた場面って……一体どういう気持ちで撮ったん?」と混乱した、同じく好きだったその後の「歴史を改変して正義執行する近年のタランティーノ作品」も、なんだか普通に観る気が起きなくなった。それらの映画の内容自体は優れていたので今現在も優れたまんまなんだが「ワインスタインやユマ・サーマンの件を揉み消しながら、どういう気持ちで正義の復讐を撮って、称賛を受けてたん?」と思うと何だかまともに観る気しない。まぁ2000年代までは「作品が面白ければ何してもいいんや!」って風潮だったし自分もそう思ってたし、その時の自分が現代にタイムスリップしてこの話を聞いても「映画は面白いんだからそれでいいだろ?!」って言うと思うが、人は時と共にアップデートされてリテラシーが変わるものなので今では諸手を挙げて楽しめなくなるのは当然だろう。まぁタランティーノの現実での過ちと「デス・プルーフ」以降のタラ作品の劇中における「正義の復讐」描写を真正面から捉えると「タランティーノ内にあるダークサイド(映画製作のためなら悪を見過ごす自分)」と「タランティーノ内のライトサイド(本当は正しい行いがしたい自分)」が闘っていた様がそのままフィルムに焼き付いたんだろう。そして「本当は映画の外でも正しい行いをしたかったから、そんな映画を撮るようになって映画製作と共に自身の心の浄化を図ってるんだろう」と、俺は感じた。でも、それらの映画公開時に真実やそういった心情を明かした上で公開してたわけじゃないので当時は「良い映画や~!」と思って観てたわけで、後で色々な事情を知った今となっては同じ様に観る事が不可能だ。タランティーノ映画は今でも基本的に好きだし本人も反省してるみたいなので何年か後では自分も納得してまた熱狂できるようになる気がするが今は微妙だな~と思って本作も「後で観よう」と思って観に行かなかった。
シャロン・テートの事件」がクライマックスになるのは明らかで、だけどタランティーノが実際の事件の結末通りに描くわけは100%なく、シャロンを殺そうとするマンソンファミリーを終盤でブラピとデカプが返り討ちするであろう事は観なくてもわかるので、これまたどういう気持ちでそんな「正義の復讐」を観ればいいのか‥という感じだったので観たくなかったのだが……わかりますかね、この感じ? 「わからん!」という人に向けて「何でそう思うのか。何でそう思わなきゃいけないのか」を事細かに話すのも悪くはないが一向に本作の感想を始められないので、タランティーノ本人についての話はここで止めておこう。とりあえずタランティーノに興味ない人とか嫌いな人ならどーでもいい、この未だ答えの出ない問題は各自、自分の中で折り合いつけて自分だけのオリジナル回答を見つける必要がある、他人に聞いたらダメだ(勿論「そんな事どーでもいい!自分はファンとして映画が良ければそれでいい!」という考えも、それは各人の自由だ)。

🍸ちなみに本作を観た結果だけ先に言うと想像よりかなり良かったです。
観たのが遅いし、面倒なので舞台となった時代のカルチャーとか映画的なウンチクとかは書かないことにする(そもそも、そういったウンチクとかオマージュの指摘は何の価値もない)。
観に行かなかったけど基本、映画好きのおっさんと若い男しか好きじゃないタランティーノ映画は一瞬で話題が風化してしまってたのだが‥映画が好きな日本人自体が少ない上に、それを好きな層がオッサンと若い男という最も影響力のない人種なので話題になりようがなかった。だが本作の場合ブラピとデカプリオのホモソーシャルな関係が女性に受けたらしくTwitterのTLでいつまでも本作の話題が流れてきてたので「こんなに女性が話題にするタランティーノ映画なんてパルプ・フィクション以来だな」と思った。
本作をまだ観てない人は‥シャロン・テートWikipediaだけ読めばそれ以外に準備は何もいらない。 シャロン・テート - Wikipedia

 

 

 

二人の男+一人の女性という三人のキャラクターを中心に描かれる。
かつてのTV西部劇スターのリック・ダルトン(レオナルド・デカプリオ)はカウンターカルチャーの流れに取り残されてスターとしての下り坂に差し掛かりアル中で情緒不安定になっている。
彼のスタントマン兼親友であるクリフ・ブースブラッド・ピット)も、過去に訳ありで評判が悪く、スタントの仕事が殆ど入らず、映画の仕事よりリックの付き人として雑用ばかりしている日々を過ごしていた。
そんなリックの屋敷の隣に、映画監督ロマン・ポランスキーと女優シャロン・テートマーゴット・ロビー)の夫婦が引っ越してきた。ちなみにクリフはドライブインシアターっぽい広場の片隅のトレーラーハウスにブルドッグと住んでいる。
リックは、アル・パチーノ演じる映画プロデューサーに「イタリア西部劇に出たら?」と勧められる。観てるこっちとしては西部劇ドラマからイタリア西部劇映画に出て大スターになって巨匠になって現在も覇者として君臨してるクリント・イーストウッドが頭に浮かぶので「いい話じゃん」と思うのだが、当時の時代を生きている古風なリックは「俺はハリウッド俳優だぞ?イタ公の映画なんか出たくねーよ」と思ってて、この差が可笑しい。「主役級じゃなくなった」というだけでイタリアで主演映画に何本も出れたりするし悪役や脇役なら幾らでも演じられるというのに彼は「絶頂じゃなくなる=終わり」と、自分を高みに置きすぎているため全編嘆いてばかり居る、だがそこが彼の魅力になっている。
まぁとにかく三人の人となりを何となく教えてくれる前半。
かつてのタランティーノ信者状態を抜けたとは言え、映画が始まって酒を注いだり車を走らせたりすると一瞬でかつてのようにタランティーノ映画の中に入りこむ感じがあった。そもそもタランティーノの映画って音楽とか描写とか一々あらゆる描写がフェティッシュな何かを出してるよね。デヴィッド・リンチ映画と一緒で好きな人は好きだし興味ない人はずっと興味ない(自分はどっちも好きだ)。とりあえず複雑な思いを未だに抱いてるタランティーノ映画だが酒や食い物のシズル感うまそう感はやっぱナンバーワンだと思った。特にブラピが凄くマッチョな雰囲気で犬にドッグフードをやろうとして缶詰からドッグフードがズルーっ‥と出て犬の皿にボチョッと落とすくだりが2連続で、その上からカリカリをザラーっとめっちゃ床にこぼしながら入れるシーンのシズル感が放つ催眠効果で一気に映画に引き込まれた。シズル感つっても、この犬の餌なんかクソみたいで臭そうだし汚いし絶対食いたくないんだが観るものを恍惚とさせる撮り方している。「宇宙人の料理」などの見たことない食い物を撮っても美味そうに描写するんじゃないか?という気もする(タランティーノが「スタートレック」の映画の新作を撮るって言ってたのが脚本だけになっちゃったのが残念だ)。
ちなみに「この世界の片隅で」みたいに、日付と時間が頻繁に画面に表示される。これは「この世界の‥」の原爆と同じ様にシャロン・テートの事件の日に近づいてますよ、というサインなのだが、シャロン・テート事件の詳細や日付とか別に詳しくないので「よくわからんが、とりあえず事件の日に近づいてるんだろうね」とだけ思いながら観ていた。

 

 

 

中盤。僕はこの映画の中で中盤が一番好きだった。
シャロン・テートは自分が出演したお色気アクションコメディ映画を劇場に観に行く。わざわざ「私が出てるの」とアピールしてタダで入れてもらう。劇中の自分のアクションをエド・ウッドみたいについついトレースして観るシャロン。劇中でズッコけてパンモロになる自分を笑う他の観客や、劇中の自分が悪者をやっつける様に喝采を送る観客を見て心底嬉しそうなシャロン。自分の仕事や生活や美貌や周囲の人を慈しみ、全て楽しんでいる美しい女の子としてのシャロン・テート、とても可愛い。そういえば劇中にも出てきたマンソン・ファミリーの生き残りスネークのインタビューで「彼女が日常を過ごしたり、映画館で自分の映画を楽しむシーンを観てめちゃくちゃ辛かった」と言ってたのが凄く印象的だった。 
【ネタバレ】元マンソン・ファミリーのメンバーが『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を観た感想語る | THE RIVER

またラジオ番組「アフター6ジャンクション」で宇多丸氏がタランティーノをインタビューした名作回があったが、この中でタランティーノが「シャロン・テートは悲惨な事件の被害者としてしか語られないのが嫌で、活き活きした魅力的な女の子として描きたかった」的な事を言っててそれも感動しました。

radiocloud.jp引用ばっかりしてるが目や耳にしたそれらが自分の感想よりずっと良いので仕方がない。
クリフ(ブラピ)は、スタントの仕事を何とか貰うが現場に居たブルース・リーストリートファイトしてしまい、その場でクビになる。ここでのブルース・リー。この今までにない荒いブルース・リーの扱い(ブラピに終始押され気味で引き分け、あのまま続けてたら多分負けてる)について、本作を観たブルース・リーの娘は「亡き父を侮辱してる」と、おこだったらしいが僕は悪くないと思った。ブルース・リー‥だけじゃなくアクションスターのファン全体に言えるけど彼らは皆アクション・スターを絶対神みたいに扱う事が多く僕はそれをあまり良くないと思ってるので本作での「腕が立つが異常に傲慢な東洋人」という描き方は、神じゃなくて普通の人間として描いてて、これはこれでブルース・リーを神のように描くより大事に描いてるんじゃないの?と思った。このブルース・リーは強くないが、これはこれで違う魅力を感じたし。
まぁ、とにかくクビになったクリフは、いつもヒッチハイクしてるのを見かけてたヒッピー娘”プッシーキャット”(マーガレット・クアリー)を車に乗せて彼女の仲間が住んでるという場所へ送っていくが、そこは昔、リックの西部劇の撮影で使わせてもらったことのある牧場主が営むスパーン映画牧場だったのでクリフは「年老いたスパーンは、家をヒッピー共に占拠されて利用されてんじゃないのか?」と心配になって見に行く。当然そのヒッピーたちはマンソン・ファミリーで、スパーン映画牧場は彼らが拠点としていた場所だった。ここでクリフとマンソン・ファミリーとの間に因縁が生まれる。このパートは「悪魔のいけにえ」的な70年代アメリカン田舎ホラーみたいな雰囲気で最高だった。だが直接対決はラストに置いておく形でここは終わる。
リック(デカプリオ)は、TV西部劇に雇われるが落ち目のためヒーローではなく悪役として呼ばれる(しかも彼が大嫌いなヒッピー風の風貌にされる)。屈辱のためか前日も深酒して台詞もトチってしまう。そういえば、この現場で彼が出会う子役の少女が凄かった、完全に天才子役。リックはこの現場で、落ちぶれた自分を少女の前で曝け出して泣いてしまい慰められたり、台詞をトチって反省したり、気を引き締め直して今度は現場で見事な悪役っぷりを見せて(本当に見事)監督や少女を感嘆させたりする。やったね。前半のリックは「何かうっとうしい奴だな‥」と思ってたけど中盤では一人の男の一生を十数分で描いたかのように‥彼の衰退や反省からの成長などが抑揚付けて描かれており、つい十分前まで嫌いだったリックを大好きにさせられて、このくだりはタランティーノ全作品の中でもベスト3に入るくらい好きだ。素直に応援できる。
‥そんな感じで三人の主人公とマンソン・ファミリーの線が交わっていくし事件の日付知らないので、三人の、この一日の終わりに例の事件が起こるクライマックスに入るのかと思ってたら時制が急に半年も飛んだのでずっこけた。

 

 

 

リックとクリフは結局イタリア行って、聞いたことあるような名前のイタリア映画監督たちと聞いたことあるようなタイトルのイタリア西部劇を半年間で4本撮って二人はある程度の成功を収め、リックはイタリア人の妻を娶って三人はアメリカに帰国。まぁここまではイーストウッドセルジオ・レオーネの映画三本出てアメリカに帰国したみたいなもんだよね。
その夜、例の事件が起きてクライマックスに入るのだが「ここで半年も時制がジャンプする必要あったか?」と思った。せっかく凄く面白くて、三人の主人公とマンソン・ファミリーの線を交錯させた中盤の流れが完全に一旦、断ち切れてしまった。もったいなくない?「悪役を精一杯がんばったリックとマンソン・ファミリーの拠点から帰ったクリフ、シャロンは映画を楽しんで帰宅」→「マンソン・ファミリーはクリフの後をつけてって標的をポランスキー家じゃなくクリフ&リックにする」って流れで、そのままクライマックスに入れば良かったんじゃないの?その方がテンション断ち切れずに良い気がするが。どうしても「リックがマカロニに出演した」ってくだりを入れたかったのかな。あのイタリア妻のキャラも全然要らんし‥。どうせ、いつものようにイタリアでの撮影のくだりとか何時間分もあったんだけど全部カットしたからこうなったんだろうな。
まぁ観る前の予想通り、近年の他のタランティーノ作品と同じ様に「史実とは違うタランティーノっぽいディフォルメされた超暴力での正義の復讐」が行われる。このバイオレンス復讐、ブラピの犬の躾や火炎放射器などの伏線も効いてるし場面の面白さ自体や「マンソン・ファミリーをブッ殺したい!」という気持ちには共感できるし良いと思うんだが‥一番最初に書いた「タランティーノの脳内で良いタラと悪いタラが闘ってるのがそのまま描写されてるみたいだなぁ」って感じを感じてしまい「デス・プルーフ」「イングロリアス・バスターズ」「ジャンゴ 繋がれざる者」‥などのラストで描かれた「正義の復讐」ほど手放しで盛り上がれないものがあった。
ここは一つ、ここまでの落ち着いた普通の映画っぽいトーンのまま、もっと別のスマートな解決法の方が良かった気がしなくもない。
このタランティーノの過剰な暴力でのラストバトルも、それ自体は好きなんだけど今まで散々やったから「またこれか」と思ったのかもしれない。「デス・プルーフ」の次に撮ったのが本作だったら「ええっシャロン・テート死なないの?最高や!」と「イングロリアス・バスターズ」の時のように盛り上がれた気がするけどね。イングロとかジャンゴとか観てなくて本作観てたらここで感動しただろうけども。そうなると暴力が過剰であればあるほど「これって絵空事の妄想だな」って感じが強調されて虚しくなるし、もっと現実的なやっつけ方の方が良かった気がする。
それにしても銃を向けられてもLSDでラリって狂ったように笑うブラピはめちゃくちゃカッコよかったけどね。
まぁラストバトルの是非はともかく、その後のリックとクリフが友情を確かめ合う場面、そしてラストでリックと殺されなかったシャロン・テートがここで初めて会話し、そして家に招待される‥っていう明るい未来を感じさせる落ち着いたラストシーンは凄く良かった。
まとめると時制が半年飛ぶ必要あったか?って事と、正義執行ラストバトルが乗り切れなかった事以外、全編良かった。
今までのタランティーノに比べると、しっとり大人っぽくなったと言われてた本作だが、もっと大人っぽくて良かった気がする。
関係ないけどタランティーノと言えば女性の足(の裏)フェチで有名だけど、本作はそれだけじゃなく寝てる女性がイビキをかくシーンが妙に多かった。フェティッシュな感じもしたし。タランティーノが現在一緒に寝てる女性がイビキかいてて、それが好きなのかな?どういう意図かわかんないけどマーゴット・ロビーとか美しすぎて現実味感じなかったがイビキかいたことで「女神じゃなくて人間か」と気づかせる効果があったかも。
まぁとにかく、全体的にかなり楽しかったです。

 

 

 

そんな感じでした

「ヘイトフル・エイト (2015)」価値観を揺らされる感じと一切先が読めないという映画の2大快感要素があった⛄ - gock221B

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Once Upon a Time ... in Hollywood (2019) - IMDb

www.youtube.com

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『アナベル 死霊博物館』(2019)/呪物アベンジャーズ状態を期待してたけど予告編でいいとこ全部観せ終わってた印象でした👧🏻

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原題:Annabelle Comes Home 製作国:アメリカ 上映時間:106分 監督&脚本&原案:ゲイリー・ドーベルマン 制作&原案:ジェームズ・ワン 制作会社:アトミック・モンスター・プロダクション シリーズ:「アナベル」シリーズ。「死霊館」ユニバース

 

 

ジェームズ・ワン制作ホラー「死霊館」シリーズのスピンオフ、「アナベル」シリーズ3作目。MCUの次に成功しているシネマティック・ユニバースだと言っても過言ではない「死霊館」ユニバースの最新作。
監督は「アナベル」シリーズ前二作や「死霊館のシスター (2018)」や「 IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」前後編の脚本家ゲイリー・ドーベルマン長編映画監督デビュー作。
実在する呪いの人形アナベル(現実のアナベル人形はもっと可愛い人形だが)の話。
時系列順に語ると、最も昔の話がアナベルの誕生を描いた2作目にあたる前作「アナベル 死霊人形の誕生 (2017)」。そしてアナベルはとある夫婦の元に行って起きた事件がシリーズ一作目にあたる前前作「アナベル 死霊館の人形 (2014)」で描かれた。その人形が回り回って「死霊館 (2013)」の冒頭で、主人公である超常現象研究家ウォーレン夫妻が譲り受けて持ち帰って倉庫に保管した、その後の話が本作で描かれる。
本作は「アナベル」シリーズの三作目だが「死霊館 (2013)」の続編にもなっている。
だがウォーレン夫婦が対峙するんじゃなくて夫婦の娘が解決するから外伝。
‥と言っても文章で説明したら凄いややこしくなった。観てない人が上の説明読んでも眼が滑ってよくわからんだろう。
しかし本作を観るには「霊能力夫婦が持ち帰ったアナベルや他の呪いアイテムによって娘が怖い目に遭う映画」とわかってればそれでいい。シネマティック・ユニバースの一本とはいえど、そんなに込み入った伏線とか相関性はない。
それにしてもメインの「死霊館」はまだ二作なのにスピンオフのアナベルが追い越したんですね。
本作の時代設定は1971年で、死霊館ユニバース全体もその前後の話。でも、それは実在するウォーレン夫妻の実際の心霊事件に時制を合わせてるからだけであって実際に映画を観ても「50年前の話」という要素は希薄。せいぜい「スマホが登場せず服装と家具と家の内装がめっちゃオシャレ」というだけで、後は現代の話と変わらない。
死霊館 (2013)」や「アナベル 死霊館の人形」でのアナベル人形。アナベルはアバンに一瞬出てきて夫婦が保管する。夫妻が遠くの屋敷でメインのポルターガイストと対決してたら、同時刻にウォーレン夫妻宅に保管してたアナベルも呼応したのか本作同様に留守番してた主人公ジュディが少し危ない目に遭った。この「死霊館」であった「留守番ジュディ大ピンチ」場面のみを新たに作り直したのが本作なのかな?と思った。
このアナベル人形が一番優れてるところは、アナベルが動き出してチャッキーみたいに直接襲ってくるのではないところ(でも誰も見てない間に移動するくらいの動きはする)。アナベルは呪われてるとはいえ、あくまで只の人形に過ぎない。アナベルの恐ろしさは「悪魔を呼び寄せる駅」みたいな役割だと思ってるのだが‥それが何とも奥ゆかしくて良い。色んなホラー演出に自信がないと出来ない描写。普通だったらチャッキー化して暴れだして終わりだろう。
以下、軽いネタバレあり

 

 

 

アバンタイトル(タイトルが出るまでの冒頭の短いシークエンス)。1971年、「死霊館」冒頭で預かった実在した呪いの人形〈アナベル〉を持ち帰る霊能力者ロレイン(ヴェラ・ファーミガ)と、その夫のエドパトリック・ウィルソン)。彼らは実在した有名な超常現象研究家ウォーレン夫妻。
このシリーズは全体的に画がかっこいいんだけど、ここでのカッコいい霧の中の幽霊など、この持ち帰りアバンは本編より良かった(やはり夫婦が悪魔と対峙してる方が画がしまるのかも)。
彼女らは自宅の地下にある〈博物館〉にアナベルを保管する。そこにはアナベル以前に持ち込まれた様々な呪われた品々を厳重に封印していた。
翌日、ウォーレン夫妻は仕事で家を空けることになり一人娘のジュディ(マッケナ・グレイス)は、年上のシッター・メアリーとその友人ダニエラと、女子3人で留守番することになった。
ところがダニエラが地下の博物館に入り込み、誤ってアナベルの封印を解いてしまい今回の事件が起こる‥。
そんな話。
メインの「死霊館」本編は夫妻の話で、スピンオフはその娘が主人公するというのは非常にスピンオフっぽくて収まりが良いですね。
ちなみにこの主人公、夫妻の一人娘ジュディも実在の人物(スタッフロールやYoutubeで本人を見れる)。このジュディも母親譲りの霊感を持っていて霊や悪魔を視ることができる、だが悪魔や霊を封印するほどの技術や知識はあまり持っていない。
何だか面白くなりそうな設定。
ジュディを演じるのは現在アメリカのNO1子役マッケナ・グレイス。「gifted/ギフテッド (2017)」でクリエヴァの天才娘を演じて、大人の女性が魔法で子供に変えられてしまったかのような大人っぽい表情と演技で話題となり「演技力ありすぎる幼女すごいけど怖い」と思わされて、その後「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル (2017)」でトーニャ・ハーディングの少女時代を「キャプテン・マーベル (2019)」でキャプテン・マーベルの少女時代を演じている。「とにかく凄い女の子供時代の回想はこの子にやらせとけ!」感で、あまりにも本人と似てない子供時代役ばかりしてる気もする。
ジュディは、ウォーレン夫妻の悪魔バスターズ活動がアメリカ全土で有名になってしまった事から学校で軽く避けられている。いじめられてるわけじゃないけどクラスメートが近寄らなくなったり悪ガキにからかわれたりする感じ。
そんなジュディと共に留守番するのはシッターのメアリー。メアリーの友人ダニエラもついでに留守番することになった。
ダニエラはジュディを軽くいじめている男子の姉。ダニエラは「父が死んで弟も情緒不安定でごめんね」と謝る。ダニエラの父は、ダニエラが車の運転の練習した時に交通事故で亡くなった。そのためダニエラは父の死に罪悪感を抱いており、心霊専門家ウォーレン夫妻宅のスーパーナチュラルな要素に救いを求めてやって来たのだ。ダニエラは、ジュディとメアリーに隠れて「入っちゃ駄目だよ」と言われた〈博物館〉にこっそり忍び込み、父に会わせてもらおうと周囲に居る(と思われる)霊に「いるなら出てきなさいよ!」話しかける。当然返事はないのでそこらじゅうの呪いアイテムをいじりまくって多くの封印を解いてしまう。
「キャビン」に出てくるキャビンの地下には、モンスターを起動させるために呪いのアイテムてんこもりだったが本作のこの場面は正に「キャビン」の組織がやらせたかったことをやっちゃった状態だ。
当然、アナベル人形をはじめ、銀貨を目に乗せた悪霊、花嫁の悪霊、「インシディアス」シリーズに出てきそうな悪魔、鎧武者などが次々と目を覚ます。
この前半を描写した予告編でも、この事は描かれてて
ジュディ「どの封印を触いちゃったの?
ダニエラ「ぜんぶ‥
‥という予告が、あまりにも秀逸すぎた。俺の中で、ここ数年の映画のベストワン予告編大賞をあげてもいい。だが正直、本作はこの予告編の面白さを超えるものではなかったのが残念だった。
このジェームズ・ワン制作ホラー映画の制作陣はもう10本近く撮ってて怖いタイミングや美しい映像が慣れたもので、また、このジェームズ・ワン制作ホラー映画の傾向として、ワンが監督してない時も一定以上のクオリティを保っているのが特徴。監督デビュー作の監督や外部でクソつまんない映画を撮った監督などが撮ってもどれも一定以上の面白さがあるので、恐らくジェームズ・ワンが監督してない時もこのチーム自体が監督をしている感じで、その都度えらばれる監督よりチームの方が力があるんだと思ってる。実際のところは知らないがきっとそうだろう。最大のシネマティック・ユニバースMCUも全作を統括しているケヴィン・ファイギのおかげで全作に一定のクオリティと何となくどれにも共通する統一感があるが、あれと似ている。SWとかDCのユニバースがバラバラになったのも見るにつけ、優れたシネマティック・ユニバースは強力に才能ある一人がトップに就いて統括しないとシネマティック・ユニバースは作れないんだろうね。
そんな感じで本作も、良いタイミングや美しい画作りは今まで通り。

 

 

 

以前から、このウォーレン夫妻の呪い博物館が出てくるのを楽しみにしてたが、対応するのが霊が視えるだけで非力なジュディと友人の少女たちなせいか、せっかく悪魔や幽霊が大挙して封印が解かれるものの少女たちは誰も殺されないうちに何とか解決してしまう。恐らく「両親の留守中に問題発生。だけど私達だけで何とか解決しておかえりなさい言ったよ」という、キッズものによくあるノリの範疇で仕上げたかったのだろう。だからダニエラが殺されかけるが平気だったし「シャイニング」みたいに殺され要員がわざわざやって来て殺されるという事もなくあまりに平和すぎる。
だから非常にスケールの小さい話に感じてしまい「これなら予告編だけで良かったな」という感じがした。というか、むしろこの博物館の封印が解かれる悪霊アベンジャーズ話は今まで楽しみにしてたのもあって「死霊館」本編でウォーレン夫妻がもっと人死にも出るようなガチな映画にして欲しかった(それとも「死霊館」本編は実際に起きた心霊事件を映画化してるので、完全にフィクションである本作はスピンオフの本作でやったのかもしれない)。
悪魔や霊について。アナベルはいつものように知らない間に椅子に座ってたりベッドの下やソファの裏に出現したり、アナベルの元になった少女の霊を見せたりと今まで通りの大活躍。それにしてもジェームズ・ワン製作ホラーだけでも一体、何回ベッドの下を覗く場面があることか。もしこの世界に転生したとしたらまず最初にベッドの下を衣装ケースでギュウギュウ詰めにすべきだろう。
新しい幽霊や悪魔は‥、目に銀貨を乗せた悪霊が良かった。暗闇から出てくる時、空中で目の位置にある銀貨だけが反射して光ってたり、その銀貨が落ちてコロコローと転がしてきてビビらせるギミックは良いのだが、あと一歩パンチが足りない感じがして「こいつのスピンオフは無理だな」と感じた。
他人を呪う花嫁の霊は、俺が好きな一作目「アナベル 死霊館の人形」でのこれまた俺が好きだった「隣の部屋にいる悪霊がバーン!とこちらの部屋にダッシュで来る」というシーンのしょぼいセルフリメイクやってた。ジェームズ・ワン製作ホラーは最近ビビらせる手法がネタ切れ気味でパクリが増えてきたが、とうとう同じシリーズの人気シーンをセルフリメイクしてしまった感があった。ホラーに限らずフィクションはパクリパクられでここまで来てるのでパクリ云々に文句はないのだが「死霊館のシスター」であった「エクソシスト3」のパクり、本作のベッドのシーンでの「呪怨」のパクりなどの「パクるのはいいけど、そんな有名なところからパクる?」と少し引いた。特に文脈を感じないセルフリメイクもちょっとね。。
他のモンスターは「インシディアス」シリーズに出てきそうなモロに悪魔みたいな悪魔が出てきたけどアレは何だったんだろう?見た目は悪魔なんだけど別に強力でもなかった。
色んな幽霊や悪魔が出たが今ひとつ怖くなかった。やっぱジュディたちは悪霊にただビックリさせられるだけで被害が一切なかったせいかもね。
これが完結なのかどうかしらんが、とりあえず「アナベル」は一作目だけで良かったなと思った。ジェームズ・ワン製作ホラーはずっと応援してきたが正直さすがの僕も飽きてきました‥。とりあえずスピンオフはもう作らんでいい気がする。
これまでの死霊館ユニバースの僕の評価は‥

幅広くオススメできる
死霊館 (2013)」「死霊館 エンフィールド事件 (2016)」「アナベル 死霊館の人形 (2014)」

地味だが俺は好き
死霊館のシスター (2018)」「ラ・ヨローナ ~泣く女~ (2019)」

イマイチ。あまり人が死なないのでキッズ向けには良い
アナベル 死霊人形の誕生 (2017)」」アナベル 死霊博物館 (2019)」

 こんな感じ。

👻今後公開されると言われているジェームズ・ワン制作ホラー映画は‥。「死霊館」メインの3作目「The Conjuring: The Devil Made Me Do It (2020)」が前作から4年ぶりに作られる。あと死霊館ユニバースからは「死霊館のシスター」2作目「The Nun 2 (2020)」。「死霊館 エンフィールド事件」に登場した〈へそ曲がり男〉スピンオフ「The Crooked Man (2020)」(これかなり前から予定だけあって一切進展してない)。あと僕が一番好きな「インシディアス」の5作目「Insidious: The Dark Realm (2020)」これは期待だな。というかこれ全部公開されるんだとしたら「1年に4作」と、MCUより多いやんって感じになるね。
この中だと観たいのは‥インシディアス5と死霊館のシスター2かな。
とにかくしょぼい作品が増えてテンション下がってきました。そろそろジェームズ・ワン本人が監督するとか、作品数を減らして一作一作にアイデアを凝縮させるとかして締め直して欲しい。

 

 

 

そんな感じでした

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死霊館ユニバース〉

『死霊館』(2013)/Jホラーっぽい前半とアメリカ映画っぽい後半の組み合わせが良すぎる👿 - gock221B
『死霊館 エンフィールド事件』(2016)/横綱相撲みたいな洗練されきった貫禄ホラー!👿 - gock221B
『死霊館のシスター』(2018)/これ以上ないほどシンプルな、おにぎりみたいなホラーで好感触➕ - gock221B
『ラ・ヨローナ ~泣く女~』(2019)/良作だが10回くらい繰り返されたテンプレに飽きてきた。霊より中年の男女のキャラが良かった👰 - gock221B
『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』 (2021)/3(8)作目にして安定テンプレ捨てて挑戦したのは偉いが、それでもさすがに飽きた感ある👿 - gock221B
『死霊館のシスター 呪いの秘密』(2023)/14年で14本も殆ど同じ内容の映画を作ってるので僕も5年前に飽きてて本家の死霊館やインシディアスやアナベルは完全に味しなくなったけど、これはまだ若干いけるかも✚ - gock221B

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Annabelle Comes Home (2019) - IMDb

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『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(2019)/全てのSW作品の中でこれが一番しょうもない。アダム・ドライバーは最高⭐

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原題:Star Wars: Episode IX - The Rise of Skywalker 監督&脚本&製作:J・J・エイブラムス
製作:キャスリーン・ケネディほか 音楽:ジョン・ウィリアムズ
製作国:アメリカ 上映時間:142分 シリーズ:「スター・ウォーズ」シリーズ、シークエル三部作



 

 

スター・ウォーズ/フォースの覚醒 (2015)」「ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー (2016)」あたりまではかなり楽しんでたのだが、制作陣のゴタゴタや「スター・ウォーズ/最後のジェダイ (2017)」「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー (2018)」でかなりテンションが落ちて正直もうどうでもよくなってしまった三部作の完結編を一応観とくか‥と公開されてかなり経ってから観た。ネタバレあり
ディズニーがルーカス・フィルムを買収して、それまでスター・ウォーズ(以下SW)を創り上げてたジョージ・ルーカスから製作総指揮がキャスリーン・ケネディに移って以降の新しい三部作‥シークエル・トリロジーの完結編。‥というだけではなく全9作からなるスカイウォーカー・サーガの完結編でもある。特に誰が頼んだわけでもないのに苦心しながら完結させました。
ディズニーとキャスリーン・ケネディが主導したSWは、とにかくザック・スナイダー主導だった時のワーナーDC映画と同じかそれ以上にゴタゴタして迷走していた。キャスリーン・ケネディは、若くて尖った監督を雇うものの意見が合わないとすぐクビにして言った通り作ってくれる職人監督を連れてきて短期間くらいで全部作り直して公開するっていう流れも3回もあった(全五作の三本がそれ。多すぎる)。EP7→8→9の全体的な整合性を決めず昔の週刊少年漫画のように行きあたりばったり作った結果、なんだか、めちゃくちゃになってしまった。来週の展開すら決めてなかった昭和の少年漫画を数百億かけて映画化したようなもんだ、これでは上手くいくわけがない。
ディズニーのSWは、この三部作や外伝2作を通して、ファンに神格化されている旧三部作や旧キャラを、どれも「英雄だったらしいけど皆たいしたやつじゃないよ」と無能に描いたり無駄死にさせたりして貶し、膨大な小説やコミックなどを全部正史から外し(その癖、それら過去作からアイデアだけ貰ったりする)たりした。あとSW世界の年号の付け方を今まではEP4での戦いを基準にしてたのを最近、EP7の戦いを基準にした年号にこっそり変えた。要するにディズニーは今後も無限にSWを作っていく上で過去作を邪魔に感じて、旧三部作やキャラや設定を徹底的に破壊し(もう今さらルークとかの活躍を素直に観れるか?)、今後、自由に作品作りしていくための下地作りをした‥というのがこの三部作の目的だったのではないかと思い始めた。今は否が多めの賛否両論だが本作を観てる子供が大きくなった10年後には普通に人気になってるのかもしれない。
‥というのは制作陣を観てきての憶測だが大体合ってると思う。
当然気に入らないが、旧三部作を破壊するのに躍起なあまり、プリクエル(EP1~3)と、2と3の間を描いたアニメ「クローン・ウォーズ」は殆ど破壊されてない。そのせいかプリクエルの評価が上がってるファンは多い気がする。僕も公開当時はそれほど好きではなかったプリクエル(3は好きだったが特に1と2はめっちゃ嫌いだった)だが、なるべく好きになろうと数年置きに何度も観てるうちに2は「嫌い」から「アナキンの恋愛以外は楽しい映画」と評価が上がった。そしてEP9は一番しょうもないと思ったので最下位を8と争ってた1の評価も繰り上がった。それにしても「1と2嫌いやわ~」と悪口言いつつ旧三部作より回数多く観てた気がする。こうなってはもはや最初から好きだったのではないか?という気がしなくもない。
そんな感じで、プリクエルは真空パックされたように汚された箇所が少ないので、旧三部作はしばらく観る気になれないがプリクエルは今まで通り楽しめそう。

 

 

 

スター・ウォーズ/フォースの覚醒 (2015)」
新三部作の一作目であるEP7を、風呂敷を広げるのが上手いJ・J・エイブラムス(以下JJ)が数々の謎を散りばめるだけ散りばめてEP8監督のライアン・ジョンソンに丸投げした。
僕はと言うと、EP7はJJの目論見どおり、新キャラもいいし「今後2作で語られるであろう謎」にもワクワクしたしソロが死ぬのは残念だが、まぁ老兵だしそういう役割もあるよなと許容範囲で楽しんだ。今となってはそれら楽しめた要素も全てどうでもいいものになってしまったのでEP7自体、自分の中でどうでもいい映画になってしまったがコレを観た年はSW再開の喜びで「マッドマックス 怒りのデスロード」より評価して、このブログでも2015年のベスト1にした(そして後でこっそり無かった事にした)。只のコソドロにした「ザ・レイド」勢とか、「GOT」で長身の騎士ブライエニーを騎士としても女性としても素晴らしく描ききった女優を雇っておいて仮面で顔を隠して部下の男に瞬殺されるキャプテン・ファズマ何がしたかったん?
「ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー (2016)」
続く外伝シリーズ第一弾「ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー (2016)」。これはギャレス・エドワーズが戦争映画っぽく膨大な素材を作ってたが現場を管理しきれなくなりクビになってトニー・ギルロイがまとめあげた。本作はSWファンに「わかってるね~」と好評だったがトニー監督はSWのファンでも何でもなく「メインキャラをラストでバンバン殺せばOKなはずだ」と職人的に撮っていただけというのが面白い。僕は、前半おもんなさすぎたものの普通に楽しんだ。未だに好評をよく聞くがこの映画の話する人の殆どは最後のベイダー無双の話する人ばかりなので「ベイダー出てなかったら人気ないんだろうな」と思った。ドニー・イェンと空中戦も人気だけど。
スター・ウォーズ/最後のジェダイ (2017)」
続くEP8。JJに丸投げされた設定を監督ライアン・ジョンソンは、EP7ラストでレイが必死に持ってきたライトセーバーを老ルークが投げ捨てるシーンで「そんなもん知るか」という気持ちを表現した。内容も全編が逆張りに次ぐ逆張り、レイの両親は凡人、スノークは誰だかわかんないまま即死、旧キャラの犬死に、ローラ・ダーンやローズやクソ鳥やルークに乳飲ますバケモノやベニチオ・デル・トロなどのクソ新キャラ、レイアが強力なフォースの使い手だった事やハイパースペース特攻など急に明らかになった事実の多さ、やる気のないルーク、意味のない冒険の数々、など‥で、かなり批判が多かった。そして制作陣は映画の内容を具体的に批判されても「ローズがいるから批判するんだろ?レイシストレイシスト!」といった「そんな事言ってないしお前がレイシストなんじゃ?」って感じでローズ役の女優をポリコレの盾に使用して批判を封じた。そんなEP8は多くの客離れを起こして続く「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー (2018)」はめちゃくちゃ客が入らず外伝シリーズは打ち切りとなった。だが、この時期異常にライアン・ジョンソンを持ち上げていた制作陣は「ハン・ソロがダメだったのはハン・ソロのせいでEP8のせいではない!」と「ハン・ソロ」を切り捨てEP8をめっちゃ擁護していた。だが、しばらくしてSWのオフィシャル・イベントで「SWの歴史」みたいな動画が公開されるとEP8の映像は一瞬しか出てこず以降EP8の話も急に一切しなくなったので「あれだけ擁護されてたEP8も棄てられたんだな」とわかった。ちなみにポリコレの盾としてEP8批判を凌ぐのに役立ったローズは、本作EP9ではどうでもいいモブに追いやられ本来ローズが居たであろう「フィンと仲の良い女性兵士ポジション」には、名前忘れた黒人女性の新キャラが充てがわれた。EP8への批判を封じるポリコレの盾には役立ったが人気ないし縁起悪いからローズも棄てられた。とにかくこんな事の繰り返しで「独善的に全面に出して推すが、しばらくしても人気が出なければ捨てるんだな」というイメージが付いた。
僕は「最後のジェダイ」、あまりにショッキングなのでショックを受けて観た後の5日間くらいは「新しいものを生み出すために古きを捨てた面白い映画だったのかも」と思ってたが2回目観たら普通にクソつまんなかったので「逆張りが多くてショックを受けた事を、面白いと勘違いしただけか」とわかって普通に嫌いになった。それに新しいものを生み出すにしても偉大な古いものを貶す必要はない、どっちも立てればいいだけだろMCUみたいに‥。それと前回酷い扱いして今回なんかやると思ったら再度殺されただけのキャプテン・ファズマ何だったん?SW以外に人気出てきた「GOT」要素を貶すためにブライエニーに酷い役やらしたのか?「無名の一般人にも強力なフォースは宿る」というメッセージ自体は良いと思うが、それを言うために今まで皆が大切にしてきたものを踏みにじるやり方だったため(そして単純につまんないために)EP8は失敗作となった。
ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー (2018)」
EP8の半年後に公開された「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー (2018)」はというと、僕が好きなフィル・ロード&クリス・ミラーが監督するはずだったがキャスリーン・ケネディと意見の相違でクビになった(またかよ‥)、その件とEP8が酷かったので僕はもう観に行かなくなってレンタル配信で義務的に観た。前半めちゃくちゃつまらないがファルコンに乗って以降の後半は割と普通に面白かった。ソロ役の俳優はハリソン・フォードに全く似てないが観てるとちゃんとソロに見えてきたし。だがやはり「最後のジェダイ」や制作陣の迷走っぷりに脳を破壊されたせいか、本当ならもう少し楽しめたかもしれないが心から楽しめず市役所などで呼ばれるのを座って待ってるような気持ちのまま映画が終わってた。もしEP8の前にこれが公開されてたら普通にそこそこ楽しんでた気がする。だが時の流れは逆には進まないのでそんな事はありえない。他の人もそうだったようでSW映画史上かなり悪い客入りとなった。俳優陣や雇われ監督はお気の毒さま。皆、脳が破壊されたから仕方ない(人という器はひとたびヒビが入ればもう二度とは‥二度とは‥)。打ち切りになったので永遠に出番は来ない実写モールがイキってライトセーバーを起動させる場面も哀しいものがあった。ライトセーバーの赤、哀しい色やね。本当なら次にやる予定だったオビワンの映画で「反乱者たち」でやったオビワンvs.モールの一騎打ちを実写でもやる予定だったんだろう(だがオビワンはドラマが決まったからモールはそっちに出るかもね)。
そういえば今をときめく大人気ドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ (2011~2019)」のデイヴィッド・ベニオフ&D・B・ワイスのコンビを、EP9以降に制作するSWの新シリーズの製作者になったが「ゲーム・オブ・スローンズ 最終章」が賛否両論になったのを見たSW制作陣は不安になり、今まで通りベニオフ&ワイスをさっさとクビにしてこの企画は消えた。
そしてディズニーSW映画5作目「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け (2019)」
そんな感じでEP7フォースの覚醒では記録的な超絶ヒットだったSWも右肩下がりに人気が落ちていった。今まで誇っていた興行収入成績も「アベンジャーズ/エンドゲーム (2019)」に抜かされて「最も人気の映画大作シリーズ」の座はSWからMCUのものとなった。
そしてようやく本作。予告編ではカイロ・レンが壊したはずのマスクを修繕してるのを観て誰もが「バラバラになったシークエルをJJが必死でつなぎとめようとしてるのが映像化されとるな」と思った。
僕はというと完全にどうでもよくなってたところに17年飼ってた黒猫の容態が悪くなって亡くなるのを看取ってたので「EP9とかどうでもいい」と思って観に行かず年を越した。だが先日、出先で暇を潰さなければならなくなったので観ることにした。

 

 

 

そんなこんなでやっと本作の内容に触れる段階まで来た。
結論から言うと、かなりしょうもなかった。
その前にここまで読んで「本編の感想が始まるまで長いな!」と思う人もいるかもしれないが、ここまでの流れ含めてのEP9だ。SWみたいに大きくなったシリーズでは舞台裏の流れも全てストーリーの一部だ、文脈だ。
EP9の内容だけに注目すると、一応整合性をなるべく取ってファンサービスもして「皆で集まって力を合わせて悪を倒す」という少年ジャンプ的な起承転結はあるので、60点くらいの‥普通くらいの面白さはあると思う。別に「映画とか年に一回くらいしか観ない」って人とか小さい子供なら、これでも充分かもしれないが、まぁ全く面白くないよね‥。
ラスボスを務めるキャラが居なくなったのでパルパティーン皇帝ことダース・シディアスが突然蘇ってラスボスを務めた。特に理由とかは語られない。なかなか強引だ、生き返ったパルパティーンの他にもまたもや新しいフォースの使い方とかツッコミきれない要素が満載だった。あまりにツッコミどころが多いので俺は以降、別につっこまない。
だけど僕は正直言って、皇帝が生き返ろうがレイアが凄いジェダイだったという後付け設定も別に構わない、それで面白ければ全部OKだ。だが残念ながら映画が面白くないから駄目。惜しいね、面白ければそれでよかったのに‥。だけどライトセーバーをテレポートさせたりカイロ・レンをテレポートさせたりするのはカッコいいと思った。あとフォースで宇宙船を引き止めたり艦隊全体を無力化するフォース・ライトニングの威力などフォース描写が全体的に強くなってるのも、これが「SW完結作」だと思えば良いと思う。だが二年後にはSWの新作が公開されるのがもう決まっている。そうなると後から出てきたフォースの使い手はレイやパルパティーンのフォースと比較されて「弱い」とか言われかねない。それを防ぐにはドラゴンボールみたいにパワーのインフレしかない。そうなると人間キャラやメカの存在意義がなくなる。だから結果的にあまり強いフォースを出すべきではない。
そんな感じで打倒皇帝に向けてレジスタンス、カイロ・レン率いるファースト・オーダーは三つ巴の戦いをする。
だが後付けに次ぐ後付けや、EP7や8の時点で絶対想定してなかったであろう「さっき考えた」であろう湯気が出てる新事実が次々と明らかになっても「な、なんだと!?」などと物語に集中して驚いたり楽しむことは不可能。「色々がんばってまとめたんだな」としか思わない。
さっきどこかの映画サイトで「EP9で明らかになった新事実7つ!」とか特集記事とか考察とかして盛り上げようとしていたのを見かけて、めちゃくちゃ虚しい気持ちになった、洗ったら中から何か出てくるのを期待して糞を洗うような行為だ、糞を終いまで洗ったら糞が流れて手の中には何も無くなるだけだ。
とにかく冒頭、カイロ・レンがスローモーションで立ち回ってたのはカッコよかった。「ジェダイの帰還」でルークが別人のように成長してたのと同様カイロ・レンも以前はヘタレキャラだったが今はもう強キャラにしか見えなくなっていた。
が、そこから終盤までの2時間近くめちゃくちゃつまんなかった。いや、面白くないというより別にどうでもいいという気持ちが強かった。目が滑るというか、かなりどうでもいい。台詞もちゃんと聞いてなかったせいかレイやカイロ・レンが探してた三角の小物が何なのか未だによくわからない。まぁ皇帝に繋がるマクガフィンだろ‥とぼーっと見ていた。砂漠の惑星でランドが登場したあたりでマジでどうでもよさが極まり、ちょっと出てトイレに行ったりコーラ買ったりした。歩いたり動かないと寝てしまうと思ったんだよね。
それにしても僕はパルパティーンがかなり好きなので本作のパルパティーンは(他の旧キャラ同様)魅力がなくて残念だった。フォース・ライトニングで艦隊を無力化したのは嬉しかったけど彼の怖さはそういう物理的な驚異じゃないんだけど‥と複雑な気持ちになった(彼の魅力はプリクエル三部作で楽しめる)。
まぁレイアがよくわからん間に即死したりとか色々あって、レイとカイロ・レンはパルパティーンと対峙してラストバトル。
ここは正直面白かった。まず改心したカイロ・レンが、丸っきり別人のような柔和な表情になっててめちゃくちゃビックリした。アダム・ドライバー本当にいいよな!
EP7の時もカイロ・レン萌えしてたけど、あの時は半分ネタキャラとして消費してるだけだったが今回はガチでカッコいい。それで演技力ある俳優なので当たり前なのだが「今までは迷いのあるヘタレキャラを演じてたんだな~」と思えた。
アダム・ドライバーがブレイクした」ってだけでも、このどうしようもないシークエルも価値があったかもしれんと思えるほどだ。シス軍団に対して肩をすくめたり斬りつける動きもレイに向ける笑顔も良い。アダム・ドライバー最高だな。だけどキスするのは嫌だったな。ベンとレイのカップリングがファンの一部で人気だから入れたみたいだけど、この二人が恋愛的に惹かれ合ってる描写は全然なかったので女性主人公と男性主人公が、居るからって理由でキスするのは80、90年代の映画みたいで本当に意味がわからんかった。キスするにしても惹かれ合ってる前置きがなさすぎない?頭がおかしいカップルに出くわしたような居心地の悪さがあった。
とにかくアダム・ドライバーが良すぎて「こいつがメインで出てくる大作SF映画とか観てみたいかも~」と思いながら本作を観ていた不思議な時間だった。
レイも、顔とか全身とかの美しい左右対称のルックスがめちゃくちゃジェダイっぽいし好きだったのだが、何だか最後まで空虚な中心みたいな女性主人公で残念だったね。ポーとかもそうか。EP7ではめっちゃ魅力あったフィンも8→9と進むにつれてもうどうでもいいキャラになったな。。
戦いは佳境に入り、ランドが「は?どうやって?」ってくらい膨大な援軍を連れてきたり、レイがジェダイの呼び声で覚醒したり、ライトセーバーをクロスして皇帝のライトニングを跳ね返したり‥といった少年ジャンプ的な展開は、しょうもな‥と思いつつその心とは裏腹に感動が少し湧いてしまったのも事実。ランドが「連れてきたぜ~」って大軍団が来るところも、本当にディズニーがベルトコンベアーで作ったしょうもないシーンなのは間違いないのにジンワリ感動してしまう自分が嫌だった。
タトゥイーンでのラストシーンも、しょうもないんだけど、あの感動的なスカイウォーカーのテーマが流れると身体が感動してしまうのも嫌だったな。やっぱ音楽が良すぎるんだよね。
パルパティーンと言えば周到な企みが花開く様と野獣のようなライトセーバー戦が好きだったので電撃出してレイに自分を殺せ殺せと壊れたロボットみたいに連呼してるだけのクソキャラでガッカリしたな。そういえば可愛いドロイド枠はBB8がおるのに名前覚えてないけどわざわざ新しい可愛い系ドロイド出してたな。何故だ?
※追記:劇中では言及されてなかったが、どうやら人気の旧キャラのナイン・ナンは最後の戦闘で人知れず死んだらしい。EP8で同じく人気の旧キャラのアクバー提督をゴミみたいに殺したのがファンの怒りを買ったので今回は劇中じゃなく裏設定で殺したらしい。現制作陣はSWの旧作や旧キャラを葬りたがってるのは明らかで、本当ならチューバッカも本当はレイの電撃で殺したかったけどチューイ殺したらファンの怒りが凄いからかろうじて生かしたのだろう。新キャラや新要素を盛り上げたいのは当然のことだし新キャラも良かったと思うけど、それと同時に旧キャラも立てつつ退場させれば良かったのにどうしてそうしないのか。MCUは過去のMARVELの歴史や功労者を讃えてるぞ。ディズニーSWにもそうして欲しかった。せっかくルークを始めとする旧キャラ全員出せたのに、ただ殺すために出したようなものだ(そして殺したからもう出番はないし、なんなら旧作を観たら悲しくなるようになってしまった)

 

 

 

そんな感じで、結局この三部作はクソだったという結論。なんか古参ファンに媚びた要素を散りばめてたけど今更そんなもんで騙されるほどおめでたくないしマジで全部どうでもいい。
本文で書いたことの繰り返しになるが一言でまとめると「本作の良いところ」はアダム・ドライバーを始めとする出演俳優の演技だけ。「シークエルの良かったところ」はアダム・ドライバーをブレイクさせた事とプリクエルの価値を爆上げしたこと‥これくらいか(現制作陣がプリクエルをあまり驚異に思わず破壊しなかったのが大きいね)。
今後は、SWの世界自体は好きなのでキャスリーン・ケネディが外れてほしい。作ると噂されてる古代シス戦争の映画は観たいな。MCUケヴィン・ファイギが手掛けるSWも面白そうだが、ファイギにはMARVELに集中してほしいのでSWは別にやらなくても‥という気はする。
ちなみにルーカスもキャスリーンも頼りにしてると言われるデイヴ・フィローニが手掛けるTVアニメシリーズ「クローン・ウォーズ」と「反乱者たち」は面白かったけどシーズン3までしか観てない。「レジスタンス」は何かルックがキッズ向け過ぎて観てない。そんなデイブ氏も関わったドラマ作品「マンダロリアン」はEP9と違って大人気。まだ観てないがデイブ氏も関わってるらしい。これでデイブ氏が初めて実写に関わった事になる。次のシリーズはデイブ氏が手がけてくれるのを望むのみだ。
いまのところ(正史とされている)長編SW映画の好きな順番は次の通りだ。

好き: 4 5 = 3
まぁまぁ好き: 6 2
普通: 映画クローンウォーズローグワン
イマイチ: 1ハンソロ
好きだったが今はどうでもよくなった: 7

面白くない: 8
嫌いという感情すら沸かないしどうでもいい: ←NEW

そういう感じで本作は「面白くない、又は嫌い」より下の「どうでもいい」ゾーンに位置する一番しょうもない作品だと思った。
ちなみに次のSWは二年後。詳細は不明。ライアン・ジョンソンのサーガならスルー、それ以外なら普通に観る予定。
人の人生が死ぬまで続くようにSW宇宙の戦いは続く。かなりのダメージを負ってしまったのでSWとかどうでもいい感じになってしまったが面白くなればまたすぐに復活して応援するつもりだ。噂では「マンダロリアン」はかなり面白いらしく傷を癒やしてる人も多いと聞く。僕もなるべく早くそっちに行きたい。

 

 

 

そんな感じでした

gock221b.hatenablog.com

gock221b.hatenablog.com『マンダロリアン』〈シーズン3〉(2023) 全8話/主人公ボ=カターンとそれをサポートするディン師弟。今回も面白かったがもうやる事ないし終わりで良くないか?👽 - gock221B

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2018年の日本公開映画&ドラマのBEST5を一年経ってやっと決めることができた🎬📺


もう2019年も終わりを迎えて2019年ベストや2010年代ベストを決めるべき時期なんだが、その前に「観たかった2018年の日本公開映画&ドラマ」をやっと全部観たので去年のベスト10を今頃決めました。あと「スリー・ビルボード」一本だけ残してて決められなかったのだが先日観たら凄い傑作だったので三位に差し込んだ。もっと早く観ればよかった。ドラマはあんまり本数観ないし観ても途中で止めちゃうことが多いので一緒くたにした。あと映画館で観たものも動画レンタルや映画配信サイトで観たものも巨大モニターで観たものもスマホの小さい画面で観たものも全部一緒くたにして考えた。客観的評価よりも好き度を優先したもの。気が変わったら後で更新して変更したりするかもしれん(チラ裏個人ブログなんで‥)。
太字になった各作品タイトルは感想記事にリンクしています。上から大体好きな順番なので上のものほど好き、下に行くほど好きじゃない。

 

 

 

2018BEST10
01:映画ヘレディタリー 継承 (2018)」 👑👑 ※映画ドラマ合わせた一位
01:ドラマデアデビル〈シーズン3〉(2018)全13話」 👑 ※同列一位
03:映画スリー・ビルボード (2017)」 👑
04:ドラマGLOW: ゴージャス・レディ・オブ・レスリング〈シーズン2〉(2018)全10話 Netflix
05:映画アベンジャーズ: インフィニティ・ウォー (2018)


5位から漏れた好きな映画
映画ブラック・パンサー (2018)」、映画ラッキー (2017)」、映画呪われた死霊館 (2018)」、映画レディ・バード (2017)」、映画ミッション:インポッシブル/フォールアウト (2018)」、映画インシディアス 最後の鍵 (2018)」、映画MEG ザ・モンスター (2018)」、映画アンダー・ザ・シルバーレイク (2018)」、映画アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル (2018)」、映画ボヘミアン・ラプソディ (2018)」、映画オーシャンズ8 (2018)」、「イコライザー2 (2018)」、映画おとなの恋は、まわり道 (2018)」、映画デッドプール2 (2018)」、映画ドラゴンボール超 ブロリー (2018)」、映画カメラを止めるな!(2018)」、映画ブッシュウィック -武装都市-(2017)」、映画死霊館のシスター (2018)」、映画アントマン&ワスプ (2018)」、映画デス・ウィッシュ (2018)」、映画キングスマン:ゴールデン・サークル (2018)

 

 

普通(好きなところと嫌いなところが半々だったもの)
映画15時17分、パリ行き (2018)」、映画ディザスター・アーティスト (2017)」、映画ボーダーライン ソルジャーズ・デイ (2018)」、映画ウインド・リバー (2017)」、映画アリー スター誕生 (2018)」、映画search/サーチ (2018)」、映画クワイエット・プレイス (2018)」、映画ヴァレリアン 千の惑星の救世主 (2017)」、映画ザ・プレデター (2018)」「ジェラルドのゲーム (2018)」、映画ダウンサイズ (2017)」、映画ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー (2018)」、映画リメンバー・ミー (2018)」、映画ヴェノム (2018)」、映画インクレディブル・ファミリー (2018)」、映画アナイアレイション -全滅領域- (2018)」、映画クローバーフィールド・パラドックス (2018)」、映画ジム&アンディ (2018)」、映画バード・ボックス (2018)」、映画RAW~少女のめざめ~ (2016)」、映画機動戦士ガンダムNT (2018)

 

 

イマイチ(嫌いな部分の方が多い作品)
映画シュガー・ラッシュ オンライン (2018)」、映画トゥームレイダー ファーストミッション (2018)」、映画ニンジャバットマン (2018)」、映画シェイプ・オブ・ウォーター (2018)」、映画ダーク・タワー (2017)

 

 

 

そういう感じです。観たけど感想書いてないものも多い気がするので思い出せるものだけ順位に入れたりしたがそれでも思い出せないものは、どうせ大して好きじゃないのでもうこれでいい。
一番つまんなかった映画は「ダーク・タワー (2017)」なのでこれをワースト1にしようと思ったが知名度ないものをワーストにしてもつまんない、こういう時はヒットしたり評価されたものをワーストにした方が面白いので、優れたところもあったが嫌いなところがめちゃくちゃ多かったアカデミー最優秀作品賞受賞作品「シェイプ・オブ・ウォーター (2018)」がワースト1って事にしよう。これは面白くなかったり駄目な映画ってわけじゃないけど僕はめっちゃ嫌い(でもデルトロ本人や、こういうジャンル映画が賞を獲ったこと自体は良いと思う)。

 

 

 
Best
1位「ヘレディタリー 継承 (2018)」は2018年っていうか2010年代の10年間の映画の中でも一番好きだし、下手したら全部の映画の中でベスト3に入るくらいに好きなのでこれで決まりです。「デアデビル〈シーズン3〉(2018)」と3位「スリー・ビルボード (2017)」と「GLOW〈シーズン2〉(2018)」などもへレディタリーさえ無ければ一位にしたいくらい好きだった。
ラッキー (2017)」はハリー・ディーン・スタントンの遺作となった主演作で内容もモロに死を意識した独居老人の暮らしぶりの映画。たまに死の事が頭によぎって怖がるシーンはあるものの基本的にカラッと乾いてて好きです(アメリカの良い面)。年寄りが主人公の映画は少ないだけに「自分が孤独死する時の参考にしよう」と前向きに捉えた。
MEG ザ・モンスター (2018)」は中国ヨイショが強すぎるし内容も10年前の映画みたいに古いし、こんな上位に来る映画じゃないんだけど主演ジェイソン・ステイサムの凄い強さや活躍ぶりが丁度いい感じで楽しめたのでステイサムの中国出張アイドル映画として好評価。「エクスペンダブルズ」や「ワイルドスピード」の方が映画も良いしそれらに出てるステイサムも良いんだけど、それらはステイサムがメインではない。その点「MEG」だとステイサム出ずっぱりなのでステイサムポイントがポイントを稼いだ。「世界的風潮やリテラシーや流行から離れた、何も考えてないアホみたいなものが観たい」というならこれだ。

 

 


ホラー映画
Netflix映画は「悪くないけど凄く良いわけでもないな‥」と思うものが多いけど9位に選んだ「呪われた死霊館 (2018)」は「死霊館」をパクったふざけたタイトルにさせられてるのが気の毒なくらい凄く良かった。ジェームズ・ワン制作の幽霊屋敷系ホラー映画として始まっていき徐々に「悪魔のいけにえ」的な田舎狂人ホラーの要素も合わさってくる感じで良かったです。主演のフローレンス・ピューはこれで初めて観て好きになったけどピューさんはWWEペイジの半自伝映画「ファイティング・ファミリー (2019)」が現在公開中。そして来年公開される「ブラック・ウィドウ (2020)」「ミッドサマー (2019)」「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 (2019)」これらは全部ヒットして好評価が約束されてるので確実にスターになる子なので今のうちにチェックして欲しい。ちなみに若草物語は8位「レディ・バード (2017)」の監督主演コンビによる映画なので絶対面白いだろう!と、若草物語を全く知らん僕も期待してる感じです。この「呪われた死霊館」は全然人気ない気がする。ネットで検索しても評価高くない(というかホラー映画は観方がよくわかってない人が「こわくない」などの意味のわからん妄言とともに低評価しがちなのでホラー好きな人以外の評価は殆ど全て参考にならない)。今のトレンドはジェームズ・ワン制作ホラー、スティーブン・キング原作ホラー、五感封印ホラー(目が見えないとか喋っちゃ駄目とか)この3つだが、本作はこの3つが流行る以前の‥狂人ホラーもの?って事になるんだと思うが普通に面白い。
インシディアス 最後の鍵 (2018)」と「死霊館のシスター (2018)」は、「死霊館」ユニバースを構築して「アクアマン」「ワイスピSky Mission」など何撮っても大ヒットするジェームズ・ワン制作のお馴染みのシリーズ。シリーズ4作目の「インシディアス 最後の鍵」はインシディアスおばあちゃんの少女時代と現在が交錯するというジェームズ・ワン制作のホラー映画の中でも一、二を争う面白い作品だった。「何十年感も幽霊だと思ってたら実は‥」という新しい大ネタも最高。インシディアスおばあちゃんは一作目で死んでるのに4作目まで作られてるのが凄いよね。「誰も怒らんと思うから何とか理由つけて生き返らせたら?」と思う。正直、死霊館ユニバースは飽きてきたので、この「インシディアス」シリーズの方が好きだ。「死霊館のシスター」は「死霊館」シリーズに出てきたシスターの姿をした悪魔ヴァラクが出てくるスピンオフ(「アナベル」シリーズみたいなもん)。場所も限定されてて登場人物も少なく、かなり地味。だから評価は決して高くないようだが僕は結構好き(でも「エクソシスト3」の有名すぎるシーンをパクったのはどうかと思う)。
〈声を出したら終わり〉「クワイエット・プレイス (2018)」、〈見たら終わり〉な「バード・ボックス (2018)」など昨今流行ってる〈五感封じホラー〉も多かった。だが、これらは悪魔的な前述のホラーほどハマらないケースが多い。これら五感封じホラーはどれも「怪異そのものじゃなくてホラー表現をダシにして家族愛を描く」ものが多い。人間ドラマもいいけど俺は、それよりも怪異の方にクローズアップして欲しいからイマイチはまらないのかも。そういう意味では「ヘレディタリー 継承」は、やはり全ての要素が満点でキングだ。

 

 

 

アメコミ映画&ドラマ
年々増えていくアメコミ映画。「デアデビル〈シーズン3〉(2018)」「アベンジャーズ: インフィニティ・ウォー (2018)」「デッドプール2 (2018)」「ブラック・パンサー (2018)」「アントマン&ワスプ (2018)」「キングスマン:ゴールデン・サークル (2018)」「ヴェノム (2018)」「ニンジャバットマン (2018)」‥と凄く多い。アメコミ原作ではないが「アメコミ映画っぽい映画」として「インクレディブル・ファミリー (2018)」もあった。
デアデビル〈シーズン3〉(2018)」。アメコミのドラマはどれもシーズン1だけ観て「もういいや」と脱落することが多いがデアデビルはマジで良い。シーズン1と3のどっちが良いかは人によるけど僕は断然3だね。デアデビル/マット・マードックというキャラ自体がMARVELキャラの中でもかなり好きな方なんだが、本作のマットはシーズン1の時はまだしも2以降はちょっと人間的魅力が少ない。その代わり相棒の大柄弁護士フォギーと女性記者カレン・ペイジの魅力が凄い。マットはどうでもよくこの2人が主人公と言ってもいい。シーズン3の元になったコミックでカレンはブルズアイに教会で殺害される。突然挟まるカレンの田舎での「ツイン・ピークス」っぽいホワイト・トラッシュ感あふれる回想。回想が終わると教会、目の前にはブルズアイ!本当に面白い。また原作「ボーン・アゲイン」でキングピンに脅されるベン・ユーリックを思わせる哀れな捜査官の描写も最高。NetflixのMARVELドラマは全部キャンセルになったので続きは作られなさそう。だけど綺麗に終わったからこれで終わりでも良い気がする。カレンは充分ピックアップしたからMCUデアデビルを作る時は、完璧な精神と知能を持ったマット・マードックを作って欲しい。
アベンジャーズ: インフィニティ・ウォー (2018)」はご多分に漏れず僕も熱狂したんですけど、BESTを決める時にアメコミ映画は多いので自分の脳内で票割れしてあんまりガッと上位に来ないところがある。またMCU作品はどれも「サーガの途中」という雰囲気が強いためか一作限りの映画の方が自分の中で評価が高くなりがち。
デッドプール2 (2018)」は1の数倍面白かったし今までの全X-MEN映画の中で最もX-MENっぽかった。正しいジャガーノートも観れたし、余ったから出すことのできたX-MENコロッサスも決して他人を差別しないナイスガイっぷりや本来とても一人では勝てない敵ジャガーノートを倒す大金星も挙げたし、X-MEN本編に出るよりこっちのシリーズに出れてラッキーでしたよね。
ブラック・パンサー (2018)」はもっと上位にすべき素晴らしい映画だったのだが原っぱでワカンダ運動会が始まってしまうラストバトルのせいで大幅に下がってしまっている。ラストバトルのしょぼささえなければ最高。この原っぱでのMCU運動会問題はインフィニティウォーとかエンドゲームにも続くがこの話はインフィニティサーガの記事で続きを書こう。
アントマン&ワスプ (2018)」はキャラも好きだし全編楽しい映画だったんだけど、ここ5年くらいのMCU作品の中で最も新しい要素が何もないMCU作品だった。というか、てっきり本作で量子世界を探検すると思いきやそれは三作目に温存したっぽい。こんなトロい展開はMCUっぽくない。めちゃくちゃ気になる量子世界を放ったらかしにしてゴーストと追いかけっことかしても興味わかないよね。ただ楽しいだけの映画、本来それで充分なんだけどMCUへの期待が高まりすぎてるので、新しい価値観の提示や映画表現がなく楽しいだけだと低評価になりがち。

 

 

🎬そんな感じ。孤立した主人公が平気で生きていく個人主義的なものや、何か新しい価値観を社会に打ち出す作品が好みになってきた。好きなジャンルは昔から「ホラー映画(特に悪魔とか霊)」「アメコミ原作映画」なのでそれらが上位になりがち、‥だけど好きって事は自分の中に好きの基準があるって事なので好きなのは上位になるが外れてるものはめっちゃ下になりがち。たとえば「ニンジャバットマン」は、アニメーションやキャラデザは美しかったのだがバットマンなのに捜査しないしジョーカーなのにバットマンと互角くらい物理的に強いし、アメコミなのに知恵比べせず日本のアニメみたいに根性パワーアップして敵を倒したりして「バットマンの良い部分が全て消してる最低のバットマンだな」といった具合でした。
2019年のベストと2010年代のベストはこんなに遅れず早めに決めたい。全部観に行ける金があれば年末に決められるのだが‥。

 

 

 

そんな感じでした

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2020年の日本公開映画&ドラマのBEST5を2年半過ぎてやっと決めることができた🎬 - gock221B
2021年の日本公開映画&ドラマのBEST5を10ヶ月過ぎてやっと決めた🎬 - gock221B
2022年の日本公開ドラマ&アニメのBEST5/というか殆どMCUドラマがつまらない理由を考えるページになった📺 - gock221B 
2022年の日本公開映画のベスト5を今頃やっと考えました🎬 - gock221B

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『スリー・ビルボード』(2017)/憎しみの連鎖の円環から抜けた者だけが新しい状況を作り出せる🅰🅱🆎


原題:Three Billboards Outside Ebbing, Missouri 上映時間:116分
監督&脚本&制作:マーティン・マクドナー 製作国:イギリス/アメリ

 

 

「これは要チェックや」と思いつつも「娘がレイプして殺されたオバサンが南部のレイシスト警官とかの嫌がらせに遭う」というあらすじ読んだだけで重そうなので後回しにしてた。
だが実際に観てみると懸念してたような胸糞作品ではなく、どちらかというと全編愉快で何よりも傑作だったので早く観れば良かった。どちらかというとマジなだけではなくトラジ・コメディ(悲劇的要素で描写されてるが、その実、喜劇的要素が入り混じって可笑しくなるフィクション)的な映画だった。イーストウッド映画にコメディ要素を増量した感じの‥「へレディタリー/継承」がなければ2018年公開映画ナンバーワンだろう。シリアスで重い映画みたいにSNSで言ってた奴なんなんだよ‥SNSは何でもマジにしか取れない人がいるので自分で観たり読んだり信用できない。というか俺が勝手にそう思っただけか。何でもマジに取る架空の人ごめんね。‥自分で仮定の他人になった自分と会話すること自体が狂いかけてるみたいでやばいのに先に進もう、俺がこれ以上頭がおかしくなって話を続けられなくなるその前に‥。
ソフト出てかなり経つし、今回は久々にあらすじ観たままそのまま書くスタイルでいくので全部ネタバレだから、2つ目のBと書かれた赤い看板🅱まで読んで本作を観たくなった人は続き読むのを止めてレンタル等で視聴することをオススメする。絶対にあらすじ知らずに観た方が面白い。

 

 

🅰

 


未だレイシストの住民がいるアメリカ南部、ミズーリ州の田舎町。道路脇に立つ3枚の立て看板(スリー・ビルボード)に、地元警察署長を罵倒する辛辣かつ簡潔で赤い抗議メッセージが出現する。
娘をレイプされて焼き殺された中年女性ミルドレッド・ヘイズ(フランシス・マクドーマンド)が、7ヵ月たっても一向に進展しない警察の捜査に業を煮やして掲げたものだった。
この真っ赤な看板に大文字の黒ゴシック体で簡潔に三言だけ書かれたスリー・ビルボードが凄く良い。俺だったら「あれもこれも‥写真も‥」等と付け加えてるうちに、ごちゃごちゃ情報が増えて狂人の家みたいになってしまい「狂人の電波看板や‥こわ‥」と見て見ぬ振りされてしまうだろうが、こんなにモダンで簡潔に書かれると「正気で冷静な人が強い意思でしっかり考えてデザインして掲げた」と要素がモロに出ている、これでは優れたキャッチコピーのように無視できない。
名指しされた署長のウィロビー警察署長(ウディ・ハレルソン)は困惑しながらも冷静に対処しようとする一方、実家住まい独身でアホの部下ディクソン巡査(サム・ロックウェル)や町民は、スリー・ビルボードを建てたミルドレッドへの怒りを露わにする。ウィロビーは部下や町の人たちに慕われていたし、何と癌で余命半年なのだ。
「娘が殺されたのは気の毒だが‥長年いつも頑張ってる署長を指してアンタ‥」というわけだ。田舎っぽい人情論ではあるが、諸々把握しないと判断はできない先に進もう。
そんな冒頭数分を観て面白すぎる!と思った。
映画観るまではウディ・ハレルソン演じる署長も部下のサム・ロックウェル演じるディクソン巡査も胸糞だろうな~と気が重かったが、署長は普通に捜査している真面目な署長だった。ディクソンは予想通りのカスなのだがそれは前半の一面的な姿に過ぎず、最初は「カスの一枚の紙」に過ぎなかったディクソンも色んな面を見せて立方体のような人間になっていき俺を飽きさせない。ウディ・ハレルソンサム・ロックウェルも過去の映画で死ぬほど嫌なキャラを得意としていたので本作もきっとそうだろうそんなの観るの嫌だなと勝手に敬遠していた。僕はダメな人間ですね。
署長が嫌な奴ではなく、しかも余命幾ばくもない、というのが本当に上手い。これで「ただの勧善懲悪ではないな」とわかって開始数分で信頼できた。しいて言うなら、署長もミルドレッドの別れた元DV夫も、新しい妻が20前後の若すぎる美女というのが田舎の権力者っぽいカスさを感じたが、少なくとも同意の上なのでまぁ彼らの自由。いま断罪すべきはミルドレッドの娘を犯して殺した悪と差別主義者ばかりで流されやすい町民だ(この町の人というのは言うまでもなく我々のこと)。
ウィロビー署長は困惑するだけだが、署長を尊敬する部下のディクソンや町の人が、ミルドレッドに嫌がらせする(Twitterで言うと有名人の信者がファンネルとなって飛んでくる様を物理的に描写したようなものだ)。しかしミルドレッドおばさんも負けていない。署長の友人である歯医者が、歯の治療に訪れたミルドレッドに麻酔もせずドリルで歯の治療しようとする。「オバサンが危ない!」と思ってたらミルドレッドは素早く歯用ドリルを奪い取って歯医者の親指を貫通!やったぜ!どこからどう見てもミルドレッドによる過剰防衛にしか見えないのだが、野蛮な歯医者が医療パワハラというヤバい案件だし証拠がないので歯医者の手が滑ったことになった。
このシーンもそうなのだが本作は「次の展開はきっとこうなるんだろう」と、こちらが思った展開から常に2、3歩先を行く。「推測の2、3歩先を行く状態がずっと続く」のは一番面白い映画の要素だと思うので正に面白すぎる映画だった(だが映画が苦手な人は意外な展開で衝撃を受けたくないのでこれを嫌がったり先にネタバレ読んだりするらしい。この世を面白くなく過ごすことのできる才能を持った人たちだ)。
‥とか思ってたら署長は休日、女子大生にしか見えない若妻と可愛い娘たちとピクニックして草原で愛を確かめあい、その幸福な一日の最後に署長は厩戸で自分で自分の頭を撃ち抜いた。「今後半年間の辛い闘病生活を、愛する妻子への最後の思い出にしたくない。卑怯な俺を許してくれ」というのが妻への遺書だが、〈スリー・ビルボード〉によるプレッシャーや罪悪感もまた彼の背中を押したのかもしれない。少なくとも、町民にそう思わせようとしている。署長はミルドレッド宛に「ちゃんと捜査していたが犯人を見つけられずすまなかった」と謝罪しつつ「この自殺は君へのちょっとした悪戯心だ。殺されないように頑張れ」と書かれた手紙を寄越す。心からの謝罪と他者を煽る復讐、どちらも署長の本心だ。
尊敬する署長が死んで怒りの持っていきどころがないアホのディクソンは、〈スリー・ビルボード〉を設置した広告屋をボコって窓から墜落させて大怪我させ、それを避難した美しい秘書にも顔面パンチ。ホーリーシッ!だ(関係ないし文句あるわけでもないけど本作のチョイ役の若い女性は全員不自然なくらい美人揃い)。
書くの忘れてたが、出番少ないながらこの広告屋も良いキャラだ。
冒頭、彼が読んでいた本は(俺は読んでないし全く知らないが)文学部の学生の友人に聞いたところ女性の作家フラナリー・オコナー「善人はなかなかいない」だそうだ。 
フラナリー先生は本作同様にトラジ・コメディ的悲喜劇を得意とした作家らしく、本作には、ここで一瞬本が出てきただけではなく彼女の作品からインスパイアされた要素やキャラクターが他にもたくさんあるらしい。友人にそう聞いて興味を覚えたが俺自身は全く読んでないのでこの話はこれで終わりだ。それを書いたサイトとかあるだろうからそっちを読んでくれ。フラナリーさんの本は後日読んでみようと思った。フラナリー・オコナー全短篇〈上〉 (ちくま文庫)
話をもとに戻す。ディクソンによる広告屋への暴行を見た、ウィロビーの代わりに新しくやってきた黒人の立派な署長はディクソンを問いただすが、黒人への差別的感情を隠そうともしないアホのディクソンをその場でクビにする。やはりレイシストだが息子を愛している母と二人暮らしの家に帰宅したディクソンはどこかに出かける‥。その夜、何者かが〈スリー・ビルボード〉に火を放った。その夜ディクソンは署長から自分宛ての遺書を読みに夜の警察署で、それを読んでいた。手紙は「お前はアホで粗野だが、本心では良い警官になろうと思ってるの。署長、知ってるよ?」という優しい手紙だった。同時刻「アホのディクソンがスリー・ビルボードに放火した」と確信したミルグレッドは警察署に電話をかける。ディクソンはヘッドホンで音楽を聞きながら手紙に夢中なので電話に気づかない。無人だと思ったミルグレッドは安心して警察署に火炎瓶を数個投げて火を放つ。‥それにしても火炎瓶たった数個で警察署があそこまで炎上するとは‥火炎瓶の威力を思い知った(そしてオマワリに特別恨みがあるわけではないのだが警察署が燃えるのを見て何故か笑みを浮かべる自分をもう一人の自分が不思議そうに見ていた)。まぁとにかくディクソンは火だるまになって屋外に飛び出す。警察署は無人だと思っていたミルグレッドは驚く。まもなく消防車とパトカーが急行し新署長は当然、現場に居たミルグレッドを疑うが、ミルグレッドを応援していた小人症の男ジェームズ(ピーター・ディンクレイジ)が彼女を庇って罪には問われなかった。
全身火傷で入院したディクソンの隣には、彼が先日窓から落として重体に追いやった広告屋が寝ていた。ディクソンは泣いて謝るが広告屋は怒りでプルプル震えている。ディクソンは「やばい‥寝てる間に復讐されるかも‥」と怯えて半泣きになり弱者の気持ちを思い知る。
ここまでの‥いや全編を通して流れる衝撃的な展開の数々‥当人たちにとっては悲劇だがはっきり言ってかなり可笑しい。展開も間の取り方も全部コント。日本は知らんがアメリカの劇場ではきっと笑いに溢れてただろう。
 

 

🅱

 

 

「復讐の連鎖によるデススパイラルが止まらない‥!」と、思ってたら広告屋は怒りを抑えて手が動かせないディクソンのためにオレンジジュースを注いでくれる。てっきり復習されると思ったディクソンは半泣きで驚く。
流れが変わった。憎しみの連鎖を〈スリー・ビルボード〉を作成した広告屋が止めた。
ミルグレッドは〈スリー・ビルボード〉の黒人デザイナーが持ってきてくれた予備の広告を貼って炎上した〈スリー・ビルボード〉を修繕する。看板の費用は自殺した署長が出してくれていた、親切心だけではなく町民がミルグレッドを恨むようにという複雑な心境からだろう。ディクソンによるミルグレッドへの嫌がらせで逮捕されたミルグレッドの親友兼同僚も釈放されて駆けつける。先日、ミルグレッドの放火の罪を庇ってくれた小人症の男ジェームズも看板の修繕を手伝う。数は少ないがミルグレッドを応援する人たちが〈スリー・ビルボード〉の元に集まった‥。
そしてミルグレッドは助けてくれたジェームズと約束通りデートする。
店には別れた元DV夫と若すぎる新恋人がいた。元夫はミルグレッドと小人症のジェームズを侮辱し「スリー・ビルボードを燃やしたのは自分だ。ムカついたからな」と言い放つ。もともと仏頂面だったミルグレッドは爆発寸前。そしてジェームズもまた「君はずっと仏頂面だし、そもそも最初から最後まで小人の俺をずっと見下している!気のそんな態度には我慢ならん!」と涙ながらに訴え彼女の元から立ち去る。ミルグレッドは最初から無理解な町民に反抗する被害者だったからわからなかったが彼女も大正義というわけではなく、このレイシストばかりの南部の田舎町の住人の一人だったと判明する。ミルグレッドと他の町民との違いは娘が侵されて殺されたこと、そしてそれに対して泣き寝入りせず立ち上がったこと、その差は大きいが逆に言えばそれだけだ。元夫によって命の次に大切な〈スリー・ビルボード〉を感情的に燃やされ、自分を慕っていたジェームズにも立ち去られたミルグレッドは酒瓶を持ってフラフラと元夫とアホの若い恋人の元に行く。どちらかの頭をかち割るのかと思ったら彼女もまたディクソンを赦した広告屋同様、どうしようもなく自分をDVしてた元夫に酒を手渡して許す。別に元夫がこれで改心するとも思えない、だがそうしない事には改心する切っ掛けすらない、だからオバサンがしたのだろう。
またしても憎しみの連鎖が断ち切られ、これでもう完全に映画の流れが変わる。
退院して無職の子供部屋おじさんとなったディクソンは、バーにて「若い女性をレイプして燃やした」と言ってる「ミルグレッドの娘を殺した」と思われる、ろくでもない白人をバーで見かける。ミルフレッドの店にも嫌がらせで来た正体不明のカス白人だ。ディクソンは彼に絡んでボコボコにされるという自己犠牲によって、男のDNAと彼のアイダホの住所を入手してミルグリッドと自分をクビにした新署長に教える。
果たして、このクズ白人は本当にミルグリッドの娘を犯して殺した犯人なのか?
‥面白すぎて久々に「観た展開そのまんま書く」というアホみたいな感想を書いてるうちに終盤まで書いてしまった。
ここまで観て俺は「このクズ白人が犯人じゃなきゃいいな~」と思った。
もちろんこの白人が犯人でミルグリッドとディクソンがブッ殺して復讐したらスッキリする。だがスッキリしてどうする?本作はここまでの展開で、そんな勧善懲悪を遥かに超えたドラマを展開してきた。ここまで来て如何にもご都合主義的な解決方をしてしまったら、それこそスッキリして観終わって後日にはすぐ忘れてしまう勧善懲悪に堕してしまう。
‥とか思って観てると実にベストなラストで終わった。文句つけようのない傑作。
特に良かったところ。
まずさっきも言ったように先が読めないところ。
次に勧善懲悪ではなく、ミルグレッドですら問題あったりクズのディクソンが改心したり善悪両方の面を持つ署長など、一面的ではないドラマ。
一番大きいのは、ミルグレッドとディクソンと広告屋が勇気を出して〈憎しみの連鎖〉を断ち切って流れが変わったこと。
彼らはそうしたくしてそうしたし自分もそれが良いと思った。
だけど実際に被害を受けてどう思うのかは、その立場にならないとわからない。
家族を轢き殺したのに保身を図て警察もメディアにも忖度されてお咎めなし上級国民に家族を殺された者や、もしくは上級の息子だから数回レイプしてレイプした女の子は退学して鬱になったのに本人はお咎めなしで大企業に就職してやがては政治家になるだろう大学生に娘をレイプされた親などがどう思うのか、どうしたいのかは本人でないとわからないし、本人以外にはどうすべきか発言できない。
「自分の人生はどうでもいいから、とにかくあのカスをブッ殺したい!」と思うのかもしれない。多分そうだろう。それは違法だし大っぴらに賛成は出来ないが実際に裁かれるべきなのに裁かれない悪人に私刑を果たすする者がいたら、きっと黙認して応援するだろうなとは思う。だから劇中で憎しみの連鎖を断ち切ったキャラクターを僕は称賛したが、赦したとしても復讐したとしても、それはその人個人個人の事だから賛成も非難もしようと思わん。
そしてミルグレッドとディクソンは憎しみを断ち切って世界に光を見せて立派だったが、その上で彼らは新たな憎しみの連鎖を始めようとするところで終わる。
このラストが非常に良い!これがベスツ!
この後どんな結果になろうと観せない方が良い。続きは各々の胸の内にある。
ちなみに僕は「2人はあのろくでもない白人と仲間をブッ殺すが、黒人の新署長の捜査通り、やはりミルグレッドの娘の死とは関係なかった‥というか他人をレイプすらしてなかった、ただのイキり白人だった。ミルグレッドとディクソンは只の無実の男を殺しただけだった」という結果を期待する。その場合、あの男は無実の罪で殺されることになる。しいて言うなら世界に呪詛をばら撒いたことの数十倍返しで意図せずに殺されたことになる。正直そんな結果がいい(そして、このカス白人の息子とかがミルグレッドとディクソンを恨んで育つ。ループすな)。
映画の主人公になることが少ない中年のオバハン大暴れ映画としても良かった。
そんな感じで、観たかった2018年の日本公開映画これで全部やっと観た。一年遅れだが明日やっと2018年のベストが決められる。

 

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そんな感じでした

『イニシェリン島の精霊』(2022)/突然おじさんに絶交されたおじさんの困惑……という「探偵ナイトスクープ」の依頼みたいな話。最後まで面白かったものの観終わると「自分に知識がなくてわかってない部分があるのかも?」と不安になる映画👨🏻👱🏻‍♂️ - gock221B

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Three Billboards Outside Ebbing, Missouri (2017) - IMDb

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フラナリー・オコナー全短篇〈上〉 (ちくま文庫)

フラナリー・オコナー全短篇〈上〉 (ちくま文庫)

 

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