gock221B

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『トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーン』(1980)/映画の半分以上は退屈なんだが最後に爆発して一気に面白くなって終わる映画✨

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原題:The Ninth Configuration 又は Twinkle, Twinkle, "Killer" Kane
監督&脚本&制作&原作&出演:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
製作国:アメリカ 上映時間:118分

 

 

 

「観たことないし一体どんな内容の映画なのかサッパリ知らんが異常にかっこいいタイトルの映画」として長年、脳内に積んでたこれをやっと観た。
映画『エクソシスト』(1973)の原作者、そしてその不気味な続編『エクソシスト3』(1990)を原作だけでなく監督&脚本&制作を務めて映画化もした作家ウィリアム・ピーター・ブラッティ長編映画デビュー作。『エクソシスト』『エクソシスト3』共に究極の光と闇の戦いを描いていた。
ブラッティが監督した『エクソシスト3』のハサミ看護士のシーンは有名で、黒沢清が『CURE キュア』のラストで似たシーンを作り最近では『死霊館のシスター』がモロにパクってた。やたらパクられるがエクソシスト1の陰に隠れてあまり話題にならない印象。
それにしても本当にかっこいいタイトルだ。「きらきらひかるキラー・カーン」といったところか。「トゥインクルトゥインクル」という女児的な可愛いキラキラ☆の後に対象的な「キラー・カーン」という恐ろしげな名前が続く……本当にかっこいい。
詳しいことはよくわからんが最初は『Twinkle, Twinkle, "Killer" Kane”』だったが途中で『The Ninth Configuration』に変わったっぽい。トゥインクル……の方が絶対いいのに。
今回は古い映画なので完全に全部ネタバレありスタイルで

 

 

 

人里離れた山中にある古城を利用した軍の施設。そこにはベトナム戦争で精神に異常をきたしたアメリカ兵を始めとして、ロケット発射直前に恐怖のあまり発狂したアポロ宇宙飛行士ビリー・カットショー大尉もいた。
その療養所に精神科医ハドソン・ケーン大佐(ステイシー・キーチ)が着任して新しい管理人となる。ケーンと患者たち以外は軍医とまとめ役っぽい軍人だけいる。
ケーンは我慢強くて真面目な軍人だが何だかあからさまに秘密がありそうなので「何か後半で起こりそうだな」という予感をはらんだまま後半までは古城内部でケーンと患者たちとの日常生活が描かれる。
PTSDで精神を病んだ患者たちだが、どちらかというと幼児みたいに描かれており、しょうもないいたずらをしてはケーンが真面目くさった顔で我慢する、という描写が続く。だが正直言って全然面白くないので苦痛。似たように軍人がブラブラしてるブラック・コメディ映画といえばロバート・アルトマンの『M★A★S★H マッシュ』(1970)が面白くて大好きだったけど『MASH』は登場人物が健常者だったので話の道理が通ってるのだが、本作の場合まるっきりイカれてる奴らが好き勝手に支離滅裂にわめいたりイタズラしてるだけで話が繋がらず、それをケーンが真面目くさった顔で見てるのだがコメディとしての可笑しさも全然ないし正直かなり退屈。映画の半分以上はそんな感じ。
ケーンはよく悪夢を見る。元宇宙飛行士カットショーの話を聞いたからか月面の夢を見るほか、ジャングルでの恐ろしい悪夢を何度か見る。目覚めたケーンは軍医に「他人の悪夢を見た」と語る。またケーンは、戦場で凄まじい数の殺人をして自殺した兄弟が居たという。どうやら、この辺が重要なポイントのようだ。またケーンは時折すごく恐ろしい形相になってる時がある。
カットショーはケーンに執拗に絡んでくる。絡んでくるのはいいが発狂してるせいか書類とか机とかやたらとひっくり返すのでケーンもしんどいな。
どうも話を聞くとカットショーは何もない宇宙に何度も打ち上げられて虚空を彷徨ってる間に人類の孤独さを感じ、またそんな感じでメンタルが弱ってる時に人類の悪徳さを感じ取り合わさってスパーク、恐怖となり発狂してしまったっぽい。
ケーンはカットショーを連れて教会に行ったりして「この世には愛がある」「この世には愛を持った人も僅かだが居るんだ」という事を訴え、愛によってカットショーを癒そうとする。最初はケーンに反発していたカットショーも少しづつ熱心で粘り強いケーンを信頼し始める。
そんなクライマックス直前にケーン大佐を知る兵士がこの療養所に送られてきた事でケーン秘密が明らかになる。実はケーン精神科医ではなく間違えて召喚された兵士だった。そしてケーンベトナムで敵兵はおろか女子供まで皆殺しにして「キラー・カーン」の名で呼ばれた狂気の殺人マシーンだったのだ。
己の罪に恐怖したケーンは殺人兵士キラー・カーンとしての忌まわしい人格を「恐ろしい兵士だったが死んだ自分の兄弟」という別人格として葬り去った。
この古城の軍医は実はケーンの主治医だった。軍医は「ケーンをこの療養所の責任者である精神科医を演じてもらい、彼と同じく心を病んだ患者たち治療することでケーン自身の精神も癒やされるだろう」という目的でそうしていたのだ。
さっきも言ったように、この映画の半分くらいまで正直かなり退屈だったが「ケーンも患者だった」という秘密が早めに明かされたことで白目むきがちだった僕の目も元に戻った。

 

 


だがケーンの正体にショックを受けたカットショーは城を飛び出し、バーで飲んでいるとタチの悪い暴走族に「逃げ出した宇宙飛行士だ」と素性がバレて絡まれる。
この絡まれ始めて空気が変わり、ここからラストまでは面白すぎる。というか、前半のコメディシーンのつまらなさと後半のリンチの場面の上手さの差が凄い。
集団でキャッチボールみたいに扱われたり酒をかけられたりする、というリンチ寸前の子供のいじめみたいなウザ絡み。通報を受けたケーンはカットショーを助けに行き、連れ帰ろうとするが当然ケーンも同じく絡まれる。暴走族はケーンに、自分自身を卑下する台詞を3回も言わせたり床にこぼしたビールを舐めろと命じる。ケーンは持ち前の我慢強さで言われるがままにする。だが最初からリンチする事は決まってるので暴走族は彼らを帰さない。いや、むしろケーンが言うことをほいほい聞くので余計に腹を立ててるかもしれん。
ケーンが下手に出てやってるのに暴走族は彼らを開放せずカットショーを殴って床に倒し男性器を咥えさせようとする(この暴走族はレザーを着て、やたらと彼らにキスしたりフェラさせようとするのでハードゲイ設定なのかもしれない)。
さすがのケーンの我慢も限界。封印されし殺人兵士キラー・カーンが目を覚まし、暴走族リーダーの手を掴んでリーダーが持ってるビールのジョッキごと手を握り潰す!(凄くカッコいい怒り爆発シーン)。手がグシャグシャになって悲鳴を上げる暴走族リーダー。
このキラー・カーンを演じてる俳優の睨み顔がダークサイドに堕ちたクリストファー・リーブみたいでめっちゃカッコいい。
「舐めてた腰抜け医師が歯向かってきやがった!」と逆上してケーンに襲いかかる暴走族達。だが彼らが襲いかかったのは忍耐強い精神科医ケーンではなく、ベトナムで千人近くを虐殺した殺人マシーン”キラー・カーン”だった。
キラー・カーンは暴走族を男女の区別なく皆殺しにする。「怒って理性を失った上に良心を持たないランボー」みたいなもんなので暴走族に勝ち目はない。キラー・カーン素手で一人一撃で殺していき、一瞬にして皆殺しにする凄まじい殺傷力。いじめシーンの描写や執拗さが最高に上手かった末の皆殺し。店内は右にも死体!左にも死体!バーカウンターにも死体!どこもかしこも死体だらけだ!はっきり言って気持ちよすぎる。
最近の映画だったら暴走族にも、もう少し人間味を持たせて描くだろうが、これは1980年の映画なので暴走族に「悪い」以外一切の人格はない。『北斗の拳』のモヒカンみたいな「躊躇なく惨殺してOKです」として出てきた悪人。なのでスッキリした(スッキリ)。だからと言って「昔の映画は今と違って善悪がはっきりしてて良かった!」などと老害みたいな事が言いたいわけではない。時代と共に表現は変わるので昔と今を比べてそんな事は思わない、特に今と昔を比べることなく昔の映画を観てスッキリしたというだけの話。
自分がキラー・カーンだった事を思い出してしまったケーンは人生に疲れ果てた。だが疲れただけでなくショック療法でカットショーを癒そうと命を絶ち、ケーンの愛は見事カットショーは正気を取り戻す。立派な軍人へと返り咲いたカットショーは今では無人となった、かつての療養所……古城を訪れる。カットショーは古城にて、殺人者キラー・カーンを倒して今や本物の天使となったケーン大佐の意思を感じて、この残酷な世界に愛がある事を確信して笑顔で去る。誰も居なくなった古城に”トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーン”の気配だけが残り映画は終わる。
……こうして観てみると、この映画もまた『エクソシスト』『エクソシスト3』同様、究極の光(ケーン)が究極の闇(自分自身……キラー・カーンの人格)に打ち勝つ話だった、ちなみに暴走族たちは闇ではなくケーンキラー・カーンを倒す途中に塞がった石……ただのきっかけに過ぎない。
本編の殆どの時間が退屈だったが後半、まるで別人が撮ったかのように面白くなる不思議な映画だった。「最後に爆発させるためのタメとして前半つまんなかった」とかじゃなく真面目にやったけど愉快にならなかった系のつまらなさだった。だが後半は文句の付け所がない面白さ。「前半の非日常空間での日常描写は全部いらなくね?」とか「患者キャラはカットショー1人で良かったんじゃない?」とかも思ったが、まぁ映画は最初の半分くらいつまらなくても最後に爆発すれば元が取れた気分になるので、面白くて良い映画だったってことで一つ。

 

 

 

そんな感じでした

✨✨✨✨✨✨✨✨👨‍🚀✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨

The Ninth Configuration (1980) - IMDb

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Amazon: トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーン デラックス版 Blu-ray

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2019年の日本公開映画&ドラマのBEST5を半年過ぎてやっと決めることができた🎬📺


もう2020年も半分を過ぎたところだが、観たかった「2019年の日本公開映画&ドラマ」をやっと全部観たので去年のベスト10を今頃決める事ができました。劇場公開映画とかネット配信映画とかドラマとか全部一緒くたです。全部大体好きな順。太字の作品タイトルにはそれぞれの感想ページへのリンクも貼ってます。『ゲーム・オブ・スローンズ 〈シーズン1-8〉 全73話』はファイナルシーズン以前は2019年以前なのでそれぞれバラバラに過去のベストのページに入れるべきだが、その作業が面倒なのでもう全シーズンまとめてここにぶっこんどく事にする。
子供の頃からの好みにより、ホラー映画、スーパーヒーロー映画、B級アクション、おじさんが暴れる映画、女性やマイノリティが逆境を撥ね返す映画は加点されがち。では少しの間きみには僕の独り言につきあっていただく。かまいませんね?

 

 

 

2019年BEST10
01:映画『アベンジャーズ:エンドゲーム』(2019) 👑
02:映画『運び屋』(2019) 👑
03:映画『キャプテン・マーベル』 (2019) 👑
04:映画『ゴーストランドの惨劇』(2018) 👑
05:ドラマ『マンダロリアン』〈シーズン1〉全8話 (2019)


10位から漏れた好きな作品(好きな部分の方が多いもの)
映画『アイリッシュマン』(2019)映画『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』映画『ジョン・ウィック:パラベラム』映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』映画『クロール -凶暴領域-』『ティーン・タイタンズGO! トゥ・ザ・ムービー』(2018)映画『野球少女』映画『ハロウィン』アニメ『ラブ、デス+ロボット <シーズン1> 全18話』ドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界 <シーズン3> 全8話』

 


普通(好きな部分とそうじゃない部分が半々)

映画『シャザム!』ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ 〈シーズン1-8〉 全73話』映画『スパイダーマン スパイダーバース』映画『パペット・マスター』映画『翔んで埼玉』(2019)映画『チャイルド・プレイ』映画『ラ・ヨローナ ~泣く女~』映画『ブライトバーン/恐怖の拡散者』映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』映画『見えない目撃者』映画『アクアマン』映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』映画『ミスター・ガラス』映画『ドクター・スリープ』映画『THE GUILTY/ギルティ』映画『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』映画『ファイティング・ファミリー』映画『ポーラー 狙われた暗殺者』映画『クリード 炎の宿敵』

 

 

いまいち(嫌いな部分の方が多いもの)
映画『アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲』映画『アナベル 死霊博物館』映画『ユニコーン・ストア』映画『アンフレンデッド:ダークウェブ』映画『ベルベット・バズソー:血塗られたギャラリー』映画『IT/イット THE END “それ”が、見えたら終わり。』映画『アス』映画『X-MEN:ダーク・フェニックス』映画『ザ・サイレンス 闇のハンター』映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』

 

 

そんな結果になりました。ではベスト3、ベスト4~10とGOT、ワースト3について短めに書いてみよう

 


ベスト3
「一本だけの映画的完成度」で考えると『運び屋』『アイリッシュマン』のどっちかが一位に決まりなんですが(特に運び屋かな?)、『アベンジャーズ:エンドゲーム』……MCUは最初っから続いてきた10年間ものストーリーの一区切り、というのを最初からずっと観て応援してたのでその重みがどうしても乗ってしまうのは仕方ないだろう。公開から一年経っても未だにナターシャが死ななきゃならん理由が納得いかんし、大ラストバトル大会も雷神キャップとかアッセンブルなどめちゃくちゃ盛り上がる場面があったものの原っぱでの殺気も立体感もない運動会みたいな合戦は『ブラック・パンサー』『インフィニティ・ウォー』に続くMCU運動会で、これは次の大クロスオーバーまでに何とかして欲しいところ。だけど次にどうなるのか全くわからない前半のドキドキ感や中盤の、今まで10年観てた人ほど楽しめるタイム泥棒展開のファンサービスはめちゃくちゃ良かった。今後映画観て同じ様なそんな気持ちになることはないだろう(次あるとしたら10年後のクロスオーバーくらいか)。それにしてもスマートハルクも大柄ソーも良かった。インフィニティ・ウォーは全編シリアスだったがハルクやソーやアントマンやタイム泥棒の多くをコメディに使ってるのが本作の余裕だよね。王者の風を感じた。観る一年前からのわくわく感とか観終わった後も何度もこすれるところなど、観てない時間も楽しめるのが良かった。
そんなエンドゲームと『運び屋』or『アイリッシュマン』が、あまりにも作品の種類が違いすぎて比べる事自体が結構無理ある気がする。スコセッシが「MCUは映画じゃないアトラクションだ」と言って炎上した時も全く腹立たなかった。「そりゃそうだろう、スコセッシが考える映画の形とは全然違うもんね」と思った。スコセッシ達は圧倒的に口下手で、だから映画を撮って言いたいこと言ってたので当然のように口開くたびに炎上してて「スコセッシの近くの人は上手に翻訳して擁護しろよ」とハラハラさせられた。最初は『運び屋』にしようと思ってたけど素直にエンドゲームにしといた。

 

ベスト4~10、「GOT」
同じくMCU『キャプテン・マーベル』一作目ながらヒットした。女性が立ち上がる映画でもある(正確に言うなら『本当は最初から立ってたんだが男が邪魔して立てなくされてたから振り払って元の自立した状態に戻る映画』と言った方が正しい)。これは、このページの映画の中で最も感動したので観た時は1位か2位にしようと思ってた。ヒーローのオリジンを描く一作目はあまり面白くならないものが多い中、本作はミステリー形式にするという工夫で一発目の初見から楽しめるものだったし。だけど最近家でも観てみたら映画館で観た時ほどじゃなかった。普通は何度も観た方が面白い映画が多いが本作は初見時の面白さが優ってるタイプの映画なんだろう。それでも好きだけど本作は初見でマックスまで楽しめるが何度も繰り返し観て楽しむ映画じゃないかも、と思って少し順位下げた。凝ったオリジンではあるが、やはりキャロルが立ち上がるために本編の殆どが使われているからアクションや他者との関係性は『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』みたいに次の二作目が本番だろう。
『ゴーストランドの惨劇』はヨーロッパの残虐な映画を撮る監督のサスペンスホラーで、全然期待してなかったけど凄くハラハラして面白かった。何しろ病を抱えた華奢な少女が一軒家の中でガチの変態殺人鬼2人に追いかけられるのだ。あまりに心配すぎて「この子が殺されたら絶対許さん!この子が殺されたら絶対許さん!」と、感情移入あまりしない僕にしては珍しく感情移入させられて集中できた。最ものめり込まされたのがこの映画だろう。この監督の映画は女性が可哀相な目に遭うものが多くて観てなかったが本作は、少女が全編ピンチになってる様を甘い展開なく描いてるのを観て「この監督、ウケるホラーの定石だからやってるとかじゃなくて本当に誠実さゆえに残酷な世界に向き合ってこんな映画になっちゃうんだな」と、監督の真摯な人柄がビンビン伝わってきて凄く不思議な感動させられた。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、実在した悪を歴史改変して叩くやつやるのはタランティーノが近年よくやってたから予想通りだったが、それよりディカプリオが中盤やってた「良い芝居をしてみせる」という、いつものタランティーノ映画よりも普通の良い映画っぽい部分が凄くよかった。監督やめるとか言わないで、この中盤の普通の良い映画なのとかSFやホラーやアメコミ映画などのジャンルものを量産して欲しい。ワインスタインの時もう少しだけ失脚すれば丁度よかったかも。
『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』MCU作品の中でも初見の面白さがぶっちぎっており最高だったのだが、公開が終わったらトムホがソニーに取られるという流れになって、本作のBlu-rayが出る時、急に「トムホがディズニー社長を説得した。そしてソニー作品にも出るようになった」という事になって何だか疲れてテンション下がった。つまり俺は一連の流れはつくりのあるプロパガンダだったと思ってるということ。証拠はない。仮にドッキリだったとしてもファンをガッカリさせて上げるドッキリは嫌いだし、そもそもソニーの実写MARVEL映画に全く期待してないので「ヴェノムみたいな程度のもんにトムホスパイディ出すんか……」というのもテンション下がった。実写スパイダーバースも、やるだろうし実現したらこんな事言ってる僕も喜んで劇場に駆けつけるだろうが根本のところを言うと正直なくてもいい、MCUスパイダーマン三作目のストーリーに集中して欲しい。でもこのファーフロムホーム自体はめちゃくちゃ面白い傑作。ただ今の時代、情報やバックステージも作品の一部と化しているので内容以外も加味せざるを得ないと思う。それにしても今回はエンドゲーム効果かMCUが3つも入ってしまった。別に『シャザム』や『アクアマン』も楽しかったんだけどね。シャザムは10位以内に入れても良かったかもしれん。『スパイダーマン スパイダーバース』はあの映像は最高なんだが内容はサム・ライミ時代のオリジンをマイルズで繰り返しただけでマルチバースは只の装飾品に過ぎなかったので僕の評価はあんまり高くない。『ジョーカー』は『キング・オブ・コメディ』『タクシードライバー』に似た映画だが思春期の時に観たそれらの衝撃が強すぎてジョーカーはただパクっただけという感じで世間の評判ほど盛り上がらなかった。
『ジョン・ウィック:パラベラム』は、ただただキアヌとアクションが素晴らしすぎるだけの映画に過ぎないんだが観てるうちに傷ついて戦い続けるジョンがキアヌの人生そのものに見えてきて、僕は現役の男の俳優だとキアヌが一番好きなので実際の作品の出来以上の感動を感じた。ハル・ベリーと犬のアクションも良かった。
『クロール -凶暴領域-』は、台風の日に水泳が得意なだけの女子大生が凶暴なワニと闘う映画。ワニと2時間戦い続けた結果、ただの女子大生に過ぎない主人公が映画が進めば進むほどワニに合わせて超人みたいなとんでもない強さになるのが可笑しかった(水中でワニに噛まれて食いちぎろうと回転したら女子大生も同じスピードで回転して相殺したりする)。少なく見繕っても刃牙くらいの強さはある。作品の枠組みに合わせて描いてたら常人が仕方なく異常な強さに描かれてしまうの大好物(たとえばアベンジャーズに出てるブラック・ウィドウが周囲の超人に合わせて最終的にはとても人間とは思えない強さに引き上げられちゃう様とか)。
『ハロウィン』。往年の人作シリーズの久々の続編やリブートやリメイクが殆ど全て大失敗してる中、唯一好評&大ヒットという成功を収めたハロウィン(他には『IT』も成功例か)。僕が一番好きな監督ジョン・カーペンターが監督じゃなかったのは残念だけどジョン・カーペンターは現場にしょっちゅう来て指示はしてたしカペ息子も音楽で参加してるのでカーペンター家の大成功と言っても過言ではない。ヒットと無縁のジョン・カーペンターが関連する映画なのに異例の大ヒット。映画の内容は若干、置きに行った感はあるが、冒頭が終わって『ハロウィン』ってタイトルが出る瞬間がめちゃくちゃカッコいい!あとラストはジョン・カーペンターっぽい終わり方でめっちゃカッコいい。だが出来がそこそこ良いにしても只のスラッシャー映画が何故こんなにヒットしたのか未だに謎。『IT』みたいにピエロも出てくるわけでもないしジェームズ・ワン映画でもない『ゲット・アウト』『イット・フォローズ』『クワイエット・プレイス』などの新感覚ホラーでもない、こんな只のホラーが大ヒットする可能性はゼロ、それくらい珍しい。理由はわからない、この映画を楽しみに観に行くのは僕も含まれるジョン・カーペンター好き、もしくはホラー好きのアラフォー中年男性しかいないだろう。でもアラフォー中年男性は最も動員に影響しない儚い存在なので中年男性ファンは何の役にも立ってない。では何故?……考えたんだが人気ホラー鬼ごっこゲーム『デッドバイデイライト』にマイケル・マイヤーズが出てるからじゃないか?(僕は、やりたいのは山々だけど酷い方向音痴なのでプレイしてない。他人の実況とか見て我慢してる)他に理由ないしきっとそうだろう。「若い子が『DbDのマイケルが出てる映画あるから応援しに行こう』とか言って観に行ったのかな?」と想像するだけで凄い可愛いし暖かな……本当に優しい気持ちになった。しかも本作は「おばあさんとおばさんが物理的に大活躍する」という貴重な映画でもあるのでおばさんとばあさんにもオススメできる。……という事は老若男女、皆が楽しめる映画ってことか?!そう考えるとヒットしてもおかしくなかったのかも?絶対に観て欲しい。もうすぐ続編『Halloween Kills』も公開されるのでハロウィンまだ終わらんよ。ハロウィンハロウィンハロウィンハロウィンハロウィンハロウィンハロウィンハロウィンハロウィンハロウィンハロウィンハロウィン
『ゲーム・オブ・スローンズ 〈シーズン1-8〉 全73話』を昨年末、純粋に観たいというよりは、履修して「GOT全部観た記憶」を持っときたいなという理由でHuluを一ヶ月間だけ契約して全8シーズン全73話を一ヶ月で一気観した。中盤までは凄かったが世間の評判通りファイナルシーズンでテンション下がった。そして観てる途中は凄かったが今は思い出しもしなくなった。時代の寵児だった製作者コンビもSWから降ろされたりした。やはり映画もドラマも終わり方が重要だと思った(人生でも何でもそうなのかもな)。不評だったファイナルシーズンだが、ストーリーや結末にはさほど不満なかった。2、3シーズンかけてじっくり語るべき話を数話だけで急転直下で終わらせたので珍妙な事になってしまったのだろう。

 

 

 

ワースト3
アカンかった映画。『X-MEN:ダーク・フェニックス』はマグニートやサンサの人演じるジーンがカッコいいとか良い部分も少しだけあるけど、今まで散々世話になったミスティークをゴミみたいに殺したり、近年の人気者だったが強すぎて毎回不自然に退場するクイックシルバーが今回も不自然に退場して本当にこういうとこ嫌いだったFOXのX-MENがやっと終わってくれた。早く終わってくれと思いつつ10数年かかった。
最も出来が悪かったのはNetflix映画の『ザ・サイレンス 闇のハンター』というホラーだろう。これは是非観て欲しい。本当に純粋に出来が悪いから。ピュアな混じりっけなしのクソ。この監督が以前監督したアナベル 死霊館の人形 』 (2014)は凄く面白かったので意外だった。だが映画公開する会社にうるさくチェックされる劇場公開映画と違って撮れるはずのNetflix映画である本作にはアナベルの良さが一欠片もなかった、だから僕は逆算的に「って事はアナベルを監督したのはジェームズ・ワンのホラーチームでこの人はお飾りだったんだろうな」と思った。でも本作を観ると無言になる洒落にならんタイプの駄作じゃなくて「え……待って!無理!ちょっと待って!言っていい?これクソじゃない?w」と人を笑顔にさせられるタイプのゴミだ。だから数人でおかしなところを指摘しあって観るのもおすすめ。そういう意味では逆に好きと言えるかもしれない。
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』
は散々文句書いたからもういいけど、とにかくムカつく内容だった(アダム・ドライヴァー演じるカイロ・レンだけは良かった)。かなりムカついた『最後のジェダイ』より倍ムカつくものだった。『最後のジェダイ』はあんなに擁護してたSW制作陣すら見放して切り捨てたので気が済んだ(それに新しいことしようという意欲はあったし)。どうせ新作が作られたら制作陣はEP8を見捨てたようにこのEP9を見捨てるだろうが、そんな時が来るまで今はこのSWへのオーダー66ことEP9を叩く。内容のゴミっぷりも制作側の態度などありとあらゆる部分を考慮して文句なくこれがワースト1で決まりだろう。2010年代で一番嫌いと言っても過言ではない。
まだ観ようと思って観てない2019年公開映画は何本かあるが中でも『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』は特に観たい。後から観て良かったら、こっそりこのページに加えておこう。2019年はそんな感じでした。
2020年はコロナで観てる本数がめっちゃ少ないから悲惨なベストになりそうだ(2020年、半分過ぎたのにまだ10本しか観てないし)。
だが、来年も君には地獄につきあってもらう。

 

 

 

そんな感じでした

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2020年の日本公開映画&ドラマのBEST5を2年半過ぎてやっと決めることができた🎬 - gock221B
2021年の日本公開映画&ドラマのBEST5を10ヶ月過ぎてやっと決めた🎬 - gock221B
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『デッド・ドント・ダイ』(2019)/死人のような空虚な気分にさせられるメタゾンビ映画🧟‍♂️

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原題:The Dead Don't Die 監督&脚本:ジム・ジャームッシュ
主題歌:スタージル・トンプソン 製作国:アメリカ 上映時間:104分

 

 

 

緊急事態宣言による自粛解除を受けて、この映画が凄く観たいわけでもなかったが「映画館に入ってみたい」という気持ちだけで観た。
ジム・ジャームッシュ のゾンビ」という邦題の方がぴったりだった気もする映画。
ネタバレあり。
アメリカの田舎町、地球の地軸がずれて死者が甦るお話。
警察署長(ビル・マーレイ)、警官(アダム・ドライヴァー)、婦人警官(クロエ・セヴィニー)、日本刀の扱いに長けた葬儀屋(ティルダ・スウィントン)……などを始めとしてジャームッシュ映画で見かける人がよく出てくる。世捨て人役はトム・ウェイツだったのを今知った(彼の顔って、あの特徴的な顔の輪郭を隠されると誰かわからなくなるもんだね)。コーヒー大好きゾンビでイギー・ポップが出てた(この人のルックスは20年経ってもたいして変わらないね)。
物語の展開的には死者がゾンビになって蘇り、奮闘する人あり普通に食われて死ぬ人ありで世界がめそめそと終わっていく……というゾンビ映画でよくあるやつ。
ただ、本作はただのゾンビ映画じゃなくてメタ的なゾンビ映画だったのが特徴。
割と映画が始まったばかりの時点でアダム・ドライヴァーが「この話はバッドエンドで終わる」「この展開は台本読んで知ったる」と言ったり、劇中で頻繁にかかる『デッド・ドント・ダイ』というカントリーソングを聴いて「この映画の主題歌だ」などとメタ的な台詞を言う。僕はフィクションやゲームで、そういったメタ的な台詞や展開が入ると凄く萎えるので本作も、言われるたびにテンション下がった。当然そんな台詞にも意図や意味はあるが、そもそもメタ的な台詞自体が好きじゃないってだけ。
ゾンビがまだろくに出現してない時から、アダム・ドライヴァー以外にもゾンビに備えて武装する人が増え(何故かと言うと台本を読んで知っていたから)、終わりが近づくにつれ、アダム・ドライヴァーのメタ的な台詞がどんどん増え、やがてビル・マーレイもそんな事を言い始める。ビル・マーレイは自分の出番しか台本を読んでないという設定なのでアダム・ドライヴァーと違って「終わる世界への理解」が浅かったので自分がどうなるのか知らなかった……という設定なのかもしれない。
クライマックスで無事だったのは、人間ではない存在だったティルダ・スワントンと施設から逃げた子供たち(子供が死なないのは未来を象徴する希望だからか?)、それと世捨て人トム・ウェイツだけだった(文明社会や人間関係から自ら逸脱した存在なので死なずに済んだ)。
ラストにはその世捨て人トム・ウェイツが「消費文明で魂を失った人は死人同然だ」とかなんとか説教して終わる。だけどそれはロメロが大昔に『ゾンビ』とかで散々言ってたことなので、何で改めてまたジャームッシュに言われないといけないのか、そしてジャームッシュも映画ファンはそれ知ってるはずだと知ってて何故改めて言ったんやろ、とよくわからなかった。
序盤からアダム・ドライヴァーがやたらとメタ的台詞を言ったり、いかにも活躍しそうな都会から来た素敵な女の子(セリーナ・ゴメス)がカット変わったら何のドラマもなく死んでたり、一人だけ町の状況を覆せる力を持った超人ティルダ・スワントンが何もせずに物語から離脱してしまったのは、本作にドラマを発生させずエンターテイメントなゾンビ映画として観客に消費させないようにするためだったんだろう。最後にロメロ的な消費文明批判を今更言い始めたのも、内容のある新しい立派なこと言われて「うん、良いメッセージだった!」などと、観客が感動したら良いゾンビ映画として消費されてしまうため、わざと使い古されたゾンビのテーマを一席ぶって終わったんじゃないだろうか(その場合、ロメロゾンビ観てない若い人がこれ観たら「それもそうだ」と普通に感動しちゃうのだろうか?)。ロメロのゾンビ映画の時点で人類への説教が完璧に終了してしまってるので「そんなロメロの説教に感じ入ってる事もまたダメだぞ」という被せた説教されても……という気分になる。公式サイトを見ると、この映画の構造を指して「新しくて自由なゾンビ映画」という方向で推しているが、自由とか新しいんじゃなくて思いついてもつまんないし不要だから誰も作らなかっただけなんじゃないかと思った。
序盤でアダム・ドライヴァーがメタ的な台詞をやたらと何度も言うのを見て「あぁ、これって、そういう映画かぁ……」とかなりテンション下がったまま最後まで観てそのまま終わりだるかったです。
きっと「ジム・ジャームッシュゾンビ映画」というエンターテイメントを消費する気満々で観始めたのに「そんなお前は死人同然だ」と説教された気分になったせいかもしれない。登場人物を食い尽くすゾンビが我々という構図。事実、観てる間も観終わった後も非常に空虚な気持ちになった。監督は観客をそんな気持ちにさせたかったんじゃないだろうか。全然そんな意図じゃなかったとしたら、俺がアホみたいだが多分そうだろう(そうじゃないと、ただのつまらないだけのゾンビ映画だったって事になる)。
一言で言うと「『消費する欲望を持ったお前らがゾンビだ』という『ゾンビ』のメッセージを消費する、お前らがゾンビだ」みたいな映画だったってことかな。
とはいえ純粋に楽しめた面白い場面もあった。殺人現場のダイナーにアダム・ドライヴァーがクソ小さい車で猛スピードで乗り付けてピタッと止まったのは楽しかったし、そこで「死体を見に行く→2体のおばさんの死体のクローズアップ→『野生動物の仕業かな?』と言う」という全く同じくだりが3回も繰り返されるのは純粋におもろかった、繰り返したのは多分ドラマとしてのエンタメの放棄だったんだろうが、それが逆に監督の意図に反してデヴィッド・リンチ作品みたいなノリになって面白くなっちゃったパターン。あとはティルダ・スワントンのコミックのキャラみたいな珍妙なキャラとかか?そういえばクロエ・セヴィニーのあのデコ全開ひっつめ髪に眼鏡というスタイルが凄く性的に好みな自分の新しい好みも発見した(子供の頃に伊丹十三の『お葬式』のエロいシーン観て興奮したせいかも)。自分はゾンビ映画の主人公だと自覚したアダム・ドライヴァーが、物語が進むとどんどん無感情になって殺す様も楽しかった(というかアダム・ドライヴァーは今や、ただ立ってるだけでおもろい男だが……)。
そんな感じで、僅かに面白いところもあったものの、観てる間や終わった後などは凄く空虚な気持ちで眠くなる映画だった。たとえば『スクリーム』や『キャビン』は観客をメタ的な構造で楽しませようとしたホラー映画だったが本作の場合は、それを社会や我々に向けた批判に使っているメタゾンビ映画だった。「確かにその通りだが今更そんな誰でも知ってること言われても……何故今頃になってそんな事を言いだしたの?」という気分にさせられた。特にそれが今、公開されるにふさわしいという感じもせず、本作が10年前や20年前に公開されてても全くおかしくない感じ。全く面白くなかったと言っても過言ではない、何か凄く90年代っぽかったわ。だけど、そんな感じでゾンビ映画に期待してた映画ファンをゾンビみたいな空虚な気持ちにさせるのが監督の意図だったので監督の狙い通りだったんだろうなというのが俺の感想。
はっきり言ってほとんどの時間まったく面白くなくて眠かったが、こうして感想を書いてると面白いので観てよかった気がだんだんしてきた(映画が面白くなくても面白くなかった映画の感想を書く事自体は面白いので映画ブログっていいよね)。この映画を見て面白がれるのは「ジャームッシュ以外の人類はアホだ」と思ってるジャームッシュの狂信的なファンか、または「『面白くない』ように感じさせるようにわざと作ってる事が斬新で自由で面白い」と思うような人くらいではないだろうか。ライトな一般層は、普通に面白くない事に戸惑って他人の感想を検索して読んで自分の感想を決めるタイプの映画かも。これは僕の勝手な想像だけど高校生から20代前半くらいの反抗期を引きずった若者はこの映画好きかも(自分がそのくらいの年齢だった時を思い出したら好きかも?と思ったので)。
それと、これはこの映画のせいじゃないんだけど、コロナ自粛期間中、世界に対して終末感を感じてたので、かつてないほどロメロのゾンビ映画にシンクロしてたのでゾンビ映画観るなら普通に純粋に抗うゾンビ映画を観たかったのにメタ的なゾンビ映画だったのでガッカリ度も高かったのかも。そしてコロナも終息していない上にアメリカで現在ブラックライヴズマタ-真っ只中であるためか、本作を観て「なんだか今さら随分のんびりとした……贅沢な悩みを描いた映画だね」と思った。

 

 

 

そんな感じでした

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The Dead Don't Die (2019) - IMDb

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『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』(2020)/ハーレイ一人でやる役割をバーズオブプレイと四等分した結果薄くなったと推測🥪

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原題:Birds of Prey (And the Fantabulous Emancipation of One Harley Quinn)
監督:キャシー・ヤン アクション監修:チャド・スタエルスキ
主演&制作:マーゴット・ロビー 製作総指揮:ジェフ・ジョンズほか
製作国:アメリカ 上映時間:109分 シリーズ:DCエクステンデッド・ユニバース第8作目

 

 

 

※ 先に言っておくとこの前段階の部分は映画の感想以外の話なので映画の感想しか読みたくない人は、このブロックを飛ばして次の空白から下を読めばいい。
🥪ワーナーDC映画駄作群の中で僕が最もダメだと思ってる映画『スーサイド・スクワッド』(2016)の主人公的ポジションだったハーレイ・クインを主人公とした映画。……と聞くと『スーサイド・スクワッド』のスピンオフのように聞こえるがスーサイドスクワッドというヴィランチームよりもハーレイ・クインの方が有名なので「『ジャスティス・リーグ』を公開した後に『スーパーマン』を公開した」ような感じだ。
🥪ハーレイ・クインは天才ブルース・ティムが手掛けた傑作アニメ『バットマン』(1992-1995)で初登場したジョーカーの恋人キャラ。人気だったのでコミックのDCユニバースに逆輸入されコミックでも人気、やがてジョーカーと別れて今では独り立ちしてDCで最も人気あるバットマン、スーパーマンワンダーウーマン、ジョーカーなどと同じくらい人気ある(というかコミックの売り上げがバットマンと並んでトップになることが最近よくあるのでスーパーマンワンダーウーマンより人気ある気がする)。狂ってたり一人だけ物語の枠から片足出てる感じがMARVELのデッドプールによく似てる……とよく言われる。現在アメリカでは彼女を主人公にしたアニメ『Harley Quinn』(2019-)も配信中。
🥪映画に話を戻すが本作は『スーサイド・スクワッド』(2016)から直接繋がってる作品。ワーナーは不評だった作品を『ジャスティス・リーグ』同様にバンバン切って黒歴史にしていく方針であるため『スーサイド・スクワッド (2016)』は黒歴史となり、本作のハーレイはもう二度と映画に出てこないであろうジャレッド・レト演じるジョーカーとも別れた。つまらなかった『スーサイド・スクワッド (2016)』だが「マーゴット・ロビー演じるハーレイは魅力的」と評判だった。僕もマーゴット好きだしそう思った(そして他のキャラのデザインや衣装は全部良かった)、だからハロウィンでハーレイのコスプレが全世界的に流行った。このスースク版ハーレイのデザイン(ツインテールを赤と青に染めてTシャツとホットパンツ着た姿)は好評だったのでコミックにも逆輸入された。だが忌まわしい映画『スーサイド・スクワッド (2016)』の名残を残したくなかったせいか青と赤のツインテールは切り落とされ、セクシーだったホットパンツもやめて女子ウケしそうな可愛いファッションへと変わった。どっちかというと前の方が好きだったが『スーサイド・スクワッド (2016)』の香りを脱臭したい気持ちもわかるのでOK。
🥪ちなみにハーレイが本作の次に登場するのは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズでお馴染み、ジェームズ・ガンが監督する『ザ・スーサイド・スクワッド』(2021)となる。直接続いてるっぽいけど「前のスースクとは関係ない仕切り直しです!」という不思議なリブート作になる模様。「波平の娘がサザエ、サザエの息子がタラちゃんだが、タラちゃんの祖父が波平だということはあまり知られたくない」そんな感じか?わかりやすいかと思って書いた喩えだが逆にわかりにくい?OK話を先に進めよう。ジェームズ・ガンがマイナーなヒーローチームをオリキャラみたいに自由に扱って楽しい愚連隊映画を撮れるのはガーディアンズで実証済みなので期待が持てる。前回の『スーサイド・スクワッド (2016)』からジャレッド・レト版ジョーカーやウィル・スミス版デッドショットなどの邪魔なクソキャラだけ切り捨て、ハーレイやキャプテン・ブーメラン等の魅力的なキャラは残し、そこにポルカドットマンなどのクソマイナーキャラを多く追加するらしい。スースクはハーレイ以外バンバン死んでOKのチームだし面白くなる要素しかない。今アメコミ映画で一番楽しみかもしれない。
🥪タイトルにある〈バーズ・オブ・プレイ〉とはDCコミックの女性を中心としたヒーローチーム。元バットガールのオラクル/バーバラ・ゴードン、ブラックキャナリー、ハントレスなどが中心で後は増えたり減ったり……とりあえずこの三人がいればバーズ・オブ・プレイという感じ。アベンジャーズBIG3みたいなもん……いやDCの話だから、ここは「ジャスティースリーグのトリニティ(スーパーマンバットマンワンダーウーマン)みたいなもん」と言った方が正しかったか。〈バーズ・オブ・プレイ〉は長いから以降はBOPと書く。本作にはバットガールakaオラクル/バーバラは出てない。というか本作ははっきり言ってハーレイ・クインの映画であってBOPはおまけとして「ハーレイの愉快な仲間たち」として出させてもらってるにすぎない。バットガール/バーバラはDCにとってかなり大事なキャラなので、そんなおまけとして扱うわけにはいかないので本作に出さなかったのは明白。バーバラの代わりに原作で一時期バットガールだった事もあるカサンドラ・ケインが出ている(全く原型を留めていないけど)。バーバラの居ないBOPなんてハンバーガーが挟まってないハンバーガーのようなもの、そのハンバーガーを務めるのがハーレイなんだろう。
そもそも、本作はハーレイ・クインの映画であってBOPはあくまでおまけなのはポスターや予告編を観る前からわかってる事で「ちゃんとハーレイ単独映画として作るべきだっただろ」というのが本作が発表されて以降ずっと思ってたことだが、では何でハーレイとバーバラ抜きバーズ・オブ・プレイを抱き合わせた微妙な形で作ったのか?
🥪その前に映画のタイトルについて考えてみよう。邦題は良い。では原題はどんなものかというと『Birds of Prey (and the Fantabulous Emancipation of One Harley Quinn) 』という長ーいタイトル。直訳すると『バーズ・オブ・プレイ(と、とあるハーレイ・クインの素晴らしき解放)』。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(原題:Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance))』を思わせる。
このタイトルを付けた意図について考えたが「ジョーカーの元カノであるイカれた女ハーレイが他の女達と手を組んで暴れるイカれた映画!それなのに凄く長くて文学的なタイトルつけたろwww」という大学のサークル的なノリで付けたジョークなんだろう。僕はこのタイトルが発表された時「すこし嫌なかんじ」がしました。「完全にすべってる!」とか「寒い寒い怖い怖いw」といったほど嫌ではなかった。飲み会のノリで決めて提出したようなタイトル、それを翌日「あ~あれ提出しちゃった?大丈夫かなぁ」といった程度の不安さ。死ぬほど悪いほどではない。公開された映画が面白くて大ヒットすればこのタイトルも後から逆説的に「ところで変なタイトル付けたなぁw」等と面白くなるからだ。だから僕は実際に映画を観てみるまでは「この原題やばない?」などと決してツイートしなかった(明らかな差別などといった絶対的に勝てるツッコミはともかく、後の情勢に勝敗が左右されるツッコミは映画がめちゃくちゃ面白かったりして大正義になった場合、先の発言が逆にこちらの首を掻っ切ってくるので言わない方が良い)。だが本作はDC映画史上最大級に大コケしてしまった。そのせいか公開わずか数日でアメリカの劇場チケット販売サイト/アプリ限定で『Harley Quinn: Birds of Prey』と邦題に近いタイトルに改題されるという前代未聞の珍事が起きた。何の映画か分かりにくいから「こ、これは人気者のハーレイ・クインの映画だよっ!」と知らせたかったのだろう。「海外映画はダサい邦題付けられる」とよく話題になるが本作に限ってはワーナージャパンが付けた邦題の方がわかりやすくて絶対に正解だろう。後乗りでこんなこと言っても意味ないので聞き流してほしいが「ハーレイ単独の映画にすべきだった」「原題を聞いた時の『少しいやな感じ』」は当たっていたようだ。
いや、本作を擁護させてもらうならば日本で劇場公開された時は完全に緊急事態宣言直前だったので客が入らなかったのは当然だったし、アメリカ本国での公開日は2月上旬。新型コロナウイルスへのロックダウンの約一ヶ月前。その時のアメリカの映画館の状況がどうだったのか知らんが恐らくコロナの影響であんまり客が入らなかったのかもしれない。
それにしてもBOPよりハーレイ一人の方が遥かに人気なのにタイトルでBOPを立ててハーレイを埋没させてる意味がマジでよくわからない。大ヒットしたし評価も高かった『デッドプール2』を『Xフォース(と、とあるデッドプールの素晴らしき活躍))』みたいなタイトルで公開してヒットしたと思うか?一体どういう判断でそうしたのかわからない。「このまま公開したら映画がヒットしちまう!何とか客が入らないようにする方法はないか?」と考え出したようなタイトルだ。
🥪さっきも言ったように本作は「ハーレイの単独映画『ハーレイ・クイン』(2020) として制作する」絶対これがベストだったと思う。ハーレイは人気だし駄作だった前作でもマーゴット演じるハーレイのキャラだけは老若男女に人気だった。デッドプール同様ちゃんとコミックの魅力を出せれば大人気間違いなしで失敗する方が難しいキャラなのに何故ハーレイだけ推さなかったのか凄く不思議だ。そんで大して知名度もないし関係性も薄いBOPと無理やりチームアップしてハーレイ色を薄めてるのも意味がわからない。それは『スーサイド・スクワッド』(2016)の時も思ったが、あの時は『ワンダーウーマン』が成功する前だったので女性ヒーローを主人公にした映画が大ヒットした事がなかった、それなのに女性ヴィラン単独で映画を作るのが怖かったんだろう。スースクは原作でもハーレイが居るチームなので関連性もあったし。それでもあの時にスースクじゃなく『ハーレイ・クイン』をやるべきだったと思うが制作する側がリスクを恐れる気持ちもわかる。スースク同様、本作で再びどう見てもハーレイが主人公なのに知名度の薄いチームに埋めて売った理由について考えたが『ワンダーウーマン』でMCUに先んじて「女性ヒーロー単独映画」を成功させた偉業に続いて「初の女性ヒーローチーム」を成功して『Aフォース』を作りたがってるMCUに先んじようとしたんじゃないだろうか?本作の公開時に宣伝でワーナーと出演者が「この映画はフェミニズムを推しだしてる!」とめっちゃ言ってたのでポリコレ要素も出したかったのだろう。それもわからないではないが、どうせハーレイで女性チームやるなら何故『ゴッサム・サイレンズ(ハーレイ、ポイズンアイヴィーキャットウーマンによる女性ヴィランチーム)』にしなかったのか?…と思ったがキャットウーマンは『ザ・バットマン』に出すからダメか。それなら『ハーレイ&アイヴィー』作って誰でもいいから女性キャラ数人足しとけばそれで良かっただろう。
後出し意見だが「まず最初に単独映画『ハーレイ・クイン』で確実に勝ちを拾って、次に『ハーレイ&アイヴィー』をやって百合的な人気という大手スタジオが誰も手にしてない土地を手に入れ、そんでその後に『ゴッサム・サイレンズ』か何か、とにかく女大集合の女大暴れ女祭り映画を作って〆ればよかったのに」というのがスースクの時からハーレイのシリーズについて思ってた事でした。
ハーレイ大好きで制作にも関わってるマーゴットだが、本作はコケたがハーレイ役はまだ続けたいらしい。次にハーレイが出てくるのは『ザ・スーサイド・スクワッド (2021)』これは面白いに違いがハーレイは完全にチームの一員って感じだろうしジェームズ・ガン映画として観られる予感がする。その次のハーレイ作品が勝負だろう。インタビュー読んだらマーゴット本人は『ハーレイ&アイヴィー』をやりたかったらしい。どう考えてもマーゴットの判断の方が正しかったですよね。ジョーカーと別れた後のハーレイをヒットさせようとしたら、まず最初にポイズン・アイヴィーと組ませたいでしょう。まだマーゴット版ハーレイの首は繋がってるから次こそ『ハーレイ&アイヴィー』して欲しい。
考えてたことや実際に起きたことを全て書こうとした結果すごく読みづらい文章になってしまったが気を取り直して感想を書こう。
ネタバレあり

 


 🥪

 

 

本作の内容だがハーレイのオリジンが1分ほどのカートゥーンで語られる。
ハーリーン・クインゼル(マーゴット・ロビー)は心理学者だったがアーカムアサイラムで受診したジョーカーの狂気に一目惚れ、彼を脱獄させた後、工場の廃液の中に落ちて白い顔と狂気を得てジョーカーのパートナー、女性ヴィランハーレイ・クイン〉となる。その後、実写になって「ジョーカーに捨てられたばかりで失恋の痛手が癒えていない」「ハイエナを飼い始める」などの現在の状況が手短に語られる。
そんなハーレイが独り立ちして歩み始める第2のオリジンみたいな話が本作。
ちなみに現在のコミックでもとっくの昔にジョーカーと別れて一人で活躍している。
スーサイド・スクワッド』が成功していればワーナーは恐らく『マッド・ラブ』を始めとしたジョーカーとのカップル話をやろうとしてたかもしれないが、スースクの失敗でジャレッド・レトもジョーカー役辞めたしワーナーも早めにスースク臭を早く消したかっただろうからこのカップルは活躍前に破局した(このカップル、DVっぽくてハーレイが可哀相になるので始まる前に終わってしまったのは僕としては問題なし)。
マーゴット・ロビーは『スーサイド・スクワッド』の時と同様、ルックスは完璧だしカートゥーンのハーレイそっくりの喋り方や動きでハーレイを熱演している。
ある日、スリの孤児カサンドラ・ケイン(エラ・ジェイ・バスコ)は、街を牛耳る猟奇的な実業家ブラック・マスク(ユアン・マクレガー)のダイヤを盗む。ブラック・マスクは配下のギャングにキャスからダイヤを取り戻そうとする。
偶然が重なり、共にブラックマスクに追われているハーレイはカサンドラを保護する。
そこへ、男たちに職場で女性差別されている黒人の女性刑事レニー・モントーヤ(ロージー・ペレス)、ブラック・マスクの店で働いてた超音波を出せる黒人歌手ブラックキャナリー(ジャーニー・スモレット=ベル)、ブラック・マスクの組織に家族を殺され復讐に燃える女性ハントレス(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)なども行きがかり上ハーレイと合流し共にカサンドラを護るためブラック・マスクと闘う。……そん要するにハーレイのオリジンを語り直すと共に「酷い男や男社会に虐げられてきた女性たちが一丸となってクソ男どもを倒す」という話。
そんな本作の監督は、本作が長編映画デビュー作となる女性監督キャシー・ヤン。
フェミニズムを押し出したヒーロー映画」としての体裁が築き上げられている。
一方、そんな酷い男の象徴であるヴィランユアン・マクレガー演じるブラック・マスク。残虐ですぐ顔の皮を剥いで惨殺したり何か気に入らないことがあるとキレ散らかすギャング。その部下のザーズは刃物で切り刻んで殺して自傷も好む猟奇的なギャング。「残虐なボス」「残虐なギャング」というかなり単純な悪になっている。他人の事なんて考えるわけもない奴らだから当然、差別的で自動的に女性も酷い扱いすると。2人は原作ではバットマンヴィラン。ブラックマスクを演じるユアン・マクレガーは正義のイメージ(というかオビワン)が強すぎるせいか熱演してるものの、彼が悪役というのがどうも最後までしっくり来ないまま終わってしまった感がある。またブラックマスクは常に黒い仮面付けてるのがトレードマークなのだが演じてるのがユアン・マクレガーという大スターなので当然ブラックマスクなど被らず、最後に数十秒だけ被るだけだった。ユアン・マクレガーの顔をずっと出しておきたい気持ちはよくわかるが、だったらマスクじゃないヴィランをチョイスすれば良かったのに……と思った。顔出しっぱなしのギャングのボス……だからカーマイン・ファルコーネとかでもいいじゃん。……と思ったがファルコーネは『ザ・バットマン (2021)』に出るからダメか。ザーズ役の俳優さんはよく知らない人だったけどただただ悪いだけという単純悪の演技が良かったね。
ハーレイに保護されたカサンドラはハーレイに安らぎを感じるが、ブラックマスクに家を爆破されたハーレイはカサンドラをブラックマスクに売り渡そうとする。そこへ後のバーズ・オブ・プレイとなる3人が介入して闘ってるうちにハーレイも反省したのかカサンドラをBOPと共に守る。売られて殺される寸前だったのでハーレイに立腹してたカサンドラだが、しばらくしたら仲直りする。ハーレイに相当なついていたところを売られてハートブレイクしてたようだ。ハーレイとカサンドラが一緒に過ごしてたのは2人でスーパーで買い物した後、ハーレイの部屋でシリアルを食いながらアニメを一緒に観てただけなのだがカサンドラはまるでハーレイと長年暮らしてたみたいな雰囲気なので観てて違和感を覚えた。ここは、ちょっと時間取ってもう少し一定期間、一緒に過ごして友情とか家族愛みたいなものが芽生えた描写を入れてはどうだったんだろう。マジで数時間一緒に居ただけにしか見えない。むしろブラックキャナリーの方が多めにカサンドラと接してた、というかこのキャナリーとカサンドラの触れ合い、本来はハーレイの役割だろ。そして、いくらヒーローではないといえどハーレイが自分の保身のために渡せば惨殺されると知ってて子供をガチで売り渡そうとしたのも結構引っかかるよね、ハーレイを応援できないものがある。「敵に渡そうとしたが……やっぱこんな子供を見殺しにはできん!」と心変わりしたハーレイがザーズを殺せば良かったのだが、殺したのは乱入してきたハントレスで、ハーレイは流れで何となくカサンドラを守る事になったようにしか見えん。いくら狂ったダークヒーローだとしてもカサンドラを守るのはハーレイが全て自発的にやんなきゃダメでしょう。ここもまた、ザーズをブッ殺すのは本来ハーレイだったのにチームものにする事になってザーズを殺す役割がハントレスになったんだろ?そんな気がする。
というか本作のハーレイのキャラが薄いのをそうすればいいのか考えたが、BOPたちの「ブラックマスクに使われるブラックキャナリー」「常日頃からカサンドラを気にかけてたブラックキャナリー」「ブラックマスクに復讐したいハントレス」「女性差別されてるモントーヤ」などの役割を全部ハーレイにやらせときゃ良かったんじゃないか?そんでカサンドラを敵に渡そうとしたけど改心して殺してブラックマスク軍団と闘うのもハーレイだけで良かったんじゃないかな。最初はメタ的な理由でハーレイ単独映画が良かったんじゃないかと言ったけど、映画の内容的にも各キャラの人間ドラマが薄すぎて、これなら全部ハーレイ一人にやらせてやっと丁度良かったんじゃないだろうかと思った。ハーレイ以外のメンツは最後BOPを結成する。ヒットしてれば後でバーバラを加えてBOPだけの映画を作ろうと思ってたんだろうけど彼女たちはもうこれで出番終わりな気がするな。

 

 

 

そんな感じで、可もなく不可もなくって感じの内容なのだが全編に渡ってアクションが意外と多い。そして本編では凄くパッとしない感じの人間ドラマやギャグなのだがアクションになると急にキレキレになる。アクションになると途端にキャラの位置関係も明快で誰がどこからどこに向かって何をしてるのかも明快になる。たとえばハーレイが大男の羽交い締めを振り払う時も「ハーレイが、自分の身体と羽交い締めにしてる大男の腕の間に棒を差し込んで捻って腕を払う」など全てのアクションが雰囲気アクションじゃなくて理に適っている。警察署での戦闘中にハーレイが押収品のコカインを吸い込んでやる気満々になったり、最後の決闘でブラックマスクが引きの画面のままあっけなく爆殺される様も凄く冴えててカッコ良かった。中からカラフルな紙吹雪みたいなのが出てくるゴム弾を放つグレネードみたいなのも凄くハーレイ的で良かったね。
そんな感じで、本編はつまんないのにアクションシーンだけ冴えてるので「なるほど。この女性監督が得意なのは人間ドラマじゃなくてアクションなんだな」とか思って検索したら何と本作のアクションは後から追加で『ジョン・ウィック』シリーズのチャド・スタエルスキ監督がキャストをみっちり訓練して取り直したという。それで警察署の明確に目的や位置関係がわかりやすい戦闘を観て「何かに似てるなぁ」と思ったら『ジョン・ウィック』だったのね。
それなら、この監督の持ち味ってどれ?という気持ちになった。
「クソな男たちに虐げられてきた女性たちがリベンジする」という女性達の復讐が本作で新進気鋭の女性監督が器用された。だけどパッとしないなぁ……と思って観てたもののアクションだけは良いじゃん!と思ったが「調べたらアクション撮ったのだけ男でした」というこの結果は観てるこっちが何だか気まずくなるものがあった。
また本作は、タランティーノ映画や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のように懐メロがガンガンかかりまくる。そして時制が意味なく前後したり、画面が一時停止してハーレイが描いたイタズラ描きみたいなエフェクト処理が画面に映ったりする。何かダメだったとワーナー自身が認めて黒歴史にした『スーサイド・スクワッド』の中からわざわざダメだった部分をもっかいやってるのが不安な気分にさせられた。ひょっとして俺がダサいと思ってるだけでこれはカッコいいと思われてるからまたやっとのかな、という種類の不安。全体的にタランティーノに憧れた若手監督がやりそうなノリでこれも若干きついものがある。ハントレスはガーディアンズで言うドラックスのようないじられキャラなのだがクロスボウ・キラーと呼ばれるたびに怒る天丼も微妙な感じがあった。全体的に本当はジョークが得意じゃない真面目な人が無理してジョークを言ってる雰囲気を感じた。こういったタランティーノっぽい時制を無意味に入れ替えたり不必要なエフェクトを入れたりして「イカれた映画」感を出す要素やジョークなどは監督によるものなのかワーナーによるものなのか、どっちなんだろう。『スーサイド・スクワッド』は「元々シリアスな映画だったのに、ワーナーに勝手にいじられてコメディにされた」とデヴィッド・エアー監督が最近言っており本作の監督が「その気持ちわかる」とコメントした。そんな本作の微妙な要素がスースクそっくりなので多分ワーナーがいじった部分なんだろうな、と思った。いや……良くないと言うなら具体的に何がいけなかったか書かなきゃ、と考えてみたんだけど、ハーレイ本人はさほどイカれた事をしてないのに時制を意味なく入れ替えたり画面に落書きとかしてイカれた感じを出そうとしてたのが醒めたのかもしれない、それでいて自分の保身のために子供を売ろうとしたりといった本当にしちゃいけない方面でイカれた事をしてたのもマイナスだったかも。
冴えてたカッコいいアクションはチャド氏によるもの、残りのごちゃごちゃした本編もワーナーに手を加えられてると監督がほのめかしている。では、この長編デビューの新人女性監督が自分の意志で撮った彼女の持ち味はどの部分なんだろう?ハーレイが「ジョーカーなんかと別れて女性同士でつるんで悪い男をぶっ倒す」というのは良い部分だが、これは原作からしてそうだから既定路線みたいなもんですよね。これは僕の穿った見方かもしれないが、このキャシー監督は「悪い男たちに復讐する女性ヒーロー達のフェミニズム映画。それを撮るのはこの新人女性監督!」という部分に丁度良かった器という可能性がある。いや、それは僕が斜めから悪いように見すぎか、言い過ぎだったかも。ごめんなさいね。まだ今は判断できないがキャシー監督の次回作とか何本か公開されれば明らかになるだろう。ひょっとしたら僕がこの映画で一番良いと思ったブラックマスクの死に様もこの監督のアイデアかもしれないしね。
何か気がついたら全体的に文句ばっかり書いてしまった気がしなくもないが、最後まで退屈しないくらいは面白かった。
この映画の感想、まとめると「ジョーカーに捨てられたハーレイが、孤児を守りながら失恋の痛手や男社会へのフラストレーションをぶつけて華麗なる開放を遂げる」っていう『グロリア』っぽい映画だった予定が、女性ヒーローチームものに急遽変わったせいで、本来ハーレイが一人でやるはずだった役割をバーズ・オブ・プレイの三人にも分け与えたせいで、ハーレイと孤児の繋がりが一瞬だけになり、孤児を見捨てた事を改心する機会を他人に譲り、男に酷い扱いされる描写もBOP3人と分け分けし……としてる間にハーレイのドラマがめっちゃ薄くなった感じでした。

 

 

 🥪

 

 

そんな感じでした

DCEU

gock221b.hatenablog.com

gock221b.hatenablog.com

 

※その他ハーレイが出てくるエンタメ作品の感想
「Batman: Arkham City - GOTY Edition (2012)」瘴気溢れる街全体と闘う統合失調症になった感覚になる傑作キャラゲー🦇 - gock221B
「レゴ®バットマン ザ・ムービー (2017)」確かにバットマン映画の中で一、二を争う傑作だった🦇 - gock221B
「スーサイド・スクワッド:ヘル・トゥ・ペイ (2018)」実写映画版の100分の1くらいの制作費だと思うが100倍面白かった 🔨 - gock221B
「ニンジャバットマン (2018)」ストーリーや論理的な積み上げ無しでキルラキル的過剰演出によって少年漫画的な根性パワーアップを延々と続ける‥というノリをバットマンに持ち込まないで欲しい🗾 - gock221B

チャド・スタエルスキ監督作〉
『ジョン・ウィック:コンセクエンス』(2023)/それにつけてもコンセクエンス……、ぴったりなオリジナル邦題でしたね。盛りだくさんで満足🧔🏻🐶 - gock221B

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Birds of Prey: And the Fantabulous Emancipation of One Harley Quinn (2020) - IMDb

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ハーレイ・クイン&バーズ・オブ・プレイ (ShoPro Books)

ハーレイ・クイン&バーズ・オブ・プレイ (ShoPro Books)

 

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『ターミネーター:ニュー・フェイト』(2019)/意外と良かった!新キャラ良かったのでシュワ氏とサラ・コナーはむしろ居なくてよかった💀

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原題:Terminator: Dark Fate 監督:ティム・ミラー 製作&原案:ジェームズ・キャメロン
製作国:アメリカ 上映時間:129分 フランチャイズ:『ターミネーター』シリーズ

 

 

 

ターミネーター』シリーズは、ジェームズ・キャメロンによる『ターミネーター』→『ターミネーター2』と来て、次にキャメロンが外れて『ターミネーター3』→『ターミネーター4』が作られた……が思ったほどヒットせず賛否両論(特に2を好むファンに嫌われた)が、次に3→4はなかった事になり『ターミネーター:新起動 / ジェニシス』が作られたが今度は凄くコケたし褒める人が居ないくらいの低評価だった。
そして生みの親のキャメロンが制作&原案に戻ってきてサラ・コナー役のリンダ・ハミルトンも2以来、久々に戻ってきて『3→4』『新起動 / ジェニシス』に続く三回目の仕切り直し、「2の正式な続き、真の三作目」として本作が作られた。
ターミネーターが仕切り直すたびに何度も気持ちを入れ替えたり良いところを探したりして『新起動』までは劇場に駆けつけてた僕だが、『新起動』は本当に良いところがなくて(古参ファンへの媚びとしょうもないサプライズしかない)数十年間なんとか繋げてきたターミネーターへの興味が完全にゼロになるくらいガッカリした。
そして、この本作『ニューフェイト』はさっきも言ったように、最もファンが多い『2』にクローズアップしつつ『2』の正当な続編。『2』と言えば高校生だった公開当時に観に行って勿論、熱狂したけど時が経つにつれてあまり好きじゃなくなっていった。だから何だか2に寄せてるっぽい本作も気に入らなかったというのもあった。しかも本作も100億円の赤字というコケ方してしまい、『4』とか『新起動』の時と同じ様に「本作は三部作の一作目!」と言ってたが、本作もまた過去の例と同じ様にこれ一本で終わる線が濃厚だ。
そんな感じで観る気が起きない理由が山積みだった本作だが昨夜、暇だったから観た。結論から言うと凄く面白かった。そして懸念していた「2推し」も非常に薄っぺらいものだったのも良かったのかも。
かなりネタバレあり

 

 

 

本作の冒頭は1998年。『ターミネーター2』の闘いを経て審判の日を回避した若き日のサラ・コナーとジョン・コナーの母子。そこへ、さっき親指を立てて溶鉱炉に沈んでいったはずのT-800が現れジョンを射殺して逃亡!もちろんさっき溶鉱炉に沈んだ正義のシュワ氏とは違う機体。どうやらスカイネットは「T-1000だけで充分だろうけど保険でT-800も送り込んどこう」してた模様!
このシーンはリンダ・ハミルトンエドワード・ファーロングとシュワ氏を、CGで当時の若い姿で描いている。サラとジョンは凄く上手な加工だったのだが、若シュワ氏のCGだけが妙に別人に見えた、何でだろ。
時間は飛んで2020年。
メキシコに住む少女ダニーを狙って、エンドスケルトンの上に液体金属が被さった新型ターミネーター〈Rev-9〉がタイムスリップしてくる。
同時にターミネーターと渡り合えるようにターミネーターに使われている技術で身体に取り入れた強化人間グレース(マッケンジー・デイヴィス)もタイムスリップして来てダニーをRev-9から護る。そこへ、初老となったサラ・コナーやシュワ氏演じるT-800も加わり、グレースとサラとT-800は、ダニーを護りながらRev-9を破壊する方法を探す。そんな数日間の話。
それにしても『ターミネーター2』の激闘を終えたジョン・コナーがいきなり射殺されて怒りに燃える20数年後のサラ・コナーって……、僕は『2』あまり好きじゃないしジョン・コナーも別にどうでもいいからこれで構わないんだけど『2』好きな人は、こんな『エイリアン3』みたいに前作での努力が全て無駄になった続き方で納得できるのだろうか?と少し思った。本当に2を尊重してるんだろうか?。まぁ『2』どうでもいいから、この話は『2』好きな人に考えてもらうとして僕は感想を続けよう。
はっきり言ってかなり面白かった。『ターミネーター』シリーズはやっぱり一作目が一番好きで次が『3』かなと思ってたが、本作も3に負けず劣らず面白かった。
本作はとにかくターミネーターの黄金パターンで最初から最後まで突っ走る。
過去のサラ同様に、未来の救世主を産むとされるダニーを護るため未来戦士や正義のT-800も加わって敵ターミネーターから逃亡しながら最後は工場みたいな施設で迎撃!という流れ。
前半の、新型ターミネーターとのカーチェイスも凄く良い感じだったし、その最中も「この未来戦士グレースは、そしてこのメキシコ少女ダニーは何者なのか?」「スカイネットは滅びたはずなのに新型ターミネーターはどこから送られて来てるのか?」「サラはどうして新型が現れる場所にピンポイントで現れたのか?」などの疑問を、アクションが一段落するたびに一つづつ明かして物語が進むので興味が持続し続けて「あれ?この映画、全然期待してなかったけど面白いぞ……」と思った。
「『ターミネーター』とは本質的にどういう映画か?」
……というと、これはもう『1』の時から答えは決まっていて「なかなか死なない無表情のターミネーターがどこまでも追いかけてくる映画」というのが答え、それが映画『ターミネーター』の全てだ。本当にこれだけ。「未来の救世主」「未来から救世主を守護りに来た戦士」「スカイネット」「荒廃した世界でターミネーターと闘う未来のレジスタンス」あとタイムパラドックスがどうとかは全て「ロボット鬼ごっこ」を成立させるための舞台装置でしかない。『新起動』が何故あんなにダメだったかというと、この本質を忘れて、古参ファンへのしょうもないサービスとか「救世主のはずのジョン・コナーがターミネーターだった?!」とかいう、しょうもないサプライズばかりで構成しようとしたからだ。はっきり言ってジョン・コナーなんて、この「ロボット鬼ごっこ」を成立させるパーツの一つに過ぎないんだから「ジョンがターミネーターだった!」とか言われても「はぁ、じゃあジョン殺せば?」としか思わない。
本作は、新型ターミネーターとの激しい肉弾戦、カーチェイス、空中戦、水中戦、情報戦……などを駆使して全編楽しくロボット鬼ごっこが繰り広げられてお決まりの工場でのラストバトルで終わる。鬼ごっこ以外の作品設定は、鬼ごっこの合間合間にテンポ良く明かしてくれる。
本作の監督を務めたティム・ミラーの代表作と言えば『デッドプール』一作目しかない。そして『デッドプール』の良いところはハッキリ言って「道路の上でデップーがギャングを皆殺しにしてたらコロッサスに捕まる」……というアバンの部分だけだった。本作の場合あのデップーのアバンがずっと続く感じ。だから面白い。
 

 

 

「初老となった女性主人公が、再び宿敵と相まみえる日に備えて訓練し続けてて少女を護るため闘う」……というのが、本作同様「一作目の直接の続編!」だった『ハロウィン(2018)』の主人公(ジェイミー・リー・カーティス)と何か被るね。
サラを演じるリンダ・ハミルトンは、若い時は特に好きじゃなかったが年取った今は猛禽類みたいな顔つき&悪魔的な声が凄みあってカッコいい。
で、シュワ氏演じる初老T-800だが、本作の冒頭でジョンを殺したT-800とのこと。
ジョンを殺して任務遂行した後、目的がなくなりシングルマザーと子供と共に暮らしてるうちに良心が芽生えたらしい。突然明かされた超展開に「えっ嘘やろ?」と戸惑ってしまうが、そういえば『ターミネーター2』の正義のシュワも感情っぽいものが芽生えてたように見えたし高度なAIならそういう事あっても不思議はないか……と、何とか納得できなくもない。そして「ロボットなのに何故老けてるのか?」という問題だが、半不老不死なのはターミネーターの骨格だけで、骨格を覆ってる肉や皮膚は普通に老けたり腐ったりする設定なので問題はない。
このように一つ一つは納得できるのだが「ジョンを護るプログラムとかされてないターミネーターなのに、老けるまで放っといたら良心が芽生えた」とか突然言われたら「ちょっと待って!」と言う戸惑いが生まれた。
それにしても、老けてるし冗談言ったりサラを心配するほど感情が芽生えてるしで、このT-800はもう只の人間……ただのシュワ氏にしか見えないよね。
まぁとにかく共に初老となったサラとT-800は、強化人間グレースと共にダニーを護りつつ、新型を返り討ちにしようと頑張る。
新キャラとなるグレースとダニー、彼女たちは凄くよかった。
スター・ウォーズ』とか『ブレード・ランナー』など、近年多い過去の作品の新しい続編に共通してる要素として「過去キャラが出てくるのは嬉しいけど、新キャラが妙に良いキャラばかりなので、むしろ過去キャラあんまり必要じゃなくない?」と思うことが多いのだが、本作も全くもってそうだった。とは言っても猛禽類のような初老サラはかっこよかったし初老T-800も珍妙な味わいがあったので「居ないほうが良かった」なんてことはないんだけど。
はっきり言って強化人間グレースがめちゃくちゃ良い上に、サラとT-800の役割どっちも全て兼ね備えてるんですよね。サラとT-800が居ない本作を想像して欲しい、大して変わらないから。サラとT-800が居る理由はもはや『2』とか好きな中年へのファンサービス、客寄せでしかない。
リンダ・ハミルトンは「サラのキャラは1と2で完成してるから……」と今までずっとサラ役を断ってたらしいが彼女が正解だよね。キャメロンは本作に出てもらうに当たってロジックではなく「ファンは君のサラが好きなんだ!」という泣き落としで出てもらったらしい。確かに魅力的な強ババアキャラではあったのだがリンダ氏が言う通り蛇足だったよね。シュワ氏の事も好きなのでシュワ氏が出てるのは嬉しいのだが本作のシュワ氏は最高に存在感薄かったよね。もはや、ターミネーターに見えないというか、怪力を出したら「あぁそういえばターミネーターだった」と思い出すくらいで、そうじゃないと只の初老シュワ氏にしか見えない。
一方、新キャラだが、強化人間グレースは、最初は長身でイカつくい印象だが、弱ったりしたら顔のパーツが小さくて繊細な少女っぽさがあって急にガラス細工みたいな儚い存在に見える感じが良かった。ダニーはグレースと真逆で、少女なので基本はか弱いんだけど時間経過と共にどんどん腹が座ってきて最後は未来のリーダーを思わせる貫禄が出てくる。そして実はダニーが先にグレースを護っていた事がわかり、最後はダニーが「お前は私の全てを奪ったァァ!」と絶叫しながらグレースの心臓を新型ターミネーターにブッ刺して破壊するところなど最高のカップルだろう。
それだけになおさら「サラとシュワ氏、別に居なくても成り立つな」と、より思ったのかもね。だがサラとシュワ氏が出てないともっと興行成績悪かっただろうから仕方ないのか。T-800も出すならグレースの強化人間設定は無しの方が被らなかったよね。
ダニーと新型ターミネーターは、メキシコ系というのもひねりがあって良かった。
前半の舞台はメキシコで、そこから何とかアメリカに密入国する。何でメキシコにフューチャーしてるのかは謎だが、凄く現代性を感じた。もし本作のキャストがアメリカ白人だけで、いつものように未来のアンドロイドがどうのこうのと、現代の社会性を全く無視したアメリカを舞台にした白人しか出ない作品だったら「古っ!」と思っていただろう。本作のメキシコ要素はギリギリ、本作の現代性を感じられてよかった。
ターミネーターの骨格(エンドスケルトン)の上に液体金属が被さってる新型ターミネーターは良いアイデアだと思った。これならエンドスケルトン、液体金属、どちらの魅力も出せる完璧なターミネーターだよね。だけど最終的には骨格があるために破壊されてしまった。やはり『新起動』のナノマシーンターミネーターが最強かもしれん。だけど僕はエンドスケルトンが好きなので、ターミネーターには骨格がないと嫌だな!
赤字だったようなので続編は作られない気がするが別にこれで終わりでも別にいい気がする、作られたら作られたで観るけど。しかしもし続編あるならサラはどうでもいいから、やはりグレースが居て欲しい。現在の少女グレースがそのまま大きくなるとか別のグレースが来るとか……出すには工夫が必要だが。
それにしても何やっても人類が滅んでターミネーターが誕生する未来は確定してるんだね。とにかく「絶対クソつまんないだろうけど義務的に観とくか……」と仕方なしに観たら思いがけず面白くて楽しめました。良かったです。

 

 

 

そんな感じでした

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ティム・ミラー監督作
「デッドプール (2016)」一切リアクションしない中学生男子みたいなヴィラン以外は好き❌ - gock221B
「ラブ、デス&ロボット (2019)」全18話/全体的に楽しかったがセンスが抜きん出てる三本が特にお気に入り💓💀🤖 - gock221B
『ラブ、デス&ロボット』Vol.3 (2022) 全9話/好きなシリーズだしアルベルト監督作があるから観るために見限ったネトフリと再契約させられた💓💀🤖 - gock221B

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Terminator: Dark Fate (2019) - IMDb

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